人知れず泣きたい気分の夜はクラシック!オススメ7選

クラシック音楽は、テレビのCMや映画、ドラマにもたくさん使用されるようになりましたね。クラシックの良さは、メロディの美しさにあります。特に短調の「物悲しい」感情をあらわすことは、クラシックの本領発揮の得意分野なのです。

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泣きたいときは悲しい曲がおすすめ

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人生長く生きていると、時には泣きたいくらいつらいことの一つや二つあります。そんなときは、実は思いっきり「泣く」ことが精神的に良いそうです。無理に明るい曲を聴き、感情を発散せずにストレスを溜め込むよりも、「悲しい曲を聴いて自分の心を慰めてあげる」、「泣くためのお手伝い」と言ったら良いでしょうか。つまり、ストレスを溜めて「自律神経失調症」などということにならないためにも、心にグッと刺さるような悲しい曲を聴いてワーッと泣く方が精神衛生上推奨しているということです。ただし、思いっきり泣いたら、次は立ち直るために前を向いて涙を振り切ることをどうぞお忘れなく。
数多い「悲しい」クラシック音楽から7つ選びました。聴いてみてくださいね。

1. モーツァルト レクイエム 涙の日

レクイエムというのは、「死者のためのミサ曲」と邦訳しますが、宗教曲といってしまうとちょっと敬遠してしまうかもしれません。しかし、モーツァルトの最高傑作であるといえます。このレクイエムには、ちょっとした裏話があります。ある日レクイエムを作曲して欲しいと依頼が入りますが、依頼主の素性がはっきりしないのです。モーツァルトは嫌な予感がするのですがお金のために引き受けます。後々、それはある貴族が妻のために自分が作ったことにしてプレゼントしようとしたことが判明しますが、モーツァルトにとっては最期の死の床にあって苦しい状況の中で精魂を込め、命の炎を燃やし切ってしまうように曲を作っていきます。ただ、残念なことに完成することなく、残りを弟子のジュスマイヤーに細かく指示をして残りの作曲を託してこの世を去りました。
そんなモーツァルトの最期の思いは、しっかりと作品ににじみ出ており、聴く人の心を強く揺さぶる名曲として現代まで残ったのですね。ショパンは、亡くなる前に「自分の葬儀にモーツァルトのレクイエムを」と言い残したといわれています。全体はとても長いので、その中から有名な「ラクリモサ」(涙の日」)をお聴きください。

2. フォーレ レクイエム Pie Jesu

ガブリエル・フォーレはフランスの作曲家です。作品は、幅の広い分野におよび、ピアノ曲や歌曲、オーケストラのための曲など数多くあります。パリ音楽院の学院長としても尊敬を集めていたようです。フォーレの作品は、激しく心を揺さぶるというよりも、しんみりとその人の心情に訴えかけてくるような優しさがある気がします。ちょうどその時代は美術では「印象派」の時代でしたので、フワッとした光と影の陰影や湖の静かなさざ波が、音楽の中に「聴こえてくる」ように感じるのではないでしょうか。
フォーレのレクイエムは、死者のために嘆き悲しむというよりも「やすらかな眠りを祈り、天国へと旅立つ様子を表している」ようです。Pie Jesuは、魂の浄化を感じさせるようなソプラノの歌声がとても美しく、そっと悲しみに寄り添ってくれると思います。 

3. バーバー 弦楽のためのアダージョ

サミュエル・パーバーはアメリカの作曲家です。近代の人で、アメリカを代表するといってもよい作曲家ですが、作品はこの曲以外にはあまり知られていないようです。映画「プラトーン」に使用され、クラシックファン以外にも広く知られるようになりました。始まりはとても静かで穏やかですが、徐々に高音域に上がりクレッシェンドされ「哀しみの真っ只中」に突入します。波は次第に穏やかに引いて終始し、悲しみも消えて行くことでしょう。 どなたにも理解しやすく印象的な作品といえると思います。

4. アルビノーニ アダージョ

この曲は、かなり多くの映画やドラマなどに使用されるため聴いたことがあるのではないでしょうか。アルビノーニは1600年代後半のイタリアのバロック時代の作曲家ですが、この曲は代表作といえます。いろいろな楽器に編曲され、300年を超えても愛されている名曲中の名曲です。ヴィバルディの四季と並んで人気のある作品となっています。グイグイと悲しみを誘うタイプの曲で、思いっきり泣きたい人向きだと思います。

5. フォーレ 夢のあとに 

先ほどご紹介しました作曲家フォーレによる、とても短いながらメロディックでよくまとまった曲です。いろいろな楽器用に編曲されていますが、チェロとピアノが有名です。題名の「夢のあとに」という言葉の印象とは違い、かなり切なく哀しみの中に切り込んできます。フォーレの作品は、ふんわりと心に寄り添うと前述しましたが、この作品は例外といえると思います。多くの名匠が演奏していますが、巨匠ロストロポーヴィッチの演奏でどうぞお聴きください。

6. ヴィラ・ロボス ブラジル風バッハ第5番 アリア

ヴィラロボスは、ブラジルを代表する作曲家ですが、意外なことに一般の人にはあまり著名とはいえないかもしれません。膨大な数の作品を残していますが、この「ブラジル風バッハ」は代表曲として知られています。彼の作品は情熱の国ブラジルの熱気を感じさせるものが多く、その中で生涯愛した「バッハ」を意識したこの曲は全く異なる作風であり、異彩を放っています。彼の他のどの作品にも見られない、わかりやすい曲であると思います。全体を通して「宿命感」「あらがえない運命」「ため息と諦め」のような終わりを感じるのではないでしょうか。

 7. ショパン ノクターン 嬰ハ短調 (遺作)

ショパンは、若くしてなくなったことや肺の病気で晩年は作品が作れずにいたことから、作品数はとても少ないといえます。ピアノという楽器に特別な思いを持って作曲したため、交響曲のような編成の大きい作品に全く興味を示さなかったといわれています。かなり特殊な巨匠であり、ピアノ作品のみで今日までどの時代でも愛されてきたことからもショパンの偉大さが伝わってきます。ショパンは、ノクターン(夜想曲)という様式をはっきりと世に広めた人と言われています。ノクターンは曲集として19曲をまとめて出版されていますが、こちらの「ノクターン 嬰ハ短調」は遺作としてショパンが亡くなった後に出版されています。
近年では、「戦場のピアニスト」という映画に使用され有名になりました。実際のポーランドのピアニスト「シュピルマン」という人の第二次世界大戦中のユダヤ人としての不遇と劇的な体験を描いた映画です。アカデミー賞の数々を受賞しています。月明かりで弾くショパンのノクターンのメロディが、せつなく奏でられて涙を誘います。今は亡きシュピルマン本人の演奏でお聴きください。 

悲しい曲で泣いたあとに

いかがでしたでしょうか。悲しいときは、人知れずゆっくりとクラシック音楽を聴きながら泣いてみるのも良いと思います。ご紹介しました曲は、悲しみをいろいろな形で誘うようなものだったと思います。どの曲がお気に召したでしょうか。作曲家の人生を考えながら聴いていると、自分の悲しみをほんの少し忘れられるかもしれません。あなたの悲しみが薄らぐお手伝いができたなら幸いです。

ピアニストが選んだリラックスしたいときに最適なクラシック曲6選

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検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。

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