街の中でアートに出会える!パブリックアートの都内おすすめスポット5選
美術館で見る芸術品に比べると、スケールが大きくユニークなものが多いパブリックアート。ふと足を止めて見入ってしまうパブリックアートが集中している、都内のおすすめスポットをご紹介します。
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街の息遣いを反映するパブリックアート
美術館やギャラリーではなく、広場や街路などの公共の場に置かれる芸術作品を、「パブリックアート」と呼びます。屋内で見る絵画や彫刻などに比べるとスケールが大きく、街を行き交う人々の活気やその土地のもつ特徴を反映するような作品が多いのが魅力です。季節や昼夜によって作品のイメージが変わったりと、街の息遣いが感じられるパブリックアート。誰もが一度は目にしたことのある有名なものでも、作品やアーティストの名前や意味を知ると、新しい視点で見ることもできます。東京にはそんなパブリックアートが集中しているエリアが何か所かあります。その中でおすすめのスポットと代表作をご紹介します。
六本木ヒルズ
2003年に完成した六本木ヒルズ森タワーを中心とした港区六本木6丁目築の再開発エリアには、森美術館監修品と槇文彦氏選定の、合わせて9つのパブリックアートがあります。六本木ヒルズの中央広場である66プラザで一際目立つのが、ルイーズ・ブルジョア氏による高さ10メートルを超える巨大なクモ「ママン」。全国および世界中から人の集まり情報を紡ぐ場となる六本木を象徴する彫刻です。また、美しさや愛のシンボルとして聳え建つイザ・ゲンツケンの巨大な「薔薇」、宮島達夫氏によるデジタル数字のアート「カウンター・ヴォイド」など特色のあるパブリックアート作品が見られます。
住所: 東京都港区六本木6丁目11
アクセス: 東京メトロ 日比谷線「六本木駅」直結
公式サイト: http://www.roppongihills.com/facilities/publicart_design/
東京ミッドタウン
港区赤坂にある東京ミッドタウンもパブリックアートが多く見られるおすすめスポットです。清水敏男とジャン・ユベール・マルタンの二人をアートディレクターとし、国内外のアーティストによる作品をプロデュースしています。ぜひ見ておきたいのは、東京芸術大学大学院を卒業後、イタリアに学んだ彫刻家・安田侃氏による「意心帰」と「妙夢」の2作品。ミッドタウンウェストとイーストの間のプラザの一階と地下一階に置かれた両作品は、地上と地下で共鳴し合うようにプラザを行き交う人々を見守っています。またイギリス・リバプール出身の彫刻家トニー・クラッグによるファナティックスも見ておきたい作品。ステンレスの楕円形が折り重なる幾何学的なデザインで、見る角度によって人の横顔が浮き上がります。
住所: 東京都港区赤坂9−7−1
アクセス: 東京メトロ 日比谷線「六本木駅」、都営地下鉄大江戸線「六本木駅」直結
公式サイト: http://www.tokyo-midtown.com/jp/design-art/artwork/
新宿アイランドタワー
1995年竣工の地上44階地下4階建ての高層ビル、新宿アイランドタワー。タワーの前庭や周囲には10人の作家による14点のパブリックアートが置かれています。中でもロバート・インディアナ氏による「LOVE」は、多くのドラマや映画にも登場しており、誰でもきっと一度は見たことがある有名な作品です。アメリカンポップアートの代表的な画家ロイ・リキテンスタインの彫刻「Tokyo Brushstroke I&II」や、広場のプールに浮かぶ、イタリアの芸術家ルチアーノ・ファブロによる「PASSI」やジュゼッペ・ペノーネの「爪と大理石」も見逃せません。
住所: 東京都新宿区 西新宿6−5−1
アクセス: 東京メトロ丸の内線「西新宿駅」より徒歩30秒、JR新宿駅西口より徒歩10分
公式サイト: http://www.shinjuku-i-land.com/public_art.html
フォーレ立川
JR立川駅北口の米軍基地跡地を再開発して、1994年に誕生したフォーレ立川。基地の街から文化の街へというイメージ戦略から、世界中の92人のアーティストの109点ものアートが街を彩るパブリックアートの宝庫です。アート作品の多くは車止め、ベンチ、換気口といった機能も兼ねたもの。特に見逃したくないのは、アメリカの現代アート作家ジョナサン・ボロフスキーによる「ブリーフケースを持つ男」。ビルの片隅に立つ帽子を被りブリーフケースを持つ鉄の労働者の姿は、フォーレ立川のビジネス地区で働く人の姿も反映しています。他にも、シンガポール出身のタン・ダ・ウによる「最後の買い物」と名づけられた巨大な買い物かご、夜のビルの壁をやさしく輝かせるスティーヴン・アントナコスによるネオンのアート作品など、個性的な作品が街中に溢れています。週末に丸一日かけてゆっくりと散策したいエリアです。
アクセス: JR立川駅北口
公式サイト: http://www.tachikawa-chiikibunka.or.jp/faretart/art/
都営大江戸線
1991年に開業した都営地下鉄大江戸線の駅には、個性豊かなパブリックアートが設置されています。六本木駅の「PRIMAL BEAT」(徳永雅之氏作)は五線譜の上に、音符、楽器、踊る人などが散りばめられた躍動感にあふれる作品です。牛込神楽坂駅の「SAND PLAY 0050」(金昌永作)は、砂をかき集めたように見えるトリックアート。また、飯田橋駅はコンコースから続く階段に鮮やかな緑色のウェブフレームという骨組みが設けられており、無機質な壁に植物の弦や根が這うかのようなメリハリのある空間に作り上げています。同じく飯田橋駅のC3出入口の換気塔は、木立ちをイメージしたオーガニックなデザインで、ウェブフレームと合わせると地下から根を生やし弦を伸ばした植物が地上に葉を広げているかのような印象を与えます。
パブリックアートを探しに街を散策
パブリックアートが集まった東京都内でおすすめのスポットをご紹介しました。街をバックグラウンドにしたパブリックアートは、枠のないのびのびとした空間の中でアーティストの自由な発想が生かされ、無機質になりがちな都市の風景に命を与えてくれます。休みの日にはパブリックアートを探しに、街を歩いてみるのはいかがでしょうか。
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この記事のライター
東京出身。興味があるのは建築&インテリア。