サチモスが敬愛してやまないバンド、ジャミロクワイの魅力
昨今、話題沸騰中のサチモス。彼らの音楽の背景にあるものは何でしょうか。
この記事では、背景の一つであるアシッドジャズバンド、ジャミロクワイを紹介します。これを読んだ後にサチモスを聴いて、そのリスペクトを感じてもらえたら幸いです。
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聞いたことありますよね、これ
ホンダヴェゼルのCMにも起用されているこの曲、オシャレですね。
ドライブに出かけたくなります。
演奏しているのは Suchmos(サチモス)
Suchmos(サチモス)は、日本のバンド。2013年、神奈川県出身者を中心に結成。バンド名の由来は、ジャズミュージシャンのルイ・アームストロングの愛称サッチモ。ロック、ソウル、ジャズ、ヒップホップからの影響を受けた音楽性を持つバンドである。ジャミロクワイ、ディアンジェロ、J・ディラに影響を受けた。
彼らが掘り下げるアシッドジャズというジャンル
アシッドジャズは80年代、イギリスのDJがクラブシーンでジャズを選曲したことから派生した文化です。
ファンキーなギター、グルーヴィーなベース、ミニマルなドラムが心地いいんです。
ちなみにベースを担当しているSHU(スー)は音大でジャズを専攻していたとか。サチモスのグルーヴの土台になっているのは間違いなく彼でしょう。
そんなサチモスが影響されまくっているJamiroquai(ジャミロクワイ)
ジャミロクワイ (Jamiroquai) は、イギリスのバンド。アシッドジャズの世界では最も成功したグループのひとつ。その初期の音楽活動においてインコグニート、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、ガリアーノ、コーデュロイ等のロンドンを本拠地とした面々と共に、1990年代始めのアシッドジャズ界を代表するものとなった。その後のアルバムは、ポップ、ロック、エレクトロニカ等ジャンルを限定しないもので、以前とは違った音楽的方面を模索してきた。世界中で3500万枚以上の売り上げがある。
代表曲 "Virtual Insanity"
このぶっ飛んだMV、もしかしたら見たことがあるかもしれません。2010年に日清カップヌードルのCMに一部が起用されました。食品の宣伝だけにカラスや虫は出てきませんでしたが…。どことなくサチモスのSTAY TUNEのMVと似た雰囲気を感じます。でもこれだけでは影響を伺うことはできませんね。次の曲を聴いてください。
こちらも代表曲 "Cosmic Girl"
いかがでしょうか。これは似てると思う方が多いと思います。軽快なギターとそれに乗っかるベース、ドラム、やわらかいキーボードサウンドが本当に気持ちいいですね。ドライブに行きたくなりませんか?なりますよね?
20世紀最後の大物ヴォーカリスト、ジェイソン・ケイ
出典:tower.jp
ジェイソン・ケイ(Jason Kay, 1969年12月30日 - )は、ジェイ・ケイの名前で知られるイギリスのミュージシャン。ジャミロクワイのボーカルであり、同バンドでの活動でグラミー賞を受賞しており、20世紀最後の大物と言われた。
ジェイ・ケイことジェイソン・ケイは69年、イングランドはグレーター・マンチェスターのストレットフォードで双子の弟として生まれている。母親はキャバレーなどでジャズを歌っていたシンガーのカレン・ケイ。ギタリストだという実父とは生き別れたものの、ミュージカルやTV番組に出演していた母と継父に連れられて各地を周り、音楽に囲まれて育った。デヴィッドと名付けられた双子の兄は生後半年で亡くなったそうだが、ジェイは後に〈自分に二面性があるのは、物静かだったデヴィッドとワイルドな俺と、二人分の人生を送っているから〉と説明している。この自説がいささか勝手なものだとしても、別のキャラクターを一人歩きさせることで自分の一面を守るという考えは、デビュー当初からジェイのなかにあったものなのだろう。
母の影響でマイルス・デイヴィスやスライ&ザ・ファミリー・ストーン、ギル・スコット・ヘロンらの音楽に子供の頃から親しんでいた彼は、長じてポップスターを志すようになり、80年代末には西ロンドンを根城に貧乏暮らしを送っていた。時はアシッド・ジャズの勃興期。ムーヴメントの熱がダンスフロアをはみ出してレコード・ビジネスの領域へと流れ込んでいた時代だ。ブランニュー・ヘヴィーズのシンガー・オーディションに落選したジェイは自身のバンド結成を決意する。自然と共生するネイティヴ・アメリカンのイロコイ族を、音楽的な意味の〈ジャム〉と組み合わせた造語=ジャミロクワイがバンド名となった。
出典:tower.jp
サチモス好きは必聴の名盤たち
何はともあれ、しっかり聴かずに良さは分かりませんよね。ここからは今までにリリースされたアルバムと押さえておいてほしい曲を挙げます。聴いていくと、サチモスを彷彿とさせるフレーズが次々と出てきます。正しくはサチモスがジャミロクワイを彷彿とさせる、ですけどね。
1stアルバム "Emergency on Planet Earth"
揺れるギターエフェクト(ワウといいます)と、パーカッションが民族的な雰囲気を醸し出していますね。ジャミロクワイの語源であるイロコイ族は、極めて平和主義かつ自然と共生することを重んじる部族で、ジェイ・ケイはその視点から飢餓、人種差別、環境破壊等を取り上げ、地球の緊急事態を歌っています。ジャミロクワイにはこういった警告的な意味を含んだ曲が結構あります。上でも紹介した"Virtual Insanity"は、現代において目まぐるしく変動する価値観を危険視し、「本当に大切なことは何なのか」について強く訴えています。
2ndアルバム "The Return of the Space Cowboy"
歌詞に"cheeba"という単語が出てきます。そうです、麻薬です。他にもマリファナの色と思われる"green"や"brown"などなど、そういうものを歌っています。途中、展開が変わりますが、麻薬でハイになっている状態をイメージしているとか。
3rdアルバム "Travelling Without Moving"
サチモスにも同じ名前の曲があります。偶然じゃありません。この曲をサンプリングしています。初めてサチモスの方を聞いた時は、なるほど、ここを持ってきたか!と感心しました。センスの塊のようなバンドですね。
4thアルバム "Synkronized"
楽曲の格好よさもさることながら、楽しいMVです。タイトルにもなっている"Canned Heat"は、爆発するほどの熱い気持ちの意。その爆発しそうな気持ちを発散するべく、ジェイ・ケイが歌って、踊って、ワープしまくります。
5thアルバム "A Funk Odyssey"
ライブでも定番化している、軽快なイントロのこの曲。"Foolosophy"は"fool"と"philosophy"の造語だと思われます。馬鹿と哲学、真逆なものに感じますが、MVや歌詞を見てみると…。「女性が好きだけれども、そのせいで頭を悩ませがちな自分。馬鹿げた恋愛哲学のせいだとわかっていても、変われない自分。でもそれこそが自分」こんな心境が伺えます。最終的に"Foolosophy"を愛してしまうんですね。だから"Love Foolosophy"なんでしょうか。
6thアルバム "Dynamite"
Time won't wait for you.
「時間は待ってくれないよ」
ひたすらこのフレーズが登場します。ポップなメロディーでありつつも強いメッセージを感じます。
7thアルバム "Rock Dust Light Star"
"White Knuckle"は緊張が高まった状態を指します。
それに"Ride"がついて、とても危険な乗り物に乗ってヒヤヒヤしているということですね。
MVを見ればヘリコプターと車の危険な追いかけっこですが、歌詞では物自体の明示はされていません。
何か大きな問題を抱えたジェイ・ケイの心境の暗喩なのかもしれません。
8thアルバム "automaton"
ザ・ジャミロクワイ・スタイルといった感じの曲ですね。
今まで似た曲調のものを聴いてきたけれど、それでも飽きない格好よさ。不思議ですね。
それこそがバンドの成功し続けている理由だと思います。
"Cloud 9"とは一番高い地点の雲です。もっとも高い位置にあることが転じて、最高の幸せという意味に。
ちなみにジェイ・ケイと共演しているのは女優のモニカ・クルスです。綺麗ですね。
来日公演
いかがでしょうか。かっこいい曲はまだまだ沢山ありますが、これを聴いておけば、まず間違いないというものを抜粋しました。サチモスがより強く影響を受けたのは中でも前期のジャミロクワイということが分かっていただけると思います。
さて、そんなジャミロクワイは5月24日にZepp ダイバーシティ東京 、25日に東京国際フォーラムにて来日公演を行うことになっていましたが、ジェイ・ケイの腰痛にドクターストップがかかり、中止になりました。
運営のクリエイティブマンが調整を行なっていますが再来日の予定が組まれるかは定かではありません。
残念でなりませんが、いつか万全の状態でパフォーマンスをしに来て欲しいですね。