1963年から開催!イギリスのリーズ国際ピアノコンクールの覇者たち
リーズ国際ピアノコンクールは、イギリスのリーズで1963年開始以降三年ごとに開催されています。開催当初は厳しい審査があったようで、名ピアニストを輩出しました。今回は1963年から1975年までの優勝者を5人ご紹介いたします。
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1960年代は名ピアニストが多数誕生
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リーズ国際ピアノコンクールは、1963年に第一回が開催されその後3年おきに開かれています。この時期は第二次世界大戦が終わり、世界経済は絶好調で平和に浮かれている時代です。ピアノは豊かさの象徴で、ロシアやアメリカはもちろんのこと、日本も空前のピアノブームでした。
そして、すでに名ピアニストが誕生し始めていた頃で、ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクール、エリザベート王妃コンクールなども、大ピアニストを多数輩出しました。イギリスのリーズ国際ピアノコンクールは少し遅れて出発しましたが、名ピアニストを誕生させたコンクールです。1963年からのピアニスト5人の覇者をご紹介したいと思います。
1963年 1位 マイケル・ロール
1963年第一回の1位は1946年イギリス出身のマイケル・ロールです。彼は、リーズピアノコンクールの創設者でピアニストでもあるファニー・ウォーターマンに師事しました。つまり、創設者は自身の生徒を第一回の記念すべき1位に選出したということになります。ロールは受賞後イギリスを中心に演奏活動をしたあと、現在はドイツの音楽大学で後進の指導に尽力しているということです。
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1966年 1位 ラファエル・オロスコ
1966年の1位は1946年スペイン生まれのラファエル・オロスコです。彼は父親が音楽の仕事に従事しており、幼少から専門の教育を受ける幸運に恵まれていたようです。マドリード音楽院を始めとして、多くの優秀なピアニストに師事しコンクール受賞となりました。技巧的な曲を得意としており、リスト、ラフマニノフ、ファリャとシューベルトなどの録音があります。
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1969年 1位 ラドゥ・ルプー
1969年の1位は1945年ルーマニア出身のラドゥ・ルプーです。彼はモスクワ音楽院で名ピアニストであるスタニスラス・ネイガウスに師事しました。アメリカのヴァン・クライバーンコンクールで1966年の1位を獲得しています。クライバーンコンクールでの優勝は1年間の世界各地の演奏活動や指定されるレコード会社との契約があることで有名ですが、彼はそれを破棄したことは有名です。
その後リーズコンクールで1位を獲得し、イギリスを中心に演奏活動をしています。世界的なピアニストでありますが、容姿同様の個性的な演奏をするピアニストです。好みが分かれるピアニストであるかもしれません。シューマン、ベートーベン、シューベルト、ブラームスなどドイツの作曲家を得意としています。
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1972年 1位 マレイ・ペライア
1972年の1位は1947年ギリシャのユダヤ系アメリカ人のマレイ・ペライアです。アメリカで学び、巨匠ゼルキンの助手をつとめるなどしています。大ピアニストであるウラジミール・ホロヴィッツとの親交など名ピアニストとの交流も深いようです。
手の怪我から休養と演奏活動を繰り返していましたが、現在は復帰しているということです。得意な分野は、ドイツの作曲家でベートーベン、シューベルト、シューマン、ブラームスなどを中心に演奏しています。
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1975年 1位 ドミトリ・アレクセーエフ
1975年の1位獲得者は1947年ロシア出身のドミトリ・アレクセイエフです。彼は、ロシア最高の音楽校であるモスクワ音楽院で勉強した後、コンクール受賞となりました。世界中を演奏活動をしながら、幅広いレパートリーと確かな技術力で後進の指導にも力を注いでいます。フランスのエリーヌ・グリュモーやヴィルトゥオーソ(名人級)として有名なアルカディ・ヴォロドスを指導したことでも知られます。
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リーズ国際ピアノコンクールの不人気
このリーズ国際ピアノコンクールの創設者はファニー・ウォーターマンというピアニストです。この女性によりイギリスで最も有名なコンクールが創設された功績は大きいのですが、残念ながら年々コンクールの質が問われています。世界的なピアノコンクールは「ショパン」「チャイコフスキー」コンクールがあり、この二つのどちらかの優勝は格が違うといってもよいでしょう。
これらの覇者は世界的なピアニストとしてデビューが保証されたようなものです。ピアニストたちは、自信があればあるほどそちらへ行ってしまうでしょうし、審査員に対して少しでも不信感があればそのコンクールは避けてしまうでしょう。
このリーズ国際ピアノコンクールに関しても、ウォーターマンに対しての審査に関しての非難や不満が、出場者の質の低下として現れているというのです。入賞者には甚だ失礼なことではあるかもしれませんが、ミスタッチや技術レベルなどに関して揶揄する人もいます。ただ、今後のリーズコンクールは審査員を一掃するということですから、見守っていきたいものです。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。