【兵庫の酒蔵・蔵元巡り】お土産にもおすすめの兵庫の地酒10選
日本で1番の酒どころは、生産量から言っても蔵元の数で言っても兵庫県です。その中から、厳選した10品の地酒を蔵元情報と一緒に紹介します。
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兵庫は酒造り日本1の県!ぜひお土産には地酒をセレクト!
兵庫県に出張や旅行に行ったら、お土産には何を買われますか?兵庫のお土産と言えば、プリンなどの洋菓子が女性にも喜ばれて今はメジャーかもしれませんが、しかしその中に1つぜひ入れていただきたいのが、地酒です。本当は兵庫と言ったら何はさておいても地酒とまで言いたいくらいです。その理由は4つあります。1つは、兵庫県は全国日本酒生産NO1の土地です。2つめは、何といっても灘を代表とする酒造りの郷が、ほかにもいくつもあって、蔵元の数も合計87カ所に上ることです。3つめは、兵庫は酒米といえば第1に名前の挙がる山田錦のそもそもの原産地であり、そして生産量も全国NO1です。4つめは、酒を醸すリーダー役を務める人を杜氏と言いますが、その日本3大杜氏の1つが兵庫県の北部から始まった丹波杜氏であることです。
これだけ兵庫=地酒という条件がそろっていたら、日本酒好きではなくてもぜひお土産にほしいところではないでしょうか。灘を中心に全国ブランドの蔵元も何軒もありますが、いまだに手作りでの醸造を続けている古くからの、そしてうまい日本酒を造る蔵元もたくさんあるので、より取り見取りです。ここではその中から、特徴があって美味しいと評判の地酒とその蔵元を10カ所ご紹介します。
第1選 「福寿 (ふくじゅ)」 神戸酒心館
蔵元セレクトのポイント
灘というと、蔵元が集まっているエリアが1カ所のような印象がありますが、実はその中も5つのエリアに分けれていて、それを「灘五郷」と言います。神戸酒心館はその1つの「御影郷」にあります。大量生産・大量販売に背を向け、麹を中心にほとんどの作業を手作りで行っているので、その生産量はごく少量です。にもかかわらず、ストックホルムで行われた2012年のノーベル賞の受賞後の晩餐会で、この蔵の「福寿」が選ばれ、サーブされました。それほど、世界的に評価されている味だということでしょう。
おすすめの地酒
【福寿 純米吟醸】
・味わい
ブルーのボトルが美しい、ノーベル賞の晩餐会で饗されたお酒です。純米らしい熟した桜桃のような豊かな香りと、「米とは本当は果実なのではないか」と思えるほど爽やかで滑らかな米の旨味を味わえます。すっきりして、味の奥が深いので、生クリームやカッテージチーズとのマリアージュも最高です。
・容量と価格 720ml 1600円
蔵元情報
名称 神戸酒心館
住所 〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17
電話 078-841-1121
HP http://www.shushinkan.co.jp/
第2選 「仙介 (せんすけ)」 泉酒造
蔵元セレクトのポイント
宝暦年間創業の老舗で、ここも灘五郷のうちの御影郷にあります。あまり販売促進を行わず全国の「仙介」ファンが行うイベントでPRするくらいの小さな蔵ですが、味は本格派です。ここの地酒を見つけたら見つけたら即購入、というプレミア蔵です。
おすすめの地酒
【仙介 せんすけ 特別純米おりがらみ無濾過生原酒】
・味わい
兵庫県産山田錦を100%使用にした、しぼりたての無ろ過の新酒を1本1本手詰めしたお酒です。非常に酸を抑えているので原酒にしては軽い感じのフレッシュなお酒で、おりを少し残していることによるはなやいだ香り米のうま味も味わえます。
・容量と価格 1.8L 3000円
蔵元情報
名称 泉酒造
住所 〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-9-6
電話 078-821-5353
FAX 078-851-3214
HP http://www.izumisyuzou.co.jp/index.html
第3選 「奥播磨 (おくはりま)」 下村酒造店
蔵元セレクトのポイント
灘のある神戸市から少し西へ移って姫路の蔵元です。モットーは「手造りに秀でる技なし」で、たった5人の蔵人によって醸されています。そのモットー通り、いまだに機械化も大量生産も行わず、愚直に伝統の手作りによる醸造を行っています。1度に仕込む量は1tまでと決めており、これが業界でも珍しい少量生産です。
おすすめの地酒
【奥播磨 山廃純米スタンダード】
・味わい
山田錦をさらに改良した地元産の兵庫夢錦という酒米を使った、まったりとしたコクのある、米のうま味に満ちたお酒です。冷酒から燗まで、どの温度帯でお楽しめますが、コクを十分に味わうならぬる燗がベスト。焼肉ともマリアージュできるほど、味の濃い料理との相性抜群です。
・容量と価格 1.8L 2,835円 720ml 1,416円
蔵元情報
名称 下村酒造店
住所 〒671-2401 兵庫県姫路市安富町安志957
電話 0790-66-2004
FAX 0790-66-3556
HP http://www.okuharima.jp/index.html
第4選 「龍力 (たつりき)」 本田商店
蔵元セレクトのポイント
日本酒の原料の酒米といえば、超メジャーなのが山田錦ですが、これはこの蔵のある兵庫県の旧・東条町が原産です。その地元であるというこだわりから、龍力で用いている山田錦は、4つに等級分けされる生産地の中でも最高品質を産する特A地区(超優良地帯)のものだけを使っています。特Aというくらいですから、生産量もごくわずか。その希少な酒米を使うことにこだわっているのが、この蔵元です。
おすすめの地酒
【龍力 特別純米 生翫仕込み】
・味わい
特A地区産山田錦100%で、江戸時代から続く伝統的な醸造法で生産した米です。特別純米とは、純米酒よりも精米歩合を上げて、米を磨きあげた証です。味わいは米のうま味がしっかりと感じられる芳醇系で、日本酒通であれば必ずうなる仕上がりです。揚げ物の脂にも負けない力強さを持っている味わいです。常温でも燗でも美味しさが味わえ、その味わいが評価されて「スローフードコンテスト燗酒部門」で最高金賞を受賞しました。
・容量と価格 1.8L 3,000円 720ml 1,500円
蔵元情報
名称 本田商店
住所 〒671-1226 兵庫県姫路市網干区高田361-1
電話 079-273-0151
FAX 079-274-2454
HP http://www.taturiki.com/
第5選 「奥丹波 (おくたんば)」 山名酒造
蔵元セレクトのポイント
兵庫県から日本海寄りに入った丹波市にある蔵元で享保年間創業の老舗蔵元です。この蔵元のおすすめポイントは何といっても、杜氏が黄綬褒章を受章した名人として名高い青木卓夫さんだということでしょう。青木さんの指導の下、有機農法に近い契約栽培米の野条穂などを酒米に使用しています。この野条穂というのは、半世紀前に絶滅した伝説のスーパー酒米で、これを復活させて使っています。まさに兵庫の名蔵元だと言えます。
おすすめの地酒
【奥丹波 純米吟醸】
・味わい
吟醸酒にしてはやや濃厚芳醇系のしっりした吟醸香とうま味のあるお酒です。のど越しはそれでいて爽やかなのは低温発酵させてじっくりを醸したからでしょう。料理を選ばず、食中酒として活躍しそうです。
・容量と価格 1.8L 2800円
蔵元情報
名称 山名酒造
住所 兵庫県丹波市市島町上田211
電話 0795-85-0015
FAX 0795-85-0291
HP http://www.okutamba.co.jp/index.htm
第6選 「播州一献 (ばんしゅういっこん)」 山陽盃酒造
蔵元セレクトのポイント
この蔵元の特徴は、関西エリアで唯一「鉱山貯蔵庫」という元は鉱山だったものをそのまま貯蔵庫とて活用している点です。貯蔵庫の名前は、「明壽蔵」と言い、1年中温度変化が少なく、酒の長期貯蔵と熟成に適した天然のセラーといえます。ここで11月くらいからでき上る新酒をじっくり3年以上熟成し、味に深みとまろやかさを与えています。
おすすめの地酒
【播州一献 平成二十二年度産 明壽蔵】
・味わい
天然のセラーである「明壽蔵」は、扉を閉めてしまえば漆黒の闇になりお酒を光から守ります。またどの季節でも坑内の温度は9℃前後で、お酒を熟成するにはベストの環境。ここで平成22年から7年間熟成させた古酒が「播州一献 平成二十二年度産 明壽蔵」です。味わいは、舌になじむまろやかさと、深い米のうま味が感じられるもので、限定生産のものがすぐに売り切れてしまうのもわかります。興味を持たれた方は、すぐにご注文を。
・容量と価格 1.8L 7000円 720mL 4000円
蔵元情報
名称 山陽盃酒造
住所 兵庫県宍粟市山崎町山崎28
電話 0790-62-1010
HP http://www.sanyouhai.com/
第7選 「白影泉 純米吟醸 しもむら 16BY」 下村酒造店
蔵元セレクトのポイント
この企画を執筆するにあたって、1蔵元1地酒を原則にしようと思っていましたが、長期貯蔵酒を1本紹介すると、やはりこれも紹介したくなったので、その原則を自ら破ります。蔵元は先にご紹介した下村酒造店です。この酒蔵は、非常に醸造レベルが高く、通常のお酒も非常に美味しいのですが、それと並行して造っている長期熟成酒がこれもまたいいのです。
おすすめの地酒
【白影泉 純米吟醸 しもむら 16BY】
・味わい
純米吟醸を長期熟成するとここまで濃厚な味になるのか、と驚かされるほどの密度の濃い味わいです。また、やはり沖縄の長期熟成古酒である「花酒」にも通じるような、あるいはシングルモルトウィスキーにも通じるような琥珀色が見るだけでも楽しみを与えてくれます。10℃前後まで冷やして飲み、それを今度は15℃まで上げて飲むと、味が明らかに変わります。それがぬる燗になるとまた違う顔を見せます。そのどれもが、非常に味わい深く、日本酒の奥深さを感じさせてくれるお酒です。
・容量と価格 1.8L 3569円 720ml 1784円
蔵元情報
名称 下村酒造店
住所 〒671-2401 兵庫県姫路市安富町安志957
電話 0790-66-2004
FAX 0790-66-3556
HP http://www.okuharima.jp/index.html
第8選 「八重垣 (やえがき)」 ヤエガキ酒造
蔵元セレクトのポイント
ヤエガキ酒造はここでご紹介している蔵元の中ではかなり大きく、いくつかグループ会社も抱え、東京にも支社がある「大」企業です。ですが、醸造方法は大企業的ではなく、山田錦、「千寿の水」という名水を源流とする軟水、蔵人の手作りに近い製法の3つにこだわっている蔵元です。醸造するお酒も、なかなかのものです。
おすすめの地酒
【八重垣 特別純米 山田錦】
・味わい
食中酒としてとても優れているお酒です。香りも穏やかで、米のうま味や酸味も軽快でどのような料理にも合います。そういう意味では1本あれば、和食だけではなくフレンチからイタリアンな味付けの料理まですべてにマリアージュできます。それでこの価格ですからコスパも高いといえるでしょう。
・容量と価格 1.8L 2700円 720ml 1350円
蔵元情報
名称 ヤヱガキ酒造
住所 〒679-4298 兵庫県姫路市林田町六九谷681
電話 079-268-8080
FAX :079-268-8088
HP http://www.yaegaki.co.jp/sake/
第9選 「竹泉 (ちくせん)」 田治米
蔵元セレクトのポイント
蔵元の田治米は、兵庫県の北部でる但馬地方にあります。近隣には、最近話題の、観光客が押し寄せる「天空の城・竹田城跡」や生野銀山などがあり、1度は訪れたいスポットです。田治米はその地で長らく醸造を続けている、「コウノトリを育む農法」という農法と、全品を醸造用アルコールを添加しない純米酒だけにするという2つのこだわりを持った蔵元です。「コウノトリを育む農法」は、田んぼを、米の生産地としてだけではなく、現在季節になると飛来してくるコウノトリが餌を食べられるように、その餌となる生き物の生存地にもなるようにしていく農法です。農薬や化学肥料も使用せず、使用していない間の田んぼにも水を張るなど生存環境を作ることなどが内容です。生き物と共存して育てられた稲は、生命力も強く、当然、安全で安心な米になるので、酒米としても自信を持って使える、というわけです。
おすすめの地酒
【竹泉 純米大吟醸 幸の鳥】
・味わい
「コウノトリを育む農法」によって農薬も化学肥料を一切不使用で育てた安心安全な山田錦が酒米の純米吟醸酒です。大吟醸ならではのやわらかな香りと、40%まで磨き上げた米のほどよいうま味のバランスが絶妙のお酒です。それでいて、農薬などの心配もなく飲めるのですから、この価格でも納得です。
・容量と価格 1.8L 10000円 720ml 5000円
蔵元情報
名称 田治米
住所 兵庫県朝来市山東町矢名瀬町545
電話 0796-76-2033
FAX 0796-76-2738
HP http://www.chikusen-1702.com
第10選 「小鼓 (こつづみ)」 西山酒造場
蔵元セレクトのポイント
この「小鼓」というお酒については聞いたことがある方もいるかもしれません。グルメ漫画の代表である美味しんぼの中で、主人公の山岡士郎がこれを飲んで「口に含んだ時のふくよかな旨みが、いったん飲みこむと驚くほど早くスッキリと消える、実にいさぎよい味だ」と評したお酒です。その理由の1つは、醸造に用いている水は、すべて蔵内の井戸水「椿寿天泉」であるからでしょう。この水は超軟水なので、キレ味のよい味わいが生まれるのです。
おすすめの地酒
【小鼓 純米吟醸】
・味わい
山岡士郎が「いさぎよい味」と評したのは、まさにこのお酒です。その通りで、米のうま味はしっかりあるものの、それが口の中にべったり残らずすぐに消えていってしまうので、いくらでも飲めてしまうお酒です。半世紀の間、愛され続けてきた西山酒造場の定番です。
・容量と価格 1.8L 2800円
蔵元情報
名称 西山酒造場
住所 〒669-4302 兵庫県丹波市市島町中竹田1171
電話 0795-86-0331
FAX 0795-86-0202
HP http://www.kotsuzumi.co.jp/officialweb/
灘だけじゃない!兵庫には名酒と名蔵元が目白押し
いかがでしたか?
特に意識をせずこのセレクトをして、選び終えてから驚いたのですが、酒造りの郷として超メジャーな灘の蔵元が10選中2選しか入っていませんでした。別にそれは灘をあえて避けたのではなく、選んでみたら自然にそうなるほど、兵庫には良いお酒を醸す蔵元が多いということでしょう。
本当は出張などで兵庫に行き、その土地の酒屋や、あるいは時間がなければ駅の売店ででも、直接購入したほうが、後で飲んだ時の旅情の思い出の追体験になるのでしょうが、そういう時間がないという方は、基本的にどのお酒も通販で販売していますので、ぜひ探してみて下さい。ただし、生産量がわずかなものも入っていますので、購入するのであればお早めにどうぞ。