壮大で悲哀に満ちた音楽がたまらない!ジョン・バリーの映画音楽
ジョン・バリーは映画音楽を数多く手がけた作曲家です。代表作は007シリーズがありますがアカデミー賞4度、ゴールデングローブ賞、グラミー賞など輝かしい受賞経歴の持ち主です。温かみのある音楽は、映画を生き生きと魅力的にみせるだけではなく単独で聴いても感動します。すばらしい5作品をどうぞご覧下さい。
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哀愁の音楽
出典:pixabay.com
ジョン・バリーは1933年にイギリスに生まれています。父親が映画館経営、母親がピアニストという環境から、まさに生まれながらにして職業が決まっていたようなものかもしれません。イギリスの音楽学校で作曲の基本を学んだということですがすぐに退学し、自力で作曲について学びながら仕事をしていたようです。
その音楽のセンスの良さは徐々に認められ、やがて大きな仕事へとつながっていきました。彼の映画音楽家としての才能は、アカデミー賞4つ、グラミー賞、ゴールデングローブ賞受賞、そしてノミネートも数多いことからもわかります。
日本の映画音楽の作曲家である富田勲もジョン・バリーを尊敬し、作曲する上で意識していたそうです。「ジャングル大帝」の音楽にジョン・バリーとの共通点を多数みつけることができます。ジョン・バリーの音楽は、温かくじわじわと心に沁みこんでくるような「哀愁の音楽」を感じます。彼の音楽の良さが伝わる作品を5作、どうぞご覧下さい。
野生のエルザ 1966年
1966年の「野生のエルザ」は実際にあった話で、アフリカのケニアで狩猟管理の仕事に従事していたジョイ・アダムソン夫妻が書いた話を元に映画化されました。親を失った子ライオンを愛情深く育て、野性に返すための苦闘の様子を悲喜入り混じった物語として感動的に描いています。
アフリカの大自然とライオンのエルザがアダムソン夫妻に示す愛情が涙を誘い、世界的に大ヒットとなりました。主題歌「ボーン・フリー」の音楽が、中でも一番の人気となり現在もテレビなどで単独でよく使用されています。
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007は二度死ぬ 1967年
ジョン・バリーの名前を一躍有名にした映画が007ジェイムズ・ボンドシリーズです。最初の「007 ドクター・ノオ」の原曲は別の人ですが、その編曲とそれ以降をジョン・バリーが担当しています。それぞれのシリーズの映画最初部分の歌曲は違う場合がありますが、映画の本編部分はジョン・バリーです。
この007シリーズは現在も続いており、年数では最長の映画として知られています。スパイ映画ですから軽快でスピード感がなければなりませんが、ジョン・バリーの音楽の良いところは「哀愁漂う美しさ」があることではないでしょうか。1962年から1987年まで作曲していますが、古いスパイ映画も当時なりの魅力がありますので、ぜひご覧になって下さい。
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冬のライオン 1968年
「冬のライオン」とはイギリスのヘンリー二世のことで、時代は1183年です。この頃はイングランドはフランスに領土を持っており、ヘンリー二世はシノン城を居城としていました。王と政略結婚した妻、王子たちなど権力と陰謀と策略を描いた作品です。名女優のキャサリン・ヘップバーンが好演しています。音楽は、王族のストーリーに合わせ壮大なイメージで、バロック風な教会音楽を感じさせる部分や人生の悲哀を感じるところもあります。アカデミー賞受賞曲です。
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真夜中のカウボーイ 1970年
「真夜中のカウボーイ」は作品自体はアカデミー賞を受賞していますが、音楽はグラミー賞を受賞しています。ストーリーは、西部の田舎からニューヨークの大都会に出てきたカウボーイが、ジゴロ生活(お金持ちの女性をパトロンにする)をしながら将来のない「その日暮らし」をしています。その中である男と知り合い、友情を深めていくのですが…。
アメリカの名優ダスティン・ホフマンが素晴らしい演技を見せました。音楽は、西部のカントリーミュージックをイメージし、ハーモニカの音が哀愁を帯び大ヒットしています。ここでもジョン・バリーの「悲哀の音楽」がしみじみとさせ、映画自体の質を上げることに成功しました。
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愛と哀しみの果て 1985年
「愛と哀しみの果て」は、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞の二つを受賞するという快挙となりました。壮大な自然のアフリカが舞台という映画の音楽は、まさにジョン・バリーの「十八番」といった風情を感じます。野生のエルザとの共通点もあり、音楽は同様の雰囲気となりました。しかし、ひとりの女性に起こった人生の悲劇を淡々と「予感的」に描いており、ジョン・バリーの持つ「悲哀を感じる音楽」の上手な手法がぴったりと当てはまっています。
ストーリーは、デンマークの女性が夫とアフリカにやってきてコーヒー農場を始めることから始まります。夫と別れ、女性でありながら農場経営をがんばり、成功するかのように見えたのですが…。恋人役にアメリカ随一のイケメン俳優ロバート・レッドフォード、主役に名女優メリル・ストリープが好演し、「風と共に去りぬ」のような壮大な映画となりました。
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クラシック音楽を思わせるジョン・バリーの曲
いかがでしたでしょうか。ジョン・バリーの音楽は、どこかほっとする温かみと人生の哀しみが入り混じり、じんわりとした感動を呼びます。彼は2011年に亡くなっていますが、映画音楽の作曲家として数多い作品を残しました。いずれも「聴くとすぐに彼だ」とわかるような「語法」のようなものがあり、ゆるやかなテンポで優しく語りかけてきます。
「まさに人生の悲喜こもごもを音楽で表現している」というのは、「クラシック音楽の大曲に匹敵する内容」と言ってしまうと大げさかもしれません。しかし、ジョン・バリーの曲は涙を誘う何かがあることに変わりはありません。どうぞご興味を持った方は、ご紹介しました映画を1度ご覧下さい。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。