波照間島の小さな酒造所!幻の泡盛「泡波」を求めて
皆さんは泡盛にどんなイメージをお持ちでしょうか。「臭い」「アルコール度数が高い」と他の焼酎とは一線を画す特徴を持っています。ところが、今はそんなイメージはどこへやら、飲みやすくソフトな泡盛が増えています。優しい泡盛の中から、波照間島の気候が生み出す幻と呼ばれる「泡波」をご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:awanami.net
そもそも泡盛はどんなお酒
そもそもも泡盛とはどんなお酒なのでしょうか。特徴は次の4点です。
1 原料にタイ米を使用する
2 黒麹菌を用いる
3 仕込みは1回だけの全麹仕込み
4 単式蒸留機で蒸留する
原料としてタイ米を使用するのは、硬質でサラサラとしたインディカ米の特性が泡盛作りに適しているためです。
日本酒は黄麹、焼酎は白麹が一般的ですが泡盛は黒麹を使用します。高温多湿な亜熱帯海洋性気候が関係し、黒麹菌が製造過程で生成する大量のクエン酸が雑菌による腐敗を防ぐことから、最も適した麹菌として用いられているのです。
全麹仕込みとは、原料であるタイ米と黒麹、酵母を混ぜ合わせて一気に仕込んでしまうという、非常にシンプルな方法をとります。これも高温多湿な気候で雑菌の繁殖を抑える必要から生まれました。
単式蒸留を行う理由は、手間はかかるものの原料の風味を余すことなく酒の中に閉じ込めることができるからで、こうして沖縄独特の泡盛は完成します。
「泡波」について
出典:photozou.jp
沖縄県の八重山諸島、有人島として民間人が日常的に訪問できる日本最南端の「波照間島」で作られる泡盛です。泡波を造る「波照間酒造所」は、生産量が少なく泡盛独特の寝かして作る「古酒」はなく一般酒のみを製造しています。ここでは直接の販売は行っていません。
種類
銘柄はアルコール度数が30度の「泡波」1種類のみ。容量の違いによって6種類が販売されています。
・100ml(ミニボトル) 茶瓶・白瓶
・360ml(二合瓶)
・600ml(3合瓶)
・1800ml(一升瓶)
・4500ml(二升半瓶)
特徴
泡波を醸造する際に使われる波照間の地下水は微妙に塩分を含んでいる。それが飲んだ時のソフトな香りと甘さを感じるまろやかさとなり、杯を重ねるごとに味わい深く、水割りをするとより香りと味が引き立ちます。以前は麹を焼きすぎて麹の味が残りすぎると言われるほどに癖が強かったそうですが、今は「飲みやすさ」を第一に造られているそうです。
飲み方
泡盛本来の味を楽しむには、そのままストレートでチビチビと飲むのがおすすめですが、水割りが一般的です。最近の流行りは「ブラックコーヒー」割。波照間酒造所のご主人も時々ブラックコーヒーで割って、泡波を楽しんでおられるとか。島らしい飲み方は、生のシークァーサーを絞って香りづけをして飲むことだそうです。
なぜ「幻」と呼ばれているのか
生産量
「幻」と言われる所以は、生産量の少なさが原因。現在酒造所では、男3人兄弟の長男・三男・ご両親の4名で泡波造りをされているのですが、全てが手作りというなかでは、現在の生産量が限界だそうです。波照間酒造所のHPを見るとわかりますが、価格は他の泡盛と変わらない適正価格です。それが、島外に行くとプレミアがついて高価な幻に変身してしまう。いずれも流通量の少なさからくる現象です。
島民第一主義
出典:awanami.net
波照間酒造所は徹頭徹尾、島の酒であろうとします。生産スケジュールも島の行事にあわせて造られ、島で消費することを第一にしている。島の売店で常時泡盛を陳列しておくためには、現在の3倍は生産しないと無理だそうです。泡波は酒造所が造っているというよりは、島民全員で造っているというイメージが強い泡盛。島の行事とリンクした生産スケジュール、製品のほとんどは島民に渡り、それら島民を介して初めて私たちの手に入るというのが現実です。
「泡波」の入手方法
「泡波」を飲んでみたいというのは、泡盛ファンになら当然ですが、ではどうやって入手すればいいのか。ネット販売、沖縄県での現地購入、波照間島での購入とちょっとした穴場情報を含めてご紹介します。ちなみに、東京で飲むとグラス一杯2,000円ほどするそうです。
ネット販売
ネット販売での入手が最も簡単です。ただし、値段は相当に高くなります。600ml(三合瓶)で5,000円から6,000円。1800ml(一升瓶)で20,000円前後。100mlのミニボトルで1,500円あたりが相場です。(2017年7月現在)
現地購入
那覇の国際通りに並ぶ泡盛販売店でも、数は少ないですが購入することができます。ただし、ネット販売と同様にプレミアがついた値段となってしまいます。泡波自体が島の酒として、島内で消費することを目的に造られていることから、やはり波照間島で入手するのが最も確実かつ安価。しかし、生産量の少なさゆえに波照間島の売店ですら、陳列していないことがほとんどですが、時にお店のご主人と仲良くなると、カウンターの下から出てくるなんてこともあるようです。もう一つ、波照間島で宿泊すると夜の食事時に「泡盛」を注文すれば出てくるのは「泡波」です。飲みたくて仕方がないという方は、ぜひ波照間島で味わってください。
穴場
一つ穴場情報を。波照間島へのアクセスは船しかありません。石垣島の離島ターミナルから出発する船で渡るのですが、この離島ターミナルの売店に泡波が陳列されています。他の銘柄とのセットになったりはしていますが、那覇で購入するよりは意外に安く販売されているのです。石垣島を訪れる機会があれば、一度尋ねて見るのもいいですね。
波照間島へ行こう
出典:pixabay.com
「泡波」の魅力と入手方法などについてみてきました。結論から言えば、島の酒「シマ」は現地で味わうに限ります。そう簡単には行けないほどに遠い島ですが、だからこそ訪れた時の感激はひとしお。海の蒼さと空の青さ、白い砂浜、「泡波」を育てた島の自然に包まれて、泡波を味わう至福のときを過ごしてみましょう。最後に波照間島へのアクセス方法や注意点などをご紹介します。
アクセス方法
波照間島への移動手段は「船便」のみ。石垣島離島ターミナルから出発です。波照間島への航路を運行しているのは「安栄観光」のみ。1日4便、所要時間は60分から70分。高速艇を使用する定期船とフェリーを使用する貨客船があります。貨客船は基本的に火曜・木曜・土曜の3便。高速船が整備などで使用できない時には、臨時で運行されることがあります。(詳しくは安栄観光のHPを確認してください)
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注意点(欠航・天候など)
波照間島へ行く時に注意しておくことがあります。それは、船便の欠航が多いこと。特に台風の季節など天候不良により何日も欠航となる場合があります。波の高い冬の欠航率は2〜3割と言われていて、特に帰りの飛行機を予約していたにもかかわらず、欠航で帰れなくなったという泣くに泣けない状況になることも。波照間島に行く際には、天候による船便の運行状況に十分注意を払いましょう。
「泡波」は島で楽しもう
波照間島だけで造られている「泡波」。多少プレミアがついていても飲んでみたいというのが泡盛ファンの性でしょうか。でも、島民のために造られる泡波だからこそ、波照間という島で飲んでこそ本当の美味しさが判るような気がします。ぜひ、波照間島へ足を運んで、思いっきり泡波を堪能してみてください。