プロジェクト管理の第一人者が語る成功する管理 ~『ゆとりの法則』トム・デマルコ~
変化に対応するための「ゆとり」について解説したトム・デマルコの『ゆとりの法則』をご紹介します。
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目からウロコの内容
「ゆとりの法則」というタイトルを見て、どのように感じますか。
「ゆとり」という言葉自体に、最近は肯定的な意味を見出せない傾向があります。
一方、また「法則」か、と思った方も多いのではないでしょうか。ここ数年、出版される書籍のタイトルはやたらと「法則」と「力」が多いのも事実です。
でも、そんな先入観を捨てて、本書に目を通してください。「目からウロコ」の内容が盛り沢山に綴られています。
ゆとりの法則とは?
デマルコ氏はアメリカのソフトウェア工学者で、プロジェクト管理の第一人者です。
デマルコ氏はゆとりを「変化に対応するための余裕」のことであり、「自分の仕事が全体の中でどのように機能するのか、どのように機能するべきなのかを考え直すために費やす時間」と定義しています。
「ゆとり」を否定的な概念で捉えるのではなく、むしろあえて作らなければならない「必要不可欠な時間」「創造力に必要な資源である」と考えているのです。
ゆとりがなくなるとどうなるのか?
デマルコ氏が定義する「ゆとり」や「余裕」が失われた場合、何が起きるのでしょうか。
新しい分野や夢に対するビジョンもなく、熟知している分野でどのように成長していけばいいのかさえわからなくなってしまいます。
従って、「ゆとりは一種の投資である」と考える必要があります。
本書は、このようにゆとりを定義し、プロジェクト管理の場で起きる様々なトラブルの真の原因を究明しています。
さらにプロジェクトを推進していく上で使用される言葉を、ひとつひとつ丁寧に定義することによって、プロジェクトを成長に導くための提言が述べられています。
職場では・・・
コンピュータが誕生して半世紀以上が経過しました。この間のコンピュータ技術の発達と仕事や生活の場への浸透は眼を見張るものがあります。
これまで、人間がやっていた作業へのコンピュータの進出、オートメーション化はものすごい勢いで進みました。誰でもできる、時間をかければできる単純な作業は、すべてコンピュータにとって代わられました。工場でも農場でもオフィスでも、ほぼ例外なしにです。
結果として、仕事量は圧倒的に減りました。そこに投入されていた人的資源は余剰となり、残された仕事にシフトしなければなりません。
しかし、残された仕事とはどんな仕事なのでしょうか。
コンピューターvs人間
残されたのは、機械ができない人間だけができるもの、人間が考えなければできないもの、単純でないもの、ただ時間をかけるだけでは終わらないもの、すなわち難しいものだけになりました。
機械的な単純作業、ルーチンワークのみに携わっていた人たちにとって、この状況は非常に過酷な配置転換に他なりません。
一方、経営的な観点からすれば、オートメーション化によってはじき出された人たちを、シフトさせなければ本当の余剰人員になっていまいます。
こうなってくると、全ての人が経営的感覚や視野を持って、人を適所に配置していかなければなりません。
それを考えるのが「ゆとり」なのです。
人と時間をどう活用するか
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