トヨタ「ジョイ」発売！OEMって？OEMの実態

OEMって何？日本のOEMの現状

かつて車のOEMというと自社で扱っていないカテゴリーの車を将来的に販売したいという方針ができたときに、他社から供給を受け、自社のエンブレムをつけて自社ブランドとして販売することによって、そのカテゴリーの開発のノウハウを得たり、営業や整備の地ならしをすることできるようすることが目的でした。最近のOEMは開発や生産の効率化と他社で販売することによる販売増が目的になっているようです。つまり供給先からするとひとつの車種を開発するにはそれなりの開発費が必要になるし、生産についても工場の確保などが必要になってきますが、それを省いて販売することができるわけです。また供給先からすると本来販売するキャパが決まっているところ、他メーカーから販売することにより新たな販売が見込めるということです。

ダイハツからトヨタへ

ダイハツからトヨタへのOEMでは、「ピクシススペース」が代表的でしょう。これはダイハツの「コンテ」です。その他にもピクシスエポック（ミライース）、ピクシスメガ（ウエイク）などがあります。もちろん今回の「ジョイ」もダイハツからトヨタへのOEMです。

ダイハツからスバルへ

ダイハツからスバルのOEMの代表は「ステラ」でしょう。これはダイハツの「ムーヴ」です。ほかにはプレオプラス（ミライース）などがあります。

スズキからマツダへ

スズキからマツダへのOEMの代表はフレアです。これはスズキの「ワゴンR」になります。他にフレアワゴン（スペーシア）、フレアクロスオーバー（ハスラー）があります。

スズキから三菱へ

スズキから三菱へは「デリカD:2」があります。これはスズキの「ソリオ」になります。

日産から三菱へ

日産からスズキへは「プラウディア」です。これは日産の「フーガ」になります。他にはディグニティ（シーマ）などがあります。

トヨタからダイハツへ

トヨタからダイハツへは「アルティス」が代表です。これはトヨタの「SAI」です。そのほかにメビウス（プリウスα）などがあります。

＜番外編＞三菱から日産へ

最近大きな問題となった燃費不正問題の車になりますが、「デイズ」です。これは「ekワゴン」になります。この関係はグレーゾーンの印象が大きく、そもそも当初NMKVという合弁会社を設立してこの2車種を開発、発売したのです。企画、開発はNMKV、実際の車両開発作業や生産は三菱とのことで、燃費不正問題は三菱の責任となっているのですが、どうもスッキリしない内容です。三菱だけの責任ならば結局OEMなのでは？と思いますし、そうなるとNMKVってなんなのだろう？NMKVで共同開発なら燃費不正問題は日産にも責任があるのでは？とよくわからないうちに三菱は日産の子会社になるという玉虫色の決着になりました。だからOEMなのかそうでないのかわからないのです。他にデイズルーク（ekカスタム）があります。

＜番外編Ⅱ＞スバルからトヨタへ

「86」と「BRZ」は共同開発の兄弟車種です。直噴技術やFR技術がトヨタのものなので、きちんとした共同開発ではあるのですが、生産がスバルの工場ということでOEMのイメージが拭いきれません。でも「86」は売れているようなので、ユーザーもそこまでのこだわりはないのでしょう。

OEMのメインはトヨタグループかな？

いかがでしたでしょうか。こうして見てみるといまや日本のOEMのメインはトヨタグループのように思えます。主に軽自動車ですが、ダイハツが作ってトヨタとスバルで売る。トヨタの車をダイハツが売る。トヨタとスバルが共同開発する。またダイハツとスズキが大きな役割を果たしているとも言えると思います。いまや軽自動車はダイハツとスズキが作ってそれをOEMで他社も売るという図式ができてきているように思えます。OEMはメーカー側だけにメリットがあるわけでもなく、ユーザーにもメリットがあると思います。「あの車種が欲しいんだけど、あのメーカーは嫌い」とか、「懇意にしているディーラーマンがいるからあっちの車種は買いづらい」とかそういう事情でOEMを購入される方も多いのではないでしょうか。OEMもいいところがあると思いますが、「ハスラー」を見かけて、「違うよフレアクロスオーバー」だよ、と言われてもピンとこないですよね。