世界のウィスキーをめぐる旅 - 国別おすすめウィスキー7選
ラテン語で”命の水”を表し世界中で愛されているウィスキー。スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本のウィスキーは世界5大ウィスキーと呼ばれており、その優れた品質から高評価を得ています。昨今では新たに台湾とインドのウィスキーにも注目が集まり人気が上昇中、今回は世界のウィスキーをめぐる旅にご案内しましょう。
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アイキャッチ画像出典:www.jamesonwhiskey.com
ウィスキーをめぐるワールドツアー
ラテン語で蒸留アルコールを意味する”aqua vitae=命の水”に由来し、古くは15世紀頃から製造が行われていたと伝わるウィスキー。スコットランドやアイルランドで初期のウィスキー蒸留が始まり、次いでスコットランドやアイルランドからの移民によってアメリカで、その後カナダでも造られるようになりました。日本には黒船とともに伝えられたとの説が有力で、将軍家に献上されたとの記録もあるようです。その後鳥井信治郎(サントリー創業者)と竹鶴政孝(ニッカ創業者)によって本格的なウィスキー製造が開始されました。
現在では品質の高いウィスキー製造を行ってきた5ヵ国(スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本)のウィスキーは5大ウィスキーと呼ばれており、その味わい・香りのよさには定評があります。そして新たな注目株がウィスキー新興国の台湾とインド。昨今ではこの2か国をあわせて世界7大ウィスキーといわれています。
今回は各国のウィスキーについて解説してからおすすめする銘柄を厳選してご紹介しましょう。
スコットランド:スコッチウィスキー
グレートブリテン島の北側に位置し、国内に140ヵ所近くの蒸留所を擁するのがスコットランドです。エリア毎にハイランドからアイランズまで6か所に分類されており、それぞれに特徴のあるウィスキーが造り出されています。
エリアと代表的な銘柄
◇ハイランド :グレンモーレンジィ、エドラダワーなど
◇スペイサイド :グレンフィディック、ザ・グレンリベットなど
◇ローランド :ザ・マッカラン、アベラワーなど
◇アイラ :アードベッグ、ボウモア、ラフロイグなど
◇キャンベルタウン:スプリングバンク、ロングロウなど
◇アイランズ :ハイランドパーク、スキャパ、タリスカーなど
スコッチウィスキー規則に法り、糖化・発酵・蒸留・熟成までスコットランドで行われたウィスキーがスコッチウィスキーと呼ばれます。麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)を用いることで独特のスモーキーフレーバーが生まれることも特徴。大麦麦芽を使い単式蒸留器で蒸留されるモルトウィスキーと、トウモロコシと大麦麦芽を使い連続式蒸留機で蒸留されるグレーンウィスキーがあります。
ザ・マッカラン12年
ウィスキー製造に好適といわれるスペイサイド地方で、1824年に創業した歴史深い「ザ・マッカラン蒸留所」。この蒸留所で生み出されるウィスキーは”スコッチウィスキーの王様”とも”シングルモルトのロールスロイス”とも呼ばれており、世界中のファンを魅了しています。
「ザ・マッカラン12年」は、スパニッシュオーク樽で12年以上エイジングされたモルトのみを厳選してヴァッティングしました。スペイサイドで最小といわれるポットスチルから生み出された原酒によって、ザ・マッカランならではのラグジュアリーな味わいと香りを愉しめる逸品に仕上がっています。
【基本情報】
タイプ :シングルモルト
容量 :700ml
アルコール :40%
希望小売価格:9,990円
アイルランド:アイリッシュウィスキー
アイルランド共和国と北アイルランドで製造されるウィスキーで、アイリッシュウィスキー法よって定義されています。主な蒸留所はミドルトン・ブッシュミルズ・クーリー・キルベガンなど、かつては世界のウィスキー市場で半分以上のシェアを占めていたようです。
一般的にピートを用いないためノンスモーキーで穀物由来の味わい、蒸留する回数が多いため滑らかに仕上げられています。そしてモルト+未発酵大麦・オート麦を用いたピュア(シングル)ポットスティルウィスキーは、アイリッシュウィスキーだけの製法です。
ジェムソン シングルポットスチル
ダブリンのボウ・ストリート醸造所を端緒とし、現在はミドルトン蒸留所で製造される「ジェムソン」。1780年にジョン・ジェムソンによって確立されたアイリッシュウィスキー製造技術は、現代にも連綿と受け継がれています。
「ジェムソン シングルポットスチル」は、アイリッシュウィスキーの象徴といえるシングルポットスチルウィスキーで、バーボン樽・シェリー樽・ヴァージンオーク樽の3種を用いて熟成しています。カカオ味やスパイスを感じさせる複雑な味わいと、フルーツやバニラを思わせる甘い香り、ふくよかな余韻に浸れる1本です。
【基本情報】
タイプ :シングルポットスチル
容量 :700ml
アルコール:46%
参考価格 :5,390円
アメリカ:アメリカンウィスキー
アメリカ合衆国で製造されるウィスキーで、バーボンウィスキー・コーンウィスキー・モルトウィスキー・ライウィスキー・ウィートウィスキーなどの種類があります。なかでもバーボンウィスキーやコーンウィスキーなど、原料にトウモロコシを用いたウィスキーが有名です。
ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)
1864年にジャスパー・ニュートン・ダニエルが創業し、テネシーウィスキーを造り続ける「ジャック ダニエル」。バーボンウィスキーの要件を満たして尚かつ、サトウカエデの木炭で1滴ずつ丁寧に濾過するチャコール・メローイングによってテネシーウィスキーは生み出されています。
「ジャック ダニエル ブラック(Old No.7)」はテネシーウィスキーの代名詞といわれる銘柄で、1904年のセントルイス万国博覧会に出品され一躍有名になりました。チャコール・メローイングで磨かれた原酒を自社製オーク樽で熟成、まろやかでバランスの取れた味わいと、バニラやキャラメルを思わせる香りを実現した1本です。
【基本情報】
タイプ :ブレンデット
容量 :700ml
アルコール :40%
希望小売価格:2,550円
カナダ:カナディアンウィスキー
アメリカンウィスキーよりも若干遅い発祥ながら、アメリカの禁酒法時代に発展したのがカナディアンウィスキーです。カナダ国内で製造され原料はライ麦・大麦麦芽・小麦・トウモロコシといった穀物のみ、熟成期間は3年以上と定義されています。ブレンデットやシングルモルトがあり、軽めの口当たりで飲みやすいことも特徴です。
カナディアンクラブ
創業者ハイラム・ウォーカーがオンタリオ州ウィンザーに開設した蒸留所で新感覚ウィスキーとして誕生した「カナディアンクラブ」。紳士の社交場であったジェントルメンズクラブで人気を博したことからクラブウィスキーと名付けられ、カナディアンウィスキーで初めてブランド名を冠しました。
「C.C.」として親しまれる「カナディアンクラブ」は、ライ麦主体のフレーバーウィスキーをメインとしています。スムースでメロウな味わいとバニラ・キャラメル・スパイスを感じさせるフレーバー、軽やかで華やかな余韻を残す仕上げです。
【基本情報】
タイプ :ブレンデット
容量 :700ml
アルコール :40%
希望小売価格:1,530円
日本:ジャパニーズウィスキー
鳥井信治郎と竹鶴政孝によって山崎蒸留所が開設されたことを端緒とし、現在では世界5大ウィスキーの一角を担うまでに成長したのがジャパニーズウィスキーです。IWSCやISCといった権威あるアワードを獲得した銘柄もあり、世界的な人気を博しています。
主な蒸留所は山崎・白州・余市・宮城峡・御殿場などで、サントリー・ニッカ・キリンといった大手メーカーが製造していますが、昨今ではイチローズモルトをはじめとしたクラフトウィスキーの人気も上昇中です。スコッチウィスキーを手本としながらも日本人の嗜好にあわせて飲みやすく仕上げられており、馥郁とした味わい・芳しい香り・和食に合うといった特徴があります。
サントリーシングルモルトウイスキー 山崎12年
かつて千利休が待庵を開いた水生野と呼ばれる名水の地で、三本の川から霧が立ち込める地に建つ「山崎蒸留所」。大正13年に開設された国内最初期の蒸留所で、日本のウィスキーの歴史を造り続けてきました。
「サントリーシングルモルトウイスキー 山崎12年」は、山崎蒸留所で12年以上熟成されたモルト原酒のみを厳選しています。ホワイトオーク樽をメインに、シェリー樽とミズナラ樽の原酒をヴァッティング。奥深く繊細な味わいと、果実やバニラを思わせる香り、馥郁とした余韻が永く続く珠玉の品に仕上げました。
【基本情報】
タイプ :シングルモルト
容量 :700ml
アルコール :43%
希望小売価格:10,000円
台湾:タイワニーズウィスキー
2002年にアルコール製造が自由化された後に造られるようになったのがタイワニーズウィスキーです。台湾は亜熱帯気候に属するためウィスキーの熟成が速く、スコットランドやアイルランドの2~3倍速いともいわれています。主な蒸留所はカバランやナントウですが、小規模な蒸留所の開設も進んでいるようです。
カバラン ディスティラリー セレクト No.1
山脈に囲まれた蘭陽平野の中でも、海と蘭陽渓に近い源山郷に開設された「カバラン蒸留所」。雪山山脈と中央山脈の豊富な天然水をウィスキーの仕込み水に使い熟成はオーク樽で、この蒸留所で生み出されるウィスキーはISCをはじめ数々の栄誉を獲得し世界のファンを魅了しています。
「カバラン ディスティラリー セレクト No.1」は、甘くなめらかな口当たりと濃厚さを併せ持つ華やかな味わい。ブランドを象徴するトロピカルフルーツの熟成香が芳しく香り立つ、カバラン渾身の1本です。
【基本情報】
タイプ :シングルモルト
容量 :700ml
アルコール:40%
参考価格 :5,628円
インド:インディアンウィスキー
世界でもトップクラスのウィスキー国内市場を擁するインドで製造されるのがインディアンウィスキーです。廃糖蜜を原料とし一般的にはラムに分類される製品が多かったインドですが、昨今ではアムルットやジョンといった蒸留所でモルトウィスキーを製造しています。そしてその気候風土によって、台湾と同じく熟成速度が速いことも特徴です。
アムルット インディアン シングルモルト ウィスキー
サンスクリット語で”人生の霊酒”という意味を持つ蒸留所が「アムルット蒸留所」。920mという高地でありながら温暖な気候という特異なテロワールに開設された蒸留所で、インドで初めてシングルモルトを製品化しました。
「アムルット インディアン シングルモルト ウィスキー」は、冷却濾過をせず未着色のままボトリングされました。大麦やオークを感じる甘い口当たりで、確としたリコリス香に加えてカルメ焼きやトフィーが香り立ちます。オーク香が幾重にも重ねられた余韻、新世代のシングルモルトです。
【基本情報】
タイプ :シングルモルト
容量 :700ml
アルコール :46%
希望小売価格:5,698円
世界を巡るウィスキー
スコッチウィスキーからインディアンウィスキーまで、世界には味わい・香りとも様々なウィスキーが揃っています。今夜、貴方のグラスを満たすのはどのウィスキーでしょうか。
※ 掲載内容は執筆時点、基本情報や価格等は参考で変更になる場合があります。
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この記事のライター
信州の曲者が集まるCLUB Autistaに所属する道楽者。車と酒と湯を愛し、ひと時を執筆に捧げる。