セルロース・ナノファイバーを調べてみた
近年のスマートフォン・タブレットの席巻により、製紙業界は業績悪化を強いられており、製品の方向性を変えた進化を図っています。
その中でも注目素材といわれるのが"セルロース・ナノファイバー"であり、大手製紙メーカーが一番注力している素材です。
今回はそんなセルロース・ナノファイバーについて勉強してみましょう。
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未来の新素材=セルロース・ナノファイバー
セルロース・ナノファイバーは大手製紙メーカーが従来の紙事業から転換し、素材メーカーとなるための転機となる新素材です。
主な材料は従来の紙と同じ木材ですが、紙パルプよりもさらに細かいナノレベルまでばらしたものがセルロース・ナノファイバーです。
セルロース・ナノファイバーの特徴
「未来の素材=炭素繊維」を超える可能性
セルロース・ナノファイバーの強度は鉄の約7倍レベルの強度、重量は1/5といわれるほど軽量かつ堅牢な素材です。これは近年新素材として注目されており、飛行機や自動車の軽量高強度を実現するといわれる(しつつある)炭素繊維を超えるとも考えられています。
炭素繊維は材料価格が自体が高額(kg=3000円程度)であることに加え、加熱により固化し再加熱しても軟化しないため加工生産性が低いことが欠点となってきました。
それに対しセルロース・ナノファイバーは材料が木材であり安価(kg=500円レベルまで下がる可能性あり)かつ常温加工が可能なのです。
したがって、幅広い分野で新素材として活用されるといわれています。
しかも透明
セルロース・ナノファイバーは軽量高強度なだけではなく、透明なことも特徴です。
可視光波長(400~800nm)に比べてセルロースナノファイバーは細いため透明に見えるのです。
そのため従来の透明な樹脂と組み合わせることで透明なディスプレーなどの嗜好性の高い新製品が誕生するのです。
幅広い分野で活用の可能性あり
自動車分野
セルロース・ナノファイバーの活用がまずかんがえられているのが自動車です。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、セルロース・ナノファイバーを有効活用することで自動車の車体重量のうちの約110kgを占めるとされる樹脂部材を約20kgの軽量化できると試算しています。自動車や飛行機の軽量化は燃費効率の改善につながります。
IT部品・電子部品
IT分野としては透明なディスプレーなどが実際に開発されています。
将来、裏表の両面からディスプレーを見るといった時代が来るのかもしれません。
産学官が連携してバックアップ
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は京都大学、紙の技術を持つ大手製紙メーカー(日本製紙、王子製紙など)、および最終素材開発を担う化学メーカー(三菱化学、住友ゴムなど)を連携させて、研究開発に力を入れていました。
こうしたオールジャパンでの取り組みにより、国策として伸ばす素材として注目されているのです。
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この記事のライター
日本一即戦力な公認会計士、を目指しています。大手監査法人⇒米国留学⇒経営コンサル公認会計士&TOEIC900超に加え、最近は経営能力など、知の経験値稼ぎに絶賛邁進中。様々知識を身につけるべく、読書とグルメめぐり(一流レストランからB級まで幅広く)が大好物