4種類の有名な協奏曲・コンチェルトの名曲20選〜ピアノ協奏曲・ヴァイオリン協奏曲・その他〜

今回は協奏曲・コンチェルトの名曲についてご紹介いたします。協奏曲とはオーケストラで演奏される曲目の一種です。オーケストラと一つもしくは複数の楽器の独奏からなる楽曲です。今回はその協奏曲で有名な20曲をご紹介いたします。

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協奏曲・コンチェルトとは?

協奏曲とはオーケストラで演奏される曲目の一種です。オーケストラと一つもしくは複数の楽器の独奏からなる楽曲です。「コンチェルト」というのはイタリア語で協奏曲という意味です。現代の演奏会ですと、序曲→協奏曲→交響曲と演奏されることが多いですね。バロック時代では合奏協奏曲といって複数楽器の独奏によることが多かったのですが、時代が進むにつれて、単一の独奏楽器とオーケストラによる演奏が多くなっていきました。今回はそんなコンチェルト・協奏曲について、そしてその有名曲についてご紹介いたします。

ピアノ協奏曲

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調『皇帝』

『皇帝』はその名の通り堂々とした曲。でも実は、この『皇帝』というタイトルはベートーヴェン自身がつけたものではありません。この曲を聞いた人たちがその壮大さに感動してこう名づけたのかもしれませんね。ベートーヴェンはナポレオンへの賛同を示して交響曲『英雄』を書いているくらいですから(完成後、ナポレオン皇帝即位に激怒して『ある英雄の思い出のために』と書き換えたのですが…)この曲も自分の思い描く皇帝を描写したものなのかもしれません。

第一楽章:Allegro
いきなりのピアノ独奏。とてもよく知られているフレーズです。ピアノソロとオーケストラの儀式風のカデンツァがとても印象的です。内省的なピアノ協奏曲第4番とは全く異なる力強さが示されています。

第二楽章:Adagio un poco mosso
穏やかな曲調の第二楽章。変奏曲形式になっており、全体は3部から構成されています。

第三楽章: Rondo Allegro - Piu allegro
第二楽章からそのままなだれ込み、快活なリズムで始まります。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

ピョートル・チャイコフスキー作曲、ピアノ協奏曲第1番。クラシック好きならもはや興味の対象外となってしまうほどの有名曲。チャイコフスキーがこの曲を友人のルビーンシュタインに聞かせたところ、即座に酷評されたという話はよく知られているものです。彼はひどく傷つきながらもこの曲を完成させました。
この批判は、第一楽章が主調とは別の調から開始し、さらにその調には戻らないという大胆な構成からくるものなのですが、批判を受けたこの構成こそがこのコンチェルトの緊張感、不安感を高め、この曲の劇的な性格を生んだのです。

第一楽章:Allegro non troppo e molto maestoso- Allegro con spirito
この曲もよく知られたホルンのテーマから始まります。シンフォニックで壮麗です。

第二楽章:Andantino semplice -Prestissimo-Quasi Andante
簡潔な旋律の流れを特色あるロシア風の半音の諸関係で支えています。

第三楽章:Allegro con fuoco
ウクライナ民謡を第一主題としたロンド形式。ソナタ形式の応用も取り入れられています。

グリーグ:ピアノ協奏曲

エドヴァルド・グリーグは優れたピアニストでもあった19世紀半ばの作曲家です。数々のピアノ作品を作っていますが、その中でも特別な位置を占めるのがこのピアノ協奏曲。冒頭のフレーズはクラシック音楽をほとんど聞かないという方でもご存知なのではないでしょうか?このフレーズはノルウェー民俗音楽に特有のものなのですが、このフレーズだけでなく、この曲のいたるところにこのような民俗的フレーズがちりばめられていますね。

第一楽章:Allegro molto moderato
ティンパニのトリルに導かれてピアノが流れ落ちていくような冒頭のフレーズ。民俗的な主題が印象的です。

第二楽章:Adagio
穏やかな旋律と柔らかな管楽器の絡まりがとても美しい楽章です。終盤ではピアノが情熱的に歌い、だんだんと静かに終わりを迎えます。

第三楽章:Allegro moderato molto e marcato
第二楽章との切れ目なく始まる、前楽章とは打って変わった軽快で力強い三楽章。中間部の叙情的なフルートがとても印象的です。

ブラームス:ピアノ協奏曲第二番

ブラームスのピアノ協奏曲第二番は第一番が書かれた後22年後にかかれました。ピアノ協奏曲第一番よりもこの第二番の方が人気が高く、ブラームスの作品の中でも、交響曲第2番やヴァイオリン協奏曲と並んで有名な曲の一つです。ブラームスの曲は比較的暗い曲が多いですが、このピアノ協奏曲第二番は明るい基調で書かれています。協奏曲といえば、独奏部分であるカデンツァが目玉であったりもしますが、この曲にはそのようなカデンツァ的な部分はなく、ソリストの超絶技巧に焦点をおいたような曲ではありません。それにもかかわらず、この作品自体が難しい技巧をかなり要しており、ピアノ協奏曲というジャンルの中でもかなりの難曲として知られています。

第一楽章:Allegro non troppo、変ロ長調、ソナタ形式
第二楽章:Allegro appassionato(スケルツォ)、ニ短調、複合三部形式
第三楽章:Andante、変ロ長調、複合三部形式
第四楽章:Allegretto grazioso、変ロ長調、ロンド形式

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第二番

ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番は1901年に作曲されました。ラフマニノフはロシアのロマン派の作曲家で、協奏曲作家として有名です。ラフマニノフ自身も優れたピアニストであり、ピアノ曲については特に高く評価されて来ました。その中でも最も人気の高い曲の一つがこのピアノ協奏曲第二番であり、難曲としても知られています。第一楽章冒頭部の和音は一度に10度の間隔に手を広げなければならず、手の小さいピアニストでは演奏は不可能です。

第一楽章:Moderato ハ短調 2分の2拍子 自由なソナタ形式
第二楽章:Adagio sostenuto ホ長調 4分の4拍子 序奏付きの複合三部形式
第三楽章:Allegro scherzando ハ短調〜ハ長調 2分の2拍子

ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲

ラヴェルはピアノ協奏曲を二曲作曲しています。それがこの「左手のためのピアノ協奏曲」と次にご紹介する「ピアノ協奏曲」です。この曲は第一次世界大戦で右手を失ったピアニストであるパウル・ウィトゲンシュタインの依頼にって作曲されました。ラヴェルは、次に紹介するピアノ協奏曲ト長調と同時期にこの曲を作曲しています。ピアノ協奏曲と同様でジャズ的な要素も散りばめられ、可愛らしい一面も併せ持っています。複数の楽章は持っておらず、単一楽章で約18分ほどで演奏されます。

ラヴェル:ピアノ協奏曲

このラヴェルのピアノ協奏曲はラヴェルの最晩年の時期に作曲されました。ラヴェルの死の六年前のことです。のだめカンタービレなどで取り上げられた曲でもあり、お聞きしたことのある方も多いのではないでしょうか。左手のためのピアノ協奏曲と同様でジャズらしい表現が散りばめられています。『左手のためのピアノ協奏曲』が重厚さを持ち合わせているのに対して、こちらの曲はユーモアと可愛らしさが前面に出ています。

第一楽章:Allegramente
第二楽章:Adagio assai
第三楽章:Presto

ショパン:ピアノ協奏曲第一番

ショパンのピアノ協奏曲はショパンが作曲した二曲のピアノ協奏曲のうちの一つです。ピアノの独奏に対して、オーケストラがあまりにも伴奏に徹しており、その点に関して批判を受けることがあります。ピアノは一台でオーケストラの役割ができるというのはよく言われることですが、この協奏曲は二つのオーケストラ的存在が絡み合うのではなく、一つが表に出て、一つは裏に徹するというイメージでしょうか。
しかしながら、最も有名なピアノ協奏曲の一つであり、ショパン自身もこの曲を自信作だとみなしていたようです。作曲された当初もこの曲は大きな人気を博していました。

第一楽章: Allegro maestoso ホ短調 3/4拍子
第二楽章: Romanze, Larghetto ホ長調 4/4拍子
第三楽章: Rondo, Vivace ホ長調 2/4拍子

リスト:ピアノ協奏曲第一番

この曲はピアノ協奏曲『第一番』ですが、リストはこのピアノ協奏曲を作曲する前に二つのピアノ協奏曲を作曲しています。しかし、楽譜が紛失してしまったため、この協奏曲がピアノ協奏曲第一番として知られています。このリストのピアノ協奏曲は1830年代に作曲されました。超絶技巧曲として有名です。演奏時間は約18分とあまり長くはない曲ですが、四楽章で構成されています。

第一楽章:Allegro maestoso
第二楽章:Quasi adagio
第三楽章:Allegretto vivace - Allegro animato
第四楽章:Allegro marziale animato

シューマン:ピアノ協奏曲

シューマンといえばピアノの独奏曲や歌曲で有名ですが、ピアノ協奏曲はこの一曲しか書き上げていません。リストのピアノ協奏曲が作曲されたのとほぼ同時期の1838年にシューマンは「ピアノは私にとってあまりに窮屈になってきた」と語りました。その言葉通り、1838年前後に4つの交響曲を書き上げ、オーケストラの作品にも大きく力を入れるようになりました。このピアノ協奏曲は1845年に作曲されました。オーケストラを伴奏素養に用いたショパンとは異なり、ピアノがオーケストラの伴奏に回ったりするなど、ピアノを多面的に効果的に用いた曲となっています。

第一楽章:Allegro affettuoso
第二楽章: Intermezzo; Andante grazioso
第三楽章:Finale;Allegro vivace

ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェン・メンデルスゾーン・ブラームスの三大ヴァイオリン協奏曲に加えられて4大ヴァイオリン協奏曲とも言われることのある、ヴァイオリン協奏曲の名曲です。この協奏曲はニ長調で書かれていますが、これはヴァイオリンの特性を抑えています。ヴァイオリンはニ長調、ニ短調が『最も鳴る』と言われているからです。そのため、ニ長調・ニ短調で書かれているヴァイオリン協奏曲はこの曲の他にもかなりあり、ベートーヴェン、ラロ、シベリウスなどがこのニ調で協奏曲を書いています。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ブラームスのヴァイオリン協奏曲はブラームスが45歳の時に作曲されました。ブラームスはピアノよりも先にヴァイオリンを学んでいたため、その奏法についてはかなりの理解があったと推察できますが、ヴァイオリン協奏曲自体はこの曲しか書き上げられていません。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と並んで、三大ヴァイオリン協奏曲として知られています。この作品は様々な作曲家にも影響を与えており、シベリウスは、この曲を聞いて自らのヴァイオリン協奏曲を改定したと言われています。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は1806年に作曲されました。ベートーヴェンの中期を代表する傑作の一つと言われています。先ほどもご紹介した通り、この曲はブラームスのヴァイオリン協奏曲・メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と並んで、三大ヴァイオリン協奏曲として知られていますが、この曲の完成度はその二曲も寄せつけないほどであり、『ヴァイオリン協奏曲の王者』とも呼ばれています。特にこの曲の知名度を支えたのは19世紀を生きた天才ヴァイオリニストであるヨアヒム・ヨージェフであり、このベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を生涯演奏し続けました。

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は1844年に作曲されました。先ほどもご紹介した通り、この曲はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と並んで三大ヴァイオリン協奏曲として知られています。メンデルスゾーンの代表曲でもあり、この作曲された時期であるドイツ・ロマン派音楽を代表する名作です。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は実はもう一つあり、ニ短調のヴァイオリン協奏曲を作曲していますが、1951年に発見されるまでその存在が知られておらず、あまり知名度はありません。

シベリウス:ヴァイオリンコンチェルト

シベリウス作曲のヴァイオリンコンチェルトは、ヴァイオリンコンチェルトの中でもかなり難解な曲に類する楽曲です。シベリウスはヴァイオリニストを目指していた時期もあり、この曲を演奏するのは彼の憧れであったかもしれません。交響曲第2番が作曲された2年後に作曲されています。第一楽章の冒頭部分はとてもカッコイイですね!この冒頭部分をシベリウスは「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」とかたっていたそうです。

チェロ協奏曲

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、ドヴォルザークの作曲した数々の曲の中でも特に有名な曲であり、交響曲第9番『新世界より』と弦楽四重奏第12番『アメリカ』と並ぶ傑作の一つです。チェロ奏者にとっては重要なレパートリーの一つにもなっています。この曲はドヴォルザークがチェコへ帰国する直前の1894年に書かれた曲であり、『新世界』や『アメリカ』と同様に、ボヘミアの音楽や黒人の霊歌をクラシック音楽と見事に融和させています。競争医局としては異例なほど、オーケストラの活躍する曲になっています。

エルガー:チェロ協奏曲

エルガーのチェロ協奏曲は1918年に作曲されました。第一次世界大戦が終わった直後に作曲された曲です。エルガーはイギリスの作曲家であり、準男爵の地位を持っていた貴族でもありました。しかし、元々は貧しい家庭で育ち、ヴァイオリニストとして生計を立てながら作曲活動をしていました。

チェロ協奏曲は1919年にロンドン交響楽団により演奏され、その初演での評価はいいものではありませんでしたが、次第に正当な評価を得ていき、現在では、最も有名なチェロ協奏曲の一つとして知られています。協奏曲では三楽章構成が多いですがこの曲は四楽章構成になっています。

シューマン:チェロ協奏曲

シューマンの残した数少ない協奏曲のうちの一つである協奏曲がこのシューマンのチェロ協奏曲です。シューマンはこのチェロ協奏曲以外にピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の二曲しか作曲していません。実はこの協奏曲は、シューマンの生前には演奏されていませんでした。シューマンの死後の1860年に初演がされています。

その他の楽器の協奏曲

モーツァルト:オーボエ協奏曲

のだめカンタービレでも取り上げられていたこの曲。天に昇るようなオーボエの倍音の深い音が響き渡ります。CMなどでもよく使われている曲です。フルート協奏曲にも編曲されており、フルート奏者、オーボエ奏者にとっては定番の曲です。

モーツァルト:フルート協奏曲第二番

モーツァルトのフルート協奏曲第二番はモーツァルトのオーボエ協奏曲をフェルディナン・ド・ジャンが編曲したものです。オーボエ協奏曲の編曲ではありますが、フルート協奏曲の中では最も有名な曲であり、フルート奏者の重要なレパートリーの一つともなっています。

交響曲とも違う面白さのある協奏曲

いかがでしたでしょうか。協奏曲では、オーケストラで演奏される曲目の中でも、単一の楽器の魅力を十分に味わうことのできる曲です。様々な協奏曲を聞いてみて、お気に入りの一曲を探して見てください。

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クラシック音楽と文学と少々のお酒をこよなく愛する20代。現在は筋トレにハマりはじめている。慶應義塾大学在学中。

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