ドイツビールの特徴と種類をおすすめ・人気・有名な銘柄とともに徹底解説
最近ではオクトーバーフェストの流行で日本でも目にすることが多くなったドイツビールですが、飲みたいのに種類や銘柄などよくわからず困った経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?そんな方のためにオクトーバーフェストでバイト経験もある筆者がその特徴と種類、厳選した銘柄を徹底解説します。
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ドイツビールとは
ビールの本場といえばドイツ。なぜそのように言われるのかを探っていきましょう。
まずドイツには「ビール製造にはホップ、麦芽、水、酵母だけを使用すること」という国を挙げて品質を守る法律があります。つまりこの4つの原料以外の副原料の使用は禁止なのです。この法律の起源にはバイエルン公国で1516年に発布された「ビール純粋令」というビールの品質を守る法律があります。元々このバイエルンは世界最古1040年頃に創業したヴァイエンシュテファンや1050年頃に創業したヴェルテンブルガーなどの長い歴史をもつ醸造所が多くありビール醸造で栄えていました。それがよくわかるのがオクトーバーフェストです。今や世界中で行われ、ドイツビールの発展に貢献しているこのこのイベントの発祥はバイエルン州の都市ミュンヘンです。もちろんバイエルン州だけでなく、各都市に地ビールが存在し、ドイツ全土には1277社5000種類ものビールがあるのです。消費量もチェコ、アイルランドに次ぐ世界3位で、年間1人あたり111リットルと水と同じくらいの量を老若男女問わず消費しているのです。スーパーでもジュースや水よりもビールのほうが安いくらいビールはドイツ人にとって欠かせない物なのです。
これらの理由からドイツはビールの本場、ビール大国と呼ばれるているのです。
ドイツビールの飲み方
ドイツでは日本のようにまずはビールという風習はなく、最初から最後までビールを飲み続けます。都市によってはコースターでグラスを塞ぐまで、わんこそばのようにお代わりを持ってこられる風習もあるくらいです。それなのにグラスのサイズは500mlが一般的で、ミュンヘンのオクトーバーフェストでは1lのジョッキしかありません。よく日本のオクトーバーフェストにある300mlのサイズは日本人仕様に作ったものだとか。そのグラスですが、必ず裏にマス目が付いています。これは液体と泡の境目を表すもので、客はこのマス目より泡が下になっている時はぼったくりだと文句をいうことができます。泡はビールの量に含まれないので、500mlのグラスなら500mlきっちりまで液体を、そしてその上に泡というバランスが決められているのです。銘柄ごとにグラスがあるので、買った銘柄のビールを銘柄のグラスで飲めるのは楽しいですよね。
又、日本ではキンキンに冷えたビールが美味しいとされていますが、ドイツでは8度前後で飲むのが一般的です。そのほうが味が誤魔化されず、コクや香りが楽しめるのだそうです。
ドイツビールの種類
ドイツビールの製造方法は主に上面発酵と下面発酵の2種類です。
・下面発酵ビール
下面発酵酵母を使用し、低温(5度程度)で長時間かけて発酵させて作るビール。この製造方法で作られたビールはラガービールとも呼ばれています。
・上面発酵ビール
上面発酵酵母を使用し、常温(20度程度)で短期間に発酵させて作るビール。この製造方法で作られたビールはエールビールとも呼ばれています。
・自然発酵ビール
空気中の酵母菌で自然に発酵させて作るビール。ドイツにはない製造方法で主にベルギービールで用いられています。
ピルスナー
明るい黄金色をした麦芽の苦味と喉越しの良さが特徴のビールです。ドイツ全域で製造され、ドイツ全土の売り上げの6割を占める主流のビールとも言うことができます。日本のビールに一番近く、迷ったらこれを頼むと失敗しないはずです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ全域
ヘレス
ドイツ語の「淡い色」を意味する通り淡い黄金色が特徴的なビール。同じくミュンヘンで飲まれるミュンヘナーを淡い色にしたもので、ミュンヘン子にとってはビールと言ったらヘレスと言っても過言でないほどよく飲まれるビールです。ピルスナーよりも苦味が少なく、麦芽の甘みを感じることができるのが特徴です。ビール初心者にも飲みやすいです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ南部 主にミュンヘン
ミュンヘナー
19世紀にミュンヘンで製造された黒ビールの一種で昔は黒色をしていましたが、現在では明るい色が一般的になっています。麦芽の香りが強いのが特徴です。ヘレスよりは少し上級者向けですが、麦芽の香りをしっかり味わいたい人におすすめです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ南部 主にミュンヘン
ドゥンケル
ドイツ語の「暗い、濃い」を意味する名の通り、火で炙った大麦を50パーセント以上使用するために、色が暗くなっているドイツ南部で飲まれている黒ビールです。麦芽の味わいと香りがしっかりしており、濃厚なのにまろやかでゴクゴク飲めるのが特徴です。黒ビール初心者におすすめです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ南部
シュバルツ
ドイツ語の「黒い」を意味する名前の通り、黒色をしたビールです。ダークラガーと表記されることもあります。ドゥンケルよりも色が濃く、苦味とコクがあります。そのため苦味を味わいたい方におすすめ。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ全域
ボック
ドイツ語で「強い」を意味する名の通り、ドイツ北部のアインベック発祥のアルコール度数が6パーセント以上の強いビールです。春に出荷されるマイボック(5月のボック)、7-12パーセントのドッペルボック(2倍のボック)、リキュールのようなアイスボックの順に通常のボックよりもアルコール度数が高い種類があります。アルコール度を高めるために大量のモルトを使用しているため、ホップの苦味が全くなく甘みが強いのが特徴です。アルコール度数が高いため体が温めるのに最適で、冬に飲むのがおすすめです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ全域
ラホオ
ドイツ語で「スモーク」を意味する名の通り、バイエルン州で中世から作られている伝統的な麦芽を薫製にして製造した薫製ビールです。スモーキーな味わいが特徴的で、非常にクセがあるので好き嫌いが分かれます。好きになれば病みつきになりますが、初心者にはおすすめできないビールです。
製造方法:下面発酵
地域:ドイツ南部 主にバイエルン
ヴァイツェン(ヴァイス)
ドイツ語で「小麦(白)」を意味する名の通り、バイエルン州で発展した小麦を50パーセント以上使用して製造された白ビールです。バイエルンではヴァイス、それ以外の地域で製造されたものはヴァイツェンと呼ばれます。苦味はほとんどなく、フルーティーな味わいが特徴です。甘みが強いので、ビールが苦手な人や女性におすすめです。
製造方法:上面発酵
地域:ドイツ南部 主にバイエル
ベルリーナ・ヴァイセ
ベルリンとその周辺で醸造されるビールで、乳酸菌による発酵もさせているので色が淡く酸味があります。アルコール度数も低く、カラフルなシロップを入れて飲むのが一般的なのでまるでカクテルのようです。女性におすすめしたい日本ではまだ珍しいビールです。
製造方法:上面発酵
地域:ベルリンとその近郊
ケルシュ
ケルンとその近郊でのみ醸造と名乗ることを許可されたビールです。淡い色の麦芽のみを使用しているため明るい黄金色で泡立ちも炭酸も少なく、ゴクゴク飲めるのが特徴です。飲み方にも200mlのケルシュグラスで何度もお代わりして飲む特徴があります。夏場の喉が渇いた時におすすめしたいビールです。
製造方法:上面発酵
地域:ケルンとその周辺
アルト
ドイツ語で「古い」を意味する名の通り、デュッセルドルフとその近郊で古くから続く伝統の製法で醸造されるビールです。濃色大麦麦芽のみを使用しているため琥珀色で麦芽の香りと強い苦味が特徴です。ケルシュと同様にこれも200mlのグラスで提供されます。上級者向けのビールです。
製造方法:上面発酵
地域:デュッセルドルフとその近郊
人気な銘柄
パウラーナ(Paulaner)
1634年創業のキリスト教の断食期間中に飲めるビールを作ったことが始まりの醸造所です。ドイツ政府から正式にオクトーバーフェストのための醸造を許可された「ミュンヘン6大醸造所」の1つであり、各国から技術者が研修に来るなどビール界では有名な醸造所です。特にヘフェヴァイスはドイツシェア1位のヴァイスビアです。
クロンバッハ(Krombacher)
ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州にある醸造所で、ドイツ国内でも限られたビールだけが許可される「スーパープレミアムビール」という称号を持っています。かつてはピルスナーを専門に扱う醸造所だったため、今でもドイツで飲まれるピルスナーの10杯に1杯はこのクロンバッハが飲まれているというほど人気の高いです。そのため言うまでもなく、その香りの素晴らしさから「飲むパン」とも称されるピルスナーがオススメです。
エルディンガー(Erdinger)
1886年創業と歴史は他の醸造所に比べて短いですが、エルディングにあるドイツで最も規模の大きなヴァイツェン専門の醸造所です。そのためヴァイスビアの生産量、売上共に世界一です。そのため言うまでもなく、オススメはヘフェヴァイツェンです。
ヴァルシュタイナー(Warsteiner)
出典:chambeer.net
ノルドライン・ヴァストフォーレン州のヴァルシュタインで1753年に創業された醸造所です。ドイツの1277社5000種類もあるビールの中で国内醸造量、販売量、会社の規模、共に1位の醸造所でもあります。世界的に名水として有名なカイザー・クベッレの泉の水を利用していることが美味しさの理由の1つとしてあげられています。特にピルスナーに定評があります。
有名な銘柄
ヴァイエンシュテファン(Weihenstephaner)
ドイツのバイエルン州にある現存している世界最古の伝統ある醸造所です。1040年頃から修道院で修道士たちによって醸造が始められ、現在はバイエルン州公営となり昔と変わらず高品質な伝統と歴史あるビールを醸造しています。特に数ある種類の中でもへフェヴァイスが人気です。
レーベンブロイ(Löwenbräu)
1383年創業のミュンヘンにあり、ミュンヘンの獅子の称号を持つ醸造所です。ここも「ミュンヘン6大醸造所」の1つであり、本場のオクトーバーフェストで一番人気な醸造所です。日本ではアサヒビールが1983年以降ライセンス生産しているので、比較的容易に入手できます。特にコクとキレのバランスが良いピルスナーがオススメです。
シュパーテン(Spaten)
出典:chambeer.net
1397年創業、ミュンヘンで最も古くから存在し、「ミュンヘン6大醸造所」にも含まれる老舗の醸造所です。ラガー製法のビールを発明した本家本元の醸造所として有名です。そのためオススメは伝統的な製法で醸造されるミュンヘナーヘルです。1922年にヴァイツェンの代表銘柄として世界的に有名なフランツィスカーナーと合併しており、現在はそれぞれの良さを引き継いだ醸造を行なっています。
ホフブロイ(Hofbräu)
出典:chambeer.net
1589年に宮廷のためのビールを醸造する目的で創業したため、名前の起源が「国王のためのビール」である由緒正しき醸造所です。「ミュンヘン6大醸造所」の1つでありこの醸造所が運営するビアホール「ホフブロイハウス」は世界的に有名です。オススメはオクトーバーフェストのために作られる「フェストビア」です。
おすすめの銘柄
ハッカー・プショール(Hacker-Pschorr)
ミュンヘンにある、1417年創業の醸造所です。「ミュンヘン6大醸造所」の1つであり、味にうるさいミュンヘン子に愛され続けているオクトーバーフェストで大定番の醸造所でもあります。特にミュンヘナーヘレスはどの料理とも相性がよく、人気のビールです。
ヴェルテンブルガー(Weltenburger)
出典:chambeer.net
ケールハイムで7世紀に設立されたヴェルテンブルク修道院によって1050年頃に創業された世界でも有数の歴史を持つ醸造所です。ヴェルテンブルク修道院醸造所一押しのビールはバロック・ドゥンケルで、2004年アメリカで開催された『ワールド・ビア・カップ(WBC)』で金賞を受賞した実力を持ち、国際的にも評価が高いです。
シュナイダーヴァイセ(Schneider Weisse)
ヴァイスビールを唯一作っていたバイエルン王室のビール職人ゲオルク・シュナイダーⅠ世が1872年に設立した醸造所です。ルートヴィヒⅡ世によりヴァイスビールの製造が中止し、絶滅の危機にある時この人物がその権利を売却したため、バイエルン州最古のヴァイスビール醸造場となっています。今もなお家族経営で昔と変わらぬ味を守っており、オススメはオリジナルと言われるヴァイスです。
プランク(Plank)
バイエルン州の人口約5000人のLaaberという村で1617年に創業した醸造所です。家族経営で現在も14代目が味を受け継ぐ小規模醸造所です。しかし小規模にもかかわらずアメリカで2年に1度開催される『ワールド・ビア・カップ(WBC)』で2002年以降毎回受賞しているという実力を有しています。オススメは何度もWBCで賞を得ているヴァイツェン・ボック です。
これであなたもドイツのビール通!!
いかがでしたか?今回紹介した以外にもまだまだ沢山の銘柄があります。又、オクトーバーフェスト以外にも色々なお店でドイツビールを飲むことができますよ。ぜひデートや飲み会でここで知った知識を活かして活躍してください。これであなたもドイツのビール通です!!
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この記事のライター
生まれも育ちも横浜の浜っ子女子大生。「自分の気持ちに素直に」をモットーに思い立ったらすぐ行動を心がけている今日この頃。特に旅行やスポーツ、グルメが大好き!!