SHURE(シュア)のおすすめイヤホン全9モデル徹底解説
SHURE(シュア)のおすすめイヤホンを紹介します。定番のSEシリーズの特徴から価格、シュア掛け、リケーブルまで。さらに最上位機種であるハイレゾ対応機KSE1500もSEシリーズとの違いを交えて徹底解説します。SHUREのイヤホンでお悩みの方はぜひ購入の際、参考にしてください。
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SHURE(シュア)とは
出典:osw48.com
SHURE(シュア)はイヤホン、ヘッドホンやマイクなどオーディオ機器の設計、製造を行なっているアメリカのメーカーです。創業は1925年で、2015年に創業90周年を迎えています。その確かな性能と洗練されたデザインから、世界中のプロミュージシャン、DJ、エンジニア、音響を扱う様々な業界から圧倒的な支持を得ており、オーディオ機器のデファクトスタンダードと言っても過言ではありません。SHUREのマイクであるSM55、SM56、SM57がアメリカ大統領の演説に使われている話は有名です。相当の信頼をメーカーに置いている証拠ではないでしょうか。
そんなSHUREのイヤホン
今回はプロからも圧倒的な支持を得るSHUREのSEシリーズと最上位機種のKSE1500をご紹介します。まずは「シュア掛け」、3種類の駆動方式、リケーブルについて。次に定番のSE215からハイエンドモデルのSE535、SE846まで各モデルの特徴や価格を、さらにKSE1500をSEシリーズとの違いを交えながら解説します。SHURE製品を使ったことはないがどれを選べばいいのか分からない、使っているがグレードアップしたいという方、必見です。
最大の特徴、シュア掛け
電車やバスでイヤホンのコードを耳にかけている人を見たことはありませんか?それ、シュア掛けです。ほとんどのイヤホンでこのような掛け方が可能ですが、SHUREのSEシリーズがはじめとされているのでシュア掛けといいます。普通にイヤホンを着用するのと何が違うかは、大きく分けて2つ。1つ目はタッチノイズ防止です。タッチノイズは身体や衣服とコードが接触したときに発生する振動で音にノイズが乗る現象で、シュア掛けをすることによりコードは耳を伝うので振動をカットし、ノイズを防止します。2つ目は装着したときの強度が高いことです。一般的なイヤホンはコードを引っ張ると脱落してしまいますが、シュア掛けでは物理的な接点が2ヶ所なのでそのようなことはありません。羽生結弦をはじめとした激しいパフォーマンスを行うアスリートもこの方法でイヤホンを着用しているのをしばしば見かけます。
ダイナミック型ドライバー
ダイナミック型は最も一般的なイヤホンの駆動方式です。音声信号を振動に変換するボイスコイルがフェライト、コバルト、ネオジム等のマグネット(永久磁石)を往復運動し、ダイヤフラム(振動板)を伝って音を出力します。ボイスコイル、マグネット、ダイヤフラムはイヤホンの音質を決定づける最も重要なパーツであり、信号を媒介する前後で変化が少ないほど、それらを採用しているオーディオの値段は高額であると言えます。よく聞くダイナミック型スピーカーと同じ仕組みです。
BA(バランンスドアーマチュア)型ドライバー
BA型もまたイヤホンの駆動方式です。ダイナミック型ではボイスコイルからダイヤフラムに信号を伝えていたのに対し、BA型ドライバーではボイスコイルからアーマチュア(鉄片)に、アーマチュアからドライバーロッドに、ドライバーロッドからダイヤフラムに信号を伝える機構をしています。繊細な音を鳴らす能力に長けており、モニターイヤホンやモニターヘッドホン、補聴器などの原音に忠実な音が必要とされる現場でその性能を発揮します。しかし、構造上の理由により1基のドライバーで広い音域をカバーすることは難しく、担当音域を分けた複数のBA型ドライバーを搭載することで解決しています。昔使われていたマグネチックスピーカーと同様の仕組みです。
コンデンサ型ドライバー
コンデンサー型は前述の2つとは性質の異なる駆動方式で、コンデンサーの極板に電圧をかけることで音を発生させます。ダイナミック型ドライバーやBA型ドライバーはダイヤフラムを振動させることで音を発生させますが、物理的な特性上、出力音に若干の歪みが生まれてしまいます。コンデンサーの場合このようなことは起こらず非常に鮮明な出力音を得ることができます。今回紹介するイヤホンの中でコンデンサー型ドライバーを採用しているのはKSE1500のみで、付属するアンプがコンデンサーの動作に必要な外部電圧源にあたります。
SEシリーズに採用されているMMCXケーブルという規格
SHUREのSEシリーズはMMCXケーブルという規格を採用しており、本体とケーブルで着脱が可能です。本体が壊れなければリケーブルすることで使い続けることが可能です。イヤホンを買い換える理由は断線が圧倒的多数だと思いますが、SEシリーズでは問題ありません。またケーブル自体も安価なものから種類豊富で、初めてのリケーブルという方でも安心してチャレンジしていただけます。リケーブルの面白いところはケーブルごとに個性があることで、値段に比例して良し悪しが決まるわけではないのもまた面白いところです。さらに言えば、切り売りのケーブルとコネクタさえあれば自作することも可能です。自分好みのパーツを組み合わせて自分好みのケーブルを作ってみるのも素敵ですね。興味がある方、是非挑戦してみてください。
SEシリーズ
SE215
SE215は圧倒的なコストパフォーマンスで人気を誇るSEシリーズのエントリーモデルです。アマゾンや価格.comのイヤホンカテゴリで見ないことがない程です。参考価格は9,050円〜10,788円。SE215はダイナミック型ドライバーを1基搭載しています。音は粘りのあるドンシャリサウンド。加えて温かみもあります。温かみというとこもった印象を受けますが、あくまで音にトゲがなくむしろ心地よいレベルです。インピーダンスは17Ω、最低再生周波数帯域は22Hz、最大再生周波数帯域は17.5KHzです。これらはSHUREが発表している値ですが、使用する環境によって変化しうるので参考までに。
SE215 Special Edition
こちらも大人気のモデルで、参考価格は9,990円~12,744円。仕様はSE215とほぼ同じですが、チューニングが改良されています。SE215が温かみのあるドンシャリサウンドだったのに対し、スペシャルエディションではローミッド帯域に厚みのあるチューニングになっています。さらに高音域にも若干のハリを持たせており、ゲインの効いたギターとブーミーなベースが絡むロック系の音楽を聴くのに適しています。インピーダンスは20Ω、最低再生周波数帯域は21Hz、最大再生周波数帯域は17.5KHzです。
SE215m+ Special Edition
SE215m+ Special EditionはSE215のドライバースペック等はそのままに、デバイスコントローラーとマイクが追加されたモデルです。参考価格は12,096円~13,820円。iOSデバイスをコントロールすることを想定して作られていると思われ、音楽の再生、停止、音量の調整、トラックの早送り、通話、Siriの使用、カメラアプリのコントロールなど様々な機能がアサインされています。またアップル認定保護ケースに対応したコネクター設計になっているので、ケースが邪魔でコネクターが挿せないという問題もありません。SE215m+ Special EditionはVGP 2017 SUMMARで金賞を受賞しています。これはAV、オーディオ、ガジェットの情報サイトを運営するPHILE WEB(ファイルウェブ)が主催するアワードで、性能とセールスの両方において市場に影響をもたらした製品に贈られる賞です。インピーダンスは17Ω、最低再生周波数帯域は21Hz、最大再生周波数帯域は17.5KHzです。
SE315
SE315はBA型ドライバー1基を搭載したモデルで、参考価格は16,973~22,464円。1基のみでは出力に不足があるのではと思うかもしれませんが侮ることなかれ。SE215を聴き慣れている方はその違いに驚くと思います。低音を得意としていたダイナミック型ドライバーとは指向が違うのですから。ロック系の音楽を例にしましょう。SE215ではギターやベース、バスドラムの音が前に出る印象であったのに対し、SE315ではボーカルの声がより近く感じられると思います。以上を踏まえるとSE315はボーカルがしっかり聴きたい方、歌モノ向けである言えます。インピーダンスは27Ω、最低再生周波数帯域は22Hz、最大再生周波数帯域は18.5KHzです。
SE425
SE425はBA型ドライバーを2基搭載したモデルです。参考価格は25,855円~31,104円。ローミッド音域とハイミッド音域をそれぞれのドライバーに出力させ、中域を確保しつつ低音と高音にも厚みを持たせた仕様になっており、SE315よりもレンジのカバー範囲が広くなっています。それに伴い、音の輪郭も全体的にくっきりとした印象を受けます。2基のドライバーのレンジが中域で重なっているので、より聴こえやすいのはやはり中域です。こちらもSE315のように繊細なボーカルをしっかり聴きたい方やモニター用として使いたい方に向いている機種ではないでしょうか。インピーダンスは22Ω、最低再生周波数帯域は20Hz、最大再生周波数帯域は19KHzです。
SE535
SE535はBA型ドライバーを3基搭載したモデルです。参考価格は38,306円〜53,784円。2基のBAドライバーはデュアルウーファーで、残りの1基はツイーターとなっています。となると音の方はハイとローに寄っているように思えますが、ウーファーとツイーター両方にチューニングの幅を持たせているためか、中域が聴こえにくいという印象はまったくありません。SE425との大きな違いは低音と高音の「きめ細やかさ」だと思います。日本のバンド、toeやthe HIATUSのドラマーで有名な柏倉隆史は演奏中のモニターとしてSE535を使っており、「音の分離の良さ」と「鳴っている音がしっかりと聴こえる」という点においてこのモデルを絶賛しています。インピーダンスは36Ω、最低再生周波数帯域は18Hz、最大再生周波数帯域は19KHzです。
SE535 Special Edition
SE535 Special EditionはSE535の仕様を踏襲しつつ、日本人向けのチューニングを施したモデルです。参考価格は51,084円~¥60,264円。インピーダンスは36Ω、最低再生周波数帯域は18Hz、最大再生周波数帯域は19.5KHzで、通常モデルと比べて最大再生周波数が500Hz大きくなっているのが特徴です。これは単に再生可能なレンジが広がったというよりは、音の所々に存在する超高音域部を拾えるようになり結果としてより豊かなサウンドを聴くことができる、と捉えた方が正しいでしょう。日本のバンド、凛として時雨のボーカルギター、TKこと北嶋徹が著名なユーザーです。彼がこのモデルを使う理由の一つに「ハイトーンの解像度が極めて高いこと」というのがあり、ハイトーンかつハウリングやハーモニクスを用いる楽曲の多いバンドならではの理由と言えます。
SE846
SE846はシリーズのフラグシップモデルです。参考価格は82,080円~118,584円。多くのブログでレビューされているこのハイエンド機ですが、百見は一聴に如かずということで実際に体感して欲しいところです。SHUREが誇るBA型ドライバーを4基搭載しており、フィルターを交換することで3種類のイコライジングが楽しめます。今回はその中でニュートラルなものについて書いています。とにかく音の分離とニュアンスの表現力が素晴らしい、に尽きます。低音が出すぎているわけでも、高音が出すぎているわけでもなく、あくまでフラットに近いチューニングなのですがオーケストラを聴いてみるとその粒の多さに圧倒されます。加えて粒の形、つまりニュアンスも分かりやすい。名実ともにフラグシップモデルに相応しいモデルではないでしょうか。インピーダンスは9Ω、最低再生周波数帯域は15Hz、最大再生周波数帯域は20KHzです。
SHURE唯一の高級ハイレゾ対応機
KSE1500
KSE1500はSHUREから発売されている唯一のハイレゾ対応機です。参考価格は353,292円~388,800円で、仕様もSEシリーズとは全く異なります。SEシリーズがダイナミック型ドライバーあるいはBA型ドライバーを搭載していたのに対しKSE1500はコンデンサー型ドライバーを搭載しており、マイクメーカーであるSHUREの「コンデンサーマイクのノウハウをイヤホンに施してはどうか」というコンセプトのもと8年の開発期間を経てこのプロダクトが実現しました。機能も値段相応に充実しており、アンプ側で調節可能な4バンドパラメトリックイコライジング機能、様々なオーディオデバイスに対応したインターフェース、携帯電話等の電磁波による信号干渉をシャットアウトするフィルター機能など、まさに至れり尽くせり。SE215m+ Special Editionと同様にVGP 2017 SUMMERで金賞を受賞しており、BA型ドライバー4機搭載のSE846をさらに凌ぐハイレゾリューションサウンドがリスニングの質を高めること間違いなしです。
ワンランク上のイヤホンでリスニングを豊かに
いかがでしたか?オーディオというカテゴリでは「値段と質は比例する」としばしば言われていますが、個体ごとでドライバーやチューニングが違うので一概にこれが正しいとは言えません。音の良し悪しの感じ方は主観によるところが大きいのもまた事実です。さきほど解説した各モデルの特徴を参考にして是非自分に合ったイヤホンを見つけてください。あなたのQOLが上がることをお約束します。