ピケティ 「21世紀の資本」を易しく3分で理解しよう
今最も影響力があるといわれる経済学者トマ・ピケティ。
彼の書籍の「21世紀の資本」は2014年12月に初版発行され、アマゾンでは在庫切れになるほどの好調な売れ行きで、経済学書籍のベストセラー1位に長いこと輝いています。
今回はピケティを簡単に学んでみましょう。
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トマ・ピケティとは?
ピケティ(1971年~)は22歳で博士号を取得(格差の数理モデル)し、1993年~1995年にMITで助教授として招聘されるほどの秀才です。
その後フランスに帰国し、フランス国立科学研究センターで研究、パリ経済学校の設立に関与しつつ、格差の研究を行ってきた人物です。
21世紀の資本でピケティが行ったこと
ピケティが「21世紀の資本」において明らかにしているのは彼の研究テーマである格差の歴史。
今まで過去統計データが不十分であったという理由からあまり分析されてこなかった所得格差について、世界各国の税務データをもとに紐解いたものが「21世紀の資本」です。
欧米諸国を中心にマクロデータを10年以上かけてあつめ分析しているため、ボリュームのすごい本となっています。
(後述するクズネッツという経済学者は20世紀前半(戦争やそもそも成長率の高い時代)のデータを分析していたが、それをさらに拡大して分析したのがピケティ)
資本主義の根本的矛盾 r > g
r:資本収益率、g:国民所得の成長率 です。
【新古典派】
ロバートソローが主張し、クズネッツが統計的に実証した経済学の理論である新古典派成長理論では、資本収益率が所得成長率を超過する状態が生じると投資が拡大し自然と資本収益率は落ち着き低減してくると考えられてきました。そのため、長期的にはr=gとなり経済格差は縮小するというのが定説でした。
【ピケティ】
「21世紀の資本」でまとめた分析の結果は新古典派の考えを覆し、r>gの状態は長期継続し、今後も格差は拡大すると論じたのです。また、実際にはr>gが問題ではなく、その所有が一部に偏っていることが格差拡大の理由としています。(この偏りから労働者は貧窮するという考えはマルクス資本論的です。)
すなわち、r>gの状態において、相続などにより多額の資本を持つ"一部"の資本家はその資本収益を再投資し資本蓄積を行う。資本を持たないものはこれができない
→格差発生という構造です。
この当たり前のような考えですが、新古典派を覆すという点で経済学的には目新しさがあるのです。
ではなにをすべきか?
ピケティはr>gの状態が格差発生の一因と考えているため、これに対するアプローチとして
rに対する課税、すなわち「グローバル累進資本課税」を唱えています。
これによりrを引き下げるという狙いです。
但しグローバルで一律にすることで外国への資産移転による課税逃れを防止し、また累進制にすることで多く持つものが多く払うようにするというものです。
上記のアイデア以外にも以下があるとしています。
・経済成長によるgの底上げ
・教育によるgの底上げ
・インフレ
・相続税見直し
こうした取り組みは現状も実施されているものの、依然として格差是正策として機能するはずです。
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この記事のライター
日本一即戦力な公認会計士、を目指しています。大手監査法人⇒米国留学⇒経営コンサル公認会計士&TOEIC900超に加え、最近は経営能力など、知の経験値稼ぎに絶賛邁進中。様々知識を身につけるべく、読書とグルメめぐり(一流レストランからB級まで幅広く)が大好物