【読書の秋に読みたい】男目線で描かれる恋愛小説5選
読書の秋と言われる通り、夜が長くなるこの季節は読書にぴったりです。そんな中で今回は男性目線で書かれた恋愛小説を5冊紹介します。
- 14,595views
- B!
アイキャッチ画像出典:www.pakutaso.com
恋愛小説は男の特権だった?男目線の恋愛小説
出典:pixabay.com
秋も深まってくると夜が長くなり読書にぴったりの季節です。そんな時に広げたいのが小説。その中でも恋愛小説はいかがでしょうか。恋愛小説というと現代では女性の得意分野のように思われがちです。しかし過去何世紀もの間、恋愛は男性の手によって書かれてきました。男が女を求める様はいつの時代も同じです。一人の女を一途に思う姿もあれば数々の女に安らぎを求める姿もあり、男性の手によって描かれた人物像には自分を重ねてみるのもいいかもしれません。そんな恋愛に揺さぶられる男たちを描いた5冊を紹介します。
誠実であることは何かを問う「存在の耐えられない軽さ」
ダニエル・デイ=ルイスとジュリエット・ビノシュが共演した映画でも有名になった小説です。主人公のトマーシュは社会主義政策下のプラハで優秀な外科医として勤務しています。彼は100万分の1の差異を求めて次々に新しい女性とベッドを共にするのですが、そんな彼の元にある日テレーザという若い女性が転がり込んできます。全てを捨てて彼の元に来た彼女は彼に誠実さを求めます。しかしそんなテレーザにトマーシュは「ベッドを共にすることと朝まで一緒に過ごすことは別」と言ってのけます。そんな中で政治の変革運動「プラハの春」が勃発します。トマーシュの愛、テレーザの愛、相手を愛する気持ちと相手に何かを求める気持ち・・・政治の大きな動きを背景に、愛とは何かを問う作品です。
大事なものは目に見えないことを教えてくれる「星の王子さま」
飛行機が大好きで飛行士にまでなったアントワーヌ・サン=テグジュペリの名作です。1953年に日本語に翻訳されてから長い間児童文学として親しまれてきましたが、近年多くの翻訳本ができ大人が読みたい一冊として認識されるようになりました。サン=テグジュペリ本人が主役と思われる語り部の飛行士が砂漠で遭難した時に小さな男の子に出会うところからストーリーは始まります。その少年は小さな惑星から来た王子さまでした。そして彼は自分の星においてきた大事なバラのことを語ります。ワガママいっぱいに見えた彼女が本当は小さな王子さまを愛していて、王子さまもバラのことを愛していたのですが、それを知るのは彼が彼女の元を離れる時です。童心に返って本当に大事なものを見つめ直したくなる一冊です。
手に入らない女を愛し続けた「華麗なるギャツビー」
こちらも近年バズ・ラーマン監督によって美しい映像で映画化されて注目を浴びました。1920年代のニューヨーク。貧しい青年ギャツビーはアメリカ南部のお嬢様デイジーに恋をします。デイジーもギャツビーに惹かれるのですが、結局身分と経済力のある別の男の元に嫁ぎます。ギャツビーはデイジーの愛を取り戻そうと危ない橋も渡り、ニューヨークで毎晩パーティーを繰り広げ遊び好きのデイジーの訪れを待ちます。やっと訪れたデイジー。そして二人は愛を確かめ合うのですが・・・。作者フィッツジェラルドとその妻ゼルダを描いたとされるこの作品。狂乱の20年代を背景に、恋する男の切なさを味わえる一冊です。
愛する女性を51年9ヶ月と4日待ち続けた「コレラ時代の愛」
誰にでも初恋の甘酸っぱい思い出はあるもの。その初恋の人が結婚して他の男の妻となってもずっと待ち続けた男を描いたのが「コレラ時代の愛」です。主人公は17歳の貧しい青年。お互い愛を確かめ合うも彼が愛した少女は裕福な医者に嫁いでしまいます。しかし、それでも彼は諦めず彼女の夫が死を迎えるまで待ち続けるのです。その間彼は600人を超える女性と付き合うのですが、それでも彼女を思い続けて70歳を超える彼女を手に入れる姿には心を打たれるものがあります。作者のガブリエル・ガルシア=マルケスは南米コロンビアのノーベル賞作家。少し歪んでいてそれでいて本質を突いている、彼独特の世界観にぜひハマってください。
奔放に生きた男の真実の愛を描いた「知と愛」
学校のおすすめ読書に必ず挙げられていた「車輪の下」。少年の成長を描くこの作品を書いたヘルマン・ヘッセの後年の作品が「知と愛」です。舞台はドイツの寄宿舎。ここで学ぶ少年達は将来聖職者になるために学んでいます。新入生として入ってきたゴルトムントも聖職者を目指すのですが、先輩のナルチスに「君の中には情熱がある」と指摘され、その言葉通りに寄宿舎を出て放浪の生活に入ります。美しいゴルトムントは多くの女性と恋をするのですが、年老いて最後に先輩ナルチスの元に帰ります。そこで彼が彫った一体のマリア像を見てナルチスは、どんな誠実な男よりも誠実であったゴルトムントの愛を感じます。数々の女性を虜にした彼が誠実だったのはどんな女性に対してだったのか、気になる方はぜひ本を開いてみてください。
秋の夜長はセンチメンタルに
恋する男のロマンチシズムを描いた作品を5冊紹介しました。秋の夜長には少しセンチメンタルな雰囲気が似合うもの。ビジネス書を少し傍において、どっぷり男のロマンに浸ってみるのはいかがでしょうか?
この記事のキーワード
この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。