本編を超える!?目が釘づけの素晴らしき映画予告編10編

本編は見ていなくても、予告編は見た…という映画は多いのではないでしょうか。劇場やテレビ、ネットで目にする映画の予告編は、数十秒から数分という短い間にどれだけ作品を印象づけられるかという、映画の成功がかかった重要な役割を担っています。ここでは、本編以上に、あるいは本編同様に素晴らしかった、特筆すべき予告編10編をご紹介!

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本編成功の命運をかけ、本気を出して作った映画予告編が面白くないわけがない

「今度の休みは映画にでも行こうかな。でも、何を観よう……?」そんなとき、あなた何で作品を選びますか。出演俳優?興行収入ランキング?口コミ?それとも、予告編でしょうか。映画がヒットするかどうかの鍵となる映画予告編は、各映画会社が本気度を出して作ってきます。作品の醍醐味、セールスポイントを端的に表現する、ほんの数分の予告編は、本編がギュッと凝縮された濃厚な超短編版といっても過言ではないでしょう。本編が予告編以上の中身であれば大当たりですが、逆に、予告編ではあんなに面白そうに思えたのに…という予告編が上出来すぎた作品も存在します。
 ここでは、その絶妙な仕上がりに、つい本編を鑑賞したくなる注目の予告編10編を紹介します。上映済みの映画はネット配信かレンタルDVDでご覧になり、これから上映される映画は、ぜひ映画館に足を運んでください。映画予告編の世界、なかなか奥深いと思いませんか?

予告編は、人々にいかにインパクトを与えるかが勝負

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

これぞ予告編のお手本!おいしい場面てんこ盛りで観客の心を鷲掴み

冒頭から、イーサン・ハントのとんでもないミッションが開始され、観客の目はたちまち釘づけ! 息つく間もない展開、歯切れ良いテンポとカット割りの小気味良さは、予告編のお手本とも言えます。『ミッション:インポッシブル』シリーズは、どれも見ごたえがありますが、4作目となるこの『ローグ・ネイション』では、スタントマンが吹き替えていないトムの超絶アクションシーンが、予告編解禁同時に話題となりました。予告編でも、その本気度が伝わってきます。

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ他
あらすじ:国際的な陰謀に関わる謎の組織“シンジケート”を追っていたイーサン率いるスパイチーム“IMF”だったが、突如、解散を命じられてしまう。メンバーはバラバラになり、イーサンは単身でシンジケートを追っていたものの、囚われの身に。ところが彼の窮地を救ったのは、敵側のスパイと思われた美女イルサだった──。

1962年生まれのトム・クルーズは、本作公開時53歳。ありえない!

インセプション

折り畳まれ、崩壊していく世界。前代未聞の光景に誰もが面食らう

本作の予告編を映画館の大スクリーンで見た人なら、背景が折り畳まれて迫ってくるという、かつてない光景に度肝を抜かされたことでしょう。『ダークナイト』や『インターステラー』で知られる映画監督クリストファー・ノーランが、10年もの構想期間を経て実現したSFアクション『インセプション』は、「夢の中で夢を見ている」という多重構想の世界観で、予告編もスリリングかつ謎めいた内容でした。アカデミー賞作品賞、脚本賞、美術賞など8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、録音賞を受賞した、非常に評価の高い作品です。
 ノーランはアナログ撮影にこだわりを持っている監督で、予告編に出てくる無重力状態のようなアクションシーンもCGではなく、映像に登場するのと同じ空間を実際に作り出して撮影したというから驚きです。予告編を観た後に、リンク先のメイキングに関する記事を読めば、さらに興味が深まるでしょう。

『インセプション』(2010)
監督:クリトファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット他
あらすじ:ドミニク・コブとアーサーは、「引き出し人」と呼ばれる凄腕の産業スパイ。標的となる人物の無意識に入り込み、相手が夢を見ている最中に重要情報を引き出すのが、彼らの仕事だ。国際指名手配犯になってしまったコブだったが、あるとき、“インセプション”と呼ばれる不可能に近い仕事が舞い込んでくる──。

人の夢の世界に潜り込み、アイデアを盗む「引き出し人」のとてつもない仕事っぷりが、スタイリッシュな映像で描かれていく

映画「インセプション」の夢の中で天井と床が逆転するホテル内の戦闘シーンはどうやって撮影されたのか? - GIGAZINEGIGAZINE

シン・ゴジラ

庵野監督が編集した荘厳な予告編は音楽と映像だけで全てを物語る

庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』の予告編は、監督自らが編集したこだわりの作品。セリフや効果音はほとんどなく、重厚な音楽と映像だけで観客の琴線に触れる予告編を作り出しました。映画本編は、ゴジラそのもの以上に人間ドラマが色濃く描かれていましたが、予告編でも様々の人物の表情が映し出されていきます。BGM は混声コーラスを伴った重々しさの中に美しさが漂う音楽ですが、これが映画の緊迫感を一層引き立てる結果となっています。これらの予告編で、庵野版『ゴジラ』を観ようと決めた方も少なくないのではないでしょうか。
 またアメリカ版の予告編は、趣が少し違っており、「こう来たか!」と唸ってしまいます。日本版と比較してみると面白いです。

『シン・ゴジラ』(2016)
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ他
あらすじ:東京湾羽田沖で、突如、大量の水蒸気が噴出し、同時期に東京湾アクアラインの海底トンネル崩壊事故も発生。すぐさま総理のもと、各官僚が集められ、緊急会議が開かれるも、原因は地震か火山だという方向に話が進んでいた最中、巨大不明生物が海上に出現し、皆を唖然とさせるのであった。やがて巨大生物は都内に上陸。自衛隊が攻撃を開始するが、事態は思わぬ展開に──。

予告編第1弾

予告編第2弾

アメリカ版予告編

ブレア・ウィッチ・プロジェクト

世界を席巻! ホラー映画の常識を変えた超低予算映画

わずか6万ドルで作った超低予算のインディペンデント映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が、全米1億4000万ドル、世界2億4050万ドルの興行収入を叩き出して大ヒットしたのは、1999年のこと。本作は、手持ちカメラで撮影したPOV方式(主観ショット)モキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)映画の先駆けで、本作以降のホラー映画に大きな影響を与えました。まだスマホがなく、インターネットも今ほど便利ではなかった当時、恐怖を煽るけれど、詳細がわからない謎めいた予告編と、インターネットで情報を小出しにしていき、「もしや、これは実際にあった話なのか?」と人々の不安を煽って興味を引くやり方が成功した稀有な例でした。社会現象を巻き起こした本作は、関連書籍も複数出版され、テレビでも特集番組が放映されたほど。このような雰囲気の予告編、もしくは映画は現在では当たり前ですが、本作が元祖だと思うと、なかなか感慨深いものがあります。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)
監督:ダニエル・マイリック/エドゥアルド・サンチェス
出演:ヘザー・ドナヒュー、ジョシュア・レナード、マイケル・C・ウィリアムズ
あらすじ:1994年10月、伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」に関するドキュメタリー映画を撮影するため、モンゴメリー大学映画学科の3人の学生がメリーランド州のある森へと向かった。しかし、彼らは忽然と消息を絶ち、しばらく続いていた捜索もやがて打ち切りに。3人の失踪から1年後、森の中で彼らが撮影したとおぼしきフィルムとビデオが発見される。そこには想像を絶する恐怖体験が記録されていたのだった──。

どアップで映し出される女性の恐怖の表情。これが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の象徴的シーン

ゼロ・グラビティ

ゴールデン・トレーラー・アワードで最高賞を獲得した息をつかせぬ2分間

映画館の大スクリーンで観たときに、完全に映像に目も心も奪われ、自分が劇場にいることをわずかながらも忘れさせてくれる素晴らしい予告編と出会う瞬間があります。『ゼロ・グラビティ』の予告編は、まさにその一例。予告編があまりにも圧倒的で、劇場公開が非常に楽しみだったという人も多いのでは?それもそのはず、この予告編は、「ゴールデン・トレーラー・アワード」(GTA)という優秀な予告編に対する賞で、見事2014年のナンバー1に選ばれたものだったのです。
アルフォンソ・キュアロン監督の映し出す宇宙空間は実にリアルで、観客をすっかり映画に取り込み、サンドラ・ブロック分するヒロインの恐怖、緊張、絶望、希望を全て共有させてくれます。予告編は、本編のほんの一部分にすぎませんが、十分にその迫力に圧倒されることでしょう。日本語字幕付きの日本版と英語音声のみアメリカ版はほとんど同じですが、字幕のないアメリカ版では、さらに没入感が深まります。まずは日本語版でストーリーを把握し、アメリカ版をご覧になってみてください。

『ゼロ・グラビティ』(2013)
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー他
あらすじ:地上600km上空の宇宙空間。今回が初ミッションとなる女性エンジニアのストーン博士は、ベテランのコワルスキー宇宙飛行士とともにスペースシャトルの船外修理作業を行っていた。ところが、大量の宇宙ゴミが猛烈なスピードで襲来し、2人は宇宙空間へ投げ出されてしまう。漆黒の宇宙で互いをつなぐたった1本のロープ頼りに、彼らの決死のサバイバルが始まるのだった──。

日本語字幕付きの日本版予告編

2014年の第15回GTAのナンバー1に輝いた『ゼロ・グラビティ』アメリカ版予告編。字幕がないだけで、映像への没入感が倍増

LIFE!

あなたの背中を押してくれる映画の魅力あふれる6分間予告編

「なんとかしなきゃ」と思いつつ、新しいことに挑戦するのが億劫で、何年も同じような気持ちで毎日を過ごしてしまっているあなた。『LIFE!』は、思い切って最初の一歩を踏み出した男性が人生を変えていく様を面白おかしく、ときに切なく描き出す作品です。この映画を観たことで、自分もやってみようと奮い立った人がたくさんいることが、予告編がUPされたYouTubeのコメント欄からもわかります。あなたの背中をポンと押してくれる本作で、本当にいい仕事をしてくれた素敵な予告編がこちら。壮大なスケールのロードムービーながらも、人情味あふれる出会いの数々に胸が熱くなります!

『LIFE!』(2013)
監督:ベン・スティーラー
出演:ベン・スティーラー、クリスティン・ウィグ、ショーン・ペン他
あらすじ:アメリカの歴史ある雑誌『LIFE』の写真管理という地味な仕事をしているウォルターは、ごくごく平凡な男で単調な毎日を送っていた。ところが、現実世界ではほのかに想いを寄せる同僚の女性に声をかけることすらできないものの、彼の想像力(妄想力?)は半端なく、空想の世界ではどんな危険もかえりみない勇敢なヒーローとして大活躍するのだった。そんなある日、彼は『LIFE』誌の最終号にどうしても必要な写真を求め、世界中を飛び回る写真家ショーンを追う旅に出ることに──。

《人生が変わる》6分間予告編とありますが、観ると、人生を変えたくなります。そう、人生って変えられるんです、自分の力で!

ロボット

インド映画ブームを巻き起こしたあのラジニカーントがパワーを増強して再降臨!

1995年の『ムトゥ 踊るマハラジャ』で、日本にインド映画ブームを巻き起こした、インドのスーパースター、ラジニカーントが、今度はSFアクションで再びその魅力を炸裂させたのが、『ロボット』です。インド映画といえば、カラフルな衣装、派手派手の演出で展開される歌と踊り、大人数でも息がピッタリな魅惑のダンスシーンなどが印象的。ですが、この『ロボット』は、最新のVFX技術を駆使し、インド映画史上最高の製作費にして最大のヒットを成し遂げたインド映画史に残るアクション・エンターテイメント超大作なのです。どれだけ凄いのかは、予告編を観れば、一目瞭然。さすがはインド映画!とこちらを唸らせる、見どころがてんこ盛り状態の映像です。予告編だけでお腹いっぱいになりそうですが、ロボットが人間に恋をするという切ない展開から、どのように怒涛のラストにつながっていくのかは、ぜひとも本編で確認してください。

『ロボット』(2010)
監督:シャンカール
出演:ラジニカーント、アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン、ダニー・デンゾンバ
あらすじ:あらゆる点で人間に勝る能力を持つ、夢の高性能二足歩行型ロボット“チッティ”が、天才工学博士バシーによって開発された。人間側の命令に忠実なチッティだったが、人間の感情もプログラムされていたため、よりによって博士の恋人サナに恋をしてしまう。それが博士の怒りを買い、チッティは無情にも廃棄処分に。しかし、悪徳業者がチッティを回収し、最強最悪、極悪非道のターミネーターに改造。チッティの博士と人類に対する反撃が開始される──。

常に斜め上を行く展開で、観る者を(いい意味で)唖然とさせる大興奮のボリウッドSFアクション

クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦

かつてお決まりだった『クレしん』映画のノリノリ嘘っぱち予告編

予告編は、どれだけ観た人に映画の印象を焼きつけられるかという使命を背負っているため、ときには壮大なネタバレをちゃっかり混入させていたり、ラストシーンまで見せてしまっていることもあります。観客の方も「知らぬが仏」で、その事実は本編を鑑賞するまで気づきませんし、巧妙に作られたわずか2分程度の予告編のことなど忘れてしまっていることも少なくありません。とはいえ、予告編は基本的に、本編の凝縮版。おいしいところをかいつまんで紹介しているはず……ですが、中には、「あれ? 予告編にあったあのシーンがなかったぞ?」という展開になる映画も存在します。ひとつは、本編ではカットされてしまった部分を予告編で見せているパターン。もうひとつは、本編とは全く関係ないシーンで予告編を構成しているパターン。後者の映画で有名なのが、『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズです。
 2017年4月に公開された『クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』は映画版25作目で、最近では、そういった予告編は観られなくなりましたが、第5〜12作では、特報を手がけた演出家の意向で、本編と全く関係のないシーンのある予告編に人々が反応し、逆に話題となりました。顕著な例は、7作目の『爆発!温泉わくわく大決戦』で、予告編に出てくる「野原一家離散!」というシリアスな展開は本編には登場してきません。また、ファンの間で絶大な人気を誇り、カルト映画化している9作目の『嵐を呼ぶ! モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の予告編でもその傾向が見られました。
 「嘘予告」「予告詐欺」とも言われましたが、かなり強烈なインパクトを人々に植えつけ、その後も話題になったので、予告編としては成功だったのかもしれません。今では、すぐに炎上騒ぎが起きますが、当時は、より悠長に「これもしんちゃんのギャグの一部」と許容し、単純に嘘予告を楽しむ人々が多かったように思います。懐かしい予告編で、当時を思い出してみてはいかがでしょうか。

『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999)
監督:原恵一
声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治他
あらすじ:ふたば幼稚園の先生たちは、慰安旅行で埼玉県の秩父入りする。しかし、のんびり温泉につかっている際、彼女たちは巨大怪獣を目撃。一方、何者かに拉致された野原一家だったが、しんのすけたちを誘拐したのは、日本の温泉を守る秘密組織「温泉Gメン」だった。彼らは地球温暖化ならぬ地球温泉化計画を企てる悪の風呂嫌いテロ組織「YUZAME」の野望をくじくため、野原家に協力を求めるが──。

どこまでが本当でどこまでが嘘かは、本編を観てみないとわからない!

こちらも本編と関係ないシーンが詰め込まれていますが、これはこれで面白そうな、完成度が高い予告編。実際の映画とのギャップが今となってはたまりません

IT

再生回数で驚異的な新記録を樹立した怖すぎる予告編

予告編が本国アメリカで公開されるや否や、24時間で1億9700万回以上も再生され、予告編として歴代ナンバー1の記録を打ち立てたのは、スティーヴン・キングの小説が原作の映画『IT』(米国では2017年9月8日公開予定)。この数字は、昨年12月に公開された『ワイルド・スピード ICE BREAK』の予告編の1億3900万回、昨年11月にアップされた『美女と野獣』の1億2760万回を大きく超えており、「怖すぎる予告編」としてネット上でも大きな話題となりました。本作は1990年の映画『IT/イット』のリメイク版ですが、オリジナルよりも恐怖度がかなり増していると評判です。
 奇しくも欧米では昨年、不気味な“殺人ピエロ”が各地で出没し、人々を震え上がらせていたばかり。西洋人にとっては、ピエロは日本以上に“怖い”存在のようです。とはいえ、日本人とっても十分に恐ろしい予告編となっており、詳細は未定ですが、日本での公開が今から期待されます。

『IT』(原題/イット)(2017)
監督:アンディ・ムスキエティ
出演:ビル・スカルスガルド、フィン・ウォルフハード、ハビエル・ボテット他
あらすじ:メイン州デリーの街で、地元の子供たちが血痕だけを残し、忽然と姿を消してしまう事件が起きた。かつて不気味なピエロと遭遇し、「It」と呼んで恐れていた7人の少年たちは約30年ぶりに再会し、例の事件は“奴”の仕業に違いないと、ある約束を果たすことに──。

奇怪なピエロ、ペニー・ワイズの恐怖度は、1990年のオリジナル版より確実にUP

クリフハンガー

本編を超えた予告編の代表格!クラシック音楽とアクション映像だけで醍醐味を語り尽くす

予告編が映画本編を超えている作品の代表格と言えるのが、シルベスター・スタローン主演の山岳アクション『クリフハンガー』です。セリフを一斉排除し、クラシック音楽に合わせたカット割りで凄絶アクションシーンを連続で映し出す手法は、本作が公開された1993年当時では斬新でした。余計な語りや効果音がないことで逆に緊張感が高まり、かつ雪山の絶景が際立つ映像に仕上がっています。
 とはいえ、「予告編が本編より面白い」=「映画が駄作」というわけではありません。本作は、第46回カンヌ国際映画祭でプレミア上映されており、日本での配給収入は40億円を超え、1994年の公開作第1位に輝いています。さらに全世界での興収は2億5500万ドル以上! 当時のスタローン人気の凄まじさを物語っています。
 予告編では、映画本編のおいしいところを全て晒してしまったかのような怒涛のアクションが満載ですが、これを観せられたら、大いに期待して劇場に足を運ぶのも納得です。そういう点で、予告編の秀作と言えるでしょう。この頃はまだCG処理よりも生身のアクションが普通でしたから、本作も、実際に標高4000メートルのイタリア・ドロミテ山脈で撮影が敢行されています。その臨場感、迫力は、やはり本編を観ないと100%味わうことにはなりません。

『クリフハンガー』(1993)
監督:レニー・ハーレン
出演:シルベスター・スタローン、ジョン・リスゴー、マイケル・ルーカー他
あらすじ:ロッキー山脈で山岳救助の仕事に就いていたゲイブだったが、あるとき、彼の同僚のハルとその恋人サラを救出しなければならない事態に陥る。ところが、ゲイブはハルの目前でサラを死なせてしまい、それ以降ハルに憎まれるようになった彼は仕事を離れることに。その後、ゲイブが偶然、元恋人で同僚のジェシーに会うためロッキー山脈を訪ねたところ、国際犯罪組織が、強奪した1億ドルの現金をロッキー山中で紛失したようだとの連絡が入る──。

絶賛されているのは、こちらの海外版の予告編。本作は、アカデミー賞3部門(視覚効果賞、音響編集賞、録音賞)の候補になる傍ら、“最低”映画を決めるゴールデンラズベリー賞4部門にもノミネート!

制作スタッフ、映画会社の情熱が垣間見える奥深き予告編の世界

予告編は、映画本編の大切な“導入部”です。作品の存在を皆に知ってもらい、興味をもってもらい、劇場に観に来てもらうための、最も効果的な宣伝手段。映画スタッフや映画スタジオ、配給会社が力を注いだ予告編からは、作り手の作品に対する愛情や情熱も伝わってくるというわけです。今後は、劇場や家庭で何気なく予告編を眺めるだけでなく、ひとつの完結した作品としてじっくり鑑賞してみてください。
 最後に番外編として、かつて存在したテレビの「木曜洋画劇場」の映画の予告CM集を紹介します。“熱い”キャッチフレーズの数々は秀逸で、スタッフもノリノリで作っていたことがわかります。今観返しても、どの映画もキラキラ輝いて(ギラギラ脂ぎって)見えるほどで、まさに「予告編効果、恐るべし!」。スタッフのノリに乗っかって純粋に楽しみましょう。

かつてテレビ東京系列で放映されていた木曜洋画劇場。2009年3月に41年の歴史に幕を閉じました

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数々のミステリー、アクション小説、伝記本、映画雑誌のインタビュー記事、人気ゲーム関連の邦訳を手がけるキャリア20年の翻訳家。小学2年で読書の悦びに目覚めた本の虫で、読書と翻訳作業で培った知識は、映画、海外ドラマのショウビズ関係はもとより、生物学、医学から欧米の文化、政治、歴史、犯罪、銃器、ミリタリーなど広範囲に及ぶ。日々の生活で「一日一善、一日一爆笑、一日一感動」を心がけ、読者を笑顔にし、読み手の胸に染み入る文章を目指す。米国フロリダ州オーランド在住で、映画、海外ドラマ、アメリカンカルチャーなどの旬な情報も随時発信。

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