オールマイティの天才 レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作品
ルネサンスの天才といえばレオナルド・ダ・ヴィンチ。モナリザや最後の晩餐といった名作を手がけたことで有名ですが、それ以外にも人体図や飛行機の原型にチャレンジしました。そんな天才の作品を見ていきましょう。
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自然の観察に基づいた科学的なアプローチ
天才と呼ばれる人は歴史上たくさんいますが、レオナルド・ダ・ヴィンチが特徴的なのはその才能が多岐に渡ること。絵画はもちろん、人体図、兵器の設計、そして飛行機のアイディアまで様々なものにチャレンジしました。その原動力となったのは自然への飽くなき探求です。ダ・ヴィンチの絵がそれまでと一線を画すのはこの徹底的な自然の観察に基づきます。数多くある有名作の中から厳選して彼の作品を見ていきましょう。
謎の微笑が人々を魅了し続ける「モナリザ」
出典:pixabay.com
世界に無数にある中で一番有名な絵画と言えるのがレナルド作「モナリザ」です。所蔵するパリのルーブル美術館ではこの前に長蛇の列ができています。女性が座ってただ微笑んでいるこの絵画は多くの人々を魅了してきました。真ん中に座る女性は大地母神を表すと言われたり、レオナルドの自画像だなどとも言われます。美術学者の若桑みどり氏によると背景の岩や川には死と再生の意味が込められているそうです。そんな謎が隠されているところが魅力なのかもしれません。
完璧な遠近法を利用してドラマを作り上げた「最後の晩餐」
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トム・ハンクス主演の映画で有名になった「最後の晩餐」。この絵の最大の魅力は人間のドラマが描かれているところです。映画でもイエスとその隣にいるヨハネの関係が大きく取り上げられましたが、それだけでなく裏切り者のユダがぱっと見ただけではわからないように描かれているところもこの絵の特徴。そんな人間ドラマを盛り上げているのが完璧な遠近法です。消失点をイエスに置き、緊張感を出しているのがレオナルドの才能を表しています。
レオナルドの自負と依頼主の意向で生まれた2枚の「岩窟の聖母」
世界の名作を数多く所蔵することで知られるパリのルーブル美術館とロンドンのナショナル・ギャラリー。この2つの美術館にレオナルドの手によるそっくりの作品「岩窟の聖母」があります。ルーブル美術館の作品の特徴はイエスにもマリアにも光輪がないこと。レオナルドが自身の思想に基づいて描きました。しかし依頼主はキリスト教会。光輪を描き入れないと受け付けてもらえずレオナルドが製作し直したのがロンドンの作品です。ぜひ見比べてレオナルドの精神を感じてみてください。
師の筆を折る原因となったレオナルド初期の作品「キリストの洗礼」
14歳で画家の工房に入ったレオナルド。彼の師はヴェロッキオといって当時フィレンツェで最も売れっ子の芸術家でした。そのヴェロッキオが「キリストの洗礼」を描いた時に弟子のレオナルドに天使の絵と背景画を任せます。その出来栄えを見たヴェロッキオは自分の才能の限界を知り絵筆を折ったという伝説が残っています。左端の天使がレオナルドの手によるもの。スフマートという線を描かないで輪郭を描く技法が使われています。
調和のとれたプロポーションを研究し尽くした「ウィトルウィウス的人体図」
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前述の天使でレオナルドが美しい天使を描くことができたのは、人体に対して科学的に観察していたからです。それをよく表しているのがこちらの作品。円形の中に人体が配置されており、完璧なプロポーションとは何かという説明が記載されています。画家であると同時に科学者だったレオナルドの才能がしっかり出ている作品です。
作品に共通する彼独自の思想とテクニックを楽しんで
どの作品にも共通するのがレオナルドが決して譲らなかった彼独自の思想です。未完が多いことでもよく知られるレオナルド。天才だからこそ知っている完璧な世界を実現するのにこだわりました。そんな彼のこだわりと他の追従を許さないテクニックを味わってください。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。