史実、それともフィクション？感動の大作が一同に 戦後のアカデミー賞受賞5作

映画は進化するけれど…

動画を記録できるように発明したのはエジソンですが、最初は無声映画、サイレントでした。映画館には「活動写真弁士」という人が、横でおもしろおかしく「活弁をふるい」、ピアノなどの楽器演奏も含まれていたそうです。後にトーキーとなり俳優には一層の演技力が求められ、次にカラーとなりました。現代ではCG「コンピューターグラフィック」、そして3Dという立体画像、最近では4Dという臭いなどの体験型にまでなり、映画の進化は留まるところがありません。

しかし、内容はどうでしょうか。本当に感動する映画はめっきり少なくなったことは否めません。ご紹介する映画は、映画全盛期で「内容や質」で勝負しなければならなかった「本来の感動の映画」といえるものです。もしまだご覧になっていないものがありましたらぜひお勧めします。

マイ・フェア・レディ　1965年受賞

マイ・フェア・レディはイギリスの言語学者ヒギンズ教授が、ある紳士と賭けをすることから話が始まります。その賭けとは、下町の花売り娘を教育することで上流社会の女性として通用するようになるかどうかという賭けです。彼女は下町の育ちで訛りがひどく教養もないのですが、短期間で試練を重ねて素晴らしいレディになっていきます。

ヒギンズ教授は気がつくと彼女に恋をしている自分に気がつく、というギリシャ神話が元になっているストーリーです。神話は「ピグマリオン」という青年彫刻家が自分の作った美しいガラテアという女性像に恋してしまうという話です。美の女神アフロディーテは彼の願いを聞き入れ、彼女を人間に変え、ふたりは結ばれるというロマンチックなストーリーとなっています。

映画マイ・フェア・レディはミュージカルで、「踊り明かそう」などはヒットし、現在でも歌われる有名な曲です。白黒のストライプが斬新な衣装は、まさに「この映画のイメージ」といえます。主役のオードリーヘップバーンが歌う予定でしたが吹き替えとなったようです。

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わが命つきるとも　1967年受賞

この映画は、アカデミー賞6部門受賞という快挙をとげました。イギリス映画で、悪名高き「ヘンリー8世」の時代を描いています。主役は「ユートピア」の著者として有名なトマス・モアです。ヘンリー8世は子供のできない正妻のキャサリンと離婚し、アン・ブーリンと再婚しようと画策していましたが、イギリスはカトリックであるため離婚が認められません。

結局イギリス独自の国教会をつくり再婚に成功しますが、トマス・モアは終始離婚反対の姿勢を貫き、クロムウェルの陰謀もあり王の怒りを買います。モアは断頭台の露と消えますが、この映画で自分の信念理念を最後まで貫き通した尊い精神に視点が置かれ、感動作となりました。

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愛と追憶の日々　1984年受賞

愛と追憶の日々は、母と娘の愛を描いた感動作です。表面的には喧嘩も多い母と娘は深い愛情でつながっています。この映画では娘の結婚、老年に差し掛かっている母の恋愛、そして娘の病気と死などを通して二人の人生を描いています。悲しくも、笑いを含めた一流のエンターテイメント映画です。名優シャーリー・マクレーンが母親役、ジャック・ニコルソンが宇宙飛行士の恋人、そしてデボラ・ウィンガーが娘役で出演しています。

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アマデウス　1985年受賞 　

アマデウスとは、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトのことです。演出、ストーリー性、俳優の演技力共にすばらしく、クラシックファンならずとも楽しめる映画となっています。物語は、サリエリという現代ではあまり有名ではない作曲家の回想シーンから始まります。モーツァルトの死因については、当時から毒殺ではないかなど他殺説があがっていました。その理由として「共同墓地に埋葬され遺骸がない」ということがあります。

この映画はまったく根拠のないフィクションですが、当時実際に活躍し、モーツァルトと面識があったと思われる作曲家サリエリに重要な役を与えました。そのため、奇想天外な面白い映画となり大ヒットし、アカデミー受賞となったのです。また、モーツァルトの本当の人物像、お墓がないこと、最高傑作の「レクイエム」の誕生秘話なども盛り込まれていることも注目されました。音楽家モーツァルトではなく、「人間モーツァルト」としての視点は、「ただの伝記映画ではない」と感じさせます。音楽も十分楽しめる映画です。

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タイタニック　1998年受賞 　

タイタニックという名前は、この映画以前でもよく本やテレビなどで取り上げられていたのでご存知の方もいると思います。1912年にイギリスからアメリカに向けて処女航海した豪華客船の名前です。この客船は、氷河にぶつかり沈没し乗客乗務員2200人のうち、1500人あまりが犠牲となりました。

タイタニックを描いた映画は何本か作られていますが、この映画がもっとも素晴らしいものといわれています。その理由は、監督のタイタニック号に対しての情熱で、実際に沈んだタイタニックを撮影し映画に取り入れるなど、船内室内をできるだけ忠実に再現している点です。

主役の男女のストーリーはフィクションですが、生き残った人の証言から部分的に真実をいれています。船で演奏をする仕事をしていたバンドのメンバーたちは、最後まで演奏し続け海に沈んでいきました。それは沈没する最中にパニック状態に陥る人々を落ち着かせるためにした行動と思われます。感動の大作ですが、映像技術もすばらしく映画史に残る傑作です。

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昔の映画に感動

いかがでしたでしょうか。どの映画も、涙と笑いをたっぷりと含み事実であるかないかに関係なく、感動できる映画だと思います。時に、近年の映画に関してはストーリー、映像ともフィクション部分が巨大化するあまり「感動が薄っぺらなもの」に思うことがないでしょうか。もし現代の映画に満足がいかない、という気がしたときには昔の映画をご覧いただきたいと思います。本物の感動の大作をどうぞ見つけてください。