「ルパン三世 カリオストロの城」。マニア垂涎のクルマたちは?
「ルパン三世 カリオストロの城」。宮崎駿監督の映画初監督作品です。宮崎作品らしく細かなディテールもよく描かれています。その中で特にクルマの描写は秀逸。実際どんなクルマが描かれているかは、マニアでなくても興味が湧くところ。
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マニア垂涎の車種選定と描写
「ルパン三世 カリオストロの城」は、TV放送15回目にも関わらず視聴率が12.4%(2016年10月14日)というお化けアニメ映画です。ストーリーの面白さもさることながら、記念すべき宮崎駿監督第一回監督作品でもあり、宮崎作品の特徴でもある細部のディテールまで細かく描かれていることが人気の秘密です。登場するクルマに関してもマニアックかつ親しみのおける車種選定とマニア垂涎の描写です。後記しますが冒頭のカーチェイスシーンはスティーブン・スピルバーグからも賞賛されたというウワサがあるほどです。そんな「ルパン三世 カリオストロの城」に登場するクルマを今回は紹介します。
Fiat500
Fiat500(フィアット500)。作品を通してルパンたちが乗っていた車がこのFiat500(フィアット500)。冒頭のカーチェイスシーンをかのスピルバーグが「映画史上最も完璧なカーチェイス」と評したという噂があるそうです。Fiat500(フィアット500)は3代存在していますが、ルパンが乗っていたのは2代目です。発売当初は当時流行であったスクーターを高価買取してFiat500に乗り換えさせるというユニークなアイデアの販売方法をとったという逸話が残っています。2代目は「NUOVA 500」と呼ばれ、世界各地に熱烈なファンがいて、スバル・サンバーのエンジンを搭載させたり、電気自動車に改造させたりして乗り続けられているそうです。「フィアット500保護法」と呼ばれている法律もあり、車検期間の延長や自動車通行規制区域への乗り入れ許可があり、排気ガス規制と国内産業活性化の推進に逆行してまでFiat500文化が根付いています。おもしろいのはこの映画の影響で、現行の500でも映画に出てくるFiat500の色で日本国内限定特別仕様車があるそうです。
Citroën 2CV
Citroën 2CV(シトロエン2CV)。冒頭のシーンでクラリスがカリオストロ伯爵の部下たちに追われていたときに乗っていたクルマです。1948年から1990年まで作られたクルマで、「2CV」は、フランス語で「2馬力」を意味しています(実際は3馬力であったとのこと)。経営不振のシトロエンの社長にミシュランのピエール・ミシュランが就任し、「こうもり傘に4つの車輪」、「スタイルは重要ではない」等をコンセプトに作られました。そのため非常にユニークなエクステリアスタイリングとなり、発表時から悪口や嘲笑にさらされ、また無数の冗談の種になり、「醜いアヒルの子」、「乳母車」、などと揶揄されていました。しかし実際は合理的な裏付けの設計、市場のニーズにマッチした自動車として、無類の人気を誇りました。「カー・オブ・ザ・センチュリー」(20世紀を代表する車を選ぶ)の選考過程でベスト26にも入りました。
Humber Super Snipe
Humber Super Snipe(ハンバー・スーパー・スナイプ)。クラリスを追うカリオストロ伯爵の部下が運転していたクルマです。Humber(ハンバー)はかつてイギリスにあったブランドで、のちにルーツ・グループの上級車ブランドとして存在しました。1938年から1967年まで製造された高級車、リムジンです。戦前型からマークI、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、ニュー・スーパー・スナイプとありますが、実際にモデルになっているのはマークⅠと思われます。この車は日本ではあまりメジャーではないようです。一番有名なのがこの映画「ルパン三世 カリオストロの城」といっていいでしょう。
「Fiat500=ルパン」
いかがでしたでしょうか。実はまだ他にも登場しており、この映画以外でもよくルパン三世に登場する、メルセデス・ベンツSSK、銭形警部や機動隊員たちが乗っているパトカーは、日産ブルーバード(410型)(「埼玉県警」の文字がまた味)、機動隊が乗車していたC.M.P 15-CWTトラック(キャブ13型)、不二子が乗っていたバイクは、イギリス製のトライアンフ・ボンネビルです。Fiat500は作画監督の大塚康生氏が当時所有していたとの話もあり、宮崎駿監督やスタッフの趣味もあるとは思いますが、「Fiat500=ルパン」のイメージがすっかり定着してしまったきっかけとなった映画です。
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この記事のライター
クルマとともに育ってきました。趣味はクルマ。出かけるのもクルマです。ドライブ、特に温泉が趣味で、おいしいそばを求めて旅に出ることもあります。