村上春樹の「おもしろすぎる短編4選」で眠ろう
疲れて仕事から帰ってきた夜。ベッドに入って眠りにつく前、
村上春樹の不思議な世界にちょっと入り込んでみませんか?
嫌な現実もすっかり忘れてしまうことでしょう。
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アイキャッチ画像出典:brutus.jp
レキシントンの幽霊
古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか?椎の木の根元から突然現われた緑色の獣のかわいそうな運命。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極などへ行こうとしたのか…。次々に繰り広げられる不思議な世界。楽しく、そして底無しの怖さを秘めた七つの短編を収録。
出典:www.amazon.co.jp
「氷男」
「私」は、氷男と結婚します。
「氷男」はスキー場でスキーをせず、黙々と本を読んでいました。ある時「私」もスキーをせずに、「氷男」に話しかけてみます。
すると、彼の言葉は空中でマンガの吹き出しのような白い雲となり、はっきりと彼の言葉は文字として見える・・。
さらに「氷男」は彼女の心の中が「わかる」のです。心を読むのではなく、「わかる」のです。
心を通わせていく二人。結婚し、子どもも生まれます。
ですが、彼の心は「冷たい」。優しいし、愛してくれる。が、冷たい。
その「冷たさ」は、南極行きが決まってから決定的なものとなります。
「氷男」の子どもを妊娠し、お腹の中から体温を奪われていく私・・。
不思議な「氷男」の魅力。普通の人間である「私」。
スキー場なのに本を読んでいる不器用な「雪男」の魅力。互いに理解し合い、愛し合っていた頃。
ちょっとしたきっかけで、心が離れて「冷たく」なっていく時期。
様々な観点から読むことができる、不思議な「村上ワールド」お楽しみあれ。
TVピープル
不意に部屋に侵入してきたTVピープル。詩を読むようにひとりごとを言う若者。男にとても犯されやすいという特性をもつ美しい女性建築家。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女。―それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑にみちた六つの短篇。
眠り
「私」は眠れなくなります。病院で治るような「不眠症」ではありません。
眠れないまま毎日を過ごし、家族は「私」が眠れていないことに気づきません。
「私」はブランデーを飲みながら、「チョコレート」を食べながら夜な夜な「アンナ・カレーニナ」を読み耽るのです。
「私」が眠れていないことに気づかない家族の中で、死んだように生活をする毎日。
歯医者の旦那に禁止されたチョコレートを食べながら、学生時代のようなロマンティックな本の世界に浸る。
世の中の主婦なら、しみじみと共感できる作品です。
回転木馬のデッド・ヒート
現代の奇妙な空間―都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。
タクシーに乗った男
「僕」は、仕事のインタビューで、40歳前後の上品な画廊のオーナー「トシコ」に、
「これまで巡り合った中で一番衝撃的だったのはどんな絵ですか?」という質問をします。
そして彼女は、昔ニューヨークで出会った「タクシーの後部座席に座った若い男」の絵について語り始めます。
その後、彼女はアテネの街でその絵の「彼」に出会うのです・・。
なんとも不思議な世界観の作品です。彼女の「女性」、「人間」としての魅力も読み応えがありますし、
「絵」に対する不思議な直感的な「思い」が印書的な作品です。
カンガルー日和
時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。
出典:www.amazon.co.jp
とにかく「不思議不思議の超短編」の連続です。あまり長く読みたくない時も、村上ワールドにぜひ迷い込んでください。
よくわからない?
いいんです!それでいいんです。
なんとなく、この主人公は「話し方が魅力的だ」、
この登場人物の男性は「不器用だが好人物だ」などと思ってみてください。
人間の心が見えてきます。
主人公が本を読んでいる。「ただこれだけのシーンが素敵だ」とか、
「不思議な世界に迷い込めて幸せだ」なんでも良いです。
ただ、村上春樹作品を総じて感じていただきたいことは、「不思議な世界」
が、主人公にはまったく「不思議」ではないことです。現実として、苦しみ、幸せを感じる。
そんな世界を楽しんで眠りについてください。
それでは、おやすみなさい。
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この記事のライター
アロマとハーブ、漢方の資格を持つ。資格の知識を活かした体重管理と美容はストイック。アガサ・クリスティーを筆頭に、和洋ラノベ問わず面白いミステリーを探求中。