2000年の歴史を感じたい 古代ローマの遺跡を巡る旅
2000年以上前にヨーロッパから中東やアフリカにまで大帝国を築いたローマ帝国。イタリアの首都ローマには今でもその時代の遺跡がたくさん残っています。その中でも主要な遺跡を見ていきましょう。
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今でも生き残る古代ローマ帝国の建築
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イタリアといえば本場のイタリアンにサッカーと見所たくさんですが、歴史の長さもその魅力の一つ。首都のローマは2000年前に地中海を制覇したローマ帝国時代にも首都でした。その歴史ある遺跡を今でも見ることができるのがこの町の特徴です。道を歩いていてもこの時代の建物がすぐに目に飛び込んできます。ルネサンスや新古典主義などその後の芸術にも大きな影響を与えたローマの遺跡。主要なものをピックアップしてご紹介します。
古代ローマの象徴 グラディエーターも戦ったコロッセオ
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ローマ帝国の文化はそれに先立つギリシャの文化を多く引き継いでいます。しかしローマ文化の特徴とも言えるのがこのコロッセオ。元は大理石でできていたこの建物の中では様々な催し物が開催されました。映画でも取り上げられ有名になったグラディエーター達が戦ったのもここです。人間対人間、人間対猛獣などの戦いが中央で行われ、ローマっ子達が上の席から観戦していました。その様子を肌で感じられるのがコロッセオの特徴です。ぜひ中に入って当時の気分を味わってください。
大規模な国家の中心地だったフォロ・ロマーノ
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ヨーロッパ、アフリカ、西アジアとすべての大陸に植民地を持ったローマ帝国。その中心がローマでした。フォロとは町の公共機関が置かれた場所です。ローマにあるフォロは膨大な面積を誇った帝国の中心でした。時代とともに廃退してしまったのですが、それが逆に過ぎ去った時代を感じさせます。商業、政治、司法、そして神殿と当時の社会生活に関わるすべてがここで行われていました。様々なドラマを想像しながら歩くのがオススメです。
パリの凱旋門のモデルとなった コンスタンティヌスの凱旋門
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凱旋門と聞くとフランスのパリ中心地にある凱旋門を思い浮かべる方が多いと思います。ナポレオンが戦争での勝利を記念して作ったのですが、モデルになったのはローマにあるこの凱旋門。ローマっ子達は今でもこれが「本物の凱旋門」と言っています。名前にもある通りこの凱旋門はローマ皇帝コンスタンティヌスが勝利を記念して作ったものです。帝国を再統一して専制君主制を築き上げた姿に、ヨーロッパ統一を目指したナポレオンは自分の姿を重ねたのだと思います。後世の建築にも影響を与えたローマの偉大さを感じてください。
ローマすべての神様のために捧げられたパンテオン
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その後の建築に大きな影響を与えたのは凱旋門だけではありません。パンテオンはローマ神話に登場するすべての神様に捧げるための神殿でした。その後4世紀末にキリスト教がローマ帝国の国教となり、ローマの神々が異教として礼拝が禁止されてしまいます。しかしこの神殿はキリスト教の教会としてその後も使用されました。ここの見所は巨大なドーム。直径43mの大きさは古代の石造りの建築物としては世界最大。そしてこの技術が後のルネサンス建築に影響を及ぼしていきます。
墓廟から要塞へと変貌を遂げたサンタンジェロ城
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テルマエ・ロマエで有名になったローマ時代の栄光を代表する皇帝ハドリアヌス。彼が自分のお墓のために建設したのがこのサンタンジェロ城です。しかしその後ローマ帝国は崩壊。サンタンジェロとは「聖天使」と言う意味ですが、590年にローマ教皇がここに大天使ミカエルを見たことから名付けられました。その名前を象徴するように一番上に天使の像があります。このすぐ近くにあるのがバチカン市国です。16世紀にローマ略奪があった時にローマ教皇が逃げたのがこの場所と言われています。バロックの天才ベルニーニの彫刻に飾られた橋も特徴的です。
長い月日を経て現代まで生き残るドラマを感じたい
さて、ローマで見られる主要な遺跡を紹介してきました。2000年前にこのような建築ができたことにまずは圧倒されます。そしてそれに加えて現代までこれらの建築が生き残ったことにも感動を覚えます。数々の天変地異や戦争を乗り越えて現代にまで伝わる2000年前の人々の息遣いを感じてみてください。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。