【邦画】ちょっと不思議な世界を体験!シュールな日本のコメディ映画おすすめ10選
映画のジャンルの1つになってくるコメディ映画。しかし、コメディと一口にいってもその「笑い」の種類はさまざま。一般大衆向けのものがあれば、ナンセンスなものまで幅広く存在します。また、国によっても笑いどころは違うものです。そこで、今回は日本のシュールなコメディ映画についてご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:pds.exblog.jp
日本流のシュールなコメディ映画を堪能
今ではさまざまなコメディ映画が存在していますが、今回はその中でもシュールな日本コメディ映画に絞って10本をご紹介。ナンセンス過ぎて人によって合う・合わないが出るのは当然。しかし、一歩踏み込んで見てみると、どこか心が救われるかもしれない良作だって存在しますよ。
恋の門
石を使って漫画を描く門(松田龍平)は、20歳になっても未だに女性との性行為のない男性。ロクな仕事にも就かずにフラフラと社会の中をさまよっている中で、コスプレが趣味の恋乃(酒井若菜)と出会います。彼女も同人漫画を描く趣味があり、門は恋乃と出会った日に一目ぼれ。しかし、人と距離を掴むのが苦手な門と恋乃は遠回りをしながらお互いを理解しようとします。
松田龍平と酒井若菜を主演に置き、松尾スズキの監督&脚本によって制作された映画。松尾スズキはシュールな映画や舞台作品を多く手掛けており、「恋の門」もその例に漏れずシュール展開に溢れている作品です。まず、石で漫画を描くことにこだわる門や、出会って早々に門にコスプレをさせる恋乃など、主要人物の思考からぶっ飛んだものになっています。内容はふざけていますが、ものつくりに掛ける情熱は本物。本当にいいものを作るには「恋の門」の登場人物のように狂わないといけないか、そんな思いを抱いてしまう映画でもあります。
クワイエットルームへようこそ
ライターをしている佐倉明日香(内田有紀)は、ある日突然白い部屋で目を覚ました。彼女の手足は拘束具でつながれており、自分の置かれた状況を把握できずにいた。その部屋に入って来た江口(りょう)は、佐倉に「極度のアル中と睡眠薬摂取によって運ばれてきた」と説明する。自分は狂っていないと主張する佐倉だったが、精神状態を検査するために精神病棟での生活を余儀なくされることになった。
内田有紀や蒼井優、妻夫木聡、大竹しのぶなど豪華な出演陣で起こるシュールなコメディ映画。こちらも監督と脚本を松尾スズキが担当し、佐倉の彼氏役には同じ脚本家の宮藤官九郎が出演している。「自分は狂っていない」と主張することの難しさがテーマになっており、精神病棟で巻き起こる異常な現実の中で佐倉が本当の自分を取り戻すための過程を描いています。しっかりしたテーマがあるものの、突然佐倉がナースステーションで脱ぎだすなど、やはり内容はぶっ飛んでいるのでご注意を。また、妻夫木聡のネットオタクの役どころも見どころです。
インザプール
精神科医の伊良部一郎(松尾スズキ)の元には、いつもおかしな患者がやってくる。いつも陰部が立ちっぱなしになっている田口(オダギリジョー)、ストレスを感じてプール通いをはじめる大森(田辺誠一)、強迫観念に捉われた岩村(市川実和子)たちを、伊良部は独特の方法で治療をはじめる。
三木聡が監督と脚本を行い、松尾スズキが主役を務めた映画。それぞれ心の病を抱えた登場人物たちが、伊良部のいい加減に見える治療法によって解決していきます。死体を探しに行く・人前で暴れることを推奨するなど、異常な解決方法がコメディ部分となっており、モヤモヤしたものを感じるときに観ると楽になれる映画です。また、それぞれの患者に起こる精神異常や現象は笑いごとではなく、その原因は何気ない社会生活や人間関係の中にあると思わされる作品でもあります。
川の底からこんにちは
木村佐和子(満島ひかり)は特にしたくない仕事を都会でしながら、子持ちでバツイチの健一(遠藤雅)と生活を送っていた。ある日、佐和子の父親が入院したという知らせを受け実家に戻ることになる。帰った際、佐和子は「しじみ工場を次いでほしい」と言われてしまい、やる気もないまま家業のシジミ工場を継ぎます。人生の底辺をひた走る佐和子は、「しょうがないと思います」とぼやきながら工場のオーナーとして働くことになります。
石井裕也監督で送るシュールなコメディ映画です。人生流されっぱなしの佐和子が父の死とシジミ工場のオーナーになることをきっかけに、さまざまなしがらみを吹っ切って人生の立て直しを行う過程が物語の中心になってきます。とにかく前半はダメダメな主人公ですが、後半から工場でおばちゃん達と働くことを決めた佐和子の変わった姿は必見。吹っ切れてからなりふり構わずシジミが売り出そうとするなど、シュールながら前半とあまりに違う佐和子の姿に抱腹絶倒しないように注意です。
全然大丈夫
遠山照男(荒川良々)は、古本屋の店主をしながら植木職人のバイトをしている中年男性。その彼には小森久信(岡田義徳)という友人がおり、彼が勤める会社に木下あかり(木村佳乃)がやってきます。彼女は何においても不器用で、うまく社会に馴染めずに悩んでいました。そんな彼女はすぐに会社を辞めてしまい、遠山の古本屋で働くことになります。不器用な大人たちが直面する人生の岐路において、それぞれの人生を歩み始めます。
藤田容介が監督と脚本を務める本作。荒川良々や岡田義徳などコアな出演陣で送る映画です。物語もシュールの極みとなっており、遠山が一念発起してお化け屋敷を作り出そうとしたり、あかりはホームレス観察を始めたりします。全体的にゆったりとしたストーリー展開となっており、エッジの効いたギャグとほっこりした物語を観たいときにおすすめです。
鴨川ホルモー
浪人してやっと京都大学に入学した安倍明(山田孝之)ですが、特にやりたいこともなくて一種の燃え尽き症候群のような状態に陥ります。そんなとき、彼は「京大青竜会」という怪しいサークルに加入されます。そのサークルの飲み会にとりあえず参加してみますが、そこで早良京子(芦名星)に一目ぼれ。安倍は早良と一緒に居たい一心で青竜会に入り、謎の「ホルモー」という競技をすることになります。ホルモーとは、自分が小さな鬼を操り、4つのチームに分かれて戦うというものだった。
シュールな作品への出演経験が多い、山田孝之主演のコメディ映画。現実にはない「ホルモー」という競技に巻き込まれた安倍でしたが、早良をライバルに取られたことをきっかけにホルモーへ本格的にのめり込んでいくのが物語の軸となってきます。本作には濱田岳も出演していますが、突然ちょんまげ頭に散髪をするなど笑いどころもバッチリ完備。ほかにも、おかっぱ頭の栗山千明やげスな性格の芦名星など、出演陣と共に尖った設定を楽しめるのが魅力です。
たみおのしあわせ
神埼民男(オダギリジョー)は奥手な壮年期の男性。そんな彼はお見合いで瞳(麻生久美子)と出会い、デートなどを重ねて徐々に仲良くなっていきます。常に民男の人生を第一に考えてきた伸男(原田芳雄)ですが、民男と瞳が仲良くなっていくのに安心して雪江(大竹しのぶ)との交際をスタートします。しかし、瞳は徐々に民男に飽きてしまい、別の異性へと心変わりをしていくのです。
演劇出身の岩松了が監督と脚本を務めた映画。物語の随所に哲学的なセリフが散りばめられており、クスリとした笑いを提供しているのが本作の魅力です。中でも、本作に特別出演している忌野清志郎が放つ「残ったのが友達だろ」は名言。台詞などはシュールなものになっていますが、物語の展開としては地味ながら魅せるものがあります。瞳が惹かれたのは奥手の民男ではなく、なんと彼の父親である伸男。瞳の心変わりを知った伸男は、結婚式当日に民男を連れて逃げ出してしまってこの物語は幕を閉じます。このラストに、あなたならばどのような解釈を与えますか?
罪とか罰とか
B級アイドルの円城寺アヤメ(成海璃子)は、どのような活動をしてもうだつの上がらない女の子。ある日、自分のグラビア写真が雑誌に掲載されることになるが、なぜか逆さまに掲載されていたのです。理不尽な現実につい万引きを起こしてしまい、その罪滅ぼしとして一日署長をすることになります。いきなり署長という立場を手に入れたアヤメですが、警察署にて元彼氏の春樹(永山絢斗)と出会ってしまうのです。
映画と脚本はケラリーノ・サンドロヴィッチが担当。日本らしいシュールな内容で、万引きの罪滅ぼしで一日署長をすることになったり、元カレが殺人衝動に駆られる異常者など設定がカオス過ぎ。自信を持てないアヤメが一日署長であることを自覚し、テキパキと指示を出してコンビニ強盗を取り押さえるシーンは必見。シュールなギャグだけでなく、タイトルの「罪と罰」に関して言及する部分があるなど侮れない作品です。
亀は意外と速く泳ぐ
普通の男と結婚して普通の幸せな主婦をしている片倉スズメ(上野樹里)。彼女はいつしか誰からも見られていないと錯覚するようになるが、終いにはバス停で1人だけ置いてけぼりにされてしまいます。自分の人生に疑問を感じていたとき、彼女は「スパイ募集」という小さなポスターを見つけます。スズメは半信半疑ながら、ポスターに掛かれた住所に向かうことを決めるのです。
三木聡の監督・脚本によって送る脱力系シュールコメディ映画。三木聡とはゆかりのある岩松了とふせえりがスパイ役を演じ、さらに温水洋一や松重豊など実力派俳優もスパイ役として登場です。しかし、誰も真面目なことは語らず、静かに生活しながらスパイ活動を行っています。スズメの日常生活も考え方1つで「スパイ活動」に一変する流れは秀逸。何気ない生活の中に楽しいことや笑えることがあることを教えてくれる映画ですが、ところどころにやってくる「笑い」どころで噴き出さないように注意してくださいね。
インスタント沼
沈丁花ハナメ(麻生久美子)は出版社に勤める女性で、非科学的なことは一切信じません。そんな彼女はある日、自分が編集している雑誌が廃刊となり、辞職することになります。その中で母親の翠(松坂慶子)は河童を探して池に落ちしてしまうなど、辞退はどんどん悪い方向に沈んでいくばかり。落ち込んでいるハナメでしたが、翠が持っていた手紙に行方不明の父親である沈丁花ノブロウ(風間杜夫)のことが書かれていました。ハナメは事態解決を計るため、ノブロウを探すことになります。
監督・脚本は三木聡であり、彼と関係のある役者が多く出演しています。三木流のギャグが本作にも大量に散りばめられていると共に、「信じるものは救われる」がテーマとなっています。たとえば、河童の存在や運命の人など、真実を知らなくても「本当にいる」と信じることで幸せに暮らしている人間で溢れています。三木聡が仕掛けたシュールなギャグの数々だけでなく、沼から竜が出てくる、ハナメが急に骨董品展を開くことに理由を求めてはいけませんよ。
ゆったりと肩の力を抜きたいときにおすすめの10本
今回はシュールなコメディ映画についてご紹介しました。どれもアクの強い映画ばかりですが、どれも肩の力が抜けるのは間違いない映画となっています。笑えなくても全然大丈夫です。理由なんて考えず、おもしろいと感じる気持ちを大事にできる映画をぜひ堪能してくださいね。