現役コンサルタントが教える20代で身につけたい論理的思考力(ロジカルシンキング)
経営コンサルタントの仕事をしていると、管理職になっても論理的思考力がないな、と思う方にちらほら出会います。それくらい論理的な思考力は意識的に訓練しなければ、なかなか身につけることが難しいものです。
今回は私が新人の方に指導する際にも用いている、20代~30代のうちに身につけたい論理的思考力の概要について解説します。
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論理的思考力ってなんだ?
論理的思考力とはなにか、以下はwikipediaからの引用です。
論理とは、思考の形式及び法則である。これに加えて、思考のつながり、推理の仕方や論証のつながりを指す。よく言われる「論理的に話す、書く」という言葉は、つながりを明確にし、論証を過不足なく行うということである
後半部分の「つながりを明確にし、論証を過不足なく行う」というのがまさに論理的思考法のことです。
噛み砕いていうと、なにか主張したいことがある場合にその理由を漏れなく被りなく明らかにすることです。その際に使われるのが後述する「ピラミッドストラクチャー」であり「MECE」です。
知っておくべき論拠説明方法2パターン
まず一般的に使われる論理的な思考方法の2パターンは知っておきましょう。
普段意識せずにやっていることですので難しい話ではないのですが、2パターンそれぞれで考える癖をつけるのはいいことだと思います。
また、後述のピラミッドを作る際には一般的には帰納法的な思考が使われているので帰納法は重要です。
帰納法
パターン①が帰納法です。
個別論証を積み上げることで一般的な規則法則や主張を正当化する思考方法です。
これは非常に使いやすい思考方法であり、一般的にはこちらを用いると思います。
但し、いわゆる絶対的真理ではなく確率・確度といった蓋然性にとどまることは覚えておきましょう。
<帰納法のよくある例>
カラスAは黒い
カラスBも黒い
カラスCも黒い
⇒(蓋然性の導出)カラスは黒い
※(真理)白いカラスもいるんですね。知りませんでした
演繹法
演繹法の場合には一般的真理から具体的な事象の結論を得ることとなります。
こちらは真理がスタートなので確率によりぶれることはないのですが、そもそも真理としている前提が間違っていることが多々あります。
<演繹法のよくある例>
人は皆死ぬ
⇒ソクラテスは人である
⇒ソクラテスは死ぬ
ピラミッドストラクチャー
出典:fk-plaza.jp
3段構造
論理的思考を行うときに最も大事なものがこのピラミッドストラクチャーです。
自分の論理を構造化する際に使います。
メインメッセージ(主張)が最上位に来て、それをサポートする論証がサブメッセージ、さらにそれをサポートする事実・観察が来るという構造です。2段構造でも4段構造でもいいのですが、2段では論理が弱く4段では複雑すぎるという点から3段構造で作ることが多いです。
「Why So」と「So What」でつなぐ
この際に各階層は「Why So」と「So What」でつなぐ必要があります。
「Why So」 ・・・上位階層の主張をなぜそう考えるか、を下位階層でサポートすること
「So What」・・・下位階層の事実からなにがいえるか考え、上位階層をサポートするために不足はないかか考えること
まずは「Why So」を重視してもいいと思います。
トヨタの大野耐一さんが唱えたなぜなぜ分析において「1つの課題に対して5回なぜを繰り返せ」というのがありますが、これは「Why So」を5回繰り返す、6段構造のピラミッドの先に解決すべき根本要因があるといっているわけです。
MECE
ピラミッドストラクチャーにおいて、論証を過不足なく行うために心がけるべきフレームワークがMECEです。(下図参照)
MECEはモレなくカブリなくという意味ですが、モレは検討が不十分ということでより重要性が高いのでまずはモレなく考えることが重要です。
カブることによって効率性及び一部の分析の筋が悪くなるという課題はありますが、モレよりは致命的ではないのが通常です。
MECE(ミーシーもしくはミッシー、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略)とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉である。 要するに「重複なく・漏れなく」という意味である
MECEは各階層間の検討のモレとカブリをなくすこと
仮説思考アプローチ
ピラミッドを作る際に、すべての情報を既に持っているという状況は少ないと思います。
その際にパワーを発揮するのが仮説思考アプローチです。
これはメインメッセージをサポートするためにはA・B・Cというサブメッセージが必要だな、と考えそれにあった分析や事実を集めて考えることです。すなわち、メインメッセージの「Why So」となりうるサブメッセージを自分なりに仮説建てし、さらにそのサブメッセージをサポートする事実を収集するのです。その結果、情報収集や分析を絞りを効かせて行うことができます。
この思考法はロジカルシンキングおよび作業効率性を高めるために極めて重要です。
(なお、メインメッセージに対応する課題が本当に解決すべき論点か、考えることが論点思考です。)
ファクトベースアプローチ
論理的思考のそもそもの原点になりますが、きちんとファクトベースで考えることが重要です。
例えば、日本の新車販売台数って昨年比どうなっているか知っていますか?
普通に考えると車は地産地消が進んでますし人口も減っているし昨年比減少、と考えるかもしれません。
でもファクトは2013年537万台⇒2014年556万台と約+3.5%増加しています。
こうしたファクトをきちんと積み上げる、ということは基本中の基本としてやらなければなりません。
自動車販売台数の場合にはデータがあるのでいいのですが、データ取得が困難な場合にはここが苦労するポイントです。
論理的思考力(ロジカルシンキング)は本を読んで実践しよう
論理的思考力を高めて問題解決力を高める本を下記で紹介しています。
今回記載した内容をより詳しく理解したい場合には是非読んでみてください。
どれも名著です
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この記事のライター
日本一即戦力な公認会計士、を目指しています。大手監査法人⇒米国留学⇒経営コンサル公認会計士&TOEIC900超に加え、最近は経営能力など、知の経験値稼ぎに絶賛邁進中。様々知識を身につけるべく、読書とグルメめぐり(一流レストランからB級まで幅広く)が大好物