「羊たちの沈黙」で有名なハンニバルシリーズ徹底解説!

今なおサイコホラーの代表格として語り継がれる「羊たちの沈黙」。実は続編のあるシリーズものということをご存知でしたか。
世界で一番優雅な殺人鬼ハンニバル・レクターが活躍する全4作品を徹底解説します。

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アイキャッチ画像出典:netflix-fan.jp

ハンニバルシリーズとは

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ハンニバルシリーズとは、アメリカの小説家トマス・ハリスによって書かれた小説およびそれを元に製作された映画シリーズの総称であり、その人気から2013年にはアメリカでテレビドラマ化もされました。
ハンニバルとは登場人物ハンニバル・レクターのことを指し、1981年に刊行された小説「レッド・ドラゴン」で脇役として登場したのことがはじまりです。その後、レクターを主役に1988年に小説「羊たちの沈黙」を刊行、1999年小説「ハンニバル」、2006年小説「ハンニバル・ライジング」が刊行されました。

原作者 トマス・ハリス

1940年アメリカ合衆国テネシー州ジャクソン出身の小説家。大学卒業後、地方紙の記者になり、その後ニューヨークのAP通信社でレポーター兼編集者に就きます。この時期に犯罪の世界へ触れて小説を書くきっかけとなりました。1975年処女作「ブラック・サンデー」がベストセラーになり、その後ハンニバルシリーズを刊行しました。40年以上になる作家生活の中で作品は5作しかありませんが、その全ての作品が映画化されている人気作家です。メディアの前に出ることが少なく作家本人も謎の多いミステリアスな人物です。

テレビドラマ「ハンニバル」

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「ハンニバル」とは2013年から2015年にかけて、デンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセンを主演に製作されたテレビドラマです。
後ほど紹介する映画と同タイトルですが内容は別物であり、1981年に刊行された小説「レッド・ドラゴン」を原作とし、シーズン1(全13話)、シーズン2(全13話)、シーズン3(全13話)で完結となっています。ドラマでは2013年現在を舞台にしているため、小説とは時代設定や人物の経歴に変更があります。日本でも人気のシリーズで、各回サブタイトルにはシーズン順にフランス料理、日本料理、イタリア料理が付けられ、美食家であるハンニバル・レクターを意識した洒落た演出も魅力的です。

人を喰らう男、ハンニバル・レクター

出典:littletrip.diary.to

アンソニー・ホプキンス
1937年イギリス出身の俳優。シリーズ4作中3作にてハンニバル・レクターを演じ、彼の代表作にもなりました。
主な出演作 「冬のライオン」「エレファント・マン」「ジョー・ブラックをよろしく」


少年・青年期を描いた4作目「ハンニバル・ライジング」ではフランスの俳優ギャスパー・ウリエル、テレビドラマ「ハンニバル」ではデンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセンが同一人物を演じています。

シリーズ通して全作品に出てくる唯一の人物。もともとは小説「レッド・ドラゴン」に脇役として登場しましたが、強い存在感を放ち彼が画面に映ると一気に緊張感が増します。
1933年リトアニア出身。著名な精神科医であり猟奇殺人犯である彼は、囚人でありながらレクター博士と呼ばれることもあります。極めて高い知能を持つ彼は独房の中で幅広い書籍から知識を学び、囚人でありながら臨床精神病理学会誌や精神医学会誌に論文を発表しています。また美食家として料理や科学など様々な分野に精通し、そんな彼を崇拝する熱狂的な信者からファンレターが送られてくるなど一部の人間から神と崇めたつられる極めて異質な存在です。普段はゆったりと話す品のある優雅な人物ですが、時折見せる残忍さと人弄ぶ言動にぞっとします。その独特な言い回しと話し方から名台詞も多く、ひとつひとつも全てに台詞に重みを感じます。
AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が企画した「アメリカ映画の悪役ベスト50」にてダース・ベイダーやバッドマンのジョーカーなど人気キャラクターがランキングに揃うなか、見事1位を記録しました。

1.羊たちの沈黙(1991年 118分)

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主人公

出典:tsotl-7.hatenablog.com

クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)
記念すべき1作目の主人公。FBIの訓練生であり、聡明な頭脳と勇敢さ、強い正義感を併せ持つ女性。


ジョディ・フォスター
1962年アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身の女優。本作でアカデミー主演女優賞に輝きました。
主な出演作 「タクシードライバー」「告発の行方」「おとなのけんか」

あらすじ・見どころ

アメリカ各地で若い女性を殺害しその皮を剥がす連続猟奇殺人事件、通称バッファロー・ビル事件が発生しました。FBIアカデミーの訓練生であるクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)はこの事件解明のためある任務を課せられます。その任務とは、天才的な頭脳を持つ元精神科医の猟奇的殺人犯ハンニバル・レクターに事件解明のため協力を求めるというもの。最初は否定的だったレクターでしたが、クラリスが自分の過去を話すという条件で少しずつ協力するようになります。

今なお語り継がれる伝説のサイコホラー

この年のアカデミー賞において、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞、最優秀脚色賞といった主要5部門を独占した名作です。しかもレクター役のホプキンスは、歴代の受賞俳優の中で史上2番目に短い出演時間での受賞だったそうです。小説家トマス・ハリスは原作の執筆に6年もの歳月を費やし、FBI訓練生と天才殺人犯の奇妙な交流を中心に圧倒的なサイコホラーを書き上げました。奇妙なタイトルの意味も観終わると納得します。

2.ハンニバル(2001年 131分)

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出典:blog.goo.ne.jp

クラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)
2作目の主人公。前作の後、訓練生からFBI捜査官へと昇格しますがある事件を機に世間から叩かれ、組織内での立場が危うくなります。


ジュリアン・ムーア
1960年アメリカ合衆国ノースカロライナ州フォートブラッグ出身の女優。前作でクラリス役のジョディ・フォスターが「同じ役は引き受けない」と断ったためジュリアン・ムーアが演じました。
主な出演作 「マグノリア」「エデンより彼方に」「アリスのままで」

あらすじ・見どころ

全米を恐怖に陥れたバッファロー・ビル事件から10年。FBI捜査官となったクラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)でしたが、組織内でのゴタゴタから世間にも叩かれその立場が危ぶまれます。マスコミでクラリスの存在を知った大富豪メイスン・ヴァージャー(ゲイリー・オールドマン)は、忌まわしき因縁の相手であるハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)を探し出すためクラリスと接触を図ります。ちょうどその頃、10年前に脱獄し姿をくらませているレクターから、クラリスのもとに1通の手紙が届きました。

世界が驚愕したレクターの冷酷非道な行動

監督は「ブレードランナー」「ブラック・レイン」で知られるリドリー・スコット。今作で鍵を握るメイスン役は、「ハリー・ポッター」シリーズのシリウス・ブラック役として日本でも人気の俳優ゲイリー・オールドマンが演じています。カメレオン俳優と呼ばれる彼の中でも、毎回6時間かけたという今回の特殊メイクの彼をゲイリーだと判別するのは絶対に不可能です。前作以上にグロテスクで猟奇的なシーンが多く、日本公開時はR-15指定されました。ラストの食事シーンは映画史でも有数の衝撃的シーンです。

3.レッド・ドラゴン(2002年 124分)

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出典:movies.yahoo.co.jp

ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)
3作目の主人公。FBIに所属する異常犯罪の専門家。妻と幼い息子の3人家族。


エドワード・ノートン
1969年アメリカマサチューセッツ州ボストン出身の俳優。ハリウッドきっての演技派俳優で、今作では頭の切れる捜査官を演じています。
主な出演作 「ファイト・クラブ」「インクレディブル・ハルク」「グランド・ブタペスト・ホテル」

あらすじ・見どころ

1980年、FBI捜査官ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)は、犯罪精神科医のハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)から助言を受けて事件を追っていました。犯人を逮捕したもののウィルは重傷を負い引退します。しかし3年後、元上司であるジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)がウィルにある連続一家惨殺事件の捜査協力の依頼にやってきました。一度は断るものの現場復帰をしたウィルは、自力で捜査するもののなかなか犯人が突き止められません。そして彼は、レクター博士のもとへ助言を求めるため再び会いに行きました。

レクターがクラリスと出会う前の物語

3番目に製作されましたが、持系列では1作目「羊たちの沈黙」の前にあたります。3度目のレクター役となるアンソニー・ホプキンスと、シリーズ初出演のエドワード・ノートンの主演2人をはじめ、「ハリー・ポッター」シリーズの「名前を呼んではいけないあの人」ことヴォルデモート卿で知られるレイフ・ファインズ、ハリウッドの名脇役ハーヴェイ・カイテル、その美貌と独自の魅力に「アメリ」のモデルとも言われる女優エミリー・ワトソン、ゴールデン・グローブ賞やトニー賞受賞女優のメアリー=ルイーズ・パーカー、アカデミー賞受賞俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンと豪華俳優陣の共演は必見です。サイコな演出と猟奇的なシーンに目が行きがちですが、人々の感情も丁寧に描いた愛の物語でもあります。

4.ハンニバル・ライジング(2007年 121分)

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出典:njc.hatenadiary.com

ハンニバル・レクター(ギャスパー・ウリエル)
4作目の主人公。リトアニアの名門貴族レクター家に生まれ、両親と妹のミーシャと仲良く生活していました。


ギャスパー・ウリエル
1984年フランス出身の俳優。ハンニバル・レクターの少年、青年期を描いた今作にて主役に抜擢され注目を浴びました。
主な出演作 「SAINT LAURENT/サンローラン」「たかが世界の終わり」

あらすじ・見どころ

リトアニアの名門貴族に生まれたハンニバル・レクター(ギャスパー・ウリエル)は何不自由ない暮らしを送っています。しかし1944年、戦争の影響で両親を失い幼い妹ミーシャ(ヘレナ=リア・タコヴシュカ)と2人で隠れ家生活となりました。逃亡兵に見つかり監禁される2人。過酷な環境にミーシャは死亡、そして8年の月日が流れレクターはソ連の孤児院に収容されていました。成長したハンニバルは、過去の悪夢に悩まされ、ついには逃亡兵たちへの復讐を誓い孤児院を抜け出します。

ハンニバル誕生!レクターの知られざる過去が明かされる

メインキャストにモデル出身のフランス人俳優ギャスパー・ウリエル、世界的アジア人女優のコン・リーを起用し、映画「真珠の耳飾りの少女」で知られるピーター・ウェーバーを監督に、原作者トマス・ハリス自らが脚本を担当しました。シリーズ4作目にして、レクターが人喰いハンニバル(ハンニバル・ザ・カニバル)になるまでを描いた、全ての始まりと言える物語です。前3作と同じキャストはおらずスピンオフ作品のような感覚。気になった人は観て損のない作品です。

最後に

分かり辛かったかもしれませんが、時系列順に並べると4→3→1→2の順になります。
実は、ハンニバルシリーズ初の映画は小説「レッド・ドラゴン」を原作にした映画「刑事グラハム/凍りついた欲望(1986年)」ですが、後に「羊たちの沈黙」が世界的にヒットしたためあまり知られていません。
ストーリーのクオリティも出演者たちの演技も素晴らしく、ホラーに興味がない人でも楽しめるシリーズです。興味のなかった人も是非これを機会にサイコホラーの世界にどっぷり浸ってみませんか。

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都内在住。コーヒーとサンドイッチが大好きで1日1カフェ生活を送っている。夏の定番はレモネード、冬の定番はホットチョコレート。オシャレやヘルシーという言葉に敏感なミーハー系女子。

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