押さえておきたい年末年始のビジネスマナー
12月は師走という別名もある通り、やることがたくさんあって大忙しです。世間がクリスマスに浮かれている中で、様々な雑務が降ってきます。新年が明けても様々な面で忙しくなるのは変わりありません。今回は年末年始に押さえておきたいビジネスマナーを、やりがちな失敗とともに紹介します。
- 45,284views
- B!
ビジネスマナーは年末年始で特に大事
年末年始はビジネスマンにとってはとても忙しい時期です。年末や年始の挨拶回りをしたり、年賀状や寒中見舞いを送ったり、忘年会をしたりやることがたくさんあります。目上の人に会い、いつも以上に礼儀作法に気を使う機会が増えます。ビジネスマナーを知らないと年末年始の2週間で一気に自分や自社の評判がガタ落ち、なんてこともあり得ます。日頃からお世話になっている取引先や上司に感謝を正しく伝えるためにも最低限のマナーを押さえておきましょう。
年末年始の挨拶回りで気を付けたいこと
近年は仕事の関係で挨拶周りに行く習慣が段々と薄れてきています。しかし挨拶回りを丁寧にすることで印象アップは間違いなし。営業マンであれば絶対に覚えておきたいマナーが多々あります。もし失敗してしまうと、「この忙しい年末年始のときにわざわざ邪魔しにきたのか」と悪い印象を与えてしまいます。しっかりとマナーを身に着けておきましょう。
あらかじめアポイントをとっておっこう
年末年始は、何かと忙しい時期です。あらかじめ電話でアポイントを取って、その時間に行くようにしましょう。あらかじめ相手企業の営業最終日と営業開始日を確認しておきましょう。その日は特に忙しくなるのでなるべく避けましょう。年末は12月20頃から、年始は松の内までに伺うのが一般的です。伺った際に相手が急用で対応できない場合は受付の人に、挨拶に来た証明として謹賀新年の朱印を入れた名刺を渡しましょう。
相手のことを考え長居はしない
いくらアポイントをとっていても、相手は忙しいので長居は禁物です。日頃の感謝と来年(今年)もよろしくお願いしますという旨を述べ、お歳暮か贈り物を渡し、軽く世間話をするにとどめましょう。挨拶という名目なのでダラダラと仕事の話をするのはNGです。訪問時間は30分以内にとどめましょう。
お歳暮、手土産はどう選ぶ?
年末年始の贈り物はある程度定番のものが決まっています。年末の挨拶回りでは、自社で制作した新年のカレンダーを持っていくところが多いようです。目立つところに飾ってもらえれば、一年間自社の広告塔として機能します。カレンダーばかり貰っても強く印象には残らないので、特にお世話になっている取引先には日持ちがして小分けできるお菓子を持っていくのがお勧めです。新年の挨拶回りでは、白い年賀タオルをもっていくのが一般的です。ネットで売っている安いもので構いません。
お歳暮、手土産の渡し方
挨拶回りでは贈り物の中身よりも、渡し方やマナーのほうがよっぽど大事になります。手土産は絶対に床においては行けません。複数人で伺う場合は目下の者が渡すまで手に持っています。もしソファに座ることになったら、ソファの上かテーブルの上においても問題ありません。一通り挨拶が終わってタイミングでいよいよ渡します。渡す際は紙袋か風呂敷から取り出し、まずは自分のほうに表書きを向けて形式的に粗相がないか確かめます。その後、時計回りに180°回転させ、相手に表書きが見えるような向きで渡します。紙袋か風呂敷は綺麗に畳んで持ち帰ります。
これだけのことをいきなり完璧にやるのは大変です。まずは会社内で一度練習してみることをお勧めします。
年賀状で気を付けたいこと
スマホやパソコンの普及で新年の挨拶を簡単にメールやLINEで送れるようになりました。もちろん友達に大してはそれでもいいかもしれませんが、仕事でかかわる目上の人や年配の人には年賀状を送りましょう。企業間の挨拶でも直接会わずに年賀状ですますケースも増えており、年賀状の重要性は変わりません。年賀状を送る上で気を付けたいことがいくつかあるので紹介します。
宛先の書き方
取引先に年賀状を書く場合は宛先に注意が必要です。会社宛ての場合「会社名 御中」と書きます。会社内の部署に送る場合も同様に「会社名 ○○部 御中」と記せば問題ありません。取引先に所属する個人に出す場合には、「○○株式会社 ○○部 △△△△ 様」と書きましょう。相手に部長などの肩書がある場合は、名前の前にその肩書を書きます。また、会社名のところは省略せずに書きます。(株)などと書くのは失礼に当たります。
年賀状に書くこと
「新年のお祝いの言葉」「昨年の感謝の言葉」「相手の幸せを願う言葉」「日付」の4つは必須です。相手の幸せの願う言葉は、少し悩むところですが、
「お身体に気をつけてください」
「寒さの折、ご自愛くださいませ」
「素敵なお年になりますよう、お祈り致します」
などと書けば問題ないでしょう。日付に関しては、1月1日に届くように手配し、「平成○○年、元旦」と最後の締めに書きましょう。元旦は一月一日の朝を表すので日付を書く必要はありません。西暦ではなく元号で書くことも忘れがちです。年賀はがきではなく私製はがきを使う場合、「年賀」の朱書きを入れないと年内に届いてしまうので注意しましょう。
一人ひとりに気の利いた言葉を
年賀状が手書きでなく、誰にでも送れそうな内容だとあまりいい印象を与えません。全てを手書きで書くのは大変なので書ける部分だけでも手書きで書きましょう。上記の4つのことを必須として、何か気の利いた一言を書くと印象がアップします。
例
「部長に薦めていただいた○○の本を読了しました。非常に内容が濃く勉強になりました。」
「○○さんの笑顔にいつも元気を頂いています」
「社長から頂いた○○の言葉をいつも心に噛みしめて仕事をしています」
相手が取引先や企業の場合は「貴社のますますのご繁栄と皆様のご活躍を心より祈念いたします」など、宛先企業の繁栄を願う文章を手書きで添えるのが無難です。
困ったら「謹賀新年」を使おう
新年のあいさつとしては、「あけましておめでとうございます」「迎春」「賀正」など様々な言葉がありますが、目上の人には「謹賀新年」を使いましょう。漢字二文字の言葉でお祝いを示すのはやや失礼に当たります。目下の人に使ってもそこまで違和感はないので、積極的に使いたい言葉です。「謹んで新春のお慶びを申し上げます」と短縮せずに書いても良いでしょう。
また、若者を中心に使われる「新年あけましておめでとうございます」は、実は誤った表現です。「新年」「明けまして」はともに新しい年が始まったことを示し、意味が被ってしまいます。似た表現を使いたい人は「あけましておめでとうございます」「新年おめでとうございます」と書くようにしましょう。
年賀状で避けるべき言葉、表現
年賀状は、今年一年相手に良いことがおこることを願って送るものです。そのため、その目的にそぐわない表現は避けねけれいけません。年賀状はもちろん、新年の挨拶やメールでも避けるべき表現はいくつかあります。例えば「去年」という表現は「去る」といいう言葉を連想させるので避け、「昨年」「旧年」という表現を使いましょう。
他にも「終わる」「離れる」「切れる」「別れる」という言葉も縁が切れることを連想させるのでお祝いの挨拶にふさわしくありません。「失う」「落ちる」「衰える」という言葉もマイナスイメージがあるので避けましょう。句読点も「終わり」を連想させるので年賀状では、句読点を使わずに書きましょう。
相手が喪中のときの対応
相手が喪中のときに年賀状を出さないのは言わずもがなですが、だからといって何もしなくていいわけではありません。相手が喪中のときは寒中見舞いを送りましょう。寒中見舞いを送る時期は、松の内が終わった1月8日から、立春の前日の2月3日までです。年末年始のビジネスマナーからは外れるので詳しくは書きませんが、「喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきました」とう言葉を添え、哀悼の意を表すと良いでしょう。
また、12月上旬にお歳暮を贈るのもおすすめです。お歳暮は一年間の感謝の意を表し、お祝いの品ではないので、相手が喪中でも贈って問題ありません。
新年の挨拶メールの書き方
近年はコスト削減や環境への配慮として、新年の挨拶をメールでする企業も増えてきました。年賀状は虚礼にあたるので年賀状を上司に送ってはいけないルールがある企業も存在します。メールであっても基本的な部分は年賀状と同じです。しかし、メールならではのトラブルや気をつける点もあるので、それも紹介します。
機種依存文字や顔文字を使わない
フォーマルなビジネスメールに顔文字を使わないのはメールの基本です。顔文字意外にもエクスクラメーションマーク(!)や音符も使用は避けましょう。機種依存文字を使うと相手のパソコンの環境によっては文字化けを起こしてしまいます。相手に悪い印象や誤解を与えないためにも機種依存文字は避けましょう。良く使われる機種依存文字には、半角カタカナや丸数字、ローマ数字などがあります。下の画像に具体的な例を示します。
BCCで送らない
誰にでも送れるような無難な内容を一斉に送信したことがわかると印象が悪くなります。決まり文句はコピペして使い回しても良いですが、年賀状と同様に気の利いた一言を入れ、一通ずつ心を込めて送りましょう。
件名に用件と差出人を記す
正月は迷惑メールが多く届きやすい時期です。仕事関連のメールも多くなるので、件名がいい加減に書かれていると、読まれなかったり、削除される可能性が高まります。相手にしっかり読んでもらうためにも、件名には「会社名、名前、新年の挨拶」などと書きましょう。
その他にメールで気を付けること
ウイルスの感染を恐れ、添付ファイルを開かない人もいるので、なるべく大事な用件は添付ファイル以外の部分にまとめましょう。メールの締めには住所や連絡先、営業開始日を書くと相手の信頼を得ることにつながります。最後には相手の負担を考え「このメールは返信不要です」と書くことをおすすめします。
大事なのはしっかりと感謝すること
いかがでしょうか。ここまで気をつけたいビジネスマナーを紹介してきましたが、一番大切なのは、相手にしっかりを感謝することです。年末年始は忙しい時期です。「忙しい」は「心を亡くす」と書きます。雑務をこなすのに手一杯で、心に余裕がなくなり、感謝する心を忘れてしまいがちです。
忙しい中でも、心から感謝していれば、それが行動にもにじみ出て、相手にも伝わるはずです。もちろんマナーにも気を付けたいですが、感謝の心を忘れずに、年末年始を乗り切りましょう。