ピアノの超絶技巧曲といえば「リスト」！メロディが美しいピアノ曲5選

フランツ・リストという音楽家

フランツ・リストは、1811年にハンガリーで生まれました。ちょうどショパンとは一歳違いであり、パリで活躍していた時期も同じです。当時のフランスは芸術が盛んで、世界中の芸術家はパリに集まっていたと言っても過言ではないでしょう。

音楽は主にサロンで演奏されることが多く、ショパンは大きな会場ではなく、上流階級の社交場であるサロンを好んだと言われています。リストはピアノのヴィルトオーソ(名人)で、聴衆が喜ぶような技巧的な曲の演奏を披露し、現代の音楽のコンサートのもとになる形を初めてした人です。広いコンサート会場のステージで大げさなパフォーマンスをするスタイルですが、大勢の女性たちがステージに花束を持って押し寄せたということですから、そのモテぶりが想像できます。また、マリー・ダグー伯爵夫人との駆け落ちを実行するなど数々の浮名を流しています。大衆的な音楽や演奏方法、そして私生活の姿勢などから音楽そのものも「内容が希薄で芸術性にかける」という批判も一時期ありました。

ただ、現在は音楽の内容についての認識は見直されていますし、いろいろなピアニストがリストの曲を演奏しています。リストは技巧的な作品が多いのですが、一般的に有名なものはメロディが大衆的で馴染みやすく親しみが持てるのではないでしょうか。今回は、リストオリジナルの作曲のものを5つご紹介します。

ハンガリー狂詩曲「第二番」

リストは、実は両親はドイツ人でしたし生涯の大部分をパリや外国で過ごしたのですが、ハンガリー人という思いはあったようです。このハンガリー狂詩曲という題名からリストの「ハンガリーへの想い」が伝わってきます。ハンガリー狂詩曲は全部で16曲ありますが、この2番は一番有名といってよいでしょう。哀愁に満ちたメロディーは、次に明るい調子に変わり、素早い音の連打はサーカスの見世物の伴奏のようにだんだん速くなったあと終始します。
どなたでもわかりやすい楽しい曲です。

C.P.E.バッハ:アンダンティーノ ロ短調/D.スカルラッティ:ソナタ ヘ長調/リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 他
価格　2,052円

巡礼の年 より 「泉のほとりで」　

「泉のほとりで」は、水の流れが美しく音となり聴こえてくるようです。リストは「エステ荘の噴水」という「水」の曲を書いていますが、こちらの作品はよりかわいらしく「ピチピチ」と水が撥ねる様子が曲の最初から終わりまで止まることなく、よく表現されています。技術的にはリストの作品の中では「中程度」であり、短くよくまとまっている作品です。

リスト：《巡礼の年》全曲
価格　2,000円

ポロネーズ

ポロネーズは、ポーランド独自のリズムの行進曲のことです。ショパンのポロネーズが有名ですが曲集になっており、その中でも英雄ポロネーズがよく演奏されています。リストは、ショパンのポロネーズに真似て二曲書いていますが、ポロネーズというよりむしろリストらしい独自のものでダイナミックで、やはり技巧的には難曲に属するでしょう。ただ、とても美しい主題が形を変えて何度も繰り返され印象的で魅力的な曲です。

Sonata Ballades & Polonaises CD, Import
価格　3,435円

忘れられたワルツ　「第一番」

リストは、超絶技巧の曲だけではなく小品もいくつか書いています。これは、短いものですが何か物憂い感じのする、練習曲のような面もあるワルツです。リストにしては珍しく技巧的に易しい作品で、よく演奏されることが多い曲に属します。気軽に聴けてリストらしさも感じられる曲ですのでお勧めです。

「リスト：後期Ｐｆ作品集」巡礼の年第３年～２，４，５番，忘れられたワルツ１番，モショーニの葬送，他
価格　3,240円

夢で　ノクターン　

この曲もリストにしては珍しく、技巧的ではない小品です。夢の中で、夕暮れにノクターン(夜想曲)が流れてくる様子が表現されているのでしょうか。暗さはなく、心地よい響きが眠りを誘います。リストの小品の中では、「忘れられたワルツ」同様にアンコールなどで演奏される曲です。精神的に落ち着いて、そのままぐっすりと眠りたいときにお勧めします。

リストの曲は派手なだけ？

いかがでしたでしょうか。リストの曲は、派手なだけで大げさな技巧でごまかしているだけではないか、と感じる人もいるかもしれません。しかし、そのたくさんの修飾を取り去ると真の美しさも垣間見えてきます。小品の中には「愛の夢」のような名曲もあり、華美に装飾されていないリストを見つけることができるように思います。ぜひ静かなリストも聴いてみてください。