ワインマニアが徹底解説!ワインのトレンド2018予想
ここではワインの愛好家の方や、今後ビジネスツールとしてワインを語れるようになりたい方の為に、筆者が独自に予測したワインのトレンドを2018年度版としてご紹介します
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ワインの消費量が伸び続けている
日本におけるワインの消費量が伸び続けています。大手酒販社のメルシャン(キリングループ)によると、2009年から2015年に至るまでワインの消費量は右肩上がり。順調に過去最高の消費量を更新しているとのことです。具体的に、2015年統計発表の10年前である「2005年」と比較し、その消費量は1.5倍にまで増えているとのことです。
※参考:2015年のワイン消費数量 4年連続過去最高を更新|2017年|ニュースリリース|キリン
消費数量は、2014年に続き2015年も過去最高を更新しました。
近年は特にチリ産のワインが台頭し、スーパーでも安価で美味しいワインが購入できるようになりました。
これにより、ワインそのものに興味を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。
ここでは、もっとワインの先を見たいという充実した趣味をお持ちのビジネスマンに向け、今抑えるべきワインのトレンドと、2018年も注目されるべき事象を独自予想してみました。
ワインのトレンド2018 その1.「日本ワイン」のさらなる活性化
近年メディアでも大きく取り上げられているのが「日本ワイン」の台頭です。その名の通り、日本で育てられた葡萄を用い、日本で醸造を行いつくられます。
ワインの日本のトレンドと言える位置づけにあり、テレビのニュースなどでも取り上げることもしばしば。
さて、「日本ワイン」という単語が取り上げられているには大きな理由があります。
それは近年まで「日本ワイン」という言葉の表現そのものが注目されるべき材料をもっていなかったためです。
「国産ワイン」と「日本ワイン」は定義が異なった
皆さんはこれまで表現されていた
「国産ワイン」と「日本ワイン」
この違いがわかるでしょうか。
国産=日本産の葡萄というイメージを持ちますね。
しかし、これまではそうではありませんでした。
いままでは「国産ワイン」=輸入果汁でも可とされていた
実は「国産ワイン」という表現はこれまで「輸入果汁」を用いても「日本国内で瓶詰めされれば良い」とされていました。
・国産ワイン=「輸入果汁」を使った国内瓶詰めワイン
・日本ワイン=「日本産の葡萄」を使った国内瓶詰めワイン
というあいまいな表現になっていたのです。。たとえばアメリカから果汁を買っても、日本で瓶詰めすれば「国産ワイン」と名乗ることが出来ました。
国税庁がこの表現をルール化した
2015年の国税庁の取り決めにより、この曖昧だった表現にメスが入りました。
いままで輸入果汁を用いて日本で瓶詰めを行ったワインを「国産ワイン」と表示していた点について、「輸入果汁使用と表記するよう」にルールが定められました。これは2015年10月30日に告示した『
果実酒等の製法品質表示基準について』として我々も確認をする事が出来ます。
これに伴い、水を得た魚のように台頭してきたのが、日本で作られた葡萄を用いた日本ワイン。
特に輸入果汁を用いた国産ワインと呼ばれていたものが大手社が手がけていることに対して、日本ワインは小規模な生産者がそれぞれの表現で作ることが出来ます。
また、日本ワインそのものは、まだまだ生産量が少ない状況です。
これまで注目を集めていなかったのだから下地がありません。これは当然とも言えます。
急速な注目度に対して、現状は供給量が追いついていません。
ゆえに入手が困難であるという側面を持っています。これが後押しし、いまや日本におけるワイン業界の活路として、大きなうねりとなってきています。ここに来て日本国内でも自社の葡萄畑の増設、開墾なども含め各地で生産増に向けた取り組みも始まっています。今後も注目されていくことは間違いがありません。
ワインのトレンド2018 その2.「チリ産ワイン」の次はどこにいく?次は「スペイン産」と予想
現在、日本での輸入量1位の国は「チリ産のワイン」
チリ産ワインが消費を後押ししていると前述しましたが、実際どの程度かというと、2015年には既に日本国内の輸入量では王者と言えるフランスを抜き、輸入量は国内1位となっています。(2016年もチリ産ワインが輸入量1位)
輸入における関税がかからない点、また、タンクごと仕入れ瓶詰めをする「バルクワイン」と呼ばれるものが多くあることからコストの利が大きくあります。これゆえチリ産のワインは一気に消費を拡大してきました。
特にスーパーマーケットなどの量販店を中心に「アルパカ」などの銘柄を代表とした動物系ラベルのチリワインが数多く見られます。価格帯も安いものはワンコイン程度で購入が可能なのもうれしいところです。
低価格でありながらも、味はしっかりしていてさんさんと太陽を浴びたような果実みが感じ取れます。ここから、日々のデイリーワインとして、またはワインビギナーのワイン購入の後押しとなりました。いまや当たり前のようにワインの棚を占拠しているチリ産のワインが、ワイン消費の裾野を広げたことは間違いありません。
チリ産ワインの”次”は「スペイン産」と予想
さて、チリ産のワインを今現在飲んでいるユーザーは次にどこに行くのでしょうか?
チリ産の果実み豊かなしっかり系の味わいに舌が肥えたユーザーが次に何を求めていくか、は多くの人の関心事と言えるでしょう。
ここで、筆者は次に再度注目を浴びるのは「スペイン産のワイン」ではないかと予想しました。
スペイン産のワインと言えばかねてからワイン愛好家の間では重宝されていた高いコスパのワイン産地です。一定の市民権を得ながらも、味わいはその多くが濃くてスモーキーなテイストを持っている。端的に言えば「重い・渋い」の代表格といえるワイン産地です。
チリ産の果実み豊かな路線のワインになれた消費者は、さらなる味わいの”パンチ”を求めるはずです。そこでスペイン産のワインの登場です。ユーザーはこの「重い・渋い」テイストのワインを求めてくるのではないでしょうか。日本国内でもメジャーなスペイン産のワインは受け皿としてまさに最適と言えます。
価格帯も千円台前後から充実しているのがスペイン産のワインの魅力。
ワインコインから充実しているチリ産の1つ上のクラス、という位置づけとしてもイメージが湧きやすいポジションにあります。
チリ産ワインが今後ワイン愛飲家をどれだけ押し上げるか、にもよりますが、次第に改めて注目されるはずです。
ワインのトレンド2018 その3.マニア向けの「注目産地2傑」
先に述べたスペイン産のワインはワインビギナーの受け皿になるはずです。
では、すでにそれらを飛び越えた「ワインマニア」は今どこを向いているのでしょうか?これも独自に予測を立てました。
【注目ワイン産地】南アフリカ産のワイン
近年、じわじわとその注目度が上がっているのが「南アフリカ産」のワインです。
アフリカ、というと暑くてサバンナがある・・・という秘境のイメージがありますが、実際のイメージはそうではありません。南アフリカはその名の通りアフリカの最南端の土地で、暑いと言うよりも、むしろ南極に近く涼しい気候です。
従来より、観光地であるケープタウンという町は食と絶景が名物です。
その一つにワインが挙げられていることはご存じでしょうか。かつて、フランスの貿易の中継地点として発展した経緯があり、古くからワインの生産が行われています。
南極に近く、かつ海にも近い土地。ワインの生育に重要な寒暖差が表現されています。ここしばらく、日本にも一気に南アフリカ現地の著名なワインが輸入されてきました。値段は思ったより高くワンランク上のものが多くあり、特に充実しているのは、おおよそ5千円クラスのワイン達。それでも他国に追随、ものによっては品質が高いのではと言われる「コスパ」に注目が集まっています。
また、南アフリカのワインは、元来より環境に対する配慮が厳しい国でもあります。自然遺産が多く、国を挙げて環境保全に重点を置いています。
ワイン造りに置いても
・環境保全とワイン造りの併用
・労働保全を管理する団体が存在する
などがルールづけられています。ワイン造りに用いられる添加物である「酸化防止剤」の使用量は世界でも屈指の使用料の制限がかかっている点も注目です。想像以上にモラリズムの高いワイン産地であるため、長い目で見ても注目されることは間違いありません。
”クリスタルム”というワインは既に日本国内でもジャーナリストやブロガーが取り上げています。一度お調べになってみるとよいでしょう。
ギリシャ産のワイン
おなじく注目をされているのがギリシャ産のワインです。
まだまだ数は少ないものの、地理的にもイタリアに近い地域と言うことからイタリアテイストのワインが多く生まれる産地として密かな注目を集めています。
現状、ここもほぼ無名に近い産地です。味わいの傾向は苦みや渋みに振った味わいが多くあります。フルーティーさと言うよりはキリッとした端正なものが多くあり、ワイン単体はもちろん、お料理との相性が良さそうな雰囲気を感じ取れることでしょう。
ギリシャのワインで独特なのはその独自性にあります。ワインマニアが喜ぶ要素を含んでいます。それはその地に根付く、その地にしかないブドウの品種、すなわち”土着品種”と呼ばれるものです。これが他国に比べて非常に多く、大半がまだ知られていません。
地中海に面した地形になっているため、地中海沿いに独自の形成がなされ、ギリシャだけで200種類を超えるワイン用の葡萄品種があるとのことです。現在メジャーなところはクシノマヴロというぶどう品種を使用したワインが日本にも輸入されていて実際にその品質は高い水準にあります。
課題点は、ギリシャ現地の著名ワイナリーがそもそも2、3程度しか輸入されていないことでしょう。その多くはマイノリティの域を出ていません。まだまだ日本にとっては未開拓のエリアであります。今後、ワインマニア・ワインギークを中心にいつ爆発するかわからない産地であることは頭に置いておきたいところです。
キリ・ヤーニというワイナリーが現地では著名で、かつ品質の良いものが日本にも輸入されています。
更に活性化するワイン市場の先を追え
ここでは現状のワイントレンドも踏まえ、独自にワインのトレンド予測を行いました。特に先々を見た内容とし、これらは足下の予測ではありません。中期的に見ても注目が置きたいという部分に力点を置きました。
それゆえ、その多くがまだ表面化されていないものばかりです。しかしながら、どれも特徴があり、それぞれが違った方向を持っています。これらの内容に目を通しておけば、みなさんのワインライフがさらに面白くマニアックなものになっていくことでしょう。
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この記事のライター
ワイン好きが高じてワインの世界に飛び込んだ男。どのようにワインビギナーにアシストするかを常に考えているフリーライター。産地に頼らない、自身の口でこれはと思ったワインをご紹介していきます。