在住者が語るハンガリーで絶対におすすめの観光スポット15選
中央ヨーロッパに位置する小国、ハンガリーは他ヨーロッパ諸国とは異なる文化を持ち、アジアとヨーロッパが融合したような空気を感じさせます。マジャール人としての誇りや情熱を持ちながら、少し悲観的かつ哀愁を感じさせる人々、そしておいしいワインと温泉…。ハンガリーの持つ様々な魅力をご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:www.hankyu-travel.com
様々な魅力を持つ国・ハンガリー
ハンガリーに点在する地方都市や世界遺産、そこに至る道のりは首都・ブダペストの滞在だけでは得られない魅力を持っています。ヨーロッパ独特のそびえ立つ高いアパートと賑やかなショップ、歴史の深い建築で溢れるブダペストはもちろん、田舎の自然溢れる空気感を持つのどかで可愛らしい地方都市や世界遺産スポットはそれぞれ、どこも印象深い独自の魅力に溢れています。移動はハンガリーの鉄道「MÁV (マーヴ)」がおすすめ。平原の続く美しい車窓を眺めながら、ゆっくりと目的地へと連れて行ってくれます。
1・首都ブダペスト
「ドナウの真珠」の異名を持つハンガリーの首都・ブダペストは街の中心を雄大に流れるドナウ川両岸の景観が特に美しい街。日中はもちろんのこと、オレンジのガス灯がぽつぽつと灯り始め、空が深い青に染まり始める日没の頃を眺めれば、その異名がぴったりだと納得せざるを得ない美しさです。観光の目抜き通りは創業1858年のカフェ・ジェルボーのあるブルシュマルティ広場を起点としたヴァーツィ通り。観光客やお土産物屋、レストランなどで賑わいます。川の西岸は王宮地区で歴史あるマーチャーシュ教会や漁夫の砦など外せないスポットが多くあり、こちらから眺める東岸・ペストの夜景は素晴らしいものです。
また、荘厳な聖イシュトヴァーン教会、そのすぐ近くから東へ向かうアンドラーシ通りは美しい大通りで、オペラ座、様々なブランドショップやリスト音楽院のあるリスト広場を超えて、英雄広場まで続きます。
昼と夜で異なる顔を持つブダペスト、カフェやパブへと立ち寄りながらの散策をおすすめします。
2・ブダペスト近郊のかわいい街・センテンドレ
ブダペストから「Hév (ヘーヴ)」という電車で40分程北へ向かうと、センテンドレという小さな可愛らしい街があります。アクセスが良い為、ブダペストから足を延ばす旅行者も多く、日帰りに最適な街です。背の低いカラフルな建物が道なりに続き、美術館やレストラン、ハンガリー刺繍や食器などのお土産屋さんが立ち並び、訪れる人々を楽しませてくれます。ドナウ川岸でのんびりするのもおすすめ。小高い場所にある教会からは、その小さな街を一望できます。また、この街では「ラーンゴシュ」と呼ばれる揚げパンが是非おすすめ。直径20センチ程の揚げパンにガーリックとサワークリームを塗り、全面チーズで覆われたラーンゴシュは豪快な見た目ゆえ食べ切れないと思ってしまいますが、思わぬ美味しさでペロリと平らげてしまいます。帰りは電車ではなく、船でブダペストへ戻るのも気持ち良くおすすめです。
3・ドナウの曲がり角・ヴィシェグラード
ブダペストからバスで北へ1時間強程で、ヴィシェグラードへ到着します。中世に栄華を極めたヴィシェグラードは、現在街と呼べる程の街並みはありませんが、要塞から眺めるドナウのパノラマスポット目当てで多くの観光客が訪れます。
ドイツ、オーストリア、スロバキアを経てそれまで西から東へと流れていたドナウが、突如北から南へほぼ直角に向きを変え、ハンガリー国内を縦断し、セルビアへと続きます。現在博物館となっている要塞を登り続けると現れる、その「ドナウの曲がり角」のパノラマは美しく、雄大で圧巻です。
4・ハンガリーのキリスト教の総本山・エステルゴム
上にあげたセンテンドレ・ヴィシェグラードと共にドナウベンドのツアーで訪れるエステルゴムはハンガリー初代の国王戴冠の地であり、ハンガリーにおけるキリスト教の総本山の地でもあります。堂々たる風格でそびえ立つ大聖堂は大変立派で、内部には宝物館があり金銀細工や聖職者のマント、ミイラなど展示されています。ドーム型の展望台から見晴らす大パノラマは雄大で素晴らしいものです。
5・イースター祭りが有名な村・ホッロークー
ブダペストの北東100キロに位置するホッロークーは、中世期にモンゴル人から逃れてきたトルコ系クマン人の末裔である「パローツ人」の住む小さな村です。可愛らしく建ち並ぶパローツ様式の住居は現在126軒残り、そこに暮らす人々はアジア系の顔立ちで民族衣装を纏い、パローツ語を話し、独自の生活様式や伝統芸能を伝承しています。世界遺産登録されたこの村は日常の風景もとても美しいものですが、特にイースター祭りは有名で、ハンガリー各地や諸外国から大勢の人々が訪れ、イースターの催しを楽しみます。井戸のそばの山道を進むと城があり、ここからの田園風景も大変のどかで美しくおすすめです。
6・「雄牛の血」の名を持つワインの産地・エゲル
ハンガリー北東部に位置する高原の街・エゲルはワイン好きには堪らないおすすめスポットです。エゲルの見どころは大まかに分けると2つ。1つは「Egri Bikavér (エグリ・ビカヴェール)」(雄牛の血の意を持つ)と呼ばれるハンガリーを代表する赤ワインのワイン蔵が集まる「美女の谷」。こちらはエゲルの駅より30分程歩きますが、小さな窪地にワイン蔵が70以上も並び、一杯100円ほどであれこれテイスティングできます。ワイン蔵それぞれで味が異なるので、気に入ったものを見つけ、ボトルはもちろん、ペットボトルに入れて持ち帰る事もできます。
もう一つの見どころはエゲル城を中心とした旧市街。こじんまりとした可愛らしい街では散策と、城壁からの眺めが楽しめます。また、97段の階段を登るミナレット(尖塔)は40メートルの高さがあり、エゲルのシンボル的な存在。温かな赤茶の風景が美しいエゲルの景観を楽しむにはとても良いスポットです。
7・世界3大貴腐ワイン「トカイ・アスー」を産み出した街・トカイ
ハンガリー北東部、ブダペストより電車で2時間半強の距離に位置するトカイは、世界3大貴腐ワインである「トカイ・アスー」を産み出したのどかな街。ブドウ畑に囲まれたこの小さな街にはトカイ・アスーを作るワイン蔵が点在し、テイスティングが楽しめます。
琥珀色で甘い「トカイ・アスー」は、貴腐ブドウの含有量によって甘さが変わり、3から6の数字で表記。6が最も甘く、お値段も上がります。また、「エッセンシア」と呼ばれる最高級品質のものは、是非トカイの地でテイスティングをおすすめする絶品。お値段も大きく上がりますが、甘い中でも繊細かつ洗練された味と香りは素晴らしいものです。
8・中央ヨーロッパ最大の湖・バラトン湖
「ハンガリーの海」と呼ばれるバラトン湖は中央ヨーロッパ最大の面積を誇る湖。ハンガリー西部に細長く広がるこの湖の周辺にはいくつもの美しい街が点在しています。ベネディクト会の修道院が美しい「ティハニ」や最西端のリゾート地・「ケストヘイ」、温泉療養地「バラトンフレド」、磁器ブランドとして有名な「ヘレンド」などどちらも美しく、多くの人々が訪れます。ハンガリー人にとってバラトンは絶対的な夏のバカンス地。別荘を所有し、湖水浴を楽しみ、若者は夜な夜な街へ繰り出し、バカンスを大いに楽しみます。シーズンが終わり、閑散となる秋や冬は紅葉や静かに広がる湖面が水平線まで続き、それはそれで大変美しいものです
9・温泉湖でぷかぷか浮かぶ・ヘーヴィーズ
広大な温泉湖・ヘーヴィーズはバラトン湖きっての温泉療養地。ヨーロッパ全土より季節問わず多くの湯治客や観光客が訪れ、浮き輪を借りてぷかぷかと浮かびます。疲れたら芝生で寝転び、お腹が空いたら水着のまま外のカフェテラスでランチ、そしてまた浮かぶ…。湖面には蓮の花が浮かび場所によって温度が異なります。
夏は35度前後、冬場は26度前後に保たれるこの温泉湖、効能は幅広くリュウマチや関節炎、慢性の神経痛、婦人病などに良いとされています。敷地は広く宿泊施設もある為、湯治を目的とする人々が滞在し、クラシックのミニコンサートなども行われます。湯治目的でなくとも1日訪れ、なかなかできない温泉湖体験をしてみるのがおすすめです。
10・隣国スロバキアと繋がる鍾乳洞・アッグテレク
1995年にユネスコの世界遺産へ登録されたアッグテレクへはブダペストからの直行バス(4時間半程) が便利。712もの洞窟があり、なかでも全長25キロに及ぶ「バラドラ洞窟」はヨーロッパ最大で、一部分はスロバキアへ通じています。夏場でも洞窟内はひんやりと寒いのですが、入り口すぐ側のショップで防寒具を借りられます。靴は滑りにくいものが良いでしょう。
洞窟内部、長い期間を経て形づくられた不思議な奇岩の連なる光景は幻想的で美しく、大変神秘的です。岩場を利用したホールでミニコンサートが開かれる事もあり、音響効果は臨場感溢れる素晴らしいもの。
ブダペストからは少し離れますが、その神秘的な様子は必訪の価値があります。
11・オーストリアとの国境近い街・ショプロン
ブダペストから電車で2時間半程、オーストリアとの国境に程近い街・ショプロンは、ハンガリー西部を代表する観光地です。オスマントルコ軍の襲来を免れる事ができた為、ゴシック様式や初期バロック様式の歴史的建造物が連なり、中世の面影を感じる美しい街並みを今に残しています。
見どころは旧市街、「火の見塔」や天井画が見事な「山羊教会」、「シナゴーグ」など。山羊教会は山羊が掘り当てた埋蔵金によって建設されたと言われています。中央広場よりカフェ・食事を楽しみつつの散策がおすすめです。
12・世界遺産の修道院・パンノンハルマ
ハンガリー西部、トランスダヌービア地方の玄関口・ジュールからバスで南へ約30分程で夏場はラベンダーの咲き乱れるパンノンハルマの丘へと到着します。この丘にはハンガリー最古、1000年以上の歴史を誇る修道院がそびえ立ち、堂々たる風格で訪れる人々を魅了しています。ハンガリーベネディクト派の総本山であるこちら、見学はガイドツアーのみ。敷地内部の教会や天井のフレスコ画、ステンドグラス、約36万5千冊の蔵書を誇る美しい図書館など見ごたえがあります。その地のラベンダーから作られたオイルはお土産におすすめ。
13・ミシュコルツの洞窟温泉
ハンガリー東部最大の都市・ミシュコルツから南西4キロの距離に位置する街「ミシュコルツ・タポルツァ」にある洞窟温泉は近年日本の旅行バラエティー番組にも取り上げられ、観光客も多く訪れています。1936年に発見された洞窟温泉内部にはジェットバスや打たせ湯など様々な施設があり、神秘的なムード。また多くのハンガリーの温泉施設と同じ様に、屋外プールも用意されており、休憩やランチを楽しみつつ、1日楽しめます。
A miskolctapolcai Barlangfürdő Európában egyedülálló, hiszen karsztban ilyen magas hőfokú víz nem található másutt. A termalfurdo.hu által szervezett Az Év Fürdője közönségszavazáson a Miskolctapolca Barlangfürdő lett Az Év Fürdője 2016-ban.
14・パプリカと刺繍が有名な街・カロチャ
ハンガリー大平原南部に位置する小さな街・カロチャはハンガリー名産品であるパプリカと刺繍が有名です。ドナウ川とティサ川に挟まれた肥沃な土地ゆえ、ハンガリー料理の基本となるパプリカの生産量は国内トップを誇ります。また、お土産品としてまず1番に選ばれるハンガリー刺繍は各街や地方で絵柄や色使いが異なり、それぞれ個性がありどれも素敵ですが、ここカロチャのものは最高級品とされています。大変小さく素朴な街ですが、パプリカをふんだんに使ったハンガリー料理を楽しみつつ、パプリカ博物館などに足を伸ばしてみるのも中々おすすめです。
15・大平原プスタが広がる地・ホルトバージ
ハンガリーの大平原の中でも湿生植物や野鳥の多い事から国立公園に指定されているホルトバージは国土の3分の1を占める肥沃な大平原。伝統的な馬術ショーや馬車に乗ってのプスタ(大平原)ツアーが楽しめます。ツアーは近隣の都市・デブレツェンや現地ホルトバージにて申し込みが可能。様々な動物と触れ合ったり湿原の広がる自然を眺めていると、騎馬遊牧民族の遥かなる暮らしを感じられます。また、地平線まで続く雄大な大平原の西に刻々と沈む夕陽も大変素晴らしいものです。
進化し続けるブダペストと伝統残るのどかな地方都市
いかがでしたか。ハンガリー各地に点在する地方都市を巡れば、首都ブダペストだけでは得られる事のない体験や感じる事のない空気感を得られます。のどかで美しいそれらの街や世界遺産スポットを巡り、歴史に翻弄されつつも力強く生きてきたこの国を存分に満喫してみてください。