クルマも懐古趣味？クラシカルイメージ軽トールワゴン

新たに際立ってきたクラシカルイメージ軽トールワゴンの台頭

軽トールワゴンというとしばらくワゴンRとムーヴが燃費を含めてその覇権を争ってきました。最近ではそこにデイズが割って入ってきたという印象です。伝統的な、言ってみればワゴンR的なエクステリアのクルマの独壇場であったカテゴリーに新たに進出してきたのが、クラシカルイメージをもった軽トールワゴンたちです。かつての名車をモチーフにしたり、復刻であったり、派生車種からの熟成であったり。そんなクラシカルイメージの軽トールワゴンを紹介します。

N-ONE

N-ONEはホンダのNシリーズの軽トールワゴン型の軽自動車です（ホンダNシリーズ： N-BOX、N-BOX+、N-ONE、N-WGN、N-BOXスラッシュ）。ホンダ初の市販軽乗用車N360をモチーフにしているだけあって、どこかノスタルジックな印象を与えるかわいい軽自動車です。クラシカルなイメージの中にも予防安全性能評価最高ランクを獲得したり、ツートーンカラーも用意し、カラーバリエーションはなんと29種類という小さいくせに中身は大きな車といった印象です。インテリカラーも12種類。2015年7月にマイナーチェンジしましたが、どうも売り上げは芳しくないようです。街では目立つせいかよく走っているイメージがあります。個人的には好みですが、試乗に行ったときは内装にいまいち高級感がありませんでした。ただグレードやカラー等、バリエーションが豊富でいろいろと工夫している努力は感じます。逆にN-BOXシリーズ同様、ちょっとバリエーションが豊富すぎて、わかりづらいというのが欠点かもしれません。

ダイハツキャスト

ダイハツキャスト。3つのバージョンが存在します。ACTIVA、STYLE、SPORT。ACTIVAは軽クロスオーバーSUV、STYLE、SPORTは軽トールワゴン。デビューは2015年です。個人的な感想ですが、ACTIVAはスズキのハスラーがウケたのであわてて出した印象、STYLEはNシリーズで売り込んでいるN-ONEを真似た、もしくはミラジーノの復刻を感じました。またムーブがモデルチェンジで大きくなりすぎたのでそこ埋める目的かと邪推しました。ただ実際には車の大きさ、スタイリング、質感のよさはそのような邪推を吹き飛ばし、これこそダイハツが売るべき車種だと思っています。装備について、最近の流れだと思いますが、最廉価グレードはNAでハロゲンヘッドランプ、ウレタンステアリング、ホイールキャップ、NAの上位グレードでLEDヘッドランプ、本革ステアリング、アルミホイール、ターボモデルがその＋αということが多いように感じます。そしてそこにスポーティな特別グレードを乗せるという感じです。ただこのキャストの場合、そのスポーティグレードのSPORTはキャストの“丸”をモチーフにしたややクラシカルな雰囲気を壊してしまっていると思います。それでしたらSTYLEを選択して、自分でカスタマイズしていった方がこの車は面白いと思います。

ラパン

スズキラパンは初代からクラシカルなイメージを醸し出してデビュー。現在3代目になりますが、代々さりげなく他メーカーのクラシカルイメージの車種を模倣しながらオリジナルのクラシカルイメージカーを作成したという印象があります。アルトの派生車種してスタートしましたが、現在では“ラパン”というひとつのブランドとして認知されています。購買層のほとんどは女性で、かつての“ラパンRS”のように一部のマニアックな男性ユーザーを意識したグレードはなくなりました。ただ個人的には男性が楽しんでもいい雰囲気を持つクルマであると考えます。少し残念なのが現行になってクラシカルよりネオクラシカルというか近代的な雰囲気が強くなってしまいました。先代の特別グレードであった“ラパンショコラ”がクラシカルイメージとしてはベストであったと思います。

いかがでしたでしょうか。両側スライドドアなのでちょっとカテゴリーが違ってしまいますが、ダイハツからCANBUSもデビューしました。クラシカルでかわいらしいイメージのクルマはいまや軽自動車の定番になりつつあるのかもしれません。いかにも女性を意識したCMやホームページになっていますが、意外にweb上でも男性からも意識されていることがわかります。女性だけを意識したクラシカルだけでなく、男性向けにマニアックなクラシカルを出してもまた注目を浴びるかもしれません。