ベートーヴェンの作風の遍歴がわかる3つのピアノソナタ

ベートーヴェンの作風の遍歴がわかる3つのピアノソナタ

古典派とロマン派の間に位置し、クラシック音楽の歴史の中で最も重要な人物の一人に数えられるのがベートーヴェンです。そんな偉大な作曲家であるベートーヴェンの作風の遍歴を、3曲のピアノソナタを通じてご紹介します。

vokkaVOKKA 編集部
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「運命」だけではない

ベートーヴェンの作品は、「運命」のようなドラマティックなものばかりではありません。今回ご紹介する、ベートーヴェンの初期と中期、後期のピアノソナタをチェックすれば、それぞれの時期で作風が変化していることが理解できるでしょう。

ピアノソナタ第1番Op.2-1

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ベートーヴェンが作った32曲のピアノソナタの中で最初のものとなるのが、ピアノソナタ第1番Op.2−1です。この作品はベートーヴェンが25歳のときに作曲され、彼の師であるハイドンに献呈されています。

この作品は4楽章で構成されており、第1楽章が当時鍵盤楽器ではほとんど用いられていなかったヘ短調で始まるのが大きな特徴です。こうした面に若きベートーヴェンの情熱や創意が感じられるのですが、第1楽章にはモーツァルトなどの古典派の影響が色濃く感じられ、中期の楽曲に見られるような粗野なほどに大胆なイメージはありません。

しかしながら、この時期の作品には、ベートーヴェンの本当の才能が発芽する直前の瑞々しさが感じられます。

ピアノソナタ第23番

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ベートーヴェンのピアノソナタの中でも有名なナンバーであるピアノソナタ第23番は、「熱情」という通称で親しまれています。中期に作曲されたこの作品はまさにベートーヴェンらしい情熱的な作風となっており、第1楽章から刺激的な付点リズムで楽曲が展開されるのが特徴です。

全3楽章で構成され、激しいイメージで始まった楽曲は、第2楽章では穏やかな面も見せるものの第3楽章では再び嵐のように激しく重いテーマが提示され、その激しさは衰えることなくエンディングまで高まっていきます。

ベートーヴェン中期の作品は、それまでの古典的な楽曲と違い、エンディングまで勢いが衰えないことを最大の特徴としています。

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ピアノソナタ第32番

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ベートーヴェンが作曲した最後のピアノソナタが、ピアノソナタ32番です。全2楽章で構成されるこの作品も、やはり第1楽章はベートーヴェンらしい激しく情熱的に始まるのですが、第2楽章はベートーヴェンの内面性を感じさせる静かな展開を見せ、そのままエンディングを迎えます。

後期のベートーヴェン作品は、こうした静寂性や内証的な面を持つことを特徴としています。こうした作風に変わったのは、ベートーヴェンが共感を感じていたナポレオンの失墜や、王侯による統治の復活を決めたウィーン会議が彼の精神に影響を与えたためと言われています。

iTunes – ミュージック – グレン・グールド「ベートーヴェン: ピアノソナタ 第30-32番[グレン・グールド/ナクソス・ヒストリカルシリーズ]」

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ベートーヴェンの魅力

この3つの作品を聴けば、ベートーヴェンの作風の遍歴が理解できることでしょう。どの時代の作品も魅力に溢れた美しいものであることに変わりはありません。ぜひ、自分の好きなベートーヴェン作品と出会ってください。

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