【ジャズ入門】まずはこれだけ!どこかで聴いたことがあるジャズのおすすめ名曲20選
ジャズを聴きたくても何から聴いたらいいか分からない方へ。まずはどこかで1回は聴いたことのあるような曲から聴いてみることをおすすめします。
今回は、ジャズの名曲が使われていたCMや映画、アニメ、ドラマ等とともに、ジャズのスタンダードナンバーをご紹介していきます。
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アイキャッチ画像出典:www.photo-ac.com
1. In The Mood(イン・ザ・ムード)
この曲は、ジョー・ガーランドが作曲したジャズの楽曲です。1939年にグレン・ミラー楽団が演奏したことでヒットし、ビッグバンドの代表曲として知られています。サックスユニゾンのイントロと、軽快で華のある曲調が特徴的です。
ここで使われた!
2004年に公開された、矢口史靖監督が手掛けたジャズコメディ映画「スウィングガールズ」の中で、ジャズを全く知らない高校生の主人公たちが練習する曲として使用されています。また、サントリー「トリスハイボール」のCMでもBGMとして使用されたこともあり、聴きなじみのあるスタンダードナンバーとなっています。
2. Moonlight Serenade(ムーンライト・セレナーデ)
この曲は、1939年にトロンボーン奏者のグレン・ミラーにより作曲されたスウィングジャズの代表曲のひとつです。グレン・ミラー楽団のバンドのテーマ曲となっています。
サックスやクラリネットの柔らかな音色が生かされたメロウな雰囲気が特徴的な曲で、タイトルの通り月夜に聴きたいおすすめの一曲です。
ここで使われた!
「In The Mood」と同様、この曲もまた映画「スウィングガールズ」のクライマックスの演奏シーンの1曲目で使用され、観客を惹きつける曲となりました。
3. Little Brown Jug(茶色の小瓶)
この曲は、アメリカのフィラデルフィア出身の音楽家、ジョセフ・ウィナーが1869年に発表した楽曲です。童謡のような愉快なメロディーが特徴で、当初は酒の席での歌として歌われており、20世紀初頭にはアメリカの民謡となるほど有名な曲となっています。1939年、グレン・ミラーがスウィングジャズのアレンジを加えて演奏したものが大成功を収め、アメリカのビッグバンド時代にも人気を博し、ジャズのスタンダードナンバーとしても知られるようになりました。
ここで使われた!
日本でも小学生の音楽の教科書に載っていることがあり、「音楽の授業で聴いたことがある!」という方もいるのではないでしょうか。キリンビールの一番搾りのCMでも使われていました。
4. Sing,Sing,Sing(シング・シング・シング)
この曲は、1936年にシンガー兼トランペット奏者のルイ・プリマによって作曲された曲です。スウィングジャズの代表曲の一つであり、1938年にベニー・グッドマン楽団がカーネギー・ホールでのコンサートで演奏し、一躍有名曲となりました。特に、ジーン・クルーパの黒人的なドラムソロが、当時のジャズ界では革新的でありました。
また、ベニー・グッドマンは黒人差別の激しい時代でありながらも黒人のジャズマンを積極的に採用し、自身の楽団に入団させており、当時評価されていたことでも有名です。
ここで使われた!
映画「スウィングガールズ」でもフィナーレで演奏されている他、ディズニーシーのブロードウェイ・ミュージックシアターで行われるビッグバンドビートのレギュラーナンバーとしても有名です。
5. It Don’t Mean A Thing(スウィングしなけりゃ意味がない)
この曲は、1932年にデューク・エリントンが作曲し、1934年にアーヴィング・ミルズが作詞した曲です。この曲の正式なタイトルは「It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That Swing」ですが、略して「It Don't Mean A Thing 」と表記されていることが多いです。
とにかくカッコよく色気のある曲で、思わず踊りだしたくなるような曲となっています。
ここで使われた!
この曲も「Sing,Sing,Sing」と同様、ディズニーシーのビッグバンドビートでのレギュラーナンバーとして使用されています。また、歌手のJUJUがビッグバンドをバックサウンドにしカバーしたバージョンもあり、クールな仕上がりとなっています。
6. I Got Rhythm(アイ・ガット・リズム)
この曲は、1930年にクラシック史にも功績を残したジョージ・ガーシュウィンが作曲し、その兄のアイラ・ガーシュウィンが作詞をした曲です。現在でもジャズのスタンダード・ナンバーとして知られています。
ピアノのみで演奏されることも多いですが、ビ・バップの創始者である、ジャズサックス奏者チャーリー・パーカーの演奏が有名です。
ここで使われた!
1951年に公開されアカデミー賞を受賞したミュージカル映画「巴里のアメリカ人」の曲中で使われています。主人公の青年が子どもたちに囲まれながら曲に合わせてタップダンスを踊るシーンは、観る人を優しく、そしてワクワクした気持ちにさせてくれます。
7. Take The “A” Train(A列車で行こう)
この曲は、1939年にビリー・ストレイホーンが作詞・作曲した曲で、デューク・エリントンのバンドにより当時大ヒットした曲となります。
曲のタイトルにある「A列車」とは、ニューヨークに実在する地下鉄の8番街線急行を指します。
タイトルや歌詞の中では「良いジャズを聴きたいのならば、A列車に乗って、ジャズの聖地であるニューヨークのハーレムという街に早く行こう」という意味が込められています。
思わず電車に乗って旅をしたくなるような、ワクワクするようなナンバーとなっています。
ここで使われた!
映画「スウィングガールズ」では、積雪のため停止していた電車の中で演奏されました。
また、「A列車で行こう」というタイトル自体は、都市開発・鉄道運営のシミュレーションゲームのタイトルや、JR九州の観光列車の名前など、楽曲にとどまらず幅広く使用されています。
8. What A Wonderful World(この素晴らしき世界)
この曲は1968年に、G・ダグラスにより作詞・作曲され、トランペット奏者であり、歌手でもあったジャズ界の巨匠ルイ・アームストロングに歌われ、大ヒットした曲となります。
当時激動化していたベトナム戦争を嘆きこの曲が作られたといいます。歌詞もすばらしく、平和への祈りが込めれたような歌詞となっており、ルイ・アームストロングの特徴的な歌い方とも相まって心に沁みる名曲となっています。
ここで使われた!
ベトナム戦争を題材にした、1987年公開の映画「グッドモーニング、ベトナム」の挿入歌として使用されました。ロビン・ウィリアムスが主演であり、米軍放送の破天荒なDJを演じています。DJを通してベトナム戦争を描いた作品であるため、ほとんど戦場シーンが描かれていないことが特徴の映画となっています。
9. Someone To Watch Over Me(誰かが私を見つめてる)
1926年に、兄のアイラ・ガーシュウィンが作詞、弟のジョージ・ガーシュウィンが作曲した、ガーシュイン兄弟により生み出された曲です。
アップテンポで軽快な代表作が多いガーシュウィンには珍しく、バラードの優しい曲調となっています。テーマ部分をどこかで聴いたことがある人は多いのではないでしょうか。エラ・フィッツジェラルドの歌声でカバーされている楽曲が有名です。
ここで使われた!
過去には野村不動産のプラウドのCMで使用されており、日本の名ジャズピアニストである小曽根真やヴァイオリン奏者である葉加瀬太郎により演奏されていました。
10. When You Wish Upon A Star(星に願いを)
この曲は、1940年に公開されたディズニー映画「ピノキオ」の主題歌として、リー・ハーラインにより作曲されました。言わずとしれた名曲で、ディズニーミュージックの象徴とも言えるこの曲ですが、ジャズ界でもスタンダードナンバーとして広く演奏されています。
ジャズピアニストであるキース・ジャレットの演奏が有名で、柔らかい音色ながらも、ジャズならではのアレンジとオシャレさがたまらない一曲となっています。
ここで使われた!
映画「ピノキオ」では、ピノキオの保護者役でもあるコオロギのジミニー・クリケットが歌っています。もともと映画の主題歌としての曲でありアカデミー歌曲賞を受賞したこの曲は、今でも世界中の多くの著名人によりカバーされています。特にジャズでは、奏者によってさまざまなアレンジバージョンが聴くことができるため、ぜひとも原曲を聴きつつ、色々な方の演奏を聴いてみてください。
11. Over The Rainbow(虹の彼方に)
この曲は、1939年に公開されたファンタジーミュージカル映画「オズの魔法使」の劇中歌です。
ハロルド・アーレンが作曲、エドガー・イップ・ハーバーグが作詞したこの曲は、1939年のアカデミー歌曲賞を受賞しており、数々の著名人により演奏されています。特に、ジャズシンガーであるサラ・ヴォーンの大人の魅力溢れる歌声がオススメです。音を揺らすビブラートや、原曲のメロディーを崩して歌うフェイクが絶妙で、彼女の幅のある歌声とも相まって素晴らしい一曲となっています。
ここで使われた!
「オズの魔法使」の映画の中では、主人公であるドロシーを演じたジュディ・ガーランドがこの曲を歌いあげています。伸びのある歌声で、柔らかく、そして幼いながらも少し大人びた雰囲気で歌われているシーンが印象的です。
12. Autumn Leaves(枯葉)
1946年に公開のフランス映画「夜の門」の挿入歌であり、もともとフランスのシャンソンとしてのナンバーでした。
その後、アメリカにも曲が広まり、1956年には、曲名通りのタイトルともなるアメリカで映画「枯葉」が公開されました。フランス映画の「夜の門」とはあらすじが異なる映画ですが、ナット・キング・コールによる英語バージョンの「枯葉」が主題歌となり、その後ジャズのスタンダードナンバーとして浸透していきました。
特に、ジャズピアニストであるビル・エヴァンスの演奏は、ジャズを聴き始めたいという方にぜひとも聴いていただきたい一曲です。
ここで使われた!
もともとはシャンソンの曲ということもあり、「夜の門」でイブ・モンタンが歌い上げた色気たっぷりのフランス語バージョンを聴くと、さらに味わい深く聴くことができます。
また、ナット・キング・コールが英語で歌う「枯葉」もぜひとも聴いてみてください。曲の特徴とも相まって、哀愁ただよう魅力的な1曲に仕上がっています。
13. Waltz For Debby(ワルツ・フォー・デビィ)
ジャズピアニストであるビル・エヴァンスが作曲し、当時2歳だった姪のデビィ・エヴァンスのためにささげた曲です。ワルツ・フォー・デビィは1961年にリリースされたアルバムのタイトルにもなっています。ニューヨークの伝統的なジャズクラブであるヴィレッジバンガードでのライブ演奏を収録したアルバムであり、曲自体はリリースを皮切りに大ヒットしました。
ライブ盤では快活なリズムで演奏されています。はじめは3拍子のワルツですが、途中で4拍子に切り替わることが特徴です。
ここで使われた!
この曲は、2014年にスウェーデンで制作された映画「ストックホルムでワルツを」の中でキーとも言える曲となっています。
実在したスウェーデン出身のジャズシンガー、モニカ・ゼタールンドの伝記映画となっており、ビル・エヴァンスとの共演のシーンで、スウェーデン語で歌われる「Waltz For Debby」は圧巻となっています。
14. My Favorite Things(私のお気に入り)
1959年に公開されたミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌で、「ドレミの歌」や「エーデルワイス」など数々の名曲を生み出したリチャード・ロジャースが作曲した曲の一つです。
ジャズのスタンダード・ナンバーとしても知られ、モダンジャズを代表するサックス奏者、ジョン・コルトレーンなどによってカバーされています。
ここで使われた!
「友情」「恋」そして「ジャズ」を題材とした青春漫画「坂道のアポロン」で取り上げられました。「坂道のアポロン」はアニメ化、映画実写化を果たし、映像の中でも主人公とその友人が織りなす素晴らしいセッションを聴くことができます。
15. Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)
1937年に公開されたディズニー映画「白雪姫」の中での挿入歌です。フランク・チャーチルが作曲し、ディズニープリンセスの名曲の1つとして、定着しました。
ジャズのスタンダードナンバーでもあり、ジャズピアニストであるデイヴ・ブルーベックやビル・エヴァンス、伝説のジャズトランペット奏者であるマイルス・デイヴィスなど、多くの巨匠たちに演奏され、今もその演奏は褪せることなく語り継がれています。同じメロディーを使用しているのにも関わらず、奏者によって全く異なった演奏のアレンジが楽しめるのもこの曲の特徴です。イントロ、テーマであるメロディーの演奏の仕方、アドリブの違いなど、ぜひとも聴き比べてみてください。
ここで使われた!
「私のお気に入り」と同じく、「坂道のアポロン」で演奏シーンでこの楽曲が登場します。主人公の薫と、友人の千太郎による、まるで音で会話をしているようなセッションシーンは見どころの一つでアニメや映画で観て、聴くことをおすすめします!
16. Moanin’(モーニン)
ジャズピアニストであるボビー・ティモンズが作曲し、1958年にジャズドラマーであるアート・ブレイキーがザ・ジャズ・メッセンジャーズのメンバーととともにリリースしたアルバム「モーニン」の1曲目として収録されています。
ファンキージャズの代表曲でもあり黒人的な熱をもった曲調が特徴的です。
ここで使われた!
こちらも「坂道のアポロン」のテーマ曲とも言える楽曲となっており、予告ムービーでも使用されています。主人公の薫はピアノを弾き、友人の千太郎はドラマーということもあり、モーニンを大ヒットさせたピアニストのボビー・ティモンズとドラマーのアート・ブレイキーの面影を感じさせます。テーマ曲ということもあり、アニメでも映画でもクライマックスシーンに使われており、圧巻の演奏となっています。
17. Take Five(テイク・ファイブ)
この曲は、ポール・デスモンドが作曲し、デイヴ・ブルーベック・カルテットの1959年のアルバム「タイム・アウト」に収録されたウエストコースト・ジャズを代表するスタンダードナンバーです。
「テイク・ファイブ」という曲名の由来は、楽曲としては珍しい4分の5拍子の曲であること、また「5分程度の休憩をしよう」という2つの意味が込められているそうです。
ここで使われた!
シンガーであるJUJUが2011年リリースのJAZZアルバム「DELICIOUS」の中で英語で歌い上げています。また、2013年にTBS系ドラマで放映されていた唐沢寿明主演ドラマ「TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか~」の中でも、JUJUがジャズシンガー役として登場し歌っています。
18. L-O-V-E(ラブ)
1964年にベルト・ケンプフェルト作曲、ミルト・ゲイブラーが作詞した曲で、ジャズピアニストでありジャズシンガーでもあるナット・キング・コールの歌声でリリースされ大ヒット曲となりました。ナット・キング・コールは翌年の1965年に肺がんで亡くなっており、この曲は彼の生前最後のヒット曲ともなりましたが、愛らしく明るさがたっぷり詰まった曲で、聴くと元気が湧いてくるナンバーとなっています。
ここで使われた!
サントリーのコーヒー「BOSS」のCMで「BOSSへのラブソング」として、替え歌バージョンで歌われていたことで一時期話題となった曲です。他にも、Y!mobile CM 「愛のシュガー」篇など、数多くのCMで起用されました。
19. Moon River(ムーン・リバー)
この曲は、1961年にヘンリー・マンシーニが作曲し、ジョニー・マーサー作詞した曲で、同年公開の映画「ティファニーで朝食を」の主題歌となりました。主演女優のオードリー・ヘプバーンが劇中で歌った曲としても有名で、同年にアカデミー歌曲賞を受賞しました。
ルイ・アームストロングやフランク・シナトラなど、名だたるアーティストにカバーされ、ジャズのバラードナンバーとしても確立しています。
ここで使われた!
名作映画「ティファニーで朝食を」の中で、オードリーが窓辺に座り、ギターを弾きながらムーン・リバーを歌うシーンは、歴代映画の名シーンの1つとも言えます。チャーミングなオードリーが奏でる魅惑的な歌声は、静かな夜にリピートして聴いていたくなります。
20. Fly Me To The Moon(フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン)
この曲は、1954年にバート・ハワードにより作詞・作曲されました。当時は「In Other Words」というタイトルで発表された曲ですが、ジョニー・マティスが「Fly Me To The Moon」という曲名でレコーディングし、その後1964年にフランク・シナトラがカバーして爆発的なヒット曲となりました。
また、1961年からアメリカではアポロ計画が進められており、1969年にはアポロ11号が人類初の月面着陸に成功しました。「Fly Me To The Moon(私を月に連れていって)」の曲が、1960年代における当時の人々の月への関心や期待感と同調したことも、ヒットの一因となったと言えます。
ここで使われた!
1995年に放送されたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマに用いられていました。オープニングテーマである「残酷な天使のテーゼ」と共に絶大な人気を博したことでも有名で、この2曲は、今もなお人気のアニメソング曲として多くの人に聴かれています。
何曲聴いたことがありましたか?
普段何気なく聴いている曲も、ジャズのスタンダードナンバーであり、数々の有名ジャズマンが演奏している曲ばかりです。同じ曲でも演奏者や使用楽器、演奏人数によって全く異なる演奏が楽しめるので、ぜひ色々な人の演奏を聴いてみてください。
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その辺にいる大学生。旅行と写真と音楽と映画と散歩が好きです。興のおもむくまま、気まぐれに書きます。