半世紀前のフランス映画音楽は「古くて新しくて美しい」
フランス映画は映画音楽がヒットするものがたくさんあります。パリは芸術の都といいますが映画音楽も素晴らしく「これぞフランス」と思わせる音楽は1度聴くとクセになります。映画全盛時代の5作品をどうぞご覧下さい。
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音楽が単独で素晴らしいフランス映画
出典:pixabay.com
戦後、映画は世界各国で全盛期の時代を迎えます。1960年代から名作はたくさん生まれてきましたが、フランス映画もヒット作が「目白押し」でした。フランスは中でも音楽に力を入れていて、特徴を持たせているように感じます。映画と「テーマ音楽」、「作品中に使用されるオリジナル曲」は、その「映画のイメージ」と結びつくものですが、音楽が単独で有名になったものがあります。今回はそういった「映画音楽」が美しい作品を5作選びました。
地下室のメロディ 1963年
1960年代は、フランス随一のイケメンといわれた名優アラン・ドロンの出演作がたくさんありました。代表作は「太陽がいっぱい」ですが、映画も音楽も共に大ヒットしました。
そして「地下室のメロディ」も音楽が単独で有名となった映画です。作曲はミシェル・マーニュです。粋なジャズが軽快で、スリリングな雰囲気が映画のイメージとぴったり合った名曲といえます。ストーリーは、老齢なギャングと駆け出しの青年が銀行強盗を企てるという話。名優ジャン・ギャバンの渋い演技とアラン・ドロンの美形が「いい感じ」を出している映画です。
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シェルブールの雨傘 1964年
フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーヴの若く美しい頃の名作です。全シーンのせりふは「歌」ですから、ミュージカルが苦手であれば全編見ることは難しいかもしれません。しかし、一部の曲が有名になりヒットしました。
ブロンドの美女と雨傘、ソプラノのフランス語の美しい歌声、「ジュ・テーム」(愛しています)のフレーズが繰り返され、美しいメロディはたちまち世界中にヒットしました。音楽は、フランスを代表する作曲家「ミッシェル・ルグラン」です。1961年の「思い出の夏」などでもすばらしい音楽を作曲しています。
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男と女 1966年
フランスを代表する作曲家、フランシス・レイが担当した「男と女」の映画音楽は、斬新なリズムと歌詞でたいへん個性的です。1度聴くと忘れられないメロディは思わず口ずさみたくなります。軽快な明るい曲で、映画のストーリーも男女の真面目な恋愛を描いています。ストーリーは、お互いにパートナーを亡くした子持ちの男女が列車で出会い恋をするのですが、亡くなったパートナーも忘れられず苦悩するという話です。
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冒険者たち 1967年
フランスの名優アラン・ドロンは60年代以降映画に多数出演しました。「冒険者たち」の音楽は、この時代を象徴する「エレキギター」「電子楽器」、口笛、アランドロンの歌声なども入れ、変化に富んだ軽快な音楽です。音楽担当は、フランソワ・ド・ルーべです。「さむらい」「さらば友よ」など多数のフランス映画の音楽を書いています。
「冒険者たち」のストーリーは、海に沈んだ船の財宝を発見した男ふたりと女ひとりが、大金持ちになるという夢が叶うと大喜びするのですが…。悲哀に満ちたエンディングと、海の中の古城なども印象に残る名作です。
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パリのめぐり逢い 1967年
フランスの名作曲家フランシス・レイが音楽を担当しています。イタリア出身でシャンソン歌手のイブ・モンタンが主役をしています。フランシス・レイらしい「これぞフランス」を感じさせる粋な音楽が映えた映画でした。中年の「チョイ悪おやじ」の印象のイブ・モンタンがカッコ良くトレンチコートを着こなしています。
そして、ストーリーもモンタンの印象そのままに浮気性の男の話です。中年の夫婦に訪れたマンネリの危機を描いています。モンタンの浮気、別居、不倫相手との同居と破局、そして都合よく妻の元に戻りたいと考えるのですが…。深刻な重く悲しい音楽と軽快な音楽との対比が素晴らしい作品です。
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古き良き時代のフランス映画
いかがでしたでしょうか。50年前のフランス映画は、どれも美しく個性豊かな音楽がいっぱいでした。ストーリーは単純で明快、悲劇も喜劇もすっきりとした美しさがあったように感じます。無理やりに観客を引き込ませるのではなく、自然に引き込まれていく魅力に溢れていたと思うのです。
そこには映画音楽という特殊な世界があり、美しい音楽が映画を輝かせていたという理由があるのではないでしょうか。どうぞ古き良きフランス映画の世界を1度覗いてみてください。ホッとする暖かさを感じると思います。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。