心理描写が素晴らしい！ユーモアに富んだ奥田英朗のおすすめ短編集5選

日常的なことを描いた奥田英朗の短編集を紹介

数々の名作を世に送り出している奥田英朗。名作が大変多い著者ですが、今回はその中でも短編集を紹介していきます。短編集は気軽に読むことができるため、「読書が苦手」という方でもお楽しみ頂けることでしょう。

そして、今回紹介する短編集は日常的な出来事を描いたものばかりです。日常的な出来事を描いているのですが、心理描写が的確過ぎて夢中になって読み進めることができることでしょう。今回紹介する本の中から、自分に合ったものを手に取ると心が温まることが期待できます。

1.不本意な生活を送る人達の日常をユーモラスに描いた「ララピポ」

対人恐怖症のライター、断ることができないカラオケ店員、テープリライターでぽっちゃりな女性、AV・風俗専門のスカウトマン、ヒット作に恵まれない自意識が強い作家、などなど不本意な生活を送っている人達の日常が描かれた短編集です。

短編集なのですが、つながっている部分も多く「ここが繋がるんだ〜」と感心しながら読めることでしょう。社会的に成功しているとは言い難い人達の日常ですが、それでも「人生捨てたもんじゃない」と何故か思える心の温まる作品です。タイトルの意味も最後の方でわかり、納得感もあります。

参考価格：648円

2.家族内にありがちな日常の問題を描いた「我が家の問題」

タイトル通り、どんな家庭にも起こりえるであろう日常の問題を描いた作品です。新婚なのに家に帰りたくない夫、仕事ができない夫に美味しいお弁当で励まそうとする妻、など家庭内での悩みに焦点を当てています。

結婚している方は思わず共感してしまうことでしょう。また、未婚の方でも結婚を考える上での参考になるかもしれません。家庭にある「ささやかだけど重要な問題・悩み」を前向きに乗り越えようとする男女に心が温まること間違いなしです。

参考価格：605円

3.働く女性達の苦労を描いた「ガール」

いくつになっても”ガール”でいたい女性、育児と仕事の両立に奮闘するシングルマザー、マンションを買う女性、新人教育の部下に恋をしてまう女性、などが企業で働く様子を中心に描いた短編集です。女性が読んだら思わず共感してしまうことは間違いなしです。

また、男性が読んでも「女性が働くときにはこんな苦労をしてるのか」「女性はこんなことを考えているのか」ということで勉強になります。女性の心を理解する助けになるかもしれません。最近はバリバリと働く女性も増えてきているので、仕事の面でも大いに参考になることでしょう。

参考価格：596円

4.働く男性達のあるあるを描いた「マドンナ」

40代の中間管理職の男性達を描いた短編集です。部下の女性に恋をしてしまったり、悪しき伝統に従うか葛藤したり、女性が上司になったことに苛立ちを隠せなかったり、など様々な状況での男性の心理、悩み、葛藤がリアルに描かれています。

思わず「わかるわ〜」と共感してしまうこと間違いなしです。また、会社内での問題だけでなく、家庭内の問題にも触れているところがこの短編集の魅力をより深いものにしています。様々な問題に悩み、奮闘する男性達の姿に感情移入することでしょう。

参考価格：691円

5.敏腕？精神科医とその患者の日常を描いた「イン・ザ・プール」

精神科医である伊良部の元に訪れる患者を描いた短編集です。精神科ということで、「自分とは無関係」と思われる方もいるかもしれませんが、水泳依存症の会社員、ケータイ依存症の高校生、病的なまでに自意識過剰なコンパニオン、確認行為が止められないライター、など自分も一歩間違えばそうなってしまうような症状を持つ人々が描かれています。

医者である伊良部の変わった治療法やキャラクターがなんとも微笑ましいです。気がつけば患者達の症状が良くなっているのも、また不思議です。敏腕医師なのかヤブ医者なのか。現代を生きる人々が一度は感じたことがあるであろう不安を描きながらも、そこまで重たい印象のない不思議な作品です。元気の源になる作品とも言えます。

参考価格：562円

奥田英朗の短編集には不思議な魅力がある

今回は、奥田英朗さんのおすすめの短編集を5冊紹介してきました。どの作品も些細な日常を描いたもので、大きなどんでん返しなどがあるわけではないのですが、不思議とページをめくる手が止まらなくなってしまうものばかりです。

心理描写が的確で「わかるわかる」と思いながら読み進めることもできますし、日常的なことが描かれているので色々と考えさせれることもあるでしょう。そして、読んだ後には温かな気持ちになること間違いないです。「最近、少し疲れてるな」と思う方は、今回紹介した作品を読んでみるといいかもしれません。