C・ロナウドの故郷が生んだ"マデイラワイン"の魅力
三大酒精強化ワインの一つ「マデイラワイン」。プロサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドの出身地マデイラ島で作られるワインです。【太陽の恵み】によって生まれたマデイラワインの魅力を紹介します。
- 7,584views
- B!
アイキャッチ画像出典:www.flickr.com
「大西洋の真珠」と呼ばれるマデイラ島
マデイラ島は日本ではあまり知られていない島ですが、美しい自然に囲まれた島でヨーロッパでは人気のリゾートアイランドとして、年中多くの観光客が訪れています。
そこで作れている『マデイラワイン』は世界中の愛好家に愛されています。
世界有数のリゾートアイランド
出典:www.vinho.jp
マデイラ島は、北大西洋にあるポルトガル領の島で、首都のリスボンから約1,000km離れたところにあります。ちょうどアフリカのモロッコの左に位置します。
日本の奄美大島とほぼ同じ大きさで、年間平均気温が20℃前後という温暖な気候です。海はもちろん、緑にあふれ自然豊かな島です。
サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドの故郷でもあります。
マデイラワインとは
マデイラワインは、酒精強化ワインの一つです。
酒精強化ワインについては前回ご紹介しましたので、よければそちらもご覧になってみてください。
太陽の恵みによる製法
マデイラワインの製法は、他の酒精強化ワインと同様に、ぶどうを収穫し果汁を発酵中に酒精強化(主にぶどうから作られる中性スピリッツ)を添加します。
マデイラワインの大きな特徴として、酒精強化の添加後、樽に詰めた後に加熱処理を行なうことです。
加熱処理をすることによって、樽の中でワインが変化し、マデイラワイン独特の味と風味が生まれます。
加熱処理のやり方は2種類あり、一つは「クバ・デ・ガロール」と呼ばれる特別な過熱容器(エストゥファ)にワインを入れ、その周りに45~50度の温水の入ったパイプを通して加熱する人工加熱の方法と、もう一つは「カンテイロ」と呼ばれる大きな窓ガラスがついた倉庫に木樽に詰めたワインを置き、自然に加熱する自然加熱方法があります。
自然加熱は、年中温暖で太陽の光がサンサンと降り注ぐ気候だからこそできる、まさにマデイラ島ならではの製法といえます。
昔は自然加熱によるやり方で作られていましたが、加熱が完了するまで時間が掛かってしまうため、一般的なマデイラワインには人工加熱の方法が生まれました。
※自然加熱は約2年~、人工加熱は最低3ヶ月~の期間を要します。
熟成庫カンテイロ。
積み上げられた樽の上と下では温度が異なるため樽のワインを入れ替えも頻繁に行われるとのこと。
加熱処理完了後、ゆっくりと冷却を行い、その後本格的な熟成に入ります。
熟成は、最低でも3年間は樽熟成されます。長いものですと20年以上も樽熟成しているものもあります。
樽熟成についても、通常のワインの場合だいたい気温12~15℃のところで熟成させますが、マデイラワインの場合は常温のまま樽熟成を行ないます。
樽熟成後、ビン詰めになります。一部のマデイラワインは、ビン詰め後もビン内熟成をさせるため2年ほど寝かせているものもあります。
シェークスピアに「命と引き換えてもいい」といわしめた味
マデイラワインの味は、甘口~辛口まで多様です。
これは酒精強化ワインの作り方に順ずる(酒精強化の添加を早めにしたら甘口・遅ければ辛口)ところもありますが、何より加熱処理によって、ワインが酸化し、それによって単なる甘口・辛口だけではない多様な味わいを生み出すのです。
過去の有名人や偉人の多くがマデイラワインの虜になったといいます。かのシェークスピアも「命と引き換えにしてもいい」といわしめるぐらい、マデイラワインを気に入っていたようです。
飲み方は、他の酒精強化ワインと同様に辛口は食前酒、甘口は食後酒としていただくことが多いです。
だいたい10~15度の温度が一番美味しく飲めるといわれています。
マデイラワインの味わいはぶどうの品種や製法によって変わるため、一概に述べることはできませんが、個人的にはどのマデイラワインも、干しぶどうのような甘い香りを持ち、熱によってまろやかな舌触りがあるように感じます。
通常のワインでは決して味わえない、独特の味わいを持つのがマデイラワインなのです。
熟成方法によって色のちがいもあります。
マデイラワインが生まれた歴史
マデイラワインが生まれたのは17世紀以降で、お酒の中でも比較的新しいお酒といえます。
17世紀頃、海上輸送が帆船だったころポルトガルからアメリカ新大陸への移動の際、ワインを積んでいたのですが、赤道を通るとワインの味わいが変化をし、それが美味しいということになりました。
その後、ワイン製法の技術革新と共に、ワインの劣化を防ぐ酒精強化という手法が開発されたのですが、これは、ワインにブドウから造られた蒸留酒である高アルコール度のブランデーを添加し、ワインの酸化や劣化を防ぐ手法です。
酒精強化をしたワインを、赤道を通って輸送すると、とても良い具合においしいワインができるということが知られるようになりました。
それなら敢えて酒精強化ワインを赤道直下で加熱した状況を人口的に創りだしてこの味わいを出そうという流れになり、酒精強化ワインを太陽熱で温めたり(カンテイロという仕組み)、お湯の循環システムで温めたり(江ストゥファという仕組み)して、独特の進化を遂げたのがマデイラワインです。
出典:www.vinho.jp
長期間にわたり楽しめるお酒
マデイラワインを買いたい!
日本ではまだメジャーなお酒とはいえませんが、大きめの酒屋やネットで簡単に手に入れることが可能です。
価格も1000円代からあり、気軽に家飲み用として買うこともできます。
保存については、開封して常温の空気に晒されてもほとんど劣化しませんので、長期保存が可能です。中には100年を超えるものもありますが、飲んだ方曰く、ほとんど味の劣化はなかったそうです。
出典:www.vinho.jp
ヴィニョス・バーベイト ブアル 1863
その名のとおり1863年に作られたマデイラワイン。
<以下引用>
グラスにそそいで香りを取ると、極めて強いドライフルーツ、オレンジ、レモンなどの香りを感じることができました。150年前に造られたというイメージとは全く違い、フルーツ感溢れるブーケを持ちます。
味わいは酸味がかなりしっかりしており、フルーツの香りと酸味がマッチし極めてエレガントな味わいを実現しています。甘口ではあるのですが、酸味がしっかりとしているので全然たるくありません。150年熟成させているだけあり、かなり丸い(カドのとれた)印象をうけました。
最後に余韻ですが、とてつもなく長い余韻を感じることが出来ました。飲んだ後も、15秒くらいはずっと香りを感じ続けることができます。
ポルトガルは世界3大酒精強化ワイン(ポート、マデイラ、シェリー)のうち、ポートとマデイラの2つの酒精強化ワインを生産する、酒精強化ワインの銘産地であります。
マデイラワインを飲みたい!
まずはお店でマデイラワインを飲んでみたい!というかたは、東京の大塚にあるカフェ・バー 「レアンドロ」がオススメです!
こちらのお店は、なんとマデイラワインの品揃えが世界一ということでギネスにも認定されているお店なのです。
多様な味わいを楽しめるマデイラワインとともに、オーナーからマデイラワインに関するうんちくを聞きながらゆったりとした時間を過ごしてみるのもいいかもしれません。
マデイラワインの品揃え世界一として、ギネスブックに認定された、知る人ぞ知る注目のお店、北大塚にある『café::bar Leandro (カフェ・バー レアンドロ)』
レアンドロのオーナー、鈴木さん
マデイラワインで素敵な時間を・・・
マデイラワインをまだ飲んだことない方は、一度飲んでみることを強くオススメします!
数十年、数百年を超える良質なマデイラワインは、香り立ちが驚くほどよく、飲んだ後の口の中に残る余韻は何事にも筆舌に尽くしがたいものがあります。
ぜひ、マデイラワインで素敵なひとときをお過ごしください☆
この記事のキーワード
この記事のライター
お酒と料理をこよなく愛する30代男子。MBA在学中にプレミアムテキーラと出会い、そのまま友人とテキーラ輸入会社を設立。日々美味しいお酒と美味しい料理を求めて探求中。【資格】グランマエストロ・デ・テキーララム・コンシェルジュジュニア・オイスターマイスターCPAコムラードオブチーズだしソムリエ4級 etc.