【読んでおきたい日本文学】横光利一おすすめ3選

新感覚派と呼ばれる横光利一は、最初の妻キミが病死のため、私小説的な病妻ものが多いと思われることもしばしばあります。
しかし、私小説とは異なるといわれるのは読んでみたらわかるはずです。
今回はそんな「文学の神様」といわれる利一の作品を紹介します!

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横光利一とは

横光利一は、恋愛に多くの障害を持ちながらも、同時期に新感覚派の中心人物として名を挙げていった作家です。最初の妻キミとの結婚は周囲の反対を押し切ったものですが、キミは病気のために3年という短い生活に終わってしまいます。
しかし、その苦難を乗り越えたからこその『妻』『蛾はどこにでもゐる』『美しい家』や今回紹介する『春は馬車に乗って』『花園の思想』などといった病妻ものを新しい手法で描くことができたのです。

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この小説は教科書で目にしたことのある人も多いはず。
蜘蛛の巣から逃れた一匹の蠅は物語の大きなカギを握ることになります。

作品のテーマは「不条理」です。
日常の中でどんなトラブルが待ち受けているかわからないし、運命を知る人間などいるはずがありません。
だからこそ、蠅というとりとめのない存在が「不条理な世界」の象徴になっているのが面白く感じられる小説になっています。

大人になった今だからこそもう一度読み直してほしい小説です。

春は馬車に乗って

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結核にかかって余命の短い妻とその看病をする夫。
妻の看病、仕事に追われる夫と、看病の甲斐もなくどんどん衰弱していく妻。
二人は論争をすることでしか互いの愛を見出すことができないのです。

この小説の、女と男の考え方の違いが明確になっているところは実生活にも活かせるはずです。
春を知らせる花が二人の愛を象徴していて、死を中心とした物語展開なのですが、「愛の形とは一体何だろう。」読後にそんなことを考えさせてくれる作品だと思います。

花園の思想

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『花園の思想』は『春は馬車に乗って』に連なる短編とされています。
「花園」にたとえられる結核の治療施設を舞台に夫婦の最後の時間が描れています。
また、町の人々は肺病を恐れ迫害のために腐敗した魚を積み上げたり、藁を焼いたりして病人は苦しめられていきます。
やがて、妻は延命治療を望まずに死を迎えてしまいます。

病状の悪化する妻と看病を続ける夫の「最期の時を待つ夫婦」の愛が美しく描写されている小説です。

「やがて彼は一枚の紙のようにふらふらしながら花園に降りていった。」
ラスト一文が読後に余韻をもたらす小説NO1だと思います。

小説を超える世界観

利一の病妻ものと呼ばれる小説には「光」というキーワードが存在します。
「光はいったいどんな意味を持っているか」考えて読むと利一ファンになっていること間違いなしです。
利一が教えてくれることは小説を超えたリアルにも通じるものを持っていると感じるはずです。

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この記事のライター

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カープ女子が流行る中、15年間貫いている鷹ガール。(20)好きなお酒はビールと純米酒。好きなものはフリフリとピンクのもの。趣味は野球観戦。学部は文学部。The掴めない系女子。

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斉藤情報事務

信州の曲者が集まるCLUB Autistaに所属する道楽者。車と酒と湯を愛し、ひと時を執筆に捧げる。

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