ロマンチックなラフマニノフの世界
ラフマニノフをご存知でしょうか。ラフマニノフはロシアの作曲家ですが、その作品は後期ロマン派の甘くせつないメロディが多く用いられており、特に女性に人気があります。「ロマンチック」という言葉がぴったりの音楽は、映画などにも使用されています。
- 8,308views
- B!
ラフマニノフとは
出典:pixabay.com
セルゲイ・ラフマニノフは1873年にロシアに生まれました。貴族の出身で裕福な家庭でしたが、両親の離婚や経済面での不遇にもあっています。モスクワ音楽院を卒業する前から作曲を始めており、ヨーロッパ遠征後、ロシア革命、第一次世界大戦などの理由でアメリカへ渡り、事実上の亡命ということになります。
生涯を、アメリカやスイスから祖国のロシアへの望郷の思いを持ち続けた哀しさが作品にも出ています。ロシアの凍てついた大地や、日光よりもジメジメとした湿気のある空気や憂鬱な雰囲気が、彼の作品のイメージだといわれます。ですが、死語になりつつある「ロマンチック」という言葉は、彼のために生き残っているのではないかと思われます。1943年にロサンゼルスで死去いたしました。
ラフマニノフの作品は、自身がピアニストであったためピアノ作品が中心ですが交響曲やチェロのための曲、歌曲なども残されています。現代では、フィギュアスケートの曲に選ばれたり、映画音楽としても使われていますから聴いた事がある人も多いと思います。その人気作品から5曲ご紹介いたします。
1.ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフは、この曲を書く前に大変なスランプになり精神科の力を借り、みごとにカムバックしたと伝えられています。ピアノ協奏曲第2番は公演されるとたちまちに人気となり、大成功を収めることになります。ラフマニノフの名前を世界中に広めたといっても良い代表作です。出だしの一音から人を惹きつける印象的なメロディは、ロシア特有の大地のイメージです。
ラフマニノフ自身の演奏をお聴きください。
価格 1,591円
2.パガニーニの主題による狂詩曲
パガニーニというのは、19世紀のヴァイオリニストで超絶技巧と、カリスマ性があり圧倒的な人気のあった作曲家です。彼の主題を用いてリストやいろいろな作曲家が曲を書いています。ラフマニノフも、パガニーニから主題を借りて「狂詩曲」という形で発表しましたが、変奏曲といった方がよいかもしれません。中でも第18変奏が美しく、単独で映画に使われることが多いので、ぜひ聴いてみてください。
ラフマニノフ自身の演奏を聴くことができます。
価格 2,474円
3.交響曲第2番
交響曲第2番は、とても長い曲なのですべて聴くと4楽章で50分から1時間ほどかかります。通して聴くのは、クラシックを聴きなれている人でなければ難しいと思われますので、お勧めの箇所をご紹介します。
美しい部分は、第1楽章ラルゴと第3楽章のアダージョです。その中の「主題」の一部分だけが映画やドラマ、CMなどで使われていますので、すぐに気がつくのではないでしょうか。ラフマニノフは、ロマンチックなメロディを作り出す天才といえるかもしれません。
アンドレ・プレヴィンの指揮でお聴きください。
価格 1,354円
4.鐘
「鐘」は、元々ピアノのために書かれた曲です。「前奏曲 嬰ハ短調 作品3の2」で、「幻想小品集」の中の一つですが、発表当時から人気があり随分と演奏されたと伝わっています。ロシアの教会の鐘を打つ連続音がとても印象的に聴こえてきます。オーケストラ曲にも編曲されて、現在も演奏回数の多い作品であり、ラフマニノフの代表作といってよいと思います。
ロシア出身の巨匠アシュケナージによるピアノでどうぞ。
価格 1,413円
5.ヴォカリーズ
ヴォカリーズは、「歌詞のない歌」で「ア」などの「声」のみで歌います。ラフマニノフの作品を思うとき、この曲なしに済ますことはできません。小さな作品ですが存在感は大きく、いろいろな楽器に編曲されています。哀愁に満ちたメロディは、聴いた人の耳から離れずしっかりと心に残ります。お勧めの一曲です。
フランスの声楽家ナタリー・デセイによる歌でどうぞ。
価格 2,836円
哀しいときに聴きたいラフマニノフ
いかがでしたでしょうか。ロシアが生んだ天才ラフマニノフですが、生涯のほとんどを国外で過ごした寂しい気持ちが「ヒシヒシ」と伝わってくるような音楽は、100年経っても人の心を捉えるに違いありません。哀しいときにこそ、ラフマニノフの音楽を聴いてみてください。あなたの心に寄り添い、一緒に泣いてなぐさめてくれる音楽がそこにあります。
この記事のキーワード
この記事のライター
検査技師をしておりました。現在は家庭に入り、ライター、アンティークドールのディーラー、人形関連の制作と売買、ピアノ講師などをしています。趣味の薔薇や犬、鳥の世話と夫と子供の世話に忙しい毎日です。