【プロ野球2015回顧】新・ハマの守護神!山崎康晃のココがすごい!
今シーズンの横浜DeNAベイスターズはスタートダッシュに成功。交流戦前までに貯金10を稼ぎ、交流戦は最下位に沈んだものの巻き返し、前半戦を首位で折り返しました。
その快進撃を支えたのがルーキーの山崎康晃でした。
(本文中、敬称は略しました)
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大学日本代表の抑えから新・ハマの守護神へ!
山崎は帝京高から亜細亜大に入学、昨春の亜大の東都大学リーグ6連覇に貢献。最優秀選手・最優秀投手を獲得し、2013年には大学日本代表入りし、抑えを務めました。この経験から中畑清監督がオープン戦から抑えに起用、開幕後も好成績をおさめ、新・ハマの守護神となりました。
昨年のドラフト会議で、DeNAの最初のドラフト1位指名は有原航平でした。北海道日本ハムファイターズ、阪神タイガース、広島東洋カープと競合して有原は日本ハムへ。
DeNAと阪神の指名が再び重複し、DeNAが交渉権を獲得したのが山崎だったのです。
DeNAは交流戦までに48試合を消化、29勝19敗と、監督のお得意の言葉通り、まさに絶好調! の成績でしたが、この間、山崎は半数以上の26試合に登板、1勝1敗セーブ17。
数値から言えば、チームの29勝の6割を超える18の勝ち星に貢献したことになります。
さらにオールスター休みが入る前半戦終了の7月15日までに、85試合のうち実に38試合に登板、チーム勝利数42に対して2勝2敗23セーブで快進撃を支えました。
その甲斐あって、DeNAは前身の横浜時代以来、17年振りに首位で折り返し、球団の観客数増加への取り組みや「ハマっ娘」効果もあいまって、前半戦終了時には12球団トップとなる観客動員数増21.7%も記録したのです。
亜細亜大学時代の山崎
DeNAから1位指名を受け、チームのマスコットを手に目標の色紙を掲げる山崎。
「ハマのお坊さん」は中畑監督が付けたニックネーム
新人最多セーブを記録 あの与田を抜いた!
山崎の好調さは後半戦になっても続き、8月20日の東京ヤクルトスワローズ戦に救援登板し、新人投手としては歴代最多となる32セーブを記録しました。
これまでの記録保持者は1990年に31セーブを挙げた中日ドラゴンズの与田剛でした。
最終的には登板数58、2勝4敗37セーブ7ホールドの成績を残し、世界野球プレミア12の侍ジャパン・日本代表にも選出されました。
山崎はチームが失速した後半戦、自らの勢いにもやや陰りが見え始めた時に、前述の与田や、「ハマの大魔神」と呼ばれた横浜の大先輩でメジャーリーグでも活躍した佐々木主浩に会いに行き、恐怖心と付き合う方法を模索したと述べています。
新人最多セーブを挙げた山崎
侍ジャパンに選出され、プレミア12の対アメリカ戦で好投する山崎
2年目のジンクス? 新人抑え投手には嫌なデータも・・・
来季以降の活躍も楽しみな山崎ですが、歴代の新人セーブ記録5人とその数値を比較してみましょう。
名前 (所属球団)登板 勝利 セーブ 2年目登板 勝利 セーブ
山崎康晃(DeNA) 58 2 37
与田 剛(中日) 50 4 31 29 0 2(1999年 現役通算7年で引退)
三瀬幸司(ダイエー)55 4 28 54 2 18(2014年 現役通算11年で引退)
永川勝浩(広島) 40 3 25 22 3 4
牧田和久(西武) 27 5 22 27 13 0
三上朋也(DeNA) 65 1 21 21 1 0
このうち、牧田は先発に配置替えとなったためですが、それ以外の投手はいずれも前年の成績を下回り、3年目以降に初年度を上回る成績を挙げたのも永川ただ1人です。
歴代の通算セーブ記録トップスリーである岩瀬仁紀(中日)・高津臣吾(ヤクルト)・佐々木の成績を見ると、岩瀬が2ケタ以上のセーブを挙げるのは入団6年目以降、最初の5年間はセットアッパーでした。高津・佐々木は先発投手からの配置転換です。
このように考えると、1年目に抑えとして活躍した投手は、プロ野球でよく言われる「2年目のジンクス」だけでなく、プロの世界で初めて年間を通して投げる体力的な疲労、1球でチームや先発投手の勝ち星を消してしまう、という精神的な負担と疲労が大きく影響しているのがわかります。
こうした点を考慮すれば、シーズン終了後のプレミア12での代表入りは栄誉なことではありますが、来年以降の山崎にはマイナスに作用する可能性もあります。
昨年の抑え投手・三上朋也(中央)とお立ち台に立つ山崎。左は梶谷隆幸。
三上と山崎の活躍が、来季のDeNAのカギを握る
来季のさらなる飛躍へ向けて!
しかし、こうした懸念を払拭するかのように、研究心旺盛な山崎は来季に向けて今オフに渡米し、ロサンゼルスでアスリート専用施設でのコンディショニング管理を学ぶ予定を立てています。
来季、球団初となる外国人のラミレス新監督の下、悲願のクライマックス・シリーズ進出と1998年以来となる優勝を目指し、チームの絶対的守護神となるべく山崎に準備の怠りはありません。
山崎には「2年目のジンクス」打破が期待される
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この記事のライター
フリーライター。歴史・文学からビジネス、スポーツ等、幅広い分野において執筆を行う。