今さら聞けない!渡米前の日本人が知っておくべきアメリカでの10のマナー
バケーション、ビジネス、留学など、渡米する理由は様々でしょうが、滞在が短期でも長期でも、アメリカに着いたら、あなたは日本人の代表です。米国人に悪い印象を与えぬよう、スマートにふるまいたいもの。ここでは、入国審査やセキュリティ、安全確保の最新事情を交え、渡米の前に知っておきたい10のマナーやルールをご紹介します。
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マナーやルールも時代とともに変化!最新米国事情を知って快適な渡航・滞在を
「旅の恥はかき捨て」と言いますが、できることならば「恥」などかきたくないもの。時代とともに、社会情勢やライフスタイルも変わり、アメリカでのマナーやルールも少しずつ変わってきています(時には劇的に変化することも!)。初めて海外に赴く方、過去に渡米したことのある方、短期の出張あるいは旅行の方、ビジネスや留学で長期で滞在することになるという方、事情はなんであれ、これから渡米予定の皆さんに、今こそ知っておいてもらいたいアメリカでのルールやマナー10選をお伝えします。
すでにご存知のものもあれば、これは知らなかった!というものもあるでしょう。いずれにしても、頭の片隅に置いておいていただければ、「知っててよかった」と、役に立つことがあるかもしれません。
持ち込み禁止品
えっ、こんなものまでダメ? 食品、薬品の落とし穴
渡米を控え、荷造りをしているときは、楽しい旅行のことを考え、ウキウキしてしまうと思います。今や、液体、ジェル製品の機内持ち込みが禁止で、スーツケースに入れるか、機内に持ち込むときはジップロックMサイズの大きさの透明でぴったりと封ができるビニールの袋に入れなければなりません。カバンや上着のポケットなどにリップクリームやハンドクリームのチューブなどをうっかり入れたままにしないように気をつけましょう。
鋭利な刃物が機内に持ち込めないのはもちろんですが、ハサミ、爪切り、安全ピンもダメ。眉の手入れ用や携帯ソーイングセットの小さなハサミも許可されません。何かを切る道具、先が鋭く尖ったものはスーツケースに入れましょう。リチウム電池も重量制限などがありますので、各飛行機会社のHPの「機内持ち込み品」について調べるようにしてください。
機内手荷物どころか、スーツケースに入れてもアメリカに持ち込めない品として、生肉や生野菜、生果実、生花などは知られていますが(一部、届け出をして検査を受ければ可能なものもある)、実は、肉エキス入りの菓子やインスタント食品、レトルト食品、ふりかけ、ブイヨン、カレールーなども現在は持ち込み禁止対象となっているのをご存知ですか。ドライフーズだからと安心してはダメなようです。検査官は日本語を話せなくても、「肉」という漢字を覚えていて、原材料で「肉」の文字を見つけると没収するそうです。「梅肉」も「肉」だからと没収された例、「肉エキスの成分が含まれていた柿の種」がダメだった例も、ネットでは語られています。どんなものでも、食品を持ち込む際は必ず申告し、税関でにしっかり説明することが大事です。食品を持ち込もうとしているのに、申告しなかった、あるいは虚偽の申告をした場合は、罰金を払うハメになります。
また、薬に関しても、持ち込み禁止の成分が入った薬剤は要注意。それから、粉状の市販薬だとしても「白い粉末」は誤解されてしまうので、開封前の新品の状態でスーツケースに入れてください。持病があって常備しないといけない場合、医師の診断書とその英訳があると、万が一容疑をかけられたときに安心です。抜きうち検査などで、税関で何時間も足止めを食らうことにもなりかねませんので、常に自分の身の潔白は証明できるように!
機内持ち込み用のバッグの数や大きさや重さについても、最近では各航空会社で規制を設けています。あなたのフライトの航空会社のHPを確認し、空港で大慌てをしないようにしっかり下準備をしてください。
アメリカ行きの飛行機に乗る際、預けるスーツケースの鍵はかけないこと。一時期はTSAロック付きのものなら、施錠して預けても鍵を壊されることはないと言われていましたが、今はTSAロックでも施錠しないでスーツケースを預けるように言われます。運が悪ければ、施錠していなくても、なぜかスーツケースが壊され、閉まらなくなったまま戻ってくることに。そんなときのために、スーツケースベルトはあった方が便利!スーツケースベルトも、留め金がプラスチック製だと受け取りの際に衝撃で壊れていることもあるので、金属製がオススメ。しかし、スーツケースは裏でどれだけ雑な扱いをされているのやら…
こちらのサイトに持ち込めるもの、持ち込めないものが書かれています。荷造りの前に読んでおきましょう
入国審査
トランプ政権でさらに厳しくなり、日本人とて油断は禁物。一方で時短入国も可能に
長いフライトを終え、ようやくアメリカの地を踏んだあなたに待ちける関門が、入国審査です。過去に何度も渡米していても、やっぱり緊張します。9.11テロ以前とは比べものにならないほど厳しくなっていますし、トランプ新政権になってからは、さらに厳しさが増していると言われています。かつては、日本の赤いパスポートを見せただけで、ほとんど顔パス状態だったのが嘘のよう。同時多発テロ以降、顔写真の撮影、親指指紋の採取が加わり、現在では両手の指全ての指紋を取るようになって、質問数も増えたので、入国審査にかかる時間がずいぶんと増えました。とはいえ、日本人のように係官がテキパキ仕事をやるかと言えばそうでもないことも多く、かなりの時間を食う場合が少なくありません。乗り継ぎ便がある方は、入国審査と続くセキュリティチェックを考慮し、最低でも1時間半の余裕を持ってフライトを予約してください。日本からの飛行機が遅れて到着するケースもあるゆえ、最終目的地への到着時間が夜遅くなったりしないのであれば、2〜3時間の乗り継ぎ時間があった方が安心かもしれません。
すでにご承知の方もいるでしょうが、入国審査の流れをごく簡単に説明します。空港によって建物の構造は違いますが、パターンはどこも同じです。
1)アメリカの空港に到着し、飛行機を降りたら、入国審査のフロアへ。同じ便に搭乗していた全員が行き着くところなので、人の流れに従っていけば迷うことはありません。
2)日本人であれば、「Non-US citizen」あるいは「Foreigner」「Visitor」と書かれた列に並びます。つまり、アメリカでの外国人=米国人以外ということです。
3)長い列で待つ間、パスポート、航空券、関税申告書、留学や就労、家族ビザを持っている方は必要書類を手にし、すぐに見せられるようにしておいてください。機内持ち込み荷物からも目を離さないように。
4)列を待っているとき、あるいは列の先頭に来たときにIDのチェックをされる場合もあり、パスポートを表示。航空券をチェックされるときもあります。
5)列の先頭では、空いた窓口を誘導してくれる係員がいて、「〜番の窓口へ行って」(もちろん英語で)と指示してくれる空港もあれば、そういう人いない場所もあります。いずれにせよ、窓口の係官が「Next!(次!)」と手を動かしてあなたを呼びます。呼ばれた先へ行き、パスポートを見せます。
6)無愛想な係官もいれば、優しそうな人もいます。どんな係官に当たるかは運次第ですが、聞かれる質問は大体同じ。基本的には「渡米の理由」「滞在期間」「滞在先」。最近では、単なる「Sightseeing(観光)」だけでは不十分で、どこで何をするのかを根ほり葉ほり聞かれることもありますが、具体的な予定を伝えましょう。現在の職業を聞かれることもありますし、初めての渡航かどうかや、帰りの航空券を持っているかどうか、どこから来たのかなども質問されることも多くなっています。片言の英語でも構いません。相手に伝わるように、はっきりと答えましょう。
ビザの保有者は、パズポートに貼れられたビザと、必要書類を見せます。入国理由が留学でもビジネスでも、「どこで学ぶ(働く)のか」「どのくらい、どこに滞在するのか」と聞かれるので、ここでも具体的に答えます。係官は、自国にテロリストや不法労働者を入れないことが使命ですから、「怪しげな男だな」「不法に労働するんじゃないか、こいつ?」と容疑をかけられないことが大切です。頻繁に商用で渡米しているビジネスマンも、純粋にアメリカ好きで短期間に複数回訪れている学生に対しても、「何度も来てる、なんだか臭うぞ」と疑いの視線を向けてきます。れっきとした理由があって、期限内に帰国するから怪しい者ではございません!という毅然とした態度で臨みましょう。日本人特有の謎の微笑みは全く通用しませんし、質問の内容がわからないのに曖昧な答えを返すのもダメ。わからないときは、「Pardon?(なんとおっしゃいましたか?)」と聞き返してください。
7)続いて右手の指紋(親指以外の4本→親指)、左手の指紋(右手同様)を採取され(小さなモニターの上に指を押しつけるだけ)、顔写真の撮影に移ります(メガネは外してください)。最後にパスポートに入国印を押され、入国審査は終了です!
8)入国審査は冷や汗ものだった人もいれば、「なーんだ、思ったほどじゃなかった」という人もいるでしょう。そのときそのときで雰囲気も質問数も違います。無事に入国審査を終えたら、次は預けておいたスーツケースを受け取り、税関審査。ほとんどの場合は、機内で書いておいた税関申告書を係官に渡し、何も聞かれないか、聞かれてもすぐに終了します。ですが、抜きうちの審査もあり、それに引っかかった人は荷物の中身を確認されます。日本から食べ物(乾物でも缶詰でもお菓子でも)を持ってきていたのに、申告書の「私(私達)は以下の物品を所持しています。a)果実類、野菜類、植物類、種類、食物、昆虫類」の項目で、「いいえ」にチェックを入れていた人はアウト。虚偽の申告をしたことになり、持ってきた食べ物は没収され、厳しいお叱りを受け、罰金を払うハメになります。この項目の日本語で、「食物」は「果実類、野菜類、植物類、種類」と「昆虫類」にはさまれて書かれているし、次のb)の項目で、「肉類」に触れているため、お菓子やお茶、調味料、レトルト加工食品などは申告しなくていいかのように思えるのですが、「食物」であれば、a)の「食物」に該当するので、必ず「はい」にチェックを入れ、具体的な食物名を書く欄に、それに該当する英単語を記入しましょう。あとは、審査の際に聞かれた質問に正直に答えるだけ。「これくらい黙って持ち込んでも大丈夫だろう」と甘く考えて、せっかくのアメリカ滞在の出鼻をくじくことのないように。
最近、日本人でも入国拒否をされた例はありますが、理不尽なものではなく、いずれもそれなりの理由があったからだと思われます。とにかく何度経験しても、清廉潔白であっても、入国審査は緊張するものですが、実は、時間が節約でき、簡単に済ませられる方法があるのを知っていましたか? それが、“Return ESTA”です。ESTAとは、短期滞在希望者が渡米前に申請しておかなければならないビザ代わりのもので、その手続きが済んでいないと飛行機にも乗れません。事前にESTAのページから手続きを済ませておきましょう(有料で、クレジット決済のみ可能)。ESTAはパスポートと紐づけされており、Return ESTAは、同じパスポートで以前渡米して日本に帰っていたけれど、再びアメリカ入りする人が対象(それで、Return ESTA[=帰ってきたESTA保持者]と称されるようです)。これを利用するには、日本人でありながらも「US-Citizen」の列に並び(少しドキドキ。不安であれば現地の係員に聞いてみましょう)、APC(自動パスポートコントロール)と呼ばれる機械で、1)パスポートの顔写真のあるページを読み込ませ、2)家族など同行者の人数を入力、3)指紋を確認、4)顔写真を撮影と、普通の入国審査で行うことを機械でサクサクやってしまいます。機械から出されたレシートのような紙切れを受け取って、入国審査の係官の元へ。あとは上記と同じような質問をされて、旅券にスタンプをもらうのみ。確実に長蛇の列に並ぶよりも時短手続きとなっています。同じパスポートで再渡米する方は試してみてください。
入国審査の時間を短くできる画期的なシステムです
セキュリティチェック
日本の空港とはやや違う!米国内の乗り継ぎ便で目的地に行く場合と帰国便の際に
日本の空港で出発便に乗る前にもセキュリティチェックを受けますが、アメリカ国内で受けるセキュリティチェックは、やや異なる部分があるのでご説明します。あらかじめ知っておけば、面食らうこともありません。
アメリカに着いて、米国内便で乗り継いで最終目的地へ向かう方はもちろんのこと、直航便で目的地に入った方でも帰国する際のフライトの前には、必ずアメリカの空港でセキュリティチェックを受ける必要があります。基本的には、液体物の扱いなどは日本出国のときと同じですが、アメリカはさらに厳しいチェックを受けます。要は、前の人に倣って同じようにすればいいのですが、普段は割りとのんびり行動するアメリカ人も、なぜかここではテキパキと手早く動くので、次の人を待たせないようについ慌ててしまいそうになります。セキュリティチェックのコツと流れを知っておくと便利でしょう。
1)セキュリティチェックの列に並ぶ。長蛇の列か、短いかは、空港と時期によります。大きな空港はいつでも混雑していますが、チェックを受ける箇所も、空港の規模にあわせて複数ありますので、好きな場所を選びましょう。
2)列に並ぶと、係員が来てIDを見せるように言われますので、見せてください。航空券はここでは必要ありません(ただし、見せろと言われたら見せるように)。係員がセキュリティチェックカウンターの前に立ち、そこでIDを確認して、どの列に並ぶか指示する空港もありました。空港によって形式は異なるようです。
3)アメリカでは靴と上着を脱ぎます。脱ぎにくい紐靴は、順番が近づいたら紐を緩めておくといいかもしれません。また、ノートパソコンもケースから取り出さなくてはいけないので、列に並んでいる間に、取り出す準備をしておくといいでしょう。
4)カウンターまで来たら、トレイに荷物を載せていきますが、靴と上着で1つのトレイ(金具が金属探知機で反応するので、男性はベルトも外しています)、パソコンだけで1つのトレイ、手荷物カバンで1つのトレイと、パソコン持ちの人は最低3つのトレイが必要になります。また、小銭、鍵、スマホ、腕時計類は、ズボンのポケットに入れたままでは金属探知機を通過できないので、上着を脱ぐ前にそのポケットに忍ばせておきましょう。万歩計などの小さなものでも、身につけていてはいけません。液体類の入ったジップロックも、カバンから取り出してトレイに入れましょう(荷物と同じトレイでもOK)。指輪、ピアス、ペンダント類は外さなくても大丈夫でした。
5)トレイ類をコンベアに乗せたら、係員の誘導に従い、金属探知機のブースの前に立ちます。現在は、全身が頭から足先まで見渡せる装置の中に入り、その床の足のマーク通りに向きを変え、両手を頭の上に上げます。自動的に装置の透明なセンサー付きの扉が動いてチェックは終了。係員の指示を受け、装置を出て先に進みます。
6)コンベアで流れてきた自分の荷物をトレイから出し、靴を履き、上着を羽織って、出発ゲートへ向かいます。たまに手荷物を受け取る前に、「カバンの中身を確認させてもらいます」と係員から言われ、脇のテーブルでゴソゴソと荷物の中を調べられることもありますが、その場合は靴を履き、服装を整えて待っていてください。あとは、返してもらったバッグにパソコンなどをしまいましょう。いつも自分の身の回りの物から目を離さないように。これは海外では基本です。
ここまで来れば、空港での面倒な検査はもうありません。フライトを楽しんでください。
レディファースト
日本人が忘れがちなマナー。いつもジェントルマンの気持ちで!
昔ほど「レディファースト主義」ではなくなったと言われていますが、それでも、アメリカは女性を優先する国には違いありません。アメリカ国内では、その礼儀に従い、ジェントルマンとして振る舞ってください。何も難しいことはありません。すでに日本でも紳士的な態度をとっている方もいるでしょうが、一応いくつかの例を挙げておきます。
1)困っている女性を目にしたら、知らんぷりしないで助ける。
2)建物の出入りやエレベーターの乗り降りでは、女性を先に通す。
3)買い物などで、連れの女性の重い物、かさばる荷物は持ってあげる。
4)レストランやバーなどで、店内に入ったら連れの女性のコートを脱がせてあげ、店から出るときは着せてあげる。
6)レストランで食事のテーブルにつくときは、椅子を引いてあげる。
7)車の助手席のドアを開けてあげる。といった具合です。歩くときも、エスコートするように優しく隣に並んでください。
連れの女性は、奥さんや恋人に限らず、友人の女性をも含みます。日本のように、男性が女性を気遣わずに、スタスタと先に行ってしまうのは、傍目にも「痛い」男性だと捉えられますので、ご注意を。
ちなみに、自分が建物に入ろうとしてドアを開けたとき、背後で誰かが来ているのがわかったら、それが男性でも女性でも、ドアを開けたままにして待っていてドアを後ろの人に引き渡すのがマナーです。アメリカでは小学生くらいの男の子でも親から教わってできるマナー。子供以下の恥ずかしい大人として見られないようにしてください。
挨拶
Thank you(サンキュー)とExcuse me(エクスキューズ・ミー)とSorry(ソーリー)
日本人は本当に悪いと思っていなくてもすぐに謝るが、アメリカ人は「Sorry(ソーリー)」と滅多に言わない。と、思っている方もいるのではないでしょうか。アメリカ人がすぐに謝らないというのは、裁判などで不利になりそうな事件性のある状況に陥ったときのことで、日常生活では、きちんと謝る礼儀正しい人が多いです。
日本とは比べものにならないほど広いアメリカでも、混み合った店や行楽地では、人にぶつかりそうになります。ぶつかったときはもちろんこと、ぶつかりそうになっただけで、「ソーリー」と謝ります。また、人波を縫うように進むとき、必ず「Excuse me(エクスキューズ・ミー)」(自分ひとりのとき)もしくは「Excuse us(エクスキューズ・アス)」(連れがいる場合)と言って、前の人を追い越したり、誰かの横を通りすぎたりしましょう。自分たちのために横に移動して道を空けてくれた人がいたら、必ず「Thank you(サンキュー)」とお礼を言うのを忘れずに。アメリカでは、「ソーリー」以上に「サンキュー」を聞きます。レストランで食事が運ばれてきたときも、ウィトレス、ウェイターに「サンキュー」、タクシーを降りるときも「サンキュー」、ささいなことでも、何かをしてもらった感謝の気持ちを表現します。
さらに、ホテルのエレベーターに乗ったとき誰かが先に乗っていたら、もしくは自分が乗っているエレベーターに誰かが乗ってきたら、相手に「Hello(ハロー)」、あるいは時間に合わせて「Good morning(グッドモーニング)」「Good afternoon(グッドアフタヌーン)」「Good evening(グッドイブニング)」と挨拶しましょう。相手が先に挨拶してきたら、同じことを繰り返せばいいわけです。咄嗟に英語で返せなくでも、笑顔でうなずいてください。無視するのが一番いけません。どちらかがエレベーターを降りるときに、向こうから「Have a good day(ハバ・グッド・デイ)」と言われた場合は、「You, too(ユー・トゥー)」と返事をするといいでしょう。
日本のように知らない人には知らんぷりということがアメリカではあまりないので、日本人は慣れないかもしれませんが、最低でも、日本人お得意の笑顔で対処してください。
日本でも山登りでは、たとえ知らない人でもすれ違う際には挨拶しますが、アメリカは日常の様々シーンでそれが起きます。山登りは言うまでもなく、ジョギングでも、エレベーターでも、お店でも。慣れていないときは、笑顔だけでも返しましょう。その場合は、言葉を発しなくても失礼にはあたりません
Uber(ウーバー)
タクシーを拾いにくい場所でも、どこでも呼べる便利なシステム
日本では規制が厳しくて、なかなかUber(ウーバー)が導入されていませんが、アメリカではすっかりお馴染みになっています。ほとんどの大都市、観光地では使えますし、タクシーが拾いにくい場所でも、あなたがいる場所まで向こうからやってきてくれるので、本当に助かります。アプリでクレジット決済されるため、実際に金銭を受け渡しがありません(ただし、チップとして2〜3ドルほど渡しましょう。距離が長いときや、運転手さんがとてもいい人で何か手伝ってもらったときには、少し多めに)。しかも、客側がドライバーを評価することができ、ドライバーも悪い評価をつけられると仕事に支障をきたすので、悪徳タクシーのようにツアー客を騙そうとしたりしません。態度も良く、車もほとんどの場合きれいです。ドライバーが客を評価するシステムもあり、評判が悪いお客さんはUberを利用しにくくなります。利用の仕方は、リンク先のHPに詳しく書いてありますので、渡米される方は、出国前にアプリをダウンロードし、基本情報を入力しておいてください。基本的に、近所のおじさんやおばさんの車に乗せてもらうような感覚で、しかもアメリカ人ですから話好きのドライバーが多いです。基本的に現地で暮らす人なので、地元のおいしいレストランや、訪ねるべき名所など、質問すれば正直に教えてくれるはずです。英語での会話が難しくても、片言で構わないので、現地の人との会話を楽しんでみてください。あなたが英語が苦手だとわかると、ドライバーさんは静かにしてくれるか、一方的にしゃべるか、どちらかになると思いますが……。
【イエローキャブが多いことで有名なニューヨークですが、実はUberを利用した方が確実に車が捕まえれるし、安心して、安く利用することができます。今日はUberのアプリの使い方と車種について説明します】
NYでのUberの使い方を丁寧に説明してくれるサイトですが、Uberが利用できる場所ならば、基本的に使い方は同じ
もちろん従来のタクシーも利用できますが、Uberがメジャーになった今では、空港や観光地などでは、「タクシー乗り場」ならぬ「ウーバー乗り場」が。ただし、アメリカではスマホでの配車サービスがUberだけではないので、乗り場は、「APP-BASED RIDE SERVICES」などの名称になっていることも多々あります
チップ
チップレスのお店も増えているが、まだまだ根強いチップ文化
日本人がアメリカに来てとまどう一番のマナーは、チップに関することかもしれません。大都市ではチップレスのお店も増えてきているといいますが、基本的にサービスされたらチップを支払うのが当たり前です。チップを払うべき人は、レストランのウェイトレスやウェイター、ホテルのポ−ター、ホテルのハウスキーピング、ホテルのルームサービス、タクシーやUberの運転手など。レストランでは15〜20%、タクシーは15%、Uberドライバーは数ドル、ホテル関連は最低2ドル(ポーターには、カバンが重かったり、数が多いときは余計に)。この他にも、空港のシャトルバスのドライバーがスーツケースの上げ下ろしをしてくれたときは、荷物1つにつき1ドル渡しましょう。小銭で渡すのは失礼にあたるため、低額のドル紙幣は多めに持っておいた方が便利です。
また最近では、レストランの支払いで、食事代とまとめてチップもクレジット決済することは珍しくありません。その支払いの仕方は、日本ではないことなので、説明しておきます。
1)食事が終わると、ウェイトレス(ウェイター)が請求書がはさまったホルダーをテーブルにもってきてくれます。こちらか「Bill, please(請求書をお願いします)」と頼んでも構いません。
2)請求書を確認し、ホルダーにクレジットカードを挿しておきます。すると、ウェイトレス(ウェイター)がそれをレジに持っていき、精算してきます。精算後、再びホルダーがテーブルに置かれます。そこには返却されたクレジットカードの他に、3枚のレシートが。1枚は、レシートの下の方に「Merchant copy(店側の控え)」と書かれており、もう1枚は同じ箇所に「Customer copy(お客様控え)」とあります。もう1枚はカードの利用明細です。
3)クレジットカードはもう使わないので、お財布にしまってください。そして、「店側の控え」の食事の合計金額の下に、「Tip(チップ)」と「Total(合計)」という2つの空欄があるので、チップの欄に自分で好きな金額を記入し、その下の合計の欄に、食事代金をチップを合わせた総計を記入します。店によっては、控えにチップの15%、または20%の料金がいくらになるかを算出して印字されているものも。
4)チップのみ現金で払う場合は、チップの欄に「cash(現金)」と書き、総計は食事代(税込)のみを記します。現金のチップをテーブルに置くのを忘れずに。紙幣がどこかに行ってしまわぬよう、お皿やコップで紙幣の端を押さえるにして置く人もいます。
5)店側控えには、サインすべき空欄がありますので、署名したらホルダーを閉じ、お客様控えと明細書を持って席を立ちます。
6)あとは笑顔でお店を出るだけ。店員さんと「Have a good day(ハバ・グッディ)」「You, too(ユー、トゥー)」の会話ができると満点ですね。
チップはあくまでも気持ち。ウェイトレス(ウェイター)の対応が良ければ、20%以上あげてもいいですし、不満だらけだったら、1ドルだけ、あるいは払わなくても構いません。ファーストフードやバイキングのお店では、チップを支払う必要はありませんが、店員さんの応対がとても良かったり、何か助けてもらったときは、渡すようにしてください。日本にはない習慣なので、うっかりチップを支払い忘れて、「ケチな野郎」と思われないように!
実際にレストランでもらった「お客様控え(Customer Copy)」。個人のカード情報を伏せるため、一部切り取ってありますが、食事代のみの小計が36.39ドル、税金が2.37ドル、食事代トータルが税込で38.76ドルとあります。下の方には、チップが15%のときは、5.46ドル、20%のときは7.28ドルとあらかじめ算出してくれていますので、どちらかを選んでチップの欄に書き、それと税込食事代38.76ドルと足した総額を「Total」の空欄に書くといいでしょう。お客様控えにも、チップと総計の金額を書いておけば、あとで引き落としされた金額と比較することができます。
くしゃみ
「Bless you(ブレス・ユー)」と言われたら、お礼を言うのを忘れずに
くしゃみひとつとっても、欧米と日本では違うものです。アメリカでくしゃみをすると、その場にいた誰かに「Bless you(ブレス・ユー=神のご加護がありますように)」と言われることが多いのですが、声をかけてくれた人が見知らぬ通りすがりの人であっても、必ず「サンキュー」とお礼を言ってください。無理するのはいけません。
なぜくしゃみをした人に「ブレス・ユー」と言うのでしょうか。それは、もともと、くしゃみをすると魂が抜けると思われており、「ブレス・ユー」という言葉で、魂が戻ってくるとされていたからなど、諸説あるようです。
くしゃみの仕方ですが、これまた日本とは若干異なります。くしゃみをするときに、日本人は手で口を覆う人が多いかと思います。しかし、アメリカではこのやり方はダメです。握手する習慣がある国ですので、くしゃみで雑菌だらけになった手で握手したくない、されたくないということなのでしょう。米国人は、肘を曲げ、肘の内側で口元を隠すようにしてくしゃみをする人が多いように見受けられます。
また、風邪や花粉症でくしゃみが止まらない人でも、マスクをしている人は全くと言っていいほど見かけません。マスクは重病人の証。そんな状態で外を出歩いて、風邪を他の人に移しまくるのは迷惑極まりない、という感覚のようです。もちろんマスクをする、しないは個人の自由ですが、マスクをして道を歩いていたら、間違いなく奇妙な目で見られることでしょう。
くしゃみひとつですが、郷に入れば郷に従えで、きちんとマナーを守ることが大切です。
車のマナー
車を運転するなら、日本と異なる交通ルールは前もって把握しておくべし
国際免許証を持っている人なら、アメリカで憧れのアメ車をレンタルして乗ってみたいと考えている方もいるかもしれません。特にフォードは日本から撤退してしまいましたから、アメリカでしか、なかなか乗れない車になってしまっています。基本的な交通ルールは共通で、標識も大体は把握できます。ですが、細かなところで相違していますので、いくつか紹介したいと思います。
1)言うまでもなく、アメリカの車は右側通行。左側通行に慣れていると、左右の確認、左折右折の感覚が真逆で事故を起こしやすいことをお忘れなく。
2)右端のレーンは、信号が赤でも、右折ができます。左から直進する車が来ないかを確認し、堂々と右折してください。右レーンにいて赤信号で止まっていると、後ろからクラクションを鳴らされます。ただし、右端でも直進できるレーンにいる場合であなたが直進したいときは、青になるまでその場で止まっていもOK。
3)踏切前で一時停止しなくても構いません。ただし、一時停止サインがあるときは止まってください。
4)ショッピングモールや住宅地の敷地内の道路では、スピードを落とさせるためのハンプ(道路が盛り上がった部分)がいくつもあったりします。気づかずにスピードを出したまま通ると、車体の底が擦れたりして衝撃を感じますので、ご注意を。
5)週末、月末には、高速道路でのスピード違反を取り締まりが強化。旅行者とて容赦なく捕まります。道路が広くて、ついついスピードを出したくなりますが、制限速度は守りましょう。
6)マナーの悪いドライバーもたくさんいます。ウィンカーを出さずに曲がる、急停車する、急に無理やり割り込んでくる、などなど。日本以上に運転には注意を払ってください。
7)駐車場は広いですが、駐車場では歩行者も運転者も、周りを気にしない人が多いので、危険です。また、スーパーマーケットなどの大型カートが駐車場の至るところに置きっ放しにされていることもあります。気をつけましょう。
8)アメリカは場所や季節によっては、スコールになったり、トルネードが発生したり、雷雨に襲われたりします。激しい雨で視界ゼロなんてことも。高速道路でも道路の水はけも悪いところもあり、ハンドルが取られがちに。落ち着いて運転しましょう。
アメリカは広大で、地域によって見せる表情が全く違います。安全運転で、楽しくドライブしましょう。以下のリンクに標識などがまとめてあるので、参考にしてください。
こちらのサイトで道路標識などが確認できます
アメリカはフロリダ州のセブンマイル・ブリッジは、ぜひとも車で走ってみたい場所
治安と安全
いつでもどこでも自分の身は自分で守る
最も大切なことかもしれませんが、治安の面でも、アメリカは日本とは違う、ということを常に覚えておいてください。ひと昔前は、日本人はアメリカで置き引きやスリに合わないように、財布とパスポートは肌身離さず!ということが渡米前に一番強く言われていましたが、今は情勢が変わりました。怖いのは、テロです。世界はあちこちで不穏な状態が続き、無差別テロ攻撃が各地で発生しています。アメリカは銃社会ゆえ、いつどこで銃撃戦に巻き込まれるかわかりません。米国の軍人さんに聞いた、万が一、空港など公共の施設でそのような事態に巻き込まれたら場合の基本的な対処方法をここでお伝えしておきます。
1)銃声が聞こえたら、まず身を伏せる。パニックになって立ったまま走り出すと、犯人の思うつぼ。興奮した犯人は、動くものを標的にするため。
2)いつまでもその場に留まらず、銃声とは反対の方向に「身を低くしたまま」逃げることも必要になる。同じ場所に留まっていた場合、犯人は床に倒れた人間にも銃を撃ってくる可能性があるため。
3)時折、遮蔽物の裏に身を隠しながら周囲の様子を確認し、できるだけ銃声から遠い方に逃げること。建物内にいた場合は、人が殺到していない出口を探して速やかに移動する。
こんなふうに冷静にはなれないかもしれませんが、万が一のために、知っておくだけでもいいでしょう。火事などが起きたときの場合に備え、非常口を意識しておくのと同じです。
普段のアメリカは平和ですし、人々もフレンドリーで親切。不安がることはありません。それでも、何が起こるかわからないのが現実です。アメリカ人自身は、危険だと思うところにはわざわざ赴きません。危険な地域は雰囲気でわかるそうです。ゴミがあちこちに散乱している、落書きが多い、家や車が手入れされていないといった場所には、面白がって興味本位で足を踏み入れたりしてはいけません。夜間は絶対にダメです。昼間もできるなら避けましょう。どうしても行ってみたい場合は、その地域の出身者や住人にガイドしてもらうこと。それでも、できれば避けてください。ハメの外しすぎは禁物。大切なのは、自ら危険なところに近づかない、自分の身は自分で守るということです!
人の集まる場所に長時間いない、テロに巻き込まれたら「伏せる」、銃撃に巻き込まれたら逃げ口を探す、誘拐・拉致されたら目立たない、ハイジャックにあったら椅子に身を隠...
当然のことながら、アメリカの銃犯罪の発生率は日本とは比べものにならないほど高い
マナーやルールを守り、楽しいアメリカ滞在を!
不安なことも書きましたが、広大な土地、豊かな自然、スケールの大きな建物、寛容でフレンドリーな人々など、アメリカは素晴らしいところがたくさんある国です。日本とは違った魅力にあふれていますので、思い切り満喫してください。現地でのマナーとルールを守れば、あなたのアメリカ滞在もきっと充実したものになることでしょう。
ここに書ききれなかったマナーもありますが、基本的にジェントルマンの行いは世界共通。人には親切にし、女性に優しく、優雅に行動してください。
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この記事のライター
数々のミステリー、アクション小説、伝記本、映画雑誌のインタビュー記事、人気ゲーム関連の邦訳を手がけるキャリア20年の翻訳家。小学2年で読書の悦びに目覚めた本の虫で、読書と翻訳作業で培った知識は、映画、海外ドラマのショウビズ関係はもとより、生物学、医学から欧米の文化、政治、歴史、犯罪、銃器、ミリタリーなど広範囲に及ぶ。日々の生活で「一日一善、一日一爆笑、一日一感動」を心がけ、読者を笑顔にし、読み手の胸に染み入る文章を目指す。米国フロリダ州オーランド在住で、映画、海外ドラマ、アメリカンカルチャーなどの旬な情報も随時発信。