フランスが誇るピアニストの登竜門!ロン・ティボー国際音楽コンクール
ロン=ティボー国際音楽コンクールは1943年に創設されました。フランスで行われるピアノとヴァイオリン部門の、伝統あるコンクールです。毎回優秀なピアニストを輩出することで有名ですが、今回は初回の1943年から1951年までのピアニストをご紹介します。
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ロン・ティボー国際コンクールとは
出典:pixabay.com
ロン・ティボーコンクールは、戦前にフランスのピアニストのマルグリット・ロンとヴァイオリニストのジャック・ティボーが作ったコンクールです。フランスで伝統あるコンクールで、第一回1位のサンソン・フランソワにより一躍世界で有名なコンクールとなりました。現在は声楽が加わり、ピアノ、ヴァイオリン、声楽部門は別々に行われるので「マルグリット・ロン国際ピアノコンクール」というようです。
このマルグリット・ロンも優秀なピアニストでありパリ音楽院を首席で卒業しています。後にラヴェルからピアノ協奏曲ト長調を献呈されました。このコンクールは現代も続くもので、次々に名ピアニストを輩出していることで知られています。今回は、初回から1951年までのピアニストたちをご紹介します。
1943年 1位 サンソン・フランソワ
ロン=ティボーコンクールの第一回は1943年に開催されましたが、栄えある1位はサンソン・フランソワです。彼は、1924年ドイツで生まれたフランス人です。幼少時からピアノの才能に秀でており、フランスの名門パリ音楽院でマルグリット・ロンに師事しました。フランソワはかなりの男前の容貌といえますが、とても個性が強いタイプだったようです。
お酒、タバコ、ナイトクラブをこよなく愛し、私生活も離婚後は不摂生な生活をしていたといわれます。その影響かどうか、これから円熟味が増してくる年齢の46歳で亡くなりました。彼の演奏の中で定評のあるものは、何といってもショパンの24の前奏曲でしょう。
また、フランスの作曲家ラヴェル、ドビュッシー、フォーレなどを得意とし、ベートーベンを嫌っていたと伝えられます。亡くなって40年後も人気が衰えることのない伝説のピアニストです。
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1949年 1位 アルド・チッコリーニ
1949年の1位は、イタリアのアルド・チッコリーニです。彼は1925年イタリア生まれですが、コンクール後はフランスの名門パリ音楽院で教授をしながら、演奏活動をしています。フランスのあらゆる年代の作曲家の研究と演奏に尽力しましたが、ベートーベンやモーツァルトの全集も出すなど、レパートリーは広いピアニストです。2015年に惜しまれながらこの世を去っています。
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1949年 3位 パウル・パドゥラ=スコダ
1949年開催3位のパウル・バドゥラ=スコダは、1927年にオーストリアで生まれています。ウィーンで学んだ後のコンクール入賞となりました。イエルク・デームス、フリードリヒ・グルダと共に著名なピアニストです。レパートリーは主に、ベートーベンやモーツァルトなどの古典です。現代を代表するピアニストとして歴史に残る1人です。
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1951年 2位 セケイラ・コスタ
1951年開催の2位は、1929年ポルトガル生まれのセケイラ・コスタです。リストの弟子の生き残りや、パリのマルグリット・ロンに師事し、コンクール入賞となりました。受賞後は演奏活動をしながら、審査員や音楽大学の教授など多忙な日々を過ごしているということです。レパートリーは、ベートーベン、ラフマニノフなどの録音があります。
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1951年 8位 ホアキン・アチュカロ
1951年8位入賞のホアキン・アチュカロは1932年スペイン生まれです。幼少時から音楽の才能があったようですが、同時に物理学の勉強もしていたという記録があります。当コンクール以外にはブゾーニ・コンクールで1959年4位を受賞しました。レパートリーは、ファリャやグラナードスなどの自国の作品を中心に、詩情溢れる豊かな表現が特徴のピアニストです。
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伝統あるロン=ティボーコンクール
いかがでしたでしょうか。フランスの名門コンクールのロン=ティボーコンクールは第一回の1943年からすでに70年を越え、現代まで存続することができました。これは、ショパンコンクールやエリザベート王妃コンクールの次に古いものです。このコンクールの1位は、その伝統同様に輝かしく重いといえます。
ただ、財政難からいつも存続の危機に面しているということです。ピアノコンクールは世界の平和を象徴する行事といえます。サンソン・フランソワもあの世から声援を送っているに違いありません。何とかこの先も続いて欲しいものです。
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この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。