豊富な種類を楽しみたい。イタリアで愛されるチーズ5種
パスタにピッツァとイタリアンには欠かせないチーズ。地域色が強いイタリアでは北から南までそれぞれの風土と気候に合ったたくさんの種類のチーズが楽しめます。今回はその中から5種ピックアップしてご紹介します。
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こだわりは原料のミルクから イタリアのチーズができるまで
出典:pixabay.com
イタリアの地元の食料品店に行くと必ず並んでいるのがチーズです。日本と異なるのはその種類の多さ。個人のお店ではたくさん並んでいるチーズを指差して自分の欲しい量を切ってもらいます。そして、スーパーでも様々なチーズが並んでいてどれを買えばいいか迷うほど。というのはイタリアでは地域によって食べ物に大きな差があるからです。例えばイタリアの北部ではチーズは牛乳から作られますが、中央イタリアではヤギや羊のチーズが伝統的に食べられてきました。そんな地域の特色を活かしたチーズを5種紹介します。
フレッシュチーズの王様 モッツァレッラチーズ
サラダにピッツァにイタリアンで人気も知名度も一番高いのがモッツァレッラチーズです。モッツァレッラとは「引きちぎる」という意味のイタリア語mozzareに由来すると言われています。フレッシュさが命のモッツァレッラは水につけた状態で販売されています。元々は南イタリアが産地。現在でもイタリア人の間では南イタリアからのモッツァレッラは特別扱いされています。通常は牛乳から作られますが「ブッファラ」と呼ばれるものは水牛のミルクから作られたもの。コクのある味わいを楽しんでください。
熟成に熟成を重ねて初めて生まれる美味しさ パルミジャーノ・レジャーノ
フレッシュさが命のモッツァレッラと対照的に時間をかけたほど良いとされるのがパルミジャーノ・レジャーノです。このチーズの製作は前日の夜に搾乳するところから始まります。そして一晩置いたミルクに翌朝絞ったミルクを加えたものが原料です。イタリアの食品にはDOPというマークがあるのですが、パルミジャーノに関しては中央イタリアの限られた場所で作られたものだけに与えられます。そして最低でも18ヶ月、できれば24〜36ヶ月熟成されたものが良いとされています。熟成されただけあって持ちも良いのでぜひ冷蔵庫に一つ入れておきましょう。
羊のミルクが原料 ワインによく合うペコリーノ
ワインの産地として知られるトスカーナ地方で欠かせないのがこのペコリーノチーズです。イタリア語で羊をペコラと呼ぶのですが、そのペコラのミルクを使って作ることからこの名前がつきました。ソフトなもの、ハードなもの、熟成されたもの、寝かせ方の若いものと種類も様々。そして食べ方も様々です。そのまま食べるのもよし、ジャムやハチミツなどの甘いものとも合います。その中でもポピュラーなのはパスタの具として食べる方法。チーズと黒胡椒というシンプルな具で素材の味が引き出されます。
デザートに使いたい 柔らかさが特徴のリコッタチーズ
赤ワインにドルチェが合うのはご存知でしょうか?乳製品とワインの相性はバツグン。その中でもリコッタチーズから作られるドルチェはワインにピッタリ。リコッタはその製作過程から脂肪分が少なく甘みが多いのが特徴です。リコッタの上にジャムをかけるだけで十分なデザートになります。また脂肪分が少ないことから野菜と合わせた料理もよく知られています。中央イタリアでよく食べられるのがリコッタチーズとほうれん草を詰めたラビオリです。バターとセージのシンプルな味付けでお腹にもたれずに食べることができます。
甘みを生かして他の素材の味を引き立てるマスカルポーネ
ティラミスの普及とともに有名になったマスカルポーネ。このチーズの特徴は滑らかな舌触りと原料特有の甘みです。クリームチーズのようなこの滑らかさは他の素材と合わせることによって生かされます。生ハムやスモークサーモンなど少し脂身と塩味が強いものに合わせると、マスカルポーネの甘みが塩味を緩和してくれます。またデザートとして使うときもリコッタとは異なり、コーヒーやチョコレートなど主張の強いものと合わせるのがオススメです。
食前から食後まで 場面に合わせたチーズを選ぼう
食前のおつまみとして、パスタなどメインの具として、そしてデザートとしてイタリアンで欠かせないチーズ。フレッシュなものから熟成されたものまで5種類のチーズを紹介してきました。色々な種類がありますが、何より大事なのは実際に味見してみること。様々なチーズの味を知ることによって、実際にTPOに応じた食べ方がわかってきます。食前にオススメと言われるものでも、食べ方によってはメインやデザートに合うかもしれません。自分なりの食べ方を試してください。そしてチーズの隣にはワインをお忘れなく。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。