英国靴の最高峰4選|そのラグジュアリーな佇まいに溜息を零す
スーツの発祥の土地である、お洒落の聖地イギリス。本物がわかるイギリスの紳士は、毎日着替えるスーツより、時計と靴にお金をかけます。靴は洗練されたラグジュアリーなものを選び、痛んできたら修理をして、自分の人生のパートナーとして何十年も靴と寄り添います。そんな洗練された紳士にぴったり合う英国靴を、今回4つ選んでみました。
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選ぶべき靴はグットイヤーウェルト製法の英国の紐靴
出典:pixabay.com
グッドイヤーウェルト製法
ハンドソーン・ウェルテッドと呼ばれる手縫いの製法を元に、米国のチャールズ・グッドイヤー2世がそれを機械化し確立した方法。中底に貼り付けられたテープのリブと呼ばれる部分に甲革、裏革と細革と呼ばれる細い帯状の革(ウェルト)を縫い付け(掬い縫い)、その細革とソールと縫合する(出し縫い)。ソールと甲革が直接縫い付けられていないため(複式縫い)、ソールが磨り減った場合はオールソールと呼ばれる、靴底全体を新たなものに付け替える修理が可能である。
英国靴の特徴ともいえる、グッドイヤーウェルト製法は非常に複雑な製法で、一部のブランド靴メーカーでは最後の磨き上げの工程までの作業が250あり、1つ作り上げるまでに約8週間かかるといいます。ここまでイギリスの紳士が靴の製法にこだわるのは、ずっと何十年も履きこなせる耐久性のある靴を求めているからです。
たとえ、靴が傷んでもソールを交換して修理を施し、履き潰すようなことがありません。自分の足に馴染ませながら靴に人生のストーリーを刻み込み、味を出すというのが、英国紳士のポリシー。洗練された男性というのは、このようなポリシーをしっかり持っているものです。ルーツのしっかりした英国靴を選び、本物のクオリティを追求しましょう。
Church’s(チャーチ)
現代人の足型をリスペクトした進化系「グラフトン」
チャーチの歴史と伝統を受け継ぎ、現代人の足に、ぴったり当てはまるように進化された「グラフトン」。その優美で精悍な表情をしたどっしりとした佇まいは、英国高級ブランド靴の伝統を物語っています。角ばりすぎず丸すぎず、ちょうどよいバランスが取れたスタイルと、装飾を施したトレンドを好くモダンなデザインは、現代人の心を掴みます。ダイナイトソールという雨の日にも対応したソールとなっています。
チャーチはあの「007」ボンドが愛用していた靴としても有名ですよね。多くの人々を魅了する英国靴ブランドにはいったいどんな歴史があったのでしょう。
チャーチは1873年、靴作りの聖地メープルストリートに、名匠ストーン・チャーチの曾孫であるトーマスが家族と共に小さな工房を開いたのが始まりでした。当時は存在していなかった左右、形の違う靴と、ハーフサイズの靴を世界で初めて発明し、1881年ロンドンで開かれた靴の博覧会で金賞を受賞。これがきっかけとなり、英国を代表する高級シューズのブランド企業へと発展を遂げたのです。
チャーチの急成長の発端は、物を大切にする英国紳士のセオリーを大切に考え、思いやり、そこから生まれたアイデアに対して決して妥協せず、成長と革新を続けてきたところにあります。創業から140年以上経った今でも、その実直な靴作りの伝統は受け継がれ、世界中の多くの人々に愛されています。
参考価格:104,760円(税込)
Tricker’s(トリッカーズ)
クラシックな趣を這わす究極の一足「バートン ウイングチップ シューズ」
独創的なカントリーブーツが有名なトリッカーズですが、スーツにぴったりなドレスシューズも、もちろんラインナップされています。甲が高くて幅が広く、特徴的なフォルムが人気の秘訣です。全体的にかなり頑丈に作られているため、初めて足を入れたときは少し硬さを感じるかもしれません。しかし、中底のコルクが足裏を優しく包み込み、快適な歩行が楽しめます。
出典:pixabay.com
英国の靴の聖地ノーサンプトンには、一流を語る靴のブランドメーカーがいくつか存在しますが、中でもトリッカーズは1829年創業と古く、長い伝統と歴史を持つカントリーシューズのブランドとして有名です。創業者ジョセフ・トリッカーが手掛ける、頑丈なカントリーブーツやシューズは、雨の日も風の日も対応できるアイテムとして古くから多くのセレブやファッショニスタなどから支持されてきました。
また、英国王室御用達のブランドとして広く知られており、ロンドンでは王室の紋章を使用することを許されています。アンティークで上品なデザインと、ひとつひとつ真心を込めた職人の手法がもてはやされ、今は日本でも大変人気があります。履けば履くほど味が出る、クオリティの高い靴として、さらなる飛躍が期待できそうです。
参考価格:56,500円(税込)
CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
美しい木型のストレートチップ「AUDLEY」
1足作るのに一流の靴職人が約8週間という、時間と手間をかけた至高の一足です。優れた技術から生み出される上品な艶、質感から極上のラグジュアリーを伺わせてくれます。クロケット&ジョーンズの中でも最高峰といわれているライン「AUDLEY」。木型(ラスト)の原型に、内羽根型の何ともいえない美しいラインに惹かれます。美しさだけでなく、機能性もこだわり重視しているので、ビジネスにはぴったり。もちろん冠婚葬祭にも活躍してくれます。
クロケット&ジョーンズの発祥も英国の靴の聖地ノーサンプトンです。1879年、チャールズ・ジョーンズと義理の兄弟ジェームス・クロケットによって設立されました。クロケット&ジョーンズの最大の特徴は、靴作りにおいてのノウハウが非常に優れているという点です。グッドイヤーウェルト製法を施している英国靴のブランドメーカーはどこも優れてはいますが、デザイン、バリエーション、素材選びといった点でどこよりも秀でたセンスと審美眼を持っているブランドといえます。1990年にはクイーンアワード賞を受賞し、その実績は全世界で認められています。
これまで培ってきた伝統や技術はそのままで、新たなる機械でスピードと精巧さを向上させること、そしてクラッシックなデザインでありながら形、色に変化をつけ、常にトレンドにのった商品作りを目指すというクロケット&ジョーンズ。時代の変化に乗っ取った姿勢こそが勝利の秘訣かもしれません。
参考価格 96,120円(税込)
EDWARD GREEN(エドワードグリーン)
美徳を追求した職人技「LICHFILD」
英国のグッドウィル製法の中でも、シャープなラインのエドワードグリーン、リッチフィールド。美徳にこだわり、他と比べてカドガンやカンタベリーなどの穴が小さめに仕上がっています。角ばりすぎず、丸すぎない形が特徴の英国靴ですが、シャープなデザインを好む人はリッチフィールドをお勧めします。細身のデザインながら、軽快な履き心地で、最高級品質の牛革のアンティークな艶が周囲の人々を魅了します。
同じく発祥地ノーサンプトンにて1890年に創立したエドワードグリーン。創業者であるエドワードグリーンは、英国でも稀代の才気煥発な靴職人として、瞬く間にその名を世に広めました。ずっと履き続けられるよう、洗練されたデザインで頑丈、履き心地のよさをとことん追求し、その信念は決して変わることがありません。今も注意深く管理された養成プログラムとして、経験豊富な靴職人が彼の伝統を守りつつ、グッドイヤーウェルト製法の最高峰としての歴史を刻んでいます。
参考価格:165,240円(税込)
お洒落は足元から
英国靴に世界中の人々が注目するのは、いいものをひとつ買って、それをずっと一生大切に使い続けるという、イギリス紳士らしいスマートな姿勢からくるものなのかもしれません。「お洒落は足元から」といいます。一生ものの靴との出会いは、人生の中の一瞬の通過点のように思えますが、実はかけがえのない相棒との一期一会なのです。あなたの足元のお洒落を彩る、素敵な相棒と出会えますように。
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この記事のライター
40代主婦のフリーランスライター。常に情報のアンテナを張り巡らし、バイタリティ漲る情報を発信していきます。