寝かせた泡盛に恋をした!初めての古酒(クース)おすすめ10選
泡盛は、タイ米・黒麹・酵母・水が原料です。他に何も加えません。たった1度だけの仕込みで作り上げられる泡盛は、独特の香りと味が特徴です。ところがその味と香りを劇的に変化させるのが沖縄伝統の熟成文化「古酒(クース)」。初めて古酒を味わうにはどれがいいのか、代表銘柄を中心に貯蔵期間順にご紹介します。
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アイキャッチ画像出典:cdn.pixabay.com
寝かせると味わい深くなる泡盛
タイ米と黒麹を使って作られる沖縄特産の泡盛。焼酎は仕込みを2回に分けて行うのが一般的ですが、泡盛は1回の仕込みで行ってしまう「全麹仕込み」で作られます。気温が高く雑菌の繁殖を抑えるために行われてきた仕込み方法。この仕込み期間が短いことが、実は泡盛特有の香りや刺激を生んでいるが、この泡盛を寝かせて熟成すると、独特のガス臭が抜けて、味わい深い味と香りの泡盛へと変身します。
「仕次ぎ」という熟成文化
沖縄の熟成文化の賜物と言えるのが、寝かせた泡盛「古酒(クース)」。公正競争規約によると古酒とは「3年以上貯蔵したもの、もしくは3年以上貯蔵した泡盛が、仕次ぎをしたあとの総量の50%を超えるものでなければならない」と定められています。
では、仕次ぎとはどんなものでしょうか。手順は、一番甕から古酒を汲み取り、減った分をそれより若い甕から注ぎ足し、二番甕は三番甕から・・・と順に繰り返し、複数の年数の異なる酒を順繰りに注ぎ足していくという、沖縄独自の熟成方法です。
おすすめ古酒
現在泡盛の酒造所は沖縄県内に48か所、銘柄は約600を数えます。そんな中から、比較的入手しやすい10年未満のもの、10年以上寝かせたもの、30年越えのものと熟成期間順に並べてご紹介します。
瑞泉 古酒40
明治20年(1887年)5月1日、瑞泉酒造は誕生しました。かつて琉球王朝が泡盛の品質確保のため、首里の城下町でのみ醸造を行い、厳しい管理のもとで伝統が守られてきました。その伝統を受け継いで生まれた瑞泉酒造では各種の泡盛が生産されている。「瑞泉古酒40」は、全国酒類コンクールでグランプリを獲得した古酒です。8年ものの古酒をベースにブレンドを行い、独特な香りと甘み、まろやかな味わいを楽しむことができます。
龍 3年100%古酒 43度
昭和24年、沖縄本島北部「金武町」で創業した金武酒造。沖縄本島で唯一、先代から受け継いだ仲里式蒸留機を使用し、伝統を守りつつ泡盛の醸造を続けている。使用する仕込水は日本の名水百選にも選ばれた「金武大川水系」の水。ふくらみがありまろやかな味が特徴です。1988年から一年を通して温度と湿度が一定となる、金武観音寺境内にある地下鍾乳洞内で古酒の貯蔵を多なっている。「龍(たつ)ゴールド」は、3年熟成の古酒を使用し、43度と高度数ですが初めての方にもおすすめできる一本です。
久米仙 古酒ゴールド30度
昭和27年(1952年)創業。久米島出身の創業者が、伝統の技術を守りつつも「一歩進んだ泡盛づくり」をモットーに特色ある商品を送り出してきました。初心者受けのタイプから、泡盛愛好家の口をうならせるものまで、泡盛の可能性を追求し続けています。「久米仙 古酒ゴールド30度」は、2008年春季全国酒類コンクール泡盛部門第3位を獲得し、口当たりの良いスタンダードな味わいと、バランスの良い芳醇な香りが特徴です。
久米仙酒造は、「一歩進んだ泡盛づくり」をモットーに、 1952年の創業以来60年以上にわたって、 既成概念にとらわれることなく特色ある商品開発に 積極的に取り組んでいます。 業界初は大体我々です。これからも新しい泡盛を沖縄からお届けします
残波プレミアム 5年古酒
昭和23年(1948年)沖縄県本島中部、読谷村で創業しました。泡盛を地域色だけでなく、独自の酒として発展させることが必要だとして、マイルドな焼酎甲類を研究しつつ新たな泡盛を開発してきました。泡盛が苦手と言われる方や女性にも美味しく飲んで欲しいと、試行錯誤を重ね「残波ホワイト」「残波ブラック」を生み出しています。「残波プレミアム 5年古酒」は、5年貯蔵の古酒を100%使用し、度数を35度に抑えることで飲みやすさと口当たりの良さを実現している。芳醇な香りと深い味わいが特徴です。
古都首里 7年古酒
嘉永元年(1848年)琉球王朝の首都「首里」に誕生した酒造所です。琉球王朝時代からの知識と技術を綿々と受け継ぎつつ、現在の技術を取り入れた個性的な泡盛を作り続けています。「古酒は沖縄の宝もの」であるとして、一般家庭で作り続けられてきた仕次ぎによる古酒を製品化するなど、古酒のパイオニアとして知られている。「古都首里 7年古酒」は、2012年春季全国酒類コンクール泡盛部門第1位に輝いた逸品です。古酒独特の甘い香りと旨味が、口の中に広がり、味わい深い古酒に仕上がっています。
黄金まさひろ 8年古酒
明治16年(1883年)創業。135年を超える老舗蔵元として、有名大学の醸造科と新製品の共同研究を行ったり、戦前の麹と酵母であらなた商品開発をするなど、新製品開発と品質向上への努力を惜しみません。創業100周年事業として糸満市に新たな工場敷地を確保し「泡盛歴史資料博物館」を開館するなど、泡盛の普及への努力も続けています。「黄金(くがに)まさひろ 8年古酒」は、8年以上熟成した古酒を100%使用し、熟練のブレンダーによる絶妙のブレンドが、香ばしい香りとまろやかで深い味わいを生んでいます。
秘蔵 十五年 古酒100% 忠孝
昭和24年(1949年)創業。「泡盛文化の継承と想像」を合言葉に、泡盛作りを続けている酒造所です。泡盛研究を積極的に行い、古式泡盛の製法の研究で社員が醸造学博士号を取得。また、産官学共同開発では「沖縄産マンゴー」からとった新酵母を使い、果物の香りが豊かな新酒「忠孝原酒」の開発に成功している。「秘蔵 十五年 古酒100% 忠孝」は、15年という長い時間がじっくりと熟成した、昔ながらの豊かな香りと、角がとれたまろやかな味わいが特徴です。
沖縄県豊見城市にある泡盛メーカー「忠孝酒造株式会社」です。泡盛文化の継承と創造を基本理念に泡盛の新たな可能性を追求します。
かねやま 20年貯蔵古酒
昭和21年(1946年)沖縄の伝統「古酒」を復興させるとのかたい志を抱き、沖縄本島本部町で創業しました。「古酒のやまかわ」と呼ばれるように、古酒造にこだわり、今も20年・30年の古酒がじっくりと熟成を続け、100年の時を夢見て眠りについています。泡盛にとって水は命であると、本部町八重岳の伏流水を用い、喉越しに潤いを与えると賞せられる味を実現している。「かねやま 20年貯蔵古酒」は、年ごとに度数が41度から43度と異なります。入手が非常に難しい古酒ですが、その深い味わいはストレートで味わってほしい絶品です。
創業1946年 100年古酒を夢見て
龍泉 1984年 100% 古酒
昭和14年(1939年)現在の名護市で創業しました。通常より多くの黒麹をつかって、古酒向きの味わい深い原酒を作り出す「老麹」で仕込まれています。蒸留後の貯蔵を熱伝導率が低く、温度変化の影響を受けにくいホーロータンクを用いているのが特色です。「1984年 100%古酒 龍泉」は、数量限定のビンテージ商品です。800本限定のシリアルナンバーが入った貴重なもので、古酒らしい堂々とした香りと、まったりとした甘味が泡盛ファンを魅了してやみません。
泡盛海乃邦『復帰40周年記念』35年古酒
昭和51年(1976年)泡盛業界の安定と経済的地位の向上を目指して、県内の泡盛製造業者46名全員が参加して、沖縄県酒造協同組合は設立されました。古酒を安定出荷することを目的として、酒の専門家との共同による品質チェックを行い、良質の原酒を作り続けてきました。「泡盛海乃邦 復帰40周年記念 35年古酒」は、実に創業直後の1977年に貯蔵されたものです。限定生産品のため現在も入手できるかどうかはわかりませんが、泡盛ファンにとっては35年物という垂涎の逸品であることは間違いありません。
寝かせた泡盛に恋をした!
泡盛は沖縄という気候条件から、原酒のアルコール度数が高く、独特の香りと風味が特徴。一般的には飲みづらいと思われる泡盛は、貯蔵して寝かせることでその味わいが激変します。むしろ、寝かせるために作られたと言っても過言ではないでしょう。
さあ、長い眠りについている恋人を迎えにゆくのはあなたです!素晴らしい香りと味を放ちながら喉を通った古酒は、数十年の時を超えて目覚めます。