アイデアにはつくり方があった!J.W.ヤング『アイデアのつくり方』から学ぶアイデア発想法
新しい商品を開発する。新しい企画を立てる。これまでにないイベントを行う。社会では常に斬新なアイデアを求められます。
多くのアイデア本が生まれ、消えていく中で、版を重ねて読み継がれてきた古典的名著からアイデアのつくり方のエッセンスをご紹介します。
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ゼロから生み出されるアイデアはない
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである
著者のヤングは「アイデア作成の基本的原理」としてこのように述べています。
今まで世の中にまったく存在しなかった新しいアイデアやサービス、商品などを生み出すにはクリエイティビティ(創造性)が必要だと考えられることが多いのではないでしょうか。しかし、このヤングの考えを踏まえると、世の中に100%オリジナルなものは存在しないということになります。
どんなに新しいと思われるものでも、いくつかのものを組み合わせてできあがっています。
歴史に残る多くの新しい商品でも、これまでにあったいくつかのもの・アイデアの効果的な組み合わせから生まれたものです。
つまり、アイデアとは、先人から受け継いだ知の資産の融合なのです。
関連性を見つけだす能力
新しい組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい
続けてヤングはこのように述べています。
ある物とある物になんらかの関連を見つける能力がアイデアを生み出す才能である、ということです。
アイデアを生み出すプロセスは、膨大な情報の中からひとつの物語や作品を創り出していく編集作業と言って良いのかもしれません。
そして、この編集作業の中に、それを行う人間の個性や価値観が顕れます。ヤングの考え方に従うと、これこそが、アイデアのオリジナリティと言えるのではないでしょうか。
ここで思い出すのが、発明王と呼ばれたトーマス・エジソンです。実はエジソンは頻繁にダジャレを言うことで知られていました。ダジャレは音が似ているものを探し出す一種の言葉遊びです。エジソンは常に関連しているものを探していて、それがダジャレとなって口に出ていたのかもしれません。
そう考えると、親父ギャグを連発している上司や先輩社員も、もしかすると…?
アイデアが生まれる5段階
ヤングは、次の5段階を経てアイデアが生まれると述べています。
第1段階:資料の収集
対象に関連したものを収集します。実際の物ではなくて、書き出すだけでもいいでしょう。
この時には取捨選択の判断はせず、少しでも関連があると思えば、とりあえず出しておくことが大切です。
第2段階:資料の咀嚼
咀嚼とは、集めた資料に手を加える、様々な角度から検討する、いろいろと組み合わせてみるということです。
第3段階:問題の放棄
考えられるだけ考えたら、一度そのことを忘れて、別のことに気持ちを持って行くことが問題の放棄です。
人間の脳(側頭葉)は、情報を記憶した後、無意識のうちに「記憶の編集作業」を行います。それは、寝ている間ですら続くと言われています。そうして一旦「問題を放棄」することよって、新しいものを思いつく下地ができあがってくるでしょう。
一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏も次のように述べています。
情報を収集し、咀嚼したら、一旦そのことを忘れてアイデアを熟成させましょう。
「知」を生み出すプロセスは自分自身との無意識の対話による「ゆさぶり」作業である。しかし、このプロセスを意識的に行うこともできる。どうするか?
私は、歩く。「頭にぎゅうぎゅうに詰め込んで、揺さぶると何かが出てくる」というイメージを持っている。歩いている時こそ、創造的活動を行っている時だ。机に向かっている時は、それを整理しているに過ぎない。- 野口悠紀雄
脳科学の世界でもヤングの「アイデア発想の5段階」を支持する研究結果が出ています。
このフェーズは「怠惰思考」と呼ばれ、創造のためには相応の熟成期間が必要であると言われています。
第4段階:アイデアの誕生
ヤングはこの段階について次のように述べています。
アイデアを捜し求める心の緊張をといて、休息とくつろぎの時に、アイデアは突然訪れる
はっと、いいアイデアがひらめく瞬間です。
第5段階:アイデアの適用
ヤングによると、よいアイデアは自ら成長していくと言っています。
好例はiPhoneです。iPhone登場によって様々なスマートフォンが誕生しました。アプリも続々と作られています。ケースやイヤホンジャックストラップという新しい市場を作り出しました。
これまでに登場した素晴らしい商品やアイデアを思い出すと、似た現象が起きていることに気が付きます。
いかがでしたでしょうか。
世の中に産み出される素晴らしい商品・サービス、アイデアの数々は、決して特別な能力を持った限られた人によって産み出されたものではないのだということがお分かりいただけましたでしょうか。
このヤングの「アイデアのつくり方」を参考に、ワクワクするような「新しい」アイデアをつくってみましょう!
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