ビジネスエリートを目指すなら美術の教養は必須!世界を渡るための話題の書籍

数あるビジネス書の中で、最近よく目にするのが美術とビジネスをドッキングさせた書籍。ビジネスにおいて美術の教養が欠かせないツールとして注目されています。世界がボーダレス化した今だからこそ、美術史から国の成り立ちを理解し、底に流れるマインドを知ることが成功のカギ。専門だけない教養を身に着け人間力を高めるための導入書を紹介。

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ビジネスエリートに美術は当たり前の時代がやってきた!?

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「リーダーはアートを学ぶ」こんな文言が電車内を埋めていました。新たなビジネス界の常識になりつつあるようです。そんな風潮ができあがった背景には、美術を教養として身に着けることをうたった書籍の存在が上げられます。美術書コーナーではなくビジネス書コーナーで美術のテーマを扱う。あるいは新書という判形に変えて美術書コーナーとは違う新書コーナーに置く。

売り場を変えることで、これまでとは違う読者が目にし手にしたことで、ヒットにつながる。そんな美術の書籍を紹介します。


【1】『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』

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1‐1 美術は「見る」ものでなく「読む」もの

美術作品は「見る」のではなく「読む」もの。つまりは、絵の背景に込められた「政治・宗教・風習・価値観」を読み取って理解するものというコンセプトで書かれています。

1‐2 「歴史から学ぶビジネス」の延長線にある「美術史」

「歴史」を学びなおそうという流れは以前からもありました。「西洋美術史」を教養として身に着けるということは「世界史」の中の各国の文化の部分によりスポットあてること。「歴史から学ぼう」という流れの延長線上に位置していると考えられます。

1‐3 歴史の次に求められた「哲学」を美術史は含む

また「いかに生きるか」「人とは何か」という哲学的な追及も起こっていました。美術はそれにも答えてくれます。歴史のブームに、哲学の普及。そうした土壌が掘り起こされたところに「美術史を知らずして世界とは戦えない」というコピーは、水がしみこむように浸透しやすかったのだと思われます。

1‐4 専門性のある美術史を身につけることの差別化

「世界史」ではなく「美術史」を学ぶ。そこには特別感を伴う響きがあります。誰もが学んでいる「世界史」ではなく「美術史」は、美大などごく限られた専門領域で「象牙の塔」のような手の届かない印象がありました。

しかしこの本によって、限られた人たちのものだった「美術史」の入り口が、大きく広がりました。縁のなかった美術史を身近に感じさせ、学んでみようと思わせてくれたのです。

1‐5 美術史になじみのない人にアプローチ

美術史を過去に学んでいたり、美術鑑賞を通して独学している人には、物足りないかもしれません。でも多くの人は、美術史ってむずかしい、とっつきにくいと思っています。美術史になじみのない人たちにとって、なるほど納得のネタが満載。きっと本書の中から美術史が面白くなるきっかけがみつかるはず。さらにその知識が仕事にも生かせるというのですから一石二鳥です。

1‐6 ビジネスエリートへのパスポート? 世界をどう飛び回るかは個々の力

これを読んだら、なんとなくビジネスエリートの仲間入りができそう。教養人としての会話ができそう・・・・という幻想を抱かせてくれます。しかしあくまでこの本は、世界の文化、歴史を知るきっかけを与えてくれるパスポートです。

そのあとにどんな旅が待っているかは、ここで出会った教養をどう活用し、広げていけるかにかかっているのだと思います。まずはパスポートを手に入れてみてはいかがでしょうか?

【2】『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

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2‐1 「美意識」とは何か? 共感が殺到?

「美意識」とは何か。ビジネスエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか。漠然とした「美意識」というものを定義された上で語っています。反響も大きく、その反響の正体は「共感」だったのではと著者自身が語っています。

2‐2 ビジネスにおける美意識の重要性 実は気づいていた?

ビジネス書を見ていて「そうそう。それ思ってた」と感じることがあります。ぼんやりと感じていたことが、霧が晴れるようにクリアになった時、膝を打って共感します。「ビジネスに美意識が必要」ということは、もしかしたら、漠然と感じていた人は多かったのかもしれません。その部分を明確に言語化して示したことで多くの共感が広がりをもたらしたのでしょう。

2‐3 人の評判や価値判断で訪れる事が多い美術展

日本の美術館動員数は、世界2位。しかし自発的に訪れていることは少なく、ブームや評判に乗って鑑賞するケースが多いといいます。これは既存の価値を後追いしているようなもの。「自分がどう思うか」という評価をしているわけではないのです。

2‐4 自分の価値判断を提示できる大切さ

「美意識」とは、自分が好きなものを好きと自発的に言えること。美しいものを自分の価値判断で選べること。それがビジネスのさまざまな場面で、正しい判断力につながると語っています。

2‐5 リーダは自分の好き、内なる声を上げよう

リーダーは、自分の内側にある声を表にきちんと出す勇気が必要です。残念なことに日本は、空気を読むという教育がされ、表に出しにくい社会です。また多くの人が正しいと思う答えを選ぶようトレーニングされてしまいました。そのため、自分の感性や美意識で判断せず、より多くの人に受けることに主眼がおかれがちです。

本書では美意識や感性を、ビジネスに生かすための具体的な事例が紹介されています。

2‐6 美術だけが美意識を鍛えるのか?

昨今のトレンドは「美術」がビジネスの強力な助っ人であること。すると、美術だけにスポットをあて救世主のように語られることもあります。しかしそれは違うと感じていました。

美意識を鍛える入り口は、美術だけではないはずです。学びはどんな世界にも存在します。なのに美術が注目を浴びると、そればかりにフォーカスされてしまうことに疑問を感じていました。まさに多くの人の意見に流される傾向と同じです。

2‐7 美意識は「美術」からだけではない

本書は、そのあたりもしっかりフォローされているところに好感が持てました。「美意識」を身につけることができるのは決して「美術」だけではないのです。小説や詩、文学作品、哲学などもその中には含まれていると語られています。 

2‐8 趣味からも、美意識は身に着けることができる

それだけではありません。個々のビジネスマンの趣味の中にも美意識を鍛える要素は一杯あります。映画や車、登山、キャンプ、スポーツ、フィギアなどのコレクション。「美意識」は至るところに存在しているはずです。

本書は「美意識」を考えるための導入書です。ここからいろいろな場面で「美意識」を考えるきっかけの一冊。自分なりの価値を創造して広げていくための必読書です。

【3】『エグゼクティブは美術館に集う (「脳力」を覚醒する美術鑑賞)』

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3‐1 早朝の美術館に集うニューヨークの若いビジネスマンたち

早朝、MoMAに若いビジネスマンが集う。なぜなら、アートを学ぶことが、教養を広げるだけでなく、創造性を高めるからだ。
 
アートを学ぶことで、複合的な現代ビジネスの問題を解く能力が身につく。
彼らは、それに気付いているのだ。
 
美術鑑賞は、創造的な直感力を高める。

出典:www.facebook.com

本書の解説には上記のような文言が書かれています。アート鑑賞は教養を広げるだけでなく、創造性を高め、さらにはビジネスの問題解決能力も身につくのだと。

「問題解決」というのは、ビジネス書における定番キーワードです。それが美術鑑賞で、その能力が鍛えられるというのです。

3‐2 ニューヨークのビジネスマンはアートにどんな反応をするの?

本書は、2015年に刊行されました。昨今のビジネスとアートに関する書籍の先鞭をつけた書籍ではないでしょうか。『エグゼクティブは 美術館集う』というタイトルがキャッチ―で思わず手に取りました。

タイトルから興味を持ったのは、エグゼクティブと言われるビジネスマンは、絵画を見てどんな感想を漏らすのかでした。そしてビジネスと絵画鑑賞を、どう結び付けているのかという部分でした。

ところが、若いビジネスマンがMoMAでどんな美術鑑賞をしているかについては、書かれておりません。その代わりとして、子供たちの反応をエグゼクティブの反応の参考として紹介しながら話が展開されていきます。一番知りたかった部分の記載がないのが残念・・・・

3‐3 絵画鑑賞がエグゼクティブに与える影響や効果

絵画鑑賞が、エグゼグティブに与えるもの。それは様々な問題に対して現状打破できる力を育ててくれます。さらには、メタ認知能力を鍛えることができます。メタ認知とは、自分自身をもう一人の自分が、自分の思考や行動を客観的に見ることで、ビジネスにも直結できる力です。

美術を鑑賞することで、これらの能力が問題解決をするための血肉になっていきます。

3‐4 思索的に見る

興味深かったのは「思索的に見る」という部分でした。頭を使って見ること、それは疑ってみることだそうです。ただ漫然と見るのではなく、意識しながら想像的に見る。

例えば、世の中に流れている映像や情報を、受動的に見るのではなく、頭を使い自分の目でしっかり見て、考えながら見ることを提唱されていました。

以前から、そのような見方はしていたつもりでした。本書でそこに触れられていたことにより、さらに疑い深く情報を見るようになりました。本書さえも、行われた実験やその結果を表す表現など、注意深く読むということを実践しました。

ここ、おかしくない? 「思索的に見る」ということがより能動的になりました。

3‐5 直観とは論理 一瞬のひらめきも論理

人間のもつ直観と想像性を信頼する。論理と直観が一緒になるともっと働くと。一瞬で物事がわかるというのも論理。すぐに頭にいろいろなものが入っていて瞬時に妥当な組み合わせ結びつきを作れる。ひらめきも論理のうち。

出典:tabelog.com

人間がもっている「直観」と「想像性」を信頼することが説かれています。直観は、論理と一緒になるともっと働くと語られています。「一瞬で物事がわかる」直観やひらめきは、即時的なものととらえられていますが、直観にも論理の部分があります。

頭にいろいろなものが入ってきても、瞬時に妥当な組み合わせや結びつきを作ることができることは、論理的に判断しているわけです。

兼ねてから「直観とは、それまでの経験の蓄積を、高速で論理思考させてた結果」と思っていました。本書で「直観」と「論理」が結びつけられたことで大きな共感を得ることができました。

3‐5 ブームの先駆けとなった書籍?

こちらの本は、昨今の「ビジネスとアート」の関係について言及をされている書籍の源流に位置する書籍ではないかと思います。時代によってビジネスマンに求められる資質にはブームがあります。また同じポイントであってもどのように訴求されるか少しずつ変化しているようです。

昨今、美術史への注目本が美術書とは違うジャンル、判形で書かれていますが、美術書として書かれた本書も合わせて読んでみてはいかがでしょうか?

美術を学ぶことは、世界の価値観を知り多様性を認めること

世の中はボーダレス化し、グローバルな対応が求められる時代です。国境を超えたビジネスも一頃と比べると成立させやすくなっています。その裏で、見失ってしまいがちなもの。それぞれの国の成り立ちや文化を理解し、そこに暮らす人たちの思考やマインドは十分、つかめているでしょうか?

世界の中に埋もれている新たな需要をみつけたり、異業種との協同作業には、これまでの既成概念にとらわれない自由な発想が必要です。想像力や創造性は、知っていることからしか発想ができません。これまで知りえなかった価値観により多く触れていくことが創造性を豊にしてくれます。

世界には多様な思考や価値が存在することを知り、認めて尊重する。そしてお互いフラットな関係を構築する。私は、生物学からそれを理解しました。そして今、美術からも、受け止めようとしています。ビジネスに生かせる教養は「美術」だけでなく、至るところに埋もれていると思っています。

しかし、美術鑑賞は、今まで以上に、より広い世界に目を向けさせてくれました。苦手だった歴史や文学、哲学にも興味を持ち始めました。経営や経済、マーケティング、科学や技術などと「美術」の関係。

一見、自分のビジネスとは関係がないかに思えるかもしれませんが、それを学ぶことは、教養が人間力となり、ビジネスのチャンスをつかむきっかけをもたらしてくれます。そして受ける影響は、ビジネスの世界を超えて波及することにも期待できそうです。「美術」がもたらしてくれる教養には、どんな影響力があるか、参考にしていただけたら幸いです。

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ライター 著書は10冊以上。VOKKAでは専門を離れ、趣味の美術鑑賞から得られた学びや発見、生きるためのヒントを掘り起こしていきたいと思います。美術鑑賞から得られることで注目しているのが、いかに違う視点に触れるか、自分でも加えることができるか。そこから得られる想像力や発想力が、様々な場面で生きると感じています。元医療従事者だった経験を通して、ちょっと違うモノの見方を提示しながら、様々な人たちのモノの見方を紹介していきたいと思います。美術鑑賞から得られることは、多様性を認め合うことだと考えています。

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旅行と食べること、ファッションが好き。インドア派でアウトドア派のフリーライターです。生まれは四国、大学で東京へ行き就職で大阪へ。転々とする放浪癖を生かして様々な地域の記事を書いています。

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信州の曲者が集まるCLUB Autistaに所属する道楽者。車と酒と湯を愛し、ひと時を執筆に捧げる。

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