ワインの種類徹底解説【産地の違いから味・香りの違いまで】
こんなワインを飲みたいと思っても、どんなワインを買えばよいかわからなかったり。レストランやワイン店で、飲みたいワインや買いたいワインを上手く伝えられなかった事、ありませんか。そんな時に手助けになるのが、ワインのブドウの品種やちょっとした知識。ワインの種類について簡単にまとめました。ワイン選びのヒントにして下さいね。
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お気に入りのワインを見つけるために
レストランやワインショップで、どのようなワインがお好みですか?と質問されても、どう説明したらよいか困った事ないですか。こんなワインを飲みたいと思っていても、具体的にはなかなか言葉が出なかったり、違うニュアンスになったりして、飲みたいワインを伝えられない事って、ありますよね。そんな時に手助けになる知識が、ブドウの品種や種類や産地です。今回は、ワインの種類やブドウの品種、産地の違いから味や香りの違いまでの簡単な解説をまとめました。よかったらぜひ参考にして下さいね。
ワインの種類って何があるの?
ワインと言ったら、思い浮かぶ種類はほとんどの方は、赤ワインや白ワインやスパークリングワインではないでしょうか。しかし、あまり馴染みがない「シェリー」や「ヴェルモット」も実はワインなんです。ワインにもいくつか種類があり、大きく分類すると4種類に分類されます。「スティルワイン」「スパークリングワイン」「フォーティファイドワイン」「フレーバードワイン」の4つ。それぞれご紹介していきますね。
スティルワイン
スティルワインは発泡性のないワイン。一般的にワインと言ったら皆さんが思い浮かべる「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼワイン」や、いま人気の「オレンジワイン」もこれに当てはまります。アルコール度数が9度~15度くらいが多いです。
スパークリングワイン
聞き馴染みがある「スパークリングワイン」。皆さんが思い浮かぶ通り、あの泡がシュワシュワのワイン、発泡性があるワインの事です。代表的なものには「シャンパン(シャンパーニュ)」「スプマンテ」「クレマン」「プロセッコ」「カヴァ」などがあります。
フォーティファイドワイン
聞いた事がない方も多い「フォーティファイドワイン」。「フォーティファイドワイン」は、ブドウを発酵させる醸造工程の途中で、ブランデーや蒸留酒を加え、全体のアルコール度数を15~22度程度まで高くし、コクや保存性を高めたワインの事。代表的なものに、スペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポートワイン」や「マデイラワイン」、ティラミスに用いられるお酒でありイタリアのシチリア島に伝わる「マルサラワイン」があります。アルコール度数が高いワインで「酒精強化ワイン」とも呼ばれています。
フレーバードワイン
「フレーバードワイン」は名前の通り、ワインに薬草や果実、甘味料などを加えたワインの事。代表的なものに、フルーツやスパイスを漬け込んだスペイン生まれの「サングリア」。白ワインにハーブやスパイスを入れた「ヴェルモット」。そしてバーで飲んだ方も多いカクテル「キール(白ワインにカシスを加えたもの)」もこの「フレーバードワイン」に当てはまります。
自分好みのワインを見つけよう
ワインの分類もわかったところで、ここからは自分好みのワインを見つけるべく、そのヒントになる為に。ワインの製法の違いとブドウの代表的な品種を、それぞれ種類別にご紹介致しますね。「白ワイン」「赤ワイン」「ロゼワイン」「スパークリングワイン」「オレンジワイン」「日本のワイン」の種類別にまとめています。
白ワインとは(代表的なブドウ品種)
白ワインと赤ワインでは造り方が違います。白ワインは、黄緑色の「白ブドウ」を使い、ブドウの「皮」を使わず「種」をしっかり先に取り除いて、ブドウの中身の実だけを使って、果汁だけを発酵させたものです。主に果皮の色の薄い白ブドウで、皮を使わず果汁のみの為、色は薄く透明なものとなります。
白ワインと一口にいっても、ブドウの品種によって、味わいはまったく違います。白ワインの抗酸化能力は赤ワインよりも高いと言われ、食中毒予防にも良いとされています。白ワインの代表的なブドウの品種と特徴をご紹介します。
シャルドネ
白ワインの代表的なブドウ品種「シャルドネ」。フランス東部のブルゴーニュ地方原産の白ワイン用ブドウ。世界中で「シャルドネ」のワインは造られ、白ワインの女王とも呼ばれています。私も白ワインの中で一番大好きな品種です。シャルドネは産地の気候や土壌によって、味わいがまったく違います。
ブルゴーニュ地方のスッキリとした辛口白ワインで有名な「シャブリ」のブドウ品種もシャルドネ。白ワインの最高峰とも言われている「モンラッシェ」や「コルトン・シャルルマーニュ」や「ムルソー」もブドウ品種はシャルドネです。香りや色も素晴らしくその奥深く味わいには力強く気品も感じられます。
ソーヴィニヨン・ブラン
フランスのボルドー地方を原産地とする、緑色の果皮をもつブドウの品種。グレープフルーツなどの柑橘系にハーブのニュアンスを伴った、爽やかな香りを放つ、フレッシュでシャープな味わい。その爽やかな辛口の味わいはキリっと冷やして、前菜料理とぴったり。暑い夏場にもぐんぐん飲みたくなる味わいです。
リースリング
ドイツを代表する白ワイン用ブドウ品種。フランスのアルザス地方においてもリースリングは主要品種。白い花、蜂蜜など甘美なアロマを備え、ピュアな酸味とバランスがとれた甘み。爽やかな辛口から甘口のワインまで造られています。ドイツでは甘口のリースリングは主体ですが、フランスのアルザス地方では辛口が主体。辛口と甘口では味わいがまったく違うので、飲み比べてみても面白いですよ。
ヴィオニエ
フランス・ローヌ地方北部のコンドリューの村が原産のブドウ品種。1980年代後半に人気が出るまで、ほぼ原産地周辺のわずかな土地でしか栽培されていませんでした。味わいは、果実の華やかな香りとフローラルな香りがあり、比較的穏やかな酸味があるやや辛口。エスニック料理などの少しクセがある料理にも合いますよ。
ミュスカデ
ミュスカデは「ムロン・ド・ブルゴーニュ」とも呼ばれており、ブルゴーニュ原産のブドウ品種。シュール・リー製法(透明なワインが澱の上にある状態で静置しておく方法)が使われ、味わいは強い酸味を持ち、フレッシュでフルーティーな辛口の軽やかな白ワイン。和食や鍋料理にもぴったり合います。
赤ワインとは(代表的なブドウ品種)
赤ワインとは、一般的に黒ブドウ品種から造られたワイン。黒ブドウとは、黒い皮で覆われたブドウ品種。赤ワインは、果肉と果汁だけでなくブドウの皮と種も丸ごと発酵させます。黒ブドウのつぶした皮や種も一緒に漬け込んで発酵させる為、赤ワインの色の元とタンニンを生み出します。発酵後、皮や種は取り除かれます。赤ワインには白ワインよりもポリフェノール多く含まれており、健康効果は非常に高いと言われております。赤ワインの代表的なブドウ品種を説明します。
ピノ・ノワール
世界一高価なワイン「ロマネ・コンティ」って、聞いた事ありますよね。なかなか飲みたくても飲めないほど高価なワインのブドウ品種はこの「ピノ・ノワール」。ピノ・ノワールはフランス、ブルゴーニュ地方が原産の赤ワイン用ブドウ品種。ピノ・ノワールは単一品種で造られることが多く、気まぐれといわれるほど繊細で栽培が難しいと言われています。透明感のあるルビー色でエレガントで繊細な味わいと華やかな香り。熟成が進めばジビエなどの官能的なフレーバーを重ねていきます。他の赤ワインの品種に比べて酸味が豊かで渋みが少ない為、ワイン慣れしていない方にもおすすめの赤ワインブドウ品種です。
カベルネ・ソーヴィニヨン
世界で最も広く栽培されているブドウ品種。フランスボルドー地方原産の代表的赤ワイン用ブドウ品種。高級ワインとして有名な「シャトー・マルゴー」などのボルドーの5大シャトーから、安く手に入るデイリーワインまで幅広く造られています。小さな粒と分厚い皮、大きな種を持つブドウ。ワインの味わいは、カシスやブルーベリーなどの黒系果実の濃厚な果実味が特徴で、深みのある色合いとしっかりとした渋みを持ち、重厚な飲みごたえ。牛肉の赤身とのマリアージュは最高です。
メルロー
フランス南西部のボルドー地方原産の赤ワイン用ブドウ品種。ボルドー地方で「カベルネ・ソーヴィニヨン」と人気を二分する高貴品種。味わいはカベルネ・ソーヴィニョンほど酸味やタンニンは強くなく、芳醇でまろやかで繊細な味わいで、プラムのような果実の香りが豊か。口当たりはまろやかでなめらか。焼き鳥やハンバーグ、唐揚げやすき焼きなど、肉料理全般に合います。
シラー
フランスコート・デュ・ローヌ地方原産の赤ワイン用ブドウ品種。オーストラリアではシラーズ(Shiraz)と呼ばれています。色合いは、濃い紫を帯びたガーネット色。味わいは、タンニンが豊かでコクがあり濃厚でスパイシー。ブラックベリーなどの果実味と、黒コショウなどの香辛料が入り混じった野性的な香り。力強くスパイシーな味わいなので、香辛料が効いたスパイシーな料理と相性ぴったり。ジビエなどの少しクセがあるお肉料理にも合いますよ。
サンジョヴェーゼ
イタリアのトスカーナ地方が原産の赤ワイン用ブドウ品種。イタリアを代表するブドウ品種で世界全体の栽培量のほとんどがイタリアで生産されています。飲んだ方も多いイタリアの赤ワイン「キャンティ・クラシコ」もこのブドウ品種「サンジョヴェーゼ」のみで造られています。色合いは非常に濃いルビー色。味わいは、酸味とやや強い渋みがあり、フレッシュな果実の香りと香辛料やハーブなどの香り。ピザやパスタや、トマトソースを使ったイタリア料理にぴったり合います。
スパークリングワインとは
スパークリングワインは、3気圧以上のガス圧を持った発泡性のワイン。二酸化炭素を多く含み、開栓すると二酸化炭素がキラキラと輝く黄金色の立ち昇る泡に。フランスのシャンパーニュ地方特産の「シャンパン」もスパークリングワインの一種です。「シャンパン」以外も代表的なものに「スプマンテ(Spumante)」「カヴァ(CAVA)」「クレマン(Cremant)」「プロセッコ」などがあります。白以外にもロゼや赤のスパークリングワインもあり、甘口から辛口まで様々な味わいがあります。
シャンパン(シャンパーニュ)
フランスのシャンパーニュ地方で造られたもののみ名乗れるワイン。ぶどうの品種や栽培、製造方法もフランスのワインの法律で規定された条件を満たしたもののみ、シャンパンと名乗れます。それ故に、ほかのスパークリングワインに比べ、高品質かつ高価格。泡が非常に細かいのが特徴。「ドンペリ」で知られる「ドンぺリニヨン」も、シャンパーニュ地方で造られた高級シャンパンです。
クレマン(Cremant)
シャンパンと同じ伝統製法(瓶内二次発酵方式)を用いて造られた、フランスの定められた地域で造られるスパークリングワイン。代表的なものに「クレマン・ド・ブルゴーニュ」「クレマン・ド・アルザス」などがあります。「クレマン・ド・ブルゴーニュ」は、シャンパン同様シャルドネとピノ・ノワールを基本品種として造られ、シャンパンに匹敵する味わいです。
「カヴァ(CAVA)」
スペインの特定地域で生産される発泡性ワイン。「シャンパン(シャンパーニュ)」と同じ「瓶内二次発酵」でつくられ、スペインのワイン法に基づく製法で造られています。カヴァ(CAVA)という名前は、カタルーニャ語で「セラー」を意味しワインを熟成させる洞窟(CAVA)に由来しています。辛口が多く、スペインの固有品種は酸味が穏やかで果実味が豊かなので、シャンパーニュと比べると飲みやすいものが多いのが特徴。
スプマンテ(Spumante)
イタリアで造られる発泡性ワイン。スプマンテは、イタリア語で「発泡性の」という意味でイタリア語でスパークリングワインを示す言葉。代表的なものにイタリア・ヴェネト州で造られるスパークリングワイン「プロセッコ」や、赤のスパークリングとしも有名な「ランブルスコ」もあります。
ロゼワインとは
ロゼワインは、ピンク色のワインのこと。ロゼはフランス語で「バラ色」の意味。淡いピンク色から赤に近い濃いピンク色、紫がかった濃いピンクなど、様々な色合いがあります。ロゼワインの造り方はいくつかの方法があります。赤ワインの製造と同じ作り方で、果汁の色合いがピンク色になったところで発酵させる方法。白ワインの製造と同じ作り方で、白ブドウを使わず黒ブドウを破砕し圧搾したあと、果汁のみを発酵させる方法。その他、発酵前の白ブドウ果汁と黒ブドウ果汁を混ぜて醸造する方法なども。
ロゼワインは、白ワインと赤ワインの両方の要素があるため、どんなお料理にも相性バツグン。ロゼワインは辛口から甘口まであり、美しいピンク色はお祝いの席にもぴったりです。
デザートワインとは
デザートワインは、びっくりするぐらい甘く、奥深いブドウの旨味とコクがあるワイン。デザートワインは国によってアルコール度数などの定義が異なりますが、甘口~極甘口のワインが「デザートワイン」と呼ばれています。デザートワインは様々な種類があり、代表的なものに「アイスワイン」「貴腐ワイン」「ストローワイン」の3つがあり、種類別にご紹介します。あま~いデザートワインは、甘いスイーツやデザートととっても合います。ギフトにもおすすめです。
貴腐ワイン
貴腐ワインとは貴腐菌ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)が付いた「腐った」ブドウから作られるワイン。貴腐ワインは「世界最高峰の甘口白ワイン」。貴腐香と呼ばれる独特な香りやはちみつ、ドライフルーツを思わせる芳香が感じられます。
フランスボルドー地方の「ソーテルヌ」、ハンガリートカイ地方の「トカイ・アスー」、ドイツQ.m.P最上級糖度「トロッケンベーレンアウスレーゼ」の3つは、「世界三大貴腐ワイン」と呼ばれています。
アイスワイン
ドイツのフランケン地方で誕生したワイン。通常より収穫を遅らせ寒くなる事により、氷結したブドウから造られる極甘口のワイン。甘みと一緒に爽やかな酸味が少し含まれるのがアイスワインの特長。オーストリア・ドイツ・カナダの3国で造られたものしか、アイスワインと名乗ることはできません。
ストローワイン
ストローワインとは、干しぶどうを原料として造られる甘口ワイン。 成熟したぶどうを収穫した後、藁(ストロー)の上に並べて風乾したことから、こう呼ばれるように。干して水分を乾燥させるとブドウの糖度が高くなり、コクのある甘口のワインに。
オレンジワインとは
オレンジワインって知っていますか。いま実はとても人気にワインなんですよ。名前通り、色合いは美しいオレンジ色。オレンジワインは、白ブドウの品種を使い、赤ワインの製法を用いて造られたワイン。白ブドウの皮や種も一緒に発酵することで、成分が抽出されて色がつき、オレンジ色のワインに。日本でも白ワインのブドウ品種「甲州」を使って造られています。
オレンジワインの味わいは、白ワインのような芳醇な香りと、赤ワインのような渋みを合わせもった複雑な美味しさ。その複雑な味わいは、ワインには合わないと言われているお料理にもぴったり合うほど。前菜からメインまでどんなお料理にも合います。
日本のワイン&ブドウ品種
「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して日本国内で醸造されたワイン。これが日本で造られたワインなのと思えるほど、素晴らしく美味しく世界に誇れるワインが沢山あります。小さい造り手も多く、畑と向き合い丁寧で造られ、その味わいは繊細なものが多く、和食にもぴったり合います。日本に住んでいて、美味しい日本ワインを飲んでないなんてもったいないと思えるほどの、クオリティの高さです。
甲州
日本で1000年以上の歴史を持つと言われる甲州ブドウ。甲州は、山梨県固有の白ぶどう品種。「シュール・リー製法」という醸造方法で造られた甲州ワインは、辛口で味に厚みがあり、小樽仕込みで造られたワインは、香ばしいバニラやナッツのようなフレーバーがします。醸造方法の違いで多彩な味わいのバリエーションがあります。辛口から甘口の白ワイン、スパークリングなどのワインがあります。フルーティーな香りに、軽やかですっきり上品な味わいは、野菜料理や魚介を使った繊細さを味わいな和食にもぴったり合います。
マスカット・べーリーA
新潟県上越市の「岩の原葡萄園」創業者「川上善兵衛」によって交配された日本固有の生食、醸造兼用ブドウ品種。日本を代表する黒ブドウ品種。イチゴのような果実の甘い香りで華やかで、渋みも強くなく味わいはまろやか。近年では辛口のものや樽熟成のものも開発されています。フルーティでやさしい味わいのマスカット・ベーリーAには、焼き鳥(タレ)や鰻や豚の角煮など、少し甘みのあるお料理にぴったり合います。
ベリーアリカント
マスカットベーリーAを生み出した「岩の原葡萄園」の創業者である川上氏が交配して開発した日本の土着品種。ベリー・アリカントはまだまだあまり知られていないブドウ品種です。実は私もこのまえ初めて飲み、独特な美味しさにこんなブドウもあるのかと感激しました。そのワインが山梨県の塩山洋酒醸造で造られているベリーアリカント種を100%使用した赤ワイン。しっかりとした味わいと、深い色合いと独特の香り。様々なお料理とマリアージュを試したくなる美味しい赤ワインです。
美味しいワインで素敵な時間を
自分好みのワイン選びのヒントになるような情報はありましたでしょうか。世界や日本にはいろいろなブドウを使った様々な美味しいワインがあります。是非いろいろなワインを試して、楽しく素敵な時間を過ごして下さいね。
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ワインと美味しいものが大好き!穴場のお店を見つけるとテンション高くなります。建築、美術館、本、ドラマ、旅行など、いろんなジャンルに興味があります。