ニーノ・ロータの映画音楽でイタリアを味わう!愛と宿命の音楽
1950年代から1970年代までニーノ・ロータは素晴しい映画音楽を残しました。音楽の国、イタリアの風土から生まれた南国の明るさと愛と哀しみ、宿命感のある音楽は私たちに深い感動を与えます。巨匠ニーノ・ロータの素晴しい映画音楽を5つご紹介いたします。
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ニーノ・ロータという作曲家
出典:pixabay.com
ニーノ・ロータは1911年、イタリアで生まれています。クラシック音楽をミラノ音楽院、サンタ・チェチーリア音楽院で学びました。同じようにイタリアを代表する映画音楽の作曲家、エンニオ・モリコーネもサンタ・チェチーリア音楽院を出ていますので、ロータは先輩ということになります。しかし、モリコーネと違うのはロータは「あくまでクラシック音楽の作曲家である」といっているところです。
実は、ロータは交響曲や室内楽曲も書いているのですが、映画音楽の方が知られていますし数も多く作っています。映画は1950年代から始め、フェデリコ・フェリーニ監督の作品を中心に海外の映画も手がけました。代表作は、何といっても「ゴッドファーザー」でしょう。1975年にアカデミー賞作曲賞を受賞しています。その他ロータの素晴しい作品を5つご紹介します。
道 1954年 イタリア映画
「道」は、1957年作ですから半世紀以上前の映画ということになります。アカデミー賞受賞作ですが、名優アンソニー・クイーンとジュリエット・マシーナが好演しました。半世紀の間に数多くのアカデミー賞作品が生まれましたが、この道という映画ほど「救いようのないほど哀れ」を表現したものはなかったのではないでしょうか。
貧しく無教養で粗暴な曲芸師は、ある日乞食のような暮らしをしている親子から白痴の女を相棒として買います。そのうち夫婦として過ごすようになりますが、彼は普通の愛情ある夫婦というものが理解できません。粗暴な男は彼女を力で支配しているだけのようでしたが、あることをきっかけに彼女を道に置き去りにして去ってしまいます。
5年後のある港で、彼は彼女の口ずさんでいたメロディを聞き、「ある死んだ乞食の女がいつも歌っていた」ことを知ります。彼はその夜、海岸で獣のように喚き泣き崩れる、というストーリーです。音楽は、暗い救われない貧しさ、哀しさ、優しさをトランペットの哀愁あふれる音色で表現しています。
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太陽がいっぱい 1960年 フランス・イタリア映画
「太陽がいっぱい」は、ニーノ・ロータの名前を不動のものにした映画といえるのではないでしょうか。フランスのイケメン俳優アラン・ドロンの美貌が光輝いた映画です。内容はサスペンス映画で舞台は地中海の青い海、暑い太陽、豪華ヨットのリゾート地です。富豪ではあるけれど「いやな奴」と貧しい生まれのドロンは、身分に違いはあっても「友情がある」とドロンは思っていました。
しかし、そうでないと知った時、彼はある計画を立て実行し上手くいったと確信したのですが…。物語の最後にどんでん返しがあり、そのシーンと共に流れるバルカローレ(舟歌)のような哀しく揺れるメロディが絶妙にマッチしています。50年を越えても名曲の人気は衰えることはありません。
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山猫 1963年 イタリア・フランス映画
「山猫」はルキノ・ヴィスコンティ監督のイタリア貴族の没落を描いた映画で、元の小説の作者とヴィスコンティ自身も貴族の出です。美しい映像はヴィスコンティ映画の代名詞といえますが、この映画も細かい部分の家具調度に至るまで美しいことで知られています。名優バート・ランカスター、美貌のアラン・ドロンが好演しました。音楽は、貴族の舞踏会の上品なワルツや壮大なイメージのテーマ曲が印象的です。
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ロミオとジュリエット 1968年 イギリス・イタリア映画
「ロミオとジュリエット」はイギリスのシェイクスピアの悲劇ですが、何度も映画化されています。ニーノ・ロータは1968年の映画の作曲で、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞ノミネート作品となりました。ストーリーはお伝えするまでもないと思いますが、恋に堕ちた若い2人の双方の家が「いがみ合って」いることから起こる悲劇です。
若いふたりの「駆け落ち」と「狂言自殺」は失敗に終わり、ふたりは「死」の世界で結ばれたのでした。音楽は、この世では成就しない愛の「宿命」感にあふれ、中世的なメロディがぴったりと合い涙を誘う名曲です。
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ゴッドファーザー 1972年 アメリカ映画
「ゴッドファーザー」は最初の映画が1972年に作られ「パート2」が1975年に制作されました。アカデミー賞作曲賞は「パート2」に対して授与されています。ゴッドファーザーはイタリア系移民のマフィアの世界を描いたものですが、マフィアという家に生まれた青年の一生を描いた作品です。跡継ぎとなることを嫌がり、大学で勉強し普通の恋愛と家庭を夢見る青年は、いつの間にか生涯を翻弄されることになります。
ゴッドファーザーを名優マーロン・ブランド、主役の青年をアル・パチーノが好演しましたが、「当たり役」という言葉があてはまるものでした。音楽はマフィアという暴力の世界を感じさせるものではなく、その世界でしか生きる道がないという「悲哀」を感じさせる曲です。映画史に残る名作、名曲といえるでしょう。
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クラシック音楽の作曲家であるニーノ・ロータ
いかがでしたでしょうか。ニーノ・ロータは、映画の時代やストーリー、雰囲気をしっかりと把握し、誰もがメロディを口ずさむことができるような曲を作っています。素晴しい「メロディメーカー」といえるのではないでしょうか。こういった才能は、クラシック音楽の基礎がしっかりと根底にあることを証明しているように感じます。
彼は最後までクラシック音楽の作曲家を自認し、少ないのですが作品をいくつか残しています。ですが、曲は何か「映画のような物語」のシーンが頭に浮かんでくる気がするのです。もしご興味があるようなら、どうぞ聴いてみてください。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。