人生観を変えるほどの絶景!必ず行きたいアメリカ大自然スポット10選
日本の約25倍の国土面積を誇る米国。広い国土のため気候も多様で、バラエティに富んだ自然環境や地形を有しています。壮大な大地、山脈、平原、砂漠、湖水、海岸が生み出す美しい景色を目前に心打たれる経験は、その場に足を運んだ者のだけの特権。ここでは、日本でなかなか紹介されない場所を含む10ヶ所の米国絶景ポイントを紹介します。
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日本にはない雄大で荒削りなアメリカの自然美
世界地図を見れば、アメリカ合衆国の広さは一目瞭然で、ロシア、カナダに次ぐ国土面積を誇ります。最北部が北極圏に属するアラスカは寒帯のツンドラ気候、もしくは亜寒帯。一方の北米最南東のフロリダ州マイアミは熱帯モンスーン気候で、ラスベガスは乾燥帯砂漠気候、サンフランシスコは地中海性気候と、場所によって気候も大きく異なります。そのため、豊かな森林を育む地域もあれば、荒涼とした大地が延々と広がる場所もあり、山岳、渓谷、砂漠、高原、湿地と多彩な地形が訪問者を待ち受けているのです。グランドキャニオンやイエローストーン、セドナといった有名どころ以外でも、息を呑むような絶景は山ほどありますが、ここでは実際に筆者が訪れ、感動した10ヶ所をオススメします。日本とはスケールの違う大自然の懐に抱かれ、心洗われる贅沢な経験をしてみてはいかがでしょうか。
アメリカでは、ユニークな地形を随所で楽しめる。例えば、写真のザイオン国立公園では、水量の少ない晩春から夏季にかけて川底を歩くことも可能
ザイオン国立公園
この世のものとは思えない、“天使が舞い降りる”山頂からの見晴らし
ラスベガスから車で3時間、ユタ州にあるザイオン国立公園。古代ヘブライ語で「天国」「聖域」を意味する名前を持つこの公園は、グランドキャニオンに並ぶ北米で人気の景勝地ですが、日本ではあまり知られていません。垂直に切り立つ崖に挟まれたザイオン峡谷は、山登り、ロッククライミング、キャンプ、バードウォッチングなど多様な楽しみ方ができる場所です。中でもオススメなのが、「エンジェルス・ランディング」という独立峰へのハイキング。往復およそ8キロ半、高低差423メートル、所要時間4時間のトレイルは、まさに体力勝負で、「天使が舞い降りるところ」というネーミングとは裏腹に、険しい断崖を鎖1本を頼りに登り降りしなければなりません。それでも、登り着いた先で見渡す光景は、一瞬で疲れを吹き飛ばしてくれる素晴らしさ。天使が舞い降りる聖域にふさわしい場所だと、誰もが感動することでしょう。
険しい崖の足場を登り切った後に待つ絶景には、言葉を失うこと間違いなし
グレートサンドデューンズ国立公園
まるでSF映画の世界!童心にかえって砂山を登ろう
北米で最も標高の高い砂丘地帯を有するグレートサンドデューンズ国立公園は、2004年に指定を受けた、北米で最も新しい国立公園です。延々と広がる砂丘は、それだけでもまるでSF映画に登場する未知の惑星の風景のようで、時期によっては、雪をたたえた雄大なロッキー山脈が背景を飾るので圧巻です。一番高い砂丘は約220メートルあり、細かい砂に足を取られて登るのは楽ではありませんが、頂きからの大パノラマの景色を見れば、苦労して登る価値があったと納得するはず。下りは、砂用のソリやスキー、サンドボード(近隣の店でレンタル可能)で一気に滑り降りましょう。これほど爽快な経験はなかなか他ではできません。標高が高いロケーションゆえ、夏場でも気温は平均23〜26℃と快適ですが、砂丘の表面温度は60℃以上になることもありますので、要注意です。
ロッキー山脈と砂丘の組み合わせに、ただただ圧倒される
バリンジャー・クレーター
5万年前に地球に衝突した隕石が作った巨大な孔
アリゾナ州北部の中心的都市フラッグスタッフから車で約1時間、だだっ広いコロラド高原に突如として出現するのが、アメリカ人が“メテオ・クレーター”と呼ぶ「アリゾナ大隕石孔」。所有者の名前を取って「バリンジャー・クレーター」とも称されるこの場所は、なんと5万年前に飛来した隕石が地球をえぐった跡地で、それがほぼ当時のままの状態で残っているのです。5万年もの間、ほとんど風化していないことにも驚きですが(雨が極端に少ない砂漠気候のおかげだとか)、特筆すべきは、直径およそ1.4キロ、深さ170メートル強というその大きさです。直径20〜30メートルほどの隕石が時速4万キロ以上のスピードで落下し、衝突と同時に半径3〜4キロ圏内の生物は死滅。さらには、激突時に発生した巨大火球と衝撃波により、周囲10キロ以上が何もない荒野に姿を変えてしまったそうです。5万年前に思いを馳せて現物を目の当たりにすれば、想像以上の大スケールにきっと言葉を失うでしょう。
足元に広がる大迫力のクレーター。現地には博物館が併設され、本物の隕石に触れることもできる
アンテロープ・キャニオン
これぞ自然が生んだ芸術!太陽光と渓谷の曲線美が織りなす幻想的な光景
アリゾナ州のナバホ族居留地に存在するアンテロープ・キャニオンは、砂丘が固まった砂岩が鉄砲水や風水によって侵食されてできた幅の狭い峡谷です。幅は2〜3メートルであるにもかかわらず、深さは約36メートルにもなり、螺旋状に侵食された赤い砂岩の様々な曲線が生み出す自然の造形美に、瞬く間に目を奪われることでしょう。いかんせん細く深い谷ゆえ、太陽に完全にさらされることはなく、わずかな隙間から降り注ぐ陽光に浮かび上がる内部の姿は、非常に幻想的。この場所に実際に訪れた人間だけが見られる神秘的な光景に、ひたすら感動することになります。えぐれた穴の形がハートに見える“ハート・ポイント”も見どころのひとつ。国立公園ではなく、ネイティブアメリカンの居住区ゆえ、個人で勝手に入ることは許されず、必ず現地ガイドが案内するツアーに参加する必要があります。
太陽光が降り注ぐ渓谷内は、この世のものとは思えない美しさ
暖色の光の中で浮かび上がる幻想的な峡谷の姿は、他に類を見ない(アンテロープ・キャニオンが登場するのは1:45〜2:35辺り)
セブンマイル・ブリッジ
紺碧の海を貫く10キロの橋で米国最南端を目指す
アメリカ本土最南端のキーウェスト島へは、フロリダ州マイアミから車で約4時間。フロリダ半島の南端から延びる7マイル(約10キロ)の橋“セブンマイル・ブリッジ”を渡った先が、キーウェストになります。キューバの影響が色濃く表われている独特の街並み、6本指の足の猫がたくさん飼われているヘミングウェイの家(ヘミングウェイ博物館となっている)、美しいサンセットが鑑賞できる砂浜、西の沖合100キロ地点にあるドライ・トートゥガス国立公園、パラセーリング、シュノーケリングをはじめとする様々なマリンスポーツなど、いろいろな観光スポットや楽しみ方が堪能できる土地ですが、ぜひともキーウェストの入り口となるセブンマイル・ブリッジからの景観を満喫していただきたいです。どこまでも広がる青空の下、マリンブルーの海の上に架けられた白い橋をドライブするのは非常に爽快で、まさに楽園気分を味わえます。
青い空と海と白く長い橋の美しいコントラストで、セブンマイル・ブリッジはしばしばCMやドラマにも登場
ルーレイ鍾乳洞
自然が数億年かけて造り上げた繊細な洞窟芸術
バージニア州北部、シェナンドア国立公園の近くにある米国東部最大の鍾乳洞が、ルーレイ鍾乳洞です。かつてワシントン大統領も訪れたというこの鍾乳洞では、数億年の歳月をかけて現在の姿になった純粋な自然の造形美が楽しめます(鍾乳石は、1センチ伸びるのに100年かかるそうです!)。一歩足を踏み入れるや、そこには繊細な鍾乳石の数々が作り出す神秘の異世界が広がっており、透明度の高い地底湖に映る洞内の景色に息を呑むことでしょう。さらに注目すべきなのは、洞窟の奥に設置された鍾乳石パイプオルガン。普通のパイプオルガンと違うのは、37種類の鍾乳石をパイプの代わりにして音を出しているという点です。つまり、鍾乳洞そのものが楽器であり、コンサートホールにもなっているため、音響効果は抜群! 北米には鍾乳洞は数あれど、ここでしか味わえない体験があなたを待っています。
澄んだ地底湖の水面に鍾乳石が映り、まるで合わせ鏡のような美しさ
鍾乳洞パイプオルガンが奏でる美しい天然の音色
ブリッスルコーン・パイン
樹齢4000年以上!現存する世界最高樹齢の木
冬はマイナス30℃まで気温が下がり、3メートルの積雪に埋もれる過酷な地形にもかかわらず、カリフォルニア州東部のインヨー国有林には、科学的に樹齢測定がなされた樹木として世界最高齢の木“ブリッスルコーン・パイン”が生えています。標高3300メートルのホワイト・マウンテンの森林限界地帯で、極寒の冬の気候だけでなく、強風や紫外線、乾燥にも耐えて生きながらえるブッリスルコーン・パインは、枝や幹が奇妙な形にねじれ、樹皮は乾き、一見、枯れているように見えます。しかし、現存する17本は樹齢4000年以上で、今もしっかりと生命活動を続けているのです。エジプトのピラミッドよりも昔から地球に存在していたと考えただけで、畏怖を覚えます。通常の森林とは全く趣が異なる「古代ブリッスルコーン・パインの森」への旅は、あなたにとって特別な経験となるでしょう。
ダークファンタジーの世界に出てきそうな、老木ブリッスルコーン・パインのねじれた姿
ホワイトサンズ国定記念物
まるで雪原!美しさに目がくらむ白い砂漠
ニューメキシコ州南部の荒野をひたすら車で走った先に待ち受けているのが、雪景色では?と見紛う白い大地。実はこれ、石膏の結晶でできた白い大砂丘地帯ホワイトサンズ国定記念物なのです。石膏は水溶性ゆえ雨で溶けてしまい、砂粒の形で見られることは滅多にありません。このような巨大な白い砂漠として存在するのは、世界的にも非常にまれなようです。しかも通常の砂とは異なり、石膏は太陽のエネルギーをすぐに熱に変えにくく、夏場でも素足で歩くことができます。ソリ遊びも可能なので(ソリはビジターセンターで販売しています)、まさに雪山で遊んでいる感覚に陥ります。果てしなく広がる青い空と白い砂丘だけでも、フォトジェニックな光景ですが、夕暮れ時に辺り一面がオレンジ色に染まる光景も格別です。
広大な白い砂丘の真ん中に立つと、雪山に来たのかと錯覚してしまう
ハヴァス滝
スカイブルーの滝壺へと注がれる桃源郷の水流
グランドキャニオン国立公園から西へ55キロ、ハバス族の居留地に、“グランドキャニオンのオアシス”と呼ばれるハバス・キャニオンがあります。インディアン語で「青緑色に光輝く水のある地」という意味のハヴァスパイ村には、その名前の通り、スカイブルーにもサファイアブルーにも見える美しい滝壺を持つハヴァス滝があり、観光客の注目を集めています。石灰石を含むため、水がそのような色になるようですが、赤色の岸壁、青い滝壺、白く泡立つ水流が作り出す絶景を目の前にすれば、感動で心が震えることでしょう。交通のアクセスがあまり良くないので、まさしく秘境の桃源郷として人気のスポットです。
豊かなブルーの水をたたえるハヴァス滝の滝壺
デスバレー国立公園
米国最低標高、最高気温の“死の谷”で満天の星空を満喫!
ラスベガスから約2時間車を走らせると、カリフォルニア州とネバダ州にまたがる広大な砂漠地帯が出迎えてくれます。そこは、「死の谷」を意味するデスバレー国立公園。総面積は日本の長野県に匹敵する広さで、標高3300メートルの山から海抜マイナス86メートルの米国で最も標高の低い地点まで、様々な地形が存在しています。地形もさることながら、非常に暑い土地で真夏は50℃をゆうに超え、1913年にここで記録された56.7℃が現在も世界の最高気温です。筆者も実際にデスバレーで気温52℃を体験しました。米国で最も乾燥している土地でもあるので、湿度は少なくカラッとしているため、「オーブンで焼かれるクッキーのような気分」だと感じたことを覚えています。砂漠も荒野も山もあり、土地の広大さや日中の灼熱地獄を体験するのも十分に興味深いのですが、園内でキャンプ、もしくはロッジに宿泊し、ぜひとも静寂の中、満天の星空を眺めていただきたいです。大自然の懐に抱かれ、何千年も何万年も前から存在し続けてきた絶景をご自分の目で確かめてください。
デスバレーでは、独りで動く不思議な石も存在。なんでも地面の氷と風の絶妙のコンビネーションが石を動かすのだと、2014年にようやく解明された
ぜひ米国の自然の大きさ、美しさに圧倒される体験を!
アメリカの豊かな自然の魅力は、わずかな言葉で書き表わせるものでは到底ありません。ここに紹介した10ヶ所以外にも、必見ポイントは数え切れないほど存在します。何はともあれ、実際に現地に赴んでその場に佇み、雄大さ、荘厳さ、美しさに圧倒されてください。何も視界をさえぎるものがない壮大な大地を眺めれば、「人生観を変えるほど」という表現が、決して大げさではないことを実感していただけるでしょう。
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この記事のライター
数々のミステリー、アクション小説、伝記本、映画雑誌のインタビュー記事、人気ゲーム関連の邦訳を手がけるキャリア20年の翻訳家。小学2年で読書の悦びに目覚めた本の虫で、読書と翻訳作業で培った知識は、映画、海外ドラマのショウビズ関係はもとより、生物学、医学から欧米の文化、政治、歴史、犯罪、銃器、ミリタリーなど広範囲に及ぶ。日々の生活で「一日一善、一日一爆笑、一日一感動」を心がけ、読者を笑顔にし、読み手の胸に染み入る文章を目指す。米国フロリダ州オーランド在住で、映画、海外ドラマ、アメリカンカルチャーなどの旬な情報も随時発信。