【夜の切り札】もうバーに行っても格好つく!スタンダードカクテル⑥
知識は酒を美味しくします。目の前の一本、その一杯の香味の後ろに広がるストーリーに思いを馳せ、語ることができたら。知識は夜の切り札。今回は誰でも覚えておきたいスタンダード・カクテルを紹介します。立ち寄ったバーでメニューを見ずおもむろに好きなカクテルを頼める人生と頼めない人生、格好いいオトナはきっと前者です。
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デートでバーに行くまではいいけど、何飲むの?
想像してみて下さい。ディナーも終わり、デートの締めくくりとしてバーへ。ディナーの店と同じくらい店の様子、ロケーションなどの特徴をリサーチし、いい雰囲気のままデートを終えたらあわよくば、なんてことを考えながら歩みを進めます。
バーの重たいドアをくぐり、薄暗い店内を進んで案内された席でおしぼりを受け取り、メニューから飲み物を頼もうとしたその時!
「分かるの、ビールとカシオレしかない...」
なんていう状況になったら、格好つかないですよね。
できるならメニューを見ずに「キックの効いたマティーニを」とオーダーできる007ばりの男前になりたい、そんな最後の最後まで格好つけたい貴方に、①どんなバーでも頼め、②会話のネタとしても使えるスタンダード・カクテルを紹介します。
ホーセズ・ネック
ヴィジュアルにインパクトのある一杯。「馬の首」という名のカクテルで、螺旋状にカットされたレモンが馬の首に見立てられています。由来についてはアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領が乗馬する際に愛馬の首を撫でながらこのカクテルを愛飲していた、という説や、欧米の秋の収穫祭では馬が主役であったため、馬に見立てたカクテルがよく飲まれていたなどの説があります。
ウイスキーとらせん状のレモンの皮の香り、ジンジャーエールをビルドした味わいは、ヴィジュル通りレモンを強烈に感じる一杯。モヒートなどミントとは異なる爽やかさがあります。
ゴッドファーザー
名作「ゴッドファーザー」の公開後に作成されたと言われています。
ウイスキーの濃厚さ、アマレットのアーモンドの香味が混ざり合った香り高い一杯。
アマレットによりウイスキーがぐっと飲みやすくなるので、ウイスキーを飲みたいけどロックはちょっと...という時にはぴったり。
ベースがウォッカなら「ゴッドマザー」、ブランデーなら「フレンチ・コネクション」に変化します。
ジン・ビターズ
ジンベースのキレキレな辛口カクテルです。
海軍将校らに愛飲された、キンキンに冷やしたドライジンにアンゴスチュラビターズを少量加える、というシンプルなレシピ。医師から健康に悪い、と指摘されライムを加えた結果、ギムレットが誕生した、という逸話もあるほどです。
アンゴスチュラビターズの薬草の風味がジンの味わいをストレートよりも深めます。ダンディズムを感じたい時に頼みたい一杯です。
ラスティネイル
ウイスキー好きのためのカクテル。英語でラスティネイルは「錆びた釘」を意味しますが、イギリスの俗語では「古めかしいもの」を表すようです。
ウイスキーに、ウイスキーベースのリキュールであるドランブイを加えるシンプルなレシピは、ウイスキーのチョイスによって表情が無数に変わるとされています。
度数は高いですが、コクのある甘口はとろりとしていて、夜をじっくり吹かしたい時に飲みたい一杯です。
ドランブイをアマレットに変えると、上述のゴッドファーザーとなります。
扉の奥の非日常へ
バーの中に一歩足を踏み入れれば、そこには日常と違う時間が流れています。
ほの明るい店内でタバコの煙とオールド・ジャズが気持ち良く混ざり合い、ゆったりとたゆたう空間。日中の堅苦しいことは全て扉の外で、目の前の一杯を少しずつ味わい、いつもより言葉少なに会話する。
そんな大人の寛いだ時間がそこにはあるでしょう。
大人の時間を上質にするには、少しだけ知識も必要だと思います。飲みたい一杯が決まったら、恐れず扉の奥の非日常へ。
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この記事のライター
慶應大学卒業→大手証券会社→外資系コンサルティングファーム。表参道に在住し「日常をドラマに」することに腐心し人生の上質化を目指す日々。酒を飲むこと、酒を飲むように本を読むことが好き。目を離せばすぐに眠りこもうとする遊び心をジャズとビールで蹴飛ばしながら、今日も都心で生きてます。