【イタリア人冒険家たち】マルコポーロからコロンブスまで
イタリア人といえば陽気で明るいイメージがありますが、歴史的な冒険家たちをたくさん産んでいます。「黄金の国ジパング」について書いたマルコポーロも、新大陸を発見したコロンブスもイタリア人。イタリアから世界に飛び出た冒険家たちを紹介します。
- 13,678views
- B!
地中海貿易と十字軍の拠点として栄えたイタリアの都市
出典:pixabay.com
ヨーロッパ大陸から長靴のようなかたちで地中海に突き出た半島、それがイタリア半島です。地中海は南はアフリカ大陸、そして東はトルコや中東へとアクセスができます。イタリア半島はそのちょうど真ん中にあり、古代ギリシャやエジプトが栄えた時代から地理的に重要な位置を占めていました。中世にはエルサレムへと向かう十字軍、そしてルネサンスにかけてはアジア貿易の拠点として栄えました。東と西との交差点であったイタリアからは、世界的に有名な冒険家たちが誕生しました。世界に影響を与えた冒険家5人を見ていきましょう。
「東方見聞録」で日本を始めてヨーロッパに紹介したマルコポーロ
出典:pixabay.com
長い間ヨーロッパでは日本は「黄金の国」として認識されていました。その元となったのはマルコポーロの「東方見聞録」です。13世紀にイタリアのヴェネツィア共和国で生まれたマルコポーロ。ヴェネツィアはアドリア海に面する町で、早くから中東との貿易の拠点となりました。そんな環境で育った彼は17歳のときに、貿易商であった父親と叔父と共にアジアに旅をします。元王朝であった中国までたどり着き、そこで見聞きしたものを記したのが「東方見聞録」です。日本は莫大な金を算出し、家が金でできていると書かれています。真偽はともかく、この書物はヨーロッパ人にとって未知のアジアについての書として、後世まで影響を与えます。
西航路を辿って新大陸を発見したコロンブス
マルコポーロの中国への旅から2世紀後に誕生したのがコロンブスです。ヴェネツィアがイタリアの東の港の女王とすれば、コロンブスが誕生したジェノヴァは西の拠点。同じように貿易で栄えましたが、コロンブスが生きた15世紀には東ローマ帝国がオスマントルコ帝国に滅ぼされました。東への航路が断たれることは貿易国にとって死活問題。コロンブスはまだ誰も挑戦したことのない西航路を使って、アジアへの未知の交易路を切り開こうとします。スペインを出発したコロンブスは36日後、現在のアメリカ大陸に到達しました。
書籍名:コロンブス 全航海の報告 (岩波文庫)
参考価格:907円
アメリカの語源となった冒険家アメリゴ・ヴェスプッチ
出典:pixabay.com
コロンブスがたどり着いたのはカリブ海の島、サンサルバドル。しかしアジアを目指していたコロンブスは新大陸ではなく、インドにたどり着いたと思っていました。インドではなく新大陸であることに始めて気付いたのがアメリゴ・ヴェスプッチです。フィレンツェの商人であったアメリゴは、コロンブスが発見した新航路でインドに向かいます。しかしそこがマルコポーロが語った場所と異なることに気づきました。この功績から、ドイツの学者が「アメリゴの国」と呼び、現在のアメリカという言葉が定着しました。
北アメリカを始めて開拓したヨーロッパ人 ヴェラッツァーノ
出典:pixabay.com
もう一人フィレンツェから新大陸に向かった人物がヴェラッツァーノです。アメリゴ・ヴェスプッチが主に南アメリカ大陸を開拓したのに対し、ヴェラッツァーノが探検したのは北アメリカ。現在のアメリカ合衆国からカナダにかけての調査を行い、その内容をフランス王に長文の手紙で送っています。ニューヨークやロードアイランドには彼の名前を冠した橋があり、その功績をたたえています。
西航路の距離を計算して新大陸の扉を開いた学者トスカネッリ
出典:pixabay.com
最後にご紹介したいのが15世紀の科学者トスカネッリです。西に進んでアジアにたどり着けるという学説を説いたのがこの人。実際にどれくらいの距離があり、何日かかるのかという計算を出しました。それを元にコロンブスはスペイン王室に計画を提出し、航海に乗り出したのです。トスカネッリはこれ以外にも太陽の高度を元に正しいカレンダーの計算をしたり、ハレー彗星を見つけたりと大活躍しました。
新しいことにチャレンジする勇気を学ぼう
13世紀から16世紀にかけての冒険家たちを紹介しましたが、彼らに共通するのはチャレンジする勇気。現代のようにインターネットも携帯もない時代、冒険では自分の勘が頼りです。彼らのようにチャレンジ精神を持って取り組んで、新しい世界を切り開いていきましょう。
この記事のキーワード
この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。